2026年4月に予定される保育士のさらなる賃上げ。
「自分の給料も本当に上がる?」「パートや公務員も対象?」と不安な方も多いのではないでしょうか。
せっかくの制度も、仕組みを知らないと損をしてしまうかもしれません。
この記事では、賃上げの概要・対象・確認方法を元保育課職員がわかりやすくまとめました。

【結論】2026年も保育士給料の原資は上がる見込み

先にこの記事の結論をお伝えします。
- 2026年4月から公定価格の人件費部分が5.3%アップ
- 年額にして約20万円が目安
- ただし、増額分を給料にどう配分するかは各園の裁量。一律で上がるとは限らない
保育士の給与のもとになるお金は、国が決める公定価格(=国が決める保育園の運営費)という単価で決定されます。
公定価格は公務員の給料の動きに合わせて、毎年見直されている仕組みです。
2024年度は過去最大となる10.7%引き上げられました。
2025年度は、これまでいくつかに分かれていた加算がまとめられ、園にとって分かりやすい仕組みに整理されています。
そして2026年4月には、人件費部分がさらに5.3%アップする方針が国から示されました。
年間にすると20万円ほど増える計算ですが、実際の給料への反映は園ごとの判断に委ねられているため、一律に上がるわけではありません。
保育士の賃上げの流れ(2024年〜2026年)
ここ数年で、保育士の給与制度は大きく変わりました。まず全体像を表で確認しましょう。
▼年度別・保育士の賃上げ内容の比較表
| 年度 | 主な動き | 引き上げ率 |
| 2024年度 | 過去最大のベースアップ | 10.7% |
| 2025年度 | 処遇改善等加算の一本化 | 仕組みの整理 |
| 2026年度 | 段階的な引き上げを継続 | 5.3%(約20万円) |
上記の3年間で、保育士の給料事情は大きく上がる方向で進んでいます。
それぞれの年に何が起きたのか、順番に見ていきましょう。
2024年(10.7%アップ)から始まった保育士給与の大改革
2024年度、公務員給与の改定に合わせて、公定価格の人件費部分が10.7%(過去最大)引き上げられました。
保育士の給料は長年、他業種と比べて低いことが指摘されています。
2024年度は、格差是正に国が本腰を入れて動き出した年です。
多くの園でベースアップや手当の増額という形で、現場の保育士の給料にも変化が現れ始めました。
(出典 子ども家庭庁 第8回子ども・子育て支援等分科会 2024年12月19日)
2025年の「手当の一本化」で保育士の給料はどう変わった?
2025年度、保育士の処遇を改善するための加算が大きく変わりました。
2024年までは「処遇改善等加算Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ」という3つの加算が別々に存在し、園は加算ごとに使い道を計算・報告する手間がかかっていたのです。
2025年度からは一本の加算にまとめられ、園は使い道を柔軟に決められるようになりました。
保育士にとっては、これまで「加算Ⅱ」のような形で技能・経験に応じた手当だったものが、より基本給や毎月の固定手当に組み込まれやすくなり、給料として実感しやすい形に変わっています。
2025年を経て、2026年(5.3%アップ)の賃上げへどう繋がる?
子ども家庭庁の「令和8年度公定価格改正概要資料p.13」によると、2026年度も引き続き、人件費部分が5.3%引き上げられています。
社会の賃上げの流れに乗って、年額にして約20万円のアップが目安です。
国は一時的な対応ではなく、年度ごとの段階的なベースアップを継続し、業界の給与水準を上げようとしています。
なぜ国は保育士の給料を急いで上げているの?
国が賃上げを急ぐ最大の理由は「深刻な保育士不足の解消」です。
少子化が進む中でも、保育の受け皿となる保育士の確保は欠かせません。
しかし、保育士の給与水準は、全産業の平均と比べて低いことが長年の課題でした。
改善されなければ、給料の良い他業種へ保育士が流出してしまいます。
国は、保育士が長く働き続けられる環境をつくるため、賃上げを最優先の政策として継続的に進めているのです。
保育士の賃上げは民間・公務員・認可外全てで対象になる?
保育士の賃上げですが、「どの施設で働いているか」によって恩恵の受けやすさが変わります。
施設タイプ別の対象状況は以下の通りです。
▼施設タイプ別・賃上げ対象の比較表
| 施設タイプ | 対象 | 特徴 |
| 認可保育園 | ◎ 対象 | 公定価格が直接入り、恩恵を最も受けやすい |
| 公立保育園 | ◯ 対象 | 人事院勧告に準じて改定。反映時期は自治体で異なる |
| 認可外保育施設 | △ 原則対象外 | 国の直接対象ではない。園独自で賃上げする場合あり |
5.3%の賃上げの対象は、基本的に公定価格が園の運営費として支払われている認可保育園で働く保育士です。
公務員保育士もベースとなる人事院勧告に準じて上がりますが、認可外施設は原則として対象外となるため、施設ごとの対応に差が出やすくなります。
給料アップはいつから?お給料に反映されるタイミング
2026年度分の賃上げは、本来2026年4月分の給料から対象です。
しかし、実際に給料(明細)に反映されるタイミングは、数ヶ月遅れるケースが多いのが実情です。
- 予算が「国→都道府県→市区町村→園」と届くまでに時間がかかる
- 園側で就業規則や給与規定を改定する作業が必要
上記の理由から春は従来の給料のままで、秋頃に手続きが完了し、4月分にさかのぼった賃上げ分がまとめて支給として後から振り込まれるパターンがよく見られます。
「4月なのに上がっていない」と不安になるかもしれませんが、さかのぼって支給される場合が多いので、園からのアナウンスを待ってみましょう。
なぜ「5.3%アップ」なのに自分の給料が増えないの?
「5.3%アップ」というニュースを見ても、保育士自身の給料が変わらないのには2つの理由があります。
5.3%引き上げをされても、保育士の給与が増えない理由
ニュースの「5.3%アップ」は、園へ支払われる公定価格の人件費分が上がる割合のことです。
保育士個人の給料が一律で5.3%上がるというわけではありません。
園に入ったお金を「誰に」「どの形で(基本給・手当・賞与)」配分するかは、経営者の裁量に委ねられています。
結果として、国の賃上げ率と個人の昇給率は一致しないのです。
勤める保育園によって違いがある
配分のルールが経営者に委ねられているため、勤める園によって給料の上がり方に差が出ます。
- 誠実な園 → 増額分を基本給アップに充てる
- 一部の園 → 内部留保や他の補填に回し、現場に届かない場合がある
働く園の方針によって、賃上げを実感できるかどうかが分かれてしまうのが、現在の仕組みの注意点です。
実際、業務の中で保育士への還元に消極的な保育園をいくつも見てきました。
賃上げされているか保育士自身で確認する方法3つ
「補助金がちゃんと自分の給料に反映されている?」と不安な方へ。
経営者に聞きづらくても、自分でできる確認方法を3つ紹介します。
給与明細の「手当」の欄に名前があるか見る
一番手軽な方法は、毎月の給与明細を確認することです。
基本給の欄が変わっていなくても、処遇改善手当、ベースアップ支援手当のような項目が新しく追加されていたり、金額が増えていたりしないか確認しましょう。
多くの園では、月5,000円〜1万円程度が手当として上乗せされ、夏の賞与のタイミングで反映されるケースもあります。
前年度の給与明細と見比べてみると、変化に気づきやすくなります。
園長先生から今年の配分ルールの説明があったか思い出す
補助金を受ける園には、配分ルールを保育士へ説明する義務があります。
年度初めや職員会議で、賃上げの具体的な説明や書面通知があったか振り返ってみましょう。
説明がない場合は、注意が必要です。
インターネット(ここdeサーチ)で自分の園のデータを調べてみる
2025年度から「経営情報の見える化(=園の収支や給与を公開する制度)」が義務化されました。
園の収支やモデル給与、収入に対する人件費比率などが都道府県に報告され、国の保育施設検索サイト「ここdeサーチ」上で公開されます。
自分の園を検索してみることで、補助金が給料として正しく使われているかを客観的に確認できます。
参考:ここdeサーチ
賃上げを待たずに保育士が給料を増やす2つのコツ
国主導のベースアップはありがたいですが、経営者の裁量次第な部分もあります。
受け身で待つだけでなく、自分自身の行動で確実に年収を増やすための実践的なコツを2つ紹介します。
キャリアアップ研修を受けて月5,000円〜4万円の手当をもらう
もっとも確実な収入アップ法が「保育士等キャリアアップ研修」の受講です。
指定の研修を修了し、園内で役職に就くことで処遇改善手当が加算されます。
▼役職別・処遇改善手当の目安
| 役職 | 手当の目安 |
| 職務分野別リーダー | 月額 約5,000円 |
| 専門リーダー・副主任保育士 | 月額 最大4万円 |
自分のスキルアップが毎月の給料に直結するため、積極的に検討してみましょう。
独自の手当や家賃補助が手厚い自治体を選ぶ
働くエリアを変えるだけで給与が上がることもあります。
東京・千葉・埼玉などの一部自治体では、公定価格とは別に独自の上乗せ手当や、月数万円の家賃補助(借り上げ社宅制度)を用意しています。
自治体独自の上乗せがあるかどうかで、手取りは大きく変わる点に注意しましょう。
参考:さいたま市
給料が上がっていないと感じたら試したいこと
転職を考える前に、まずは園の姿勢と今後のスケジュールを確認しましょう。
まず、園長等に確認する際、感情的に聞くのは避けましょう。
国の制度変更を理由にして、事実確認として質問すると角が立ちません。
- 制度変更を理由にする
「今年から国の処遇改善のルールが変わったとニュースで見たのですが、うちの園では手当の支給方法や時期に変更はありますか?」 - 事務スケジュールの確認として聞く
「秋頃にさかのぼって支給される園もあると聞いたのですが、新しい給与規程の説明会などは今後予定されていますか?」
「制度を知っている」という前提で質問することで、適当なごまかしを牽制できます。
確認時に、配分ルールや今後の予定を正直に開示してくれれば安心です。
一方で、言葉を濁したり不機嫌になったりする場合は、園の誠実さを見極める重要な判断材料になります。
保育士として給与を上げたいなら転職がおすすめ
今の園で状況が改善されない場合は、思い切って環境を変えるのも近道です。
株式会社ビズヒッツの調査では、保育士の転職理由の上位に「給料が安い」など待遇への不満が挙げられています。
今の環境に無理して合わせ続けるのではなく、自分を正当に評価してくれる園を探してみるというのも、選択肢の一つです。
※参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000132.000041309.html
実際に転職で給与がアップした人は多い
補助金をしっかり還元する良い園を選ぶことで、給与アップを叶えた保育士の事例を紹介しましょう。
保育士バンク!転職成功事例では、多くの保育士の転職事例が公開されています。
サービス残業が多く賞与も少なかった保育園に勤めていた30代の保育士が、転職で年収50万円アップに成功しました。
また、資格や経験を活かした転職で収入アップにつながったケースもあります。
看護師資格を持つ30代の保育士は、病院勤務時代より収入が下がったことを機に、保育園の看護師枠へ転職。
子どもと関わる仕事を続けながら、資格を活かした働き方で収入面の改善を実現しています。
転職エージェント選びが給与アップのコツ
給与アップを目指すなら、転職エージェント選びが重要になります。
基本的に求人票には、基本給〇〇円としか書かれておらず、手当や賞与がどうなっているかまではわかりません。
保育士専門の転職エージェントであれば、園の内部事情に詳しいアドバイザーが間に入るため、条件面の交渉もしやすくなり、結果として給与アップにつながりやすくなります。
▼保育士向け転職エージェントの比較表
| 順位 | エージェント名 | 特徴 |
| 1位 | レバウェル保育士 | 内部事情に詳しく、給与交渉のサポートが手厚い |
| 2位 | 保育士バンク! | 業界トップクラスの求人数 |
| 3位 | マイナビ保育 | 大手の安心感と手厚いキャリア相談 |



保育士が転職する流れ
転職したいけれど、何から始めればいいかわからない、という方のために、登録から入社までの流れを5つのステップで解説します。
氏名や希望条件などの基本情報を入力するだけで、専任のアドバイザーが担当につきます。
電話やLINEでの面談を通じて、給与・勤務地・働き方など、譲れない条件を具体的に伝えましょう。
求人票だけではわからない園の雰囲気や内部事情も、アドバイザーから聞けます。
面接対策のアドバイスを受けられるほか、日程調整もすべて代行してくれるので、働きながらでも進めやすいのが特徴です。
給与や入社日など、自分では言い出しにくい条件面の交渉も、アドバイザーが間に入ってサポートしてくれます。
一人で悩まず、まずはプロに相談して自分の市場価値や好条件の求人をチェックすることから始めましょう。
保育士の賃上げで気になる疑問(Q&A)
自分の園が賃上げの「対象」かどうかを簡単に知る方法は?
一番確実なのは、園長や法人本部への直接確認です。
聞きづらい場合は、自治体の保育担当課に「公定価格改正で、〇〇園は対象施設か」と聞けば答えてもらえます。
ただし「自分がいくらもらえるか」は役所も答えられません。
対象施設なのに給料が変わらない場合は、増額分が他に充てられている可能性があります。
保育士の賃上げを応援してくれる政党や法案はある?
自民党・公明党は2013年度から処遇改善を継続的に進めてきました。
2022年度に月9,000円、2024年度には過去最大となる10.7%、そして2026年度も5.3%の引き上げを実施しています。
単発の対策ではなく、10年以上続く継続的な政策といえます。
看護師や介護士の賃上げニュースとは何が違うの?
目的は同じでも、財源の根拠が異なります。
保育士は「公定価格」、介護士は「介護報酬」、看護師は「診療報酬」の改定で賃上げが行われる仕組みです。
管轄する制度が違うため、時期や引き上げ率に差が生じます。
パートや派遣保育士でも賃上げの対象になるの?
パート保育士も賃上げの対象です。
公定価格の引き上げ分は時給にも反映され、時給が上がったり、一時金という形で支給されたりするケースが見られます。
ただし、正職員向けの手当(基本給組み込み型など)が中心の園では、パートへの反映が薄くなることもあるため、時給や一時金の有無を給与明細で確認しておくと安心です。
一方、派遣保育士の場合は少し仕組みが異なります。
派遣保育士の給与は、派遣先の保育園ではなく、派遣会社との雇用契約によって決まる点に注意しましょう。
保育園側に支払われる公定価格が上がっても、派遣会社と保育園の間の契約料金にどう反映されるかによって、実際の時給への反映度合いは変わってきます。
派遣保育士の方は担当の派遣会社に直接確認するのが確実です。
