保育園の最高責任者である園長は、園の運営、施設の安全管理、保育士の指導など、多くの業務を担っています。
そのような園長の年収はどれくらいなのか、気になる保育者の方もいるのではないでしょうか。
保育園園長の年収は、公立や私立など園の運営主体によって異なります。
本記事では、保育園園長の年収や園長になるためのスキルなどを詳しくご紹介していきます。
将来的に園長のポジションを目指している方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 保育士の園長の年収は、保育士や主任保育士より高い
- 園長の年収は、公立や私立など運営元で異なる
- 園長を目指すには、マネジメント能力や危機回避能力などのスキルが必要
- 年収の高い園長の求人は、転職サイトやエージェントから検索が可能
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「自分なんかが園長を目指せるのかな」と想像できない人は多いと思います。ですが、保育に関する勉強を続け、施設での勤務実績を伸ばしていけば、誰にでも園長になれる可能性はありますよ。責任ある役職ですが、その分年収も高いのでぜひ目指してみてくださいね!
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ゆぴ 元保育士ライター
保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。
保育園の園長の年収相場
保育士園長の年収は、一般保育士や主任保育士よりも高いです。
高いとは言え、園長の具体的な年収がいくらくらいなのか気になりますよね。
ここでは、園長の平均年収や公立・私立・無許可保育園ごとの園長の年収を解説します。
園長の年収は運営主体によって異なるので、気になる勤務先の年収はどの程度なのか確認してみてください。
平均年収と月収の目安
保育園園長の平均年収は630万円、平均月収は52万円です。
上記の金額は、公立保育園と私立保育園の園長の平均給与を割ったものなので、公立と私立では多少誤差があります。
保育士の年収とはかなり差があることが分かるのでないでしょうか。
また、この金額に加え年に1〜2回賞与が出る園もあり、収入はさらに上がると予想されます。
収入が高い分、業務量が多く責任感もあることも覚えておきましょう。
公立保育園の園長の年収
公立保育園の園長の年収は、約640万円です。
私立保育園と比較すると、公立保育園の方が若干年収が高くなっています。
また、公立保育園は退職金制度もしっかりしているので、総括して年収が高くなりやすいです。
公立保育園では、定年の60歳を超えても再雇用制度の活用で延長して働くことができ、生涯に渡り安定した年収を貰えますよ。
公務員であるため、病気による休職や園の経営状況に左右されずに働けるのも、公立保育園のメリットです。
私立保育園の園長の年収
私立保育園の園長の年収は、約630万円です。
公立保育園よりも少し低い金額ですが、園の規模感や経営状況によっては公立保育園より年収が高くなる可能性も考えられます。
人気園や保育の実績、スキルが豊富な人の中には、年収1,000万円以上を超える人もいるようです。
近年、私立保育園でも定年の60歳を超えても働く人が多いので、長く働けば働く分収入アップを目指せるでしょう。
無認可保育園の園長の年収
無認可保育園の園長の年収は、300〜400万円程度です。
無認可保育園の場合、国や自治体から補助金を十分に受け取れないケースがあり、認可保育園より年収が低くなりやすいです。
収入の大半は保育料になるため、質の高い保育や豊富な行事を展開するなど工夫して、できる限り多く園児を募集する必要があります。
魅力を感じる園を経営するには経費もかかりますが、利益を得たときの達成感は認可保育園より大きいものになるでしょう。
年収は低いけれどやりがいを感じたい人に、認可外保育園の園長はぴったりの職種です。
参照:保育士バンク
園長になるとどれくらい年収は上がる?
園長の役職に就くと、年収はどれくらい上がるのでしょうか。
保育士と比べると大きな差があるのでは?と思う方も多いはずです。
保育園には保育補助や保育士・主任保育士・園長と階級があるので、それぞれの年収も併せて以下にまとめました。
園長や主任保育士に直接年収を聞くのは難しいため、この機会にしっかりと把握しておきましょう。
役職 | 年収 |
---|---|
園長 | 648万円 |
主任 | 580万円 |
保育士 | 330万円 |
保育補助 | 180万円 |
表から分かる通り、園長は保育園の役職の中で最も年収が高いです。
また、保育園の園長の年収は、他業種と比較しても劣らない金額と言えるでしょう。
保育業界で働いているなら、年収アップのためにも努力して園長への昇格を目指してみてはどうでしょうか。
専門職でありスキルや知識も必要なため軽い気持ちでなれる役職ではありませんが、「子どもが好き」「園を運営してみたい」などの気持ちがある方なら、園長を目指せますよ。
参照:厚生労働省 職種別職員1人当たり給与月額(※年収は給与月額から算出したもの)
園長の業務内容
保育園園長の業務内容は、書類作成から子どもの見守りまで多岐に渡ります。
以下では、園長の業務内容の一部を挙げてみました。
- 施設の運営管理(設備・資金管理、予算計画、職場環境の改善など)
- 保育の運営管理(人事採用、シフト管理、会議の総括、書類確認など)
- 保護者や地域との連携(保護者対応、地域交流、行政とのやりとり、行事での挨拶など)
なかには、これらの業務を副園長や主任保育士と分担している園もあります。
また、子どもの姿やクラスの雰囲気を把握しておくための保育の巡回も、園長の大切な業務です。
園長は常に事務室にいるイメージが大きいですが、事務関係や管理の仕事以外にも多くの業務をこなさなければいけません。
園長になるために必要なスキルと流れ
園のリーダーである園長になるためには、保育に携わるスキルと実務経験が必要です。
具体的にどのようなスキルが必要なのか、園長になるまでの流れを解説します。
簡単に就ける役職ではないため、園長を目指すには以下の内容を頭に入れておきましょう。
私立保育園と公立保育園では、必要なスキルや経験が若干異なることも理解しておいてください。
園長に必要なスキル
- リーダーシップ
- マネジメントスキル
- コミュニケーション能力
- 学習意欲
- 危機回避能力
- 保育士資格取得(不要な園も有)
- リーダーシップ
- マネジメントスキル
- コミュニケーション能力
- 学習意欲
- 危機回避能力
- 保育士資格取得
- 公務員試験に合格し正規職員として働く
私立保育園と公立保育園の園長で異なる点は、公務員試験に合格し正規職員として勤務するかしないかです。
公立保育園の正規職員になるためには、地方公務員試験を受験し合格する必要があります。
公務員試験は専門科目と一般教養があり、しっかり勉強しなければならないため、難易度は高いです。
リーダーシップやマネジメントスキルなどはどちらの保育園の園長にも求められるので、園長になるまでの間に身に付けていきましょう。
幼稚園の園長と保育園の園長の違い
幼稚園の園長と保育園の園長には、以下のような違いがあります。
幼稚園の園長 | 保育園の園長 | |
---|---|---|
必要な資格 | 幼稚園教諭免許状第一種 | 保育士資格(公立は必須) |
園長になるには、それぞれ必須資格があります。
幼稚園の園長は、通常の幼稚園教諭が取得する幼稚園教諭第二種ではなく、第一種が必要です。
保育園の園長の場合、公立と私立で必須資格は異なります。
公立では、保育士資格の取得と公務員試験に合格して一定期間保育士として勤務し、昇格試験に受かることで晴れて園長になれます。
私立の園の中には保育士資格が必須でない園もあるため、誰でもなれるチャンスがありますよ。
また、幼稚園と保育園は両方とも子どもを預かる施設ですが、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省と管轄が違う点も頭に入れておきましょう。
園長になる流れ
保育園の園長になるには、いくつかのルートがあります。
ここでは、公立と私立別に園長になるまでの流れや方法をまとめました。
- 保育士資格を取得する
- 地方公務員試験に合格する
- 正規職員として10年程度勤務する
- 園長への昇格試験に合格する
- 勤務実績を伸ばしキャリアアップする
- 家族経営の園をそのまま引き継ぐ
- 園長職の求人に応募して採用される
- 一から自分で園を運営する
公立と私立では、園長になるまでの流れや方法が異なります。
資格やキャリアが必須でない私立保育園と比べ、必須資格や長年の実務経験が必要な公立保育園は園長になるまでの難易度が高いです。
園長のメリットとデメリット
園長への昇進は給料が高いメリットがある一方、責任が重くなる、仕事量が増えるなどのデメリットもあります。
将来的に園長職を目指している方は、メリットだけでなくデメリットがあることもしっかりと把握しなければなりません。
ここでは、園長のメリットデメリットを具体的に解説していきます。
園長になるメリット
園長になるメリットは、以下の4つです。
- 自分の理想とする保育園を運営できる
- 年収が上がりやりがいを感じられる
- 保育士の指導に携われる
- 組織をマネジメントする楽しさを感じられる
園長になれば園の運営方針や特色などを自由に決められて、自分の理想に合った園を作れます。
「運動遊びに力を入れたい」「食育を学ぶ機会を増やしたい」など、理想の園像がある方には魅力を感じられるでしょう。
また、園を運営することはチームマネジメントの楽しさや奥深さを知るきっかけにもなります。
保育士の育成にも関われるため、保育士が成長する姿を間近で感じられるのもポイントです。
仕事は忙しいですが、年収もアップするのでやりがいを感じながら働けます。
園長になるデメリット
園長になるには、メリットがある一方以下のようなデメリットもあります。
- 責任が重くプレッシャーを感じやすい
- 子どもと触れ合う機会が少なくなる
- 仕事量が増える
- 保育士の育成に負担がかかる
園長は園の最高責任者であるため、保護者からクレームを受けたときや子どもの事故が発生した際に謝罪をしなければなりません。
ケースによっては園の運営方針にも影響が加わるため、責任の重さにプレッシャーを感じることもあるでしょう。
また、事務作業が増えるため子どもと関わる時間が減ってしまいます。
子どもと関わるのが好きで保育士になった人にとっては、寂しさを感じるかもしれません。
仕事にメリハリをつけて、子どもと遊ぶ時間も定期的に作るとよいですよ。
園長に向いている人はこんな人
園長に向いている人の特徴
園長に向いているのは、以下のような特徴がある人です。
- コミュニケーションを取るのが得意
- どのような場面でも冷静に判断できる
- 基本的な事務処理ができる
- 保育士の育成に興味がある
- 物事を様々な視点で見られる
子どもや保育士だけでなく、保護者や行政機関、地域の人などあらゆる人と関わる仕事のため、コミュニケーション能力が求められます。
子どもが怪我をしたときや何かトラブルがあったときに、冷静に判断できる人も園長に向いています。
園長に向いていない人の特徴
反対に、以下の特徴がある人は園長には向いていないかもしれません。
- ネガティブ思考である
- 物事を柔軟に考えられない
- 自分で問題解決できない
- 感情的になりやすい
- コミュニケーションを取るのが苦手
保育園では、保護者からのクレームや子どもの怪我など毎日のようにトラブルが発生するため、物事を柔軟に判断できなければいけません。
責任者として判断を下す使命もあるため、自分で問題を解決できないと苦労してしまうでしょう。
また、保育士を育成する立場である園長は、保育士の仕事にミスがあっても感情的にならずに丁寧に指導していく必要があります。
保育園の園長求人の探し方
私立保育園の園長の場合、求人の探し方には以下の方法があります。
- 転職サイトや転職エージェントなどから求人を探す
- 保育園のホームページから応募する
- 周りの保育士から情報を引き出す
転職サイトや、エージェントなどのサービスに登録して求人を探す方法が一般的です。
「園長」とフリーキーワードに入力すれば、園長の求人が出てきます。
給料や待遇などの希望も一緒に選択すれば、理想の求人に出会えるかもしれません。
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実際の保育園の園長求人の例
ここでは、認可保育園と認可外保育園の園長の求人例を挙げてみました。
- 月給 249,440円 〜 322,078円
- 年間休日120日&残業月平均5時間
- 賞与年2回
- 墨田区保育士宿舎補助で家賃月額82,000円まで補助
- 駅チカ&マイカー通勤OKで通勤ストレスフリー
参照:保育士バンク
- 月給240,000円~270,000円
- 残業月平均8時間
- 有給休暇取得率85%、産育休からの復帰可
- 充実の研修制度でスキルアップ
- 博多駅から徒歩9分!通勤便利な好立地
参照:保育士バンク
上記はあくまでも例ですが、認可保育園と認可外保育園のように、タイプの異なる園では求人内容も多少異なることが分かります。
園長の求人を探す際には、自分がどのような園で働きたいのかを事前に明確にしておきましょう。
まとめ
保育園の園長の年収や、園長になるまでの道のりなどを詳しくご紹介しました。
園の最高責任者である園長は、年収が高くやりがいを感じながら働ける一方、責任が重くプレッシャーを感じやすい役職です。
相手に関係なく積極的に関われるコミュニケーション能力や、自分の思い描く園を運営するためのマネジメント力が必要となります。
将来的に園長を目指したい方は、今のうちからスキルや保育経験を積んでおきましょう。
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