「処遇改善手当は毎月必ず支給される?」「扶養内で働くパートでももらえるの?」と処遇改善手当に関する疑問は尽きないと思います。
本記事では、保育士の処遇改善手当に関する概要を詳しく解説します。
- 処遇改善手当は保育士の給与改善を目的とした手当
- 区分1〜区分3の3つの区分に分かれている
- 保育士であっても誰でももらえるわけではない
- 人材確保のため今後も処遇改善に向けた制度の見直しが進められる可能性がある
【元保育士】ゆぴライター処遇改善手当は重要ですが、それだけで職場を選ぶのはおすすめできません。園の雰囲気や人間関係、働きやすさも確認しながら、自分に合った職場を選ぶことが大切。気になることは見学や面接で確認し、納得して働ける環境を見つけましょう。


ゆぴ先生 元保育士ライター
保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。


保育士の「処遇改善手当」とはどんなもの?


- 保育士の給与改善を目的とした手当
- 国の制度に基づいて支給される
- 支給額や支給方法は勤務先によって異なる
処遇改善手当とは、保育士の賃金向上や人材確保・定着を目的として設けられた手当です。
国の制度に基づいて支給されますが、支給額や支給方法は施設ごとに異なります。
基本給や毎月の手当、賞与などに反映されるケースもあり、給与明細に「処遇改善手当」と明記されない場合もあります。
処遇改善手当でいくらもらえる?
- 月5,000~1万円程度支給されるケース
- 月2万~4万円程度支給されるケース
- 年度末に数万円を一時金として支給されるケース
処遇改善手当の支給額に一律の基準はなく、勤務先や役職、経験年数、自治体の運用などによって変わります。
毎月の給与に上乗せされる場合もあれば、賞与や年度末にまとめて支給されることもあります。
実際の支給額や支給方法は園ごとに異なるため、求人票や就業規則を確認しておくと◎。
処遇改善手当の各区分を詳しく解説
処遇改善手当には大きく3つの区分があり、それぞれ目的や対象者が異なります。
区分ごとの違いを理解しておくと、自分がどのような手当の対象になるのかイメージしやすくなるでしょう。
ここでは、区分1・区分2・区分3の特徴や対象者、支給内容の違いを分かりやすく解説します。
【区分1(基礎分)】すべての職員の基本的な賃金を底上げする加算
- 保育士を含む職員の賃金改善を目的とした加算
- 基本給や毎月の手当などに反映されることが多い
- 支給方法や金額は施設によって異なる
保育士をはじめとする職員全体の賃金を底上げするための処遇改善です。
基本給や毎月の手当として支給されるケースが多く、安定した給与アップにつながることがあります。
ただし、支給額や支給方法は施設ごとに異なるため、給与明細や就業規則を確認しておくとよいでしょう。
【区分2(賃金改善分)】職員全体の賃金改善を目的とした加算
- 区分1に加えてさらに職員全体の賃金改善を目的とした加算
- 毎月の給与や手当に反映されることが多い
- 支給額や配分方法は施設ごとに異なる
基本的な賃金改善に加え、職員全体の給与をさらに引き上げることを目的とした加算です。
基本給や毎月の手当として支給されることが多く、継続的なベースアップにつながります。
ただし、配分方法や支給額は施設ごとに異なるため、勤務先によって実際の支給内容は変わります。
【区分3(質の向上分)】リーダー的役割を担う職員への手当
- リーダーや専門性の高い職員を対象とした加算
- キャリアアップや役割に応じて支給される
- 区分1・2とは異なり、対象者が限定される
職員全体を対象とする区分1・区分2とは異なり、副主任保育士や専門リーダーなど、一定の役割や責任を担う職員を対象とした処遇改善です。
キャリアアップ研修の修了などが要件となる場合もあり、役職や職務に応じて手当が支給されます。
保育の質の向上と職員のキャリア形成を後押しすることが目的です。
令和7年度に処遇改善手当はどう変わった?
令和7年度から保育士の処遇改善制度は大きく見直され、これまで複数あった制度が一本化されました。
また、手当の配分方法や支給方法、施設の事務手続きにも変更が加えられ、より分かりやすく運用しやすい制度へと改善されています。
ここでは、令和7年度に変わった主なポイント3つを従来との違いも交えながら分かりやすく解説します。
変更点①制度が「一本化」され、3つの区分へと整理された
- 複数あった処遇改善等加算が一本化された
- 「区分1・区分2・区分3」の3区分に整理
- 制度が分かりやすくなり、運用しやすくなった
令和6年度までは、「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ」や「処遇改善臨時特例事業」など複数の制度があり、施設ごとに管理や事務手続きが複雑でした。
令和7年度からはこれらが一本化され、「基礎分」「賃金改善分」「質の向上分」の3区分へ整理されています。
制度が分かりやすくなり、施設・職員ともに内容を把握しやすくなりました。
変更点②「月4万円」などの配分ルールが柔軟になった(質の向上分)
- 月額4万円の配分要件が緩和された
- 施設の実情に合わせて配分しやすくなった
これまでは処遇改善等加算Ⅱで「月額4万円」などの配分ルールが設けられていましたが、令和7年度からは制度の見直しにより、区分3(質の向上分)の配分方法がより柔軟になっています。
施設の実情や職員の役割に応じて手当を配分しやすくなったため、現場の状況に合わせた処遇改善を行いやすくなりました。



配分ルールの柔軟化は職員への公平な処遇改善につながります。
変更点③書類手続きが減り、基本給への反映(月額支給)重視へ
- 書類作成や事務手続きが簡素化された
- 一時金より毎月の給与へ反映する運用が推奨されている
- 継続的な賃金改善につながりやすい
令和7年度からは制度の一本化に伴い、施設が行う申請や報告などの事務手続きが簡素化されました。
また、年度末の一時金として支給するだけでなく、基本給や毎月の給与へ反映する運用がより重視されています。
毎月の給与へ反映する施設では収入が安定しやすくなることが期待され、保育士にとって継続的な賃金改善が期待できる制度に改善されていますよ。
誰でも処遇改善手当はもらえるの?対象者と条件まとめ
処遇改善手当は、保育士であれば誰でも必ず受け取れるわけではありません。
勤務先が処遇改善制度の対象となっていることに加え、雇用形態や職種、役職、勤務条件などによって支給対象や支給額が異なります。
正社員・パート・派遣社員などの雇用形態や対象となる職種、役職ごとの違いを理解しておきましょう。
雇用形態|①正社員(常勤)
- 処遇改善手当の対象になりやすい
- 毎月の給与や賞与に反映されることが多い
- 勤務先が処遇改善等加算を取得していることが前提
処遇改善手当の対象となる代表的な雇用形態ですが、勤務している保育施設が処遇改善等加算を取得していることが前提となります。
手当は毎月の給与や基本給、賞与などに反映されるケースが多く、支給額や支給方法は施設ごとに異なります。
詳しい内容は給与規程や就業規則を確認するとよいでしょう。
雇用形態|②パート・アルバイト
- パート・アルバイトでも支給対象となる場合がある
- 勤務時間や勤務日数などの条件を満たす必要がある
- 支給額や支給方法は施設ごとに異なる
勤務先が処遇改善等加算を取得しており、施設が定める支給要件を満たしていれば処遇改善手当を受け取れる可能性があります。
ただし、勤務時間や勤務日数に応じて支給額が異なる場合もあるでしょう。
支給条件や金額は施設ごとに異なるため、事前に就業規則や給与規程を確認しておくと安心です。
雇用形態|③派遣社員
- 派遣社員でも処遇改善手当の対象になる場合がある
- 派遣会社の支給ルールに基づいて支給される
- 派遣先や契約内容によって支給額が異なることもある
派遣社員の場合、支給の有無や金額は派遣先ではなく、雇用契約を結んでいる派遣会社の運用によって決まるのが一般的です。
勤務時間や契約内容などの条件を満たす必要があるため、事前に支給条件や支給方法を確認しておくと安心して働けるでしょう。
職種①|保育士・保育教諭
勤務先が処遇改善等加算を取得しており、支給要件を満たしていれば処遇改善手当の対象となります。
雇用形態や役職によって支給額や支給方法は異なります。
職種②|調理員・栄養士・看護師
調理員・栄養士・看護師も、保育施設で勤務し支給要件を満たしていれば、処遇改善手当の対象となる場合があります。
職種③|事務員・バス運転手・用務員
事務員・バス運転手・用務員も、保育施設で勤務し支給要件を満たしていれば、処遇改善手当の対象となるケースがあるため確認してみてください。
役職・経験①|職務分野別リーダー等
- 区分3(質の向上分)の対象となる役職
- キャリアアップ研修の修了が要件となる場合がある
- 一般職員より高い手当を受けられることがある
職務分野別リーダーは、乳児保育や食育、保護者支援など特定分野で中心的な役割を担う職員です。
一定の経験年数やキャリアアップ研修の修了など、施設が定める要件を満たすことで区分3の対象となり、通常の処遇改善手当に加えて役割に応じた手当が支給される場合があります。
役職・経験②|副主任保育士・専門リーダー等
- 区分3(質の向上分)の主な対象者
- 一定の経験年数や研修修了などの要件がある
- リーダーとしての役割に応じた手当が支給される
職員の指導や保育の質の向上において中心的な役割を担う副主任保育士や専門リーダーは、求められる経験や研修などの条件を満たすことで、区分3の支給対象となります。
一般の保育士よりも責任の大きい役割を担うため、その職務に応じた処遇改善手当が支給される仕組みです。
産休中・育休中の保育士の場合
産休・育休中は、勤務先の支給ルールによって処遇改善手当の取り扱いが異なります。
- 休業中:手当の支給が停止される施設もあれば、一部支給されるケースもある
- 復職後:支給要件を満たせば再び処遇改善手当の対象となるのが一般的
企業主導型保育園・小規模保育事業所で働く保育士の場合
企業主導型保育園や小規模保育事業所も施設が処遇改善制度の対象となっており、支給要件を満たしていれば処遇改善手当を受け取れる場合があります。
ただし、制度の運用や支給額は施設によって異なるため、事前に確認しておくと◎。
処遇改善手当の支給対象外(受け取れない人)
- 処遇改善加算を取得していない施設で働いている人
- 支給要件を満たしていない人
- 区分3の対象となる役職・要件に該当しない人
処遇改善手当は、すべての保育士が必ず受け取れるわけではありません。
勤務先が処遇改善加算を取得していない場合や、勤務日数・雇用条件など施設が定める支給要件を満たしていない場合は対象外となることがあります。
また、区分3(質の向上分)はリーダー職など一定の役割を担う職員が対象のため、すべての職員に支給されるものではありません。
保育士さんにアンケート!処遇改善手当に満足している?
「働いている保育士さんは処遇改善手当の取り組みや金額に満足しているの?」と疑問に思うかもしれません。
ここでは、保育士7名の方に調査した処遇改善手当に満足しているかのアンケート結果を報告します。
保育現場のリアルな状況を把握して、ぜひ今後の役に立ててみてください。
- やや満足:28.6%
- 普通:57.1%
- やや不満:14.3%
独自調査アンケートについて
リサーチ方法:クラウドワークスにて募集
対象者:現役保育士または保育士経験者
※当メディアが調査した独自調査の体験談・口コミに関して、引用元の明記なく使用することはおやめください。
現場から届いたリアルな本音【満足派】
処遇改善手当に満足している人からは、「園独自で手当を上乗せしてくれる」「手当が支給されること自体に感謝している」といった声が寄せられました。
一方で、「正規職員との支給額の差をもう少し縮めてほしい」「可能であれば満額を受け取りたい」といった意見も見られます。
手当の支給自体は評価されているものの、支給額や雇用形態による差については改善を望む声もあるようです。



32歳 女性
今のこども園は園長先生が良心的なので3万円程手当を付けてくれるので満足しています。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより



年齢未回答 女性
ありがたいと感じています。ただ、正規職員の方と比べると支給額は大きくなく、仕事内容や子どもへの関わり方は同じように責任を持って行っているため、もう少し差が少なくなると嬉しいと思います。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより



27歳 女性
欲を言えば満額いただきたいです。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより
現場から届いたリアルな本音【不満派】
不満の声では、「処遇改善手当はありがたいものの、保育士の責任や業務量に見合う金額ではない」と感じる人が目立ちました。
また、看護師や介護福祉士など他職種との支給額を比較して少ないと感じるケースや、園・運営法人によって支給額に差があることへの不満も見られます。
手当の支給自体は評価しつつも、金額や支給基準の公平性を求める声が寄せられています。



36歳 男性
処遇改善手当があることで少し収入が増えるのはありがたいですが保育の責任や業務量を考えると十分な金額とは感じられないからです。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより



年齢未回答 女性
友人の看護師は12000円、介護福祉士は20000円だから。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより



31歳 女性
もらえるに越したことはないと感じていたので少しでも給料に上乗せしてもらえる点では満足していましたが、他園で働いていた友人と話していると同じ処遇改善でももらえている金額に差があることを知り、経営母体によって違うことに不満はありました。
ほいポケ編集部による独自調査アンケートより
処遇改善手当に満足している人は多いものの、支給額には課題も
今回のアンケートでは、処遇改善手当に対する満足度は「普通」が最も多く、制度そのものを前向きに受け止める保育士が多いことが分かりました。
一方で、「業務量や責任に見合う金額ではない」「園や運営法人によって支給額に差がある」といったリアルな不満の声も。
処遇改善手当は収入アップにつながる制度として評価されているものの、支給額や配分方法には改善を望む意見も少なくありません。
転職を検討する際は、手当の有無だけでなく具体的な支給額や支給条件についても事前に確認しておくことが大切です。
各自治体による保育士の処遇改善の取り組み
保育士の処遇改善は国の制度だけでなく、自治体独自の支援制度が設けられている地域もあります。
給与の上乗せや独自手当など、内容は自治体によってさまざまです。
下記は、3つの自治体で行われてる独自の取り組み例です。
| 自治体 | 独自の取り組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 東京都 | 東京都独自の補助制度 | 国の制度に加えて賃金改善を支援。キャリアアップや人材定着を目的とした独自補助を実施。 |
| 千葉市 | 保育士等給与改善事業 | 民間保育園などで働く保育士等を対象に、月額最大4万円を給与へ上乗せする独自制度を実施。(令和7年度時点) |
| 船橋市 | ふなばし手当 | 私立保育園などの保育士を対象に、市独自の手当を支給。家賃補助などの支援制度も充実。 |
保育士の処遇改善手当、これからどうなる?
処遇改善手当は今後も見直しが進み、保育士の働きやすさや待遇の向上が期待されています。
継続的な賃上げに加え、毎月の給与への反映や配分ルールの透明化など、制度はより分かりやすく運用される方向へ変化しています。
今後注目したい制度の動きや、保育士として押さえておきたいポイントを押さえておきましょう。
継続的な賃上げ(全産業平均との格差是正)
政府は保育士の人材確保や離職防止を目的に、全産業平均との差を縮めるための継続的な賃上げを進めています。
これまでにも処遇改善手当の拡充や制度の見直しが行われており、今後も給与水準の引き上げに向けた取り組みが続く見込みです。
ただし、実際の支給額や賃金改善の内容は施設や自治体によって異なるため、最新の制度内容を確認するとよいでしょう。
「毎月の給与(月額化)」への移行と安定化
処遇改善手当は、年度末の一時金として支給するだけでなく、毎月の給与へ反映する「月額化」が進められています。
毎月の給与に上乗せされることで、収入が安定しやすくなり、生活設計を立てやすい点がメリットです。
- 毎月の収入が安定し、生活設計を立てやすくなる
- 基本給へ反映されることで、賞与や退職金にも好影響が期待できる
- 年度末の一時金だけに頼らず、継続的な賃金改善につながる
評価・配分の「透明化」と園選びへの影響
処遇改善手当は支給基準や配分方法の透明化が進められており、保育士が制度の内容を把握しやすい環境づくりが進んでいます。
そのため、園を選ぶ際は給与額だけでなく、処遇改善手当の支給条件や評価制度、キャリアアップの仕組みも重要な比較ポイントになります。
制度を分かりやすく公開している園は、安心して長く働きやすい職場といえるでしょう。
求められる「キャリアアップ研修」の履修
処遇改善制度では、役職に応じた手当を受けるためにキャリアアップ研修の履修が重要視されています。
今後も保育の専門性向上と人材育成を目的に、研修の受講がキャリア形成や処遇改善につながる重要な取り組みとなるでしょう。



特に副主任保育士や専門リーダーなどを目指す場合は、所定の研修を修了することが要件となるケースがあります。
保育士の処遇改善手当についてのQ&A
保育士の処遇改善手当についてよくある質問と答えをまとめました。
保育士の処遇改善手当がもらえない時はどこに相談できる?
保育士の処遇改善手当が支給されない場合は、まず勤務先へ支給条件や算定方法を確認しましょう。それでも解決しない場合は、自治体の保育担当窓口や労働基準監督署、労働局の総合労働相談コーナーへ相談できます。
途中で退職・転職した場合、その年度の手当はどうなりますか?
保育士が年度途中で退職・転職した場合、処遇改善手当の支給は勤務先の規定によって異なります。在籍期間に応じて支給される場合もあれば、退職時期によっては支給対象外となることもあるため、勤務先へ確認してください。
給料明細に「処遇改善手当」という項目がない場合は?
給与明細に「処遇改善手当」の記載がなくても、基本給や別の手当、賞与などに含まれて支給されている場合があります。不明な場合は、勤務先の担当者へ支給方法を確認すると安心です。
まとめ
保育士の処遇改善手当は、給与アップや働きやすい環境づくりを目的とした重要な制度です。
ただし、支給対象や金額、支給方法は勤務先や雇用形態、役職などによって異なるため、制度の内容を正しく理解しておくことが大切。
転職や就職を検討する際は、基本給だけでなく処遇改善手当の有無や支給条件、キャリアアップ制度なども確認し、自分に合った職場選びにつなげましょう。








