保育士が転職する際に、最も緊張するのが面接でしょう。
保育士面接では、園によって様々な質問をされますので、聞かれてもすぐに答えられるようにしておくのが大切です。
この記事では、保育士面接で聞かれることTOP10について解説します。
自己紹介や退職理由、逆質問の回答方法についても解説するので、面接を控えている方はぜひ、最後までご覧ください。
- 保育士の面接では、自己紹介や志望動機など基本的な質問をされる
- 前職を退職した理由を問われる場合があるので、ネガティブな言葉にならないように気を付ける
- 保育園を探す際には、自分の保育観とマッチしている園を選ぶ
- 事前に園の情報を詳しく知っておけば、入職後のギャップを防げる

面接では誰もが緊張しますよね。事前に言いたいことをまとめていても「当日緊張して上手く答えられなかった」という方も多いです。どの質問がどのタイミングで聞かれるかは分からないので、聞かれても焦らず、一呼吸おいてから話しましょう。


すもも 元保育士ライター
8年間保育士として勤務し、主に乳児クラスの担任を務めて参りました。認可保育施設や認可外保育施設での職務経験を活かして、保育士さんに役立つ記事を執筆させていただきます。


【保育士の転職】面接で聞かれることTOP10
保育士の面接では、志望動機などの基本的な質問だけではなく、園独自の質問をされるケースがあります。
園によって質問の内容は違うので、様々な質問を予想しておけば、どのタイミングで聞かれても落ち着いて対応できますよ。
下記で保育士の面接でよく聞かれる質問TOP10を記載していますので、参考にしてみてくださいね。
志望動機
面接で必ずと言っていいほど聞かれるのが「志望動機」です。
志望動機を答える際は、園の保育理念や保育方針を理解したうえで「〇〇だからこの園で働きたい」という気持ちを明確に伝えましょう。
「家から近くて通勤しやすいから」や「行事が多くて魅力的だから」といった回答をすると、面接官は「この園じゃなくても良いのでは?」とマイナスな印象に。
志望する園でしかできない内容を入れると、説得力が増して良い印象を与えられますよ。
「私が貴園を志望した理由は、一人ひとりの子どもと丁寧に関わりたいからです。
以前は、定員100名以上の園で働いており、充実した日々を送っていました。
しかし、日々の保育準備や行事に追われ、一人ひとりの子どもと関わる時間が少なくなっていました。
貴園は小規模保育園であり、保育方針の「子ども一人ひとりの個性を認め、温かい保育を行う」という部分に共感しました。
貴園であれば、私の理想とする保育を実現できると感じたため、志望いたしました。」
自己紹介
「自己紹介」も面接ではよく聞かれる質問で、自分自身について簡潔に述べましょう。
基本的には氏名や経歴、得意分野を簡単にまとめてください。
「この人はどんな人なのかな?」と、ある程度の特徴を知りたいだけなので、あまり長々と話す必要はありません。
「自分自身の性格についてあまり良く分からない」という方は、自分の家族や、友人に自分はどんな人物なのかを聞いてみると良いでしょう。
「貴園を志望いたしました〇〇 △△と申します。
これまで地元の大阪市内の保育園で3年間勤務しておりました。
3年間、0歳児を担当してまいりましたので、乳児保育の経験が豊富です。
幼少期からピアノを続けており、ピアノには自信があります。
これまでの経験を活かして、貴園でも戦力になりたいと考えております。
よろしくお願いいたします。」
長所と短所
長所と短所については「自己理解ができているか」がポイントになります。
長所に関しては、その長所を生かして園でどんな活躍ができるのかを明確に伝えましょう。
短所は、ネガティブな印象にならないために否定的な言葉で伝えるのはNGです。
肯定的な言葉でまとめたり、努力している内容も伝えたりするとネガティブな印象にはなりません。
「私の長所は、コミュニケーション能力が高いところです。
学生時代のアルバイトで培ったコミュニケーション能力を保育士になっても活きています。
以前に勤めていた保育園でも、保護者対応が良いと園長に褒められた経験があります。
保護者一人ひとりの人柄を理解し、その人に合った言葉を心がけています。
貴園で働いた際も、コミュニケーション能力を活かして、子どもや保護者が笑顔になれる保育士になりたいです。」
保育士として大切にしていること
「保育士として大切にしていること」では、あなたの保育の価値観が求められます。
園に合った保育観を持っているのかどうかを見られているため、自分の言葉で明確に答えましょう。
また、同時に人柄も見られているので、具体的なエピソードを交えて答えるのがポイントです。
複数答えてしまうと、何を大切にしているのかが伝わりにくいため、1つに絞っておいてください。
「私は、子ども一人ひとりの個性を大切にしています。
乳児クラスを担当して、乳児期の子ども達は発達の個人差が大きいと分かりました。
保育士になってすぐは、この月齢だからここまではできるはずという先入観を持っていました。
しかし、保育士として経験を積み重ねていくにつれて、子ども一人ひとりの成長を見守る姿勢が大切だと分かりました。
貴園で働く際も、子ども一人ひとりの成長を保護者と一緒に喜び合える保育を行いたいです。」
今までの保育経験で印象に残っていること
「今までの保育経験で印象に残っていること」も定番の質問です。
印象に残っている内容なので感動したこと、頑張ったこと、悔しかったことでもOK。
経験を通して、入職した際にどのように園に貢献できるのかをアピールしましょう。
ネガティブな内容は入れないようにし、肯定的な言葉遣いを心がけてくださいね。
「私が今までの保育経験で印象に残っていることは、ある5歳児の女の子の生活発表会での話です。
5歳児クラスでは、生活発表会で逆上がりを披露する予定でした。
その女の子は何度練習してもどうしても逆上がりが成功せず、そのまま本番を迎えました。
担任の保育士も心配していましたが、本人を信じていると言い、見守っていました。
そしてなんと、本番で初めて逆上がりが成功したのです。
その時、担任の保育士も涙しており、クラスの子ども達も大喜びでした。
私は、子どもの力って本当に素晴らしいんだと感じ、担任の保育士の子どもを信じる力にも感動しました。」
保護者とのコミュニケーションについて
保育士にとって、保護者対応は欠かせない業務の1つです。
保護者も一人ひとり性格が違うため、その人によって適切な対応を心がける必要があります。
元保育士の筆者も保護者とのコミュニケーションは、常に気を付けるように意識していました。
保護者とのコミュニケーションで気を付けたい内容を答えれば「この人なら丁寧に保護者対応を行ってくれそうだな」と安心してもらえると言えます。
「私は、保護者の方から信頼される保育士になりたいと考えています。
保護者の方が安心してお子さんを預けられるように、子どもの様子を丁寧に伝え、悩んでおられることがあれば、傾聴の姿勢を大切にします。
また、保護者の方が誤解をしないような言葉遣いで、丁寧な対応を心がけます。」
チームワークについて
乳児クラスでは複数担任が基本となり、園によっては幼児クラスも2人以上で受け持つ場合もありますよ。
複数担任ではチームワークが重要で、連携が上手く取れていないと、保育が円滑に進みません。
どんなチームワークを大切にしたいかをきちんと述べれば「この人なら複数担任でもやっていけそうだな」と、思ってもらえるでしょう。
「私が以前勤めていた保育園では、保育者同士のチームワークが良かったので、仕事のモチベーションが上がりました。
どんな些細なことでも、クラスの保育士全員に共有するように心がけていました。
私は、保育士のチームワークが良ければ、保育の質も高まると考えており、報・連・相を常に意識することが大切だと思います。」
前職を退職した理由
保育士の中途採用面接では「前職を退職した理由は?」と聞かれるケースが多いです。
退職した理由の多くは、「給料が低いから」や「人間関係で悩んでいたから」「保育の価値観が合わなかったから」などの理由が挙げられます。
どんな理由であってもネガティブな内容をそのまま伝えるのは良くありません。
なぜなら「この人はまた同じ理由で辞めるのではないか」と懸念されるからです。
退職した理由がネガティブな内容であっても、肯定的な言い回しで伝えるのが大切になります。
「私が前職を退職した理由は、子ども一人ひとりと丁寧に関われる園で働きたいと思ったからです。
以前の保育園では、行事に力を入れており、乳児クラスも積極的に参加していました。
しかし、行事が豊富であると、準備物や練習量が増え、子どもと向き合う時間が少なくなっていました。
成長をしっかりと見守りながら、遊びを大切にしたいと思い、退職いたしました。」
今後のキャリアプラン
「今後のキャリアプランについて」は、保育の面接ではよく聞かれる質問ですが、キャリアプランと言っても、すぐには思いつかない保育士さんが多いと思います。
例えば「将来的には園長になりたい」「理想の保育園を設立したい」などの大きな目標もありますし、「得意なピアノを活かして、音楽の楽しさを伝えられる保育士になりたい」という理想の保育士像を答えても良いです。
今後のキャリアプランについて明確な目標を持っている保育士であれば「この人なら期待できそう」と好印象を持ってもらえるでしょう。
「私の今後のキャリアプランは、幼児クラスリーダーになることです。
私は以前の保育園で、7年間幼児クラスを担当してまいりました。
その経験を活かして、新人保育士の育成や指導を行い、質の高い保育を提供できるようにしたいです。
また、研修にも積極的に参加し、保育の専門性を高め、知識や技術の向上を目指します。」
最近の保育に関するニュースで気になること
「最近の保育に関するニュースで気になること」を聞かれたら、できるだけ新しい情報を取り入れるようにしましょう。
ニュースに関する質問は「この人は世の中の情報をきちんと知っているのかどうか」を見られています。
近年では、不適切保育や園での事故のニュースが数多く報じられていますので、新聞やテレビなどをしっかりと見ておきましょう。
人によってはテレビや新聞がない方もいると思いますので、その場合はスマホからネットニュースを確認してみてくださいね。
「私が最近の保育に関するニュースで気になるのは、不適切保育についてです。
ニュースで報じられている保育士の実際の声を聞きましたが、大変ショックを受けました。
不適切保育が起こる背景としては、保育士不足による重労働で、ストレスになっているケースがあるようです。
しかし、いくらストレスが溜まっていたとしても、子どもに当たるような行動は決して良くないと思います。
もし目撃したら、決して見て見ぬふりをせず、誰かに相談するのが大切だと考えます。
【逆質問】「何か質問はありますか?」と聞かれた時の対応
保育士の面接でも時々聞かれるのが「何かこちらに対して質問はありますか?」という逆質問です。
応募者の適応能力があるかどうかや、仕事に対する意欲を確認するといった理由で、逆質問が行われます。
逆質問は、自分自身をアピールできる機会なので、仕事に対しての熱意が伝わる質問をするのがおすすめです。
注意すべきポイントとしては「特にないです」という回答は、決してしないようにしましょう。
また、給料や賞与、有給休暇などの質問も面接の場では控えてください。
下記で逆質問の例文を記載していますので、参考にしてみてくださいね。
- 入職までに取り組んでおくべきことはありますか?
- 貴園の保育で方針で最も大切にしていることは何ですか?
- 貴園では、地域の子育て支援を積極的に行っていると聞きましたが、具体的にはどのような内容を行っているのでしょうか?
保育士の転職を成功させるためのポイント
保育士の転職を成功させるためのポイントとしては、以下の4つが挙げられます。
- できるだけ園見学に行っておこう
- 応募先の園を良く調べておこう
- 面接では笑顔で、質問には簡潔に答えよう
- 自分の保育観に合った園選びをしよう
下記でそれぞれのポイントについて解説していますので、参考にしてみてくださいね。
できるだけ園見学に行っておこう
気になった園があれば、積極的に園見学へ行きましょう。
「百聞は一見にしかず」ということわざがあるように、聞くだけと実際に見学に行くのとでは、園の印象が違います。
また、園見学で見ておくべきポイントは、以下の通りです。
- 園全体の雰囲気
- 保育士の子どもへの接し方
- 保育室の環境
- 園庭やその他の設備など
園見学へ行けば、基本的には園長または副園長が案内してくれる場合が多いです。
見学中は、園の雰囲気や保育の仕方などをしっかりと見ておきましょう。
園見学は短時間で終わるため、細かい箇所までは見れないと思いますが、実際に訪れれば、どんな園なのかはある程度分かりますよ。
また、入職後のギャップを防ぐためにも気になる点があれば、その場で聞いておくのが大切です。
応募先の園を良く調べておこう
応募する園が決まったら、園の情報をホームページでよく調べておきましょう。
園のホームページには、以下の情報が記載されている場合が多いので、しっかりと情報集めができます。
- 園の沿革や基本情報
- 保育理念や保育方針
- 年間行事
- 保育室などの施設情報(保育室などの写真が載っている場合も)
- 1日のタイムスケジュール
- 園へのアクセス方法
保育理念や保育方針に目を通し、自分の保育観とマッチしているかどうか確認しましょう。
ホームページ上に園内の写真を載せている保育園もあるので、園内のイメージがしやすいですね。
ホームページに詳しい情報があまり載っていない園に関しては、電話で問い合わせるか、転職エージェントを利用している方は、アドバイザーに確認してみるのがおすすめです。
面接では笑顔で、質問には簡潔に答えよう
就職面接は誰しもが緊張しますが、笑顔を忘れず、聞かれた質問には簡潔に答えるようにしましょう。
笑顔を常に意識すると、自然と緊張も和らいでくるし、面接官にも良い印象を与えられますよ。
質問の回答は長々と喋ってしまいがちですが、聞かれた内容に対して簡潔に述べた方が、面接官に気持ちが伝わりやすいです。
あまり長い文章で答えてしまうと、何を伝えたいのかが分からなくなるので、簡潔に答えるよう心がけてくださいね。
自分の保育観に合った園選びをしよう
転職したい保育園を探す際には、自分の保育観に合った園を選びましょう。
自分の保育観と合っていない園を選ぶと、入職後に「こんなはずじゃなかった」「保育の価値観が合わなくて働きにくい」など、再び退職を考えてしまう可能性があります。
人それぞれ保育観は違いますが、保育観の例は以下の通りです。
- 子ども一人ひとりの個性を大切にしたい
- 教育よりも遊びを重視したい
- 子どもが主体的に活動できる保育がしたい
- 叱らない保育をしたい
- メリハリのある保育をしたい
自分の保育観に合った園を選べば、入職後のギャップも防げるので、事前に保育方針について十分に調べておきましょう。
まとめ
今回は、保育士の転職の面接で聞かれる質問TOP10をご紹介しました。
自己紹介や志望動機といった基本的な質問以外も細かく聞かれる場合があるので、様々な質問を予想して対策するのが大切です。
また、園によっては逆質問をされる場合もありますので、印象アップできる質問を考えてみましょう。
笑顔を忘れず、聞かれた質問に対して簡潔に述べれば、面接官はしっかりと評価してくれますので、リラックスして臨んでくださいね。
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