「認定こども園」は、幼稚園と保育園の両方の機能を備え、保育・教育を一体的に提供する施設として注目されています。
特に、幼保連携型認定こども園では、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要とされることが一般的です。
ですが、経過措置期間中には片方の資格だけでも働ける場合があります。
そのため、資格の取得状況やキャリアプランに合わせて認定こども園での働き方を検討することが重要です。
この記事では、認定こども園で必要な資格や制度について詳しく解説し、今後のキャリア形成に役立つ情報をお届けします。
- 認定こども園とは、幼稚園と保育園の役割を統合した施設で、3歳以上の子どもに教育と保育を提供する機関
- 原則、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が必要だが、経過措置期間中は片方の資格のみで就業可能
- 経過措置期間は、認定こども園への移行を円滑に進めるための施策で、この間に両資格の取得を目指す
- 認定こども園では、施設の種類や認定の区分により業務内容が異なる

認定こども園での勤務を目指している皆さん、自分に必要な資格や働き方を確認し、新たなステージで活躍する準備を整えましょう。この記事を参考に、自分の可能性を広げてくださいね!
そもそも認定こども園とは?
認定こども園とは、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設で、幼児期の教育と保育を一体的に提供する仕組みです。
多様な家庭のニーズに応え、保護者の働き方やライフスタイルに合わせた柔軟な保育環境を整えています。
認定こども園と、保育園や幼稚園との違いを表でまとめました。
認定こども園 | 保育園 | 幼稚園 | |
---|---|---|---|
対象年齢 | 0歳~就学前 | 0歳~就学前 | 3歳~就学前 |
開所時間 | 保育園並み(長時間保育あり) | 長時間保育(原則8時間以上) | 短時間保育(4時間程度) |
必要資格 | 保育士資格および幼稚園教諭免許状 | 保育士資格 | 幼稚園教諭免許状 |
目的 | 教育と保育の一体的提供 | 保育(生活全般の支援) | 教育(知識や社会性の習得) |
利用条件 | 保育認定または教育認定 | 保育認定(就労や特定理由が必要) | 教育認定(特に条件なし) |
認定こども園は多機能な施設として、多様な家庭のニーズに対応可能な点が特徴です。
認定こども園で働くためには「保育資格」と「幼稚園教諭免許」が必要
認定こども園で働く際には、基本的に「保育士資格」と「幼稚園教諭の免許」の両方の資格が必要です。
ただし、認定こども園の種類や担当する子どもの年齢によって、必要な資格は異なります。
どちらか1つの資格しか持っていない場合は、特例制度を活用し資格取得を目指すことも可能です。
特例制度は、保育士資格や幼稚園教諭免許を保持している場合、もう片方の資格を取得する際の負担が軽減されます。
また、保育士資格または幼稚園教諭免許状の、どちらか片方でも働くことができる経過措置期間が設けられており、2025年3月31日まで利用できます。
一部の認定こども園では、資格取得を支援する制度が活用可能です。
施設のタイプによって変わる必要な資格
認定こども園で働く条件は、施設の種類によって変わります。
特に「幼保連携型」認定こども園では、両資格が必須とされる場合があります。
各認定こども園のタイプ別に必要となる資格は、以下のとおりです。
- 幼保連携型:保育士資格と幼稚園教諭の免許の両方が必要
- 幼稚園型:保育士資格と幼稚園教諭の免許の両方が必要。3歳未満の子ども担当は保育士資格で対応可能
- 保育園型:3歳未満を担当する場合は保育士資格が必須。3歳以上を担当する場合は片方の資格が必要
- 地方裁量型:3歳未満を担当する場合は保育士資格が必須。3歳以上を担当する場合は両方の資格を所持しておくとベスト。
「幼保特例制度」を使うともう一方の資格取得が容易に
幼保特例制度は、保育士または幼稚園教諭の資格を有する場合、もう一方の資格取得が容易になる制度です。
幼保特例制度の利用には、一定の条件を満たす必要があります。
- 保育士資格または幼稚園教諭免許状のいずれか一方の資格を保有している
- 認定こども園のほか、幼稚園や保育園、公立の認可外保育施設などでの3年以上の実務経験および合計4,320時間以上が必要
- 大学にて8単位(指定されたもの)を修得
実務経験の証明は複数施設での合算が可能で、閉園した施設での勤務経験も対象に含まれます。
単位は通信制大学でも取得でき、単位取得後は各都道府県の教育委員会の教育職員検定に合格することで免許状が授与されます。
「幼保連携型認定こども園」の経過措置期間とは?
経過措置の期間中は、片方の資格のみでの勤務も可能
幼保連携型認定こども園では、経過措置期間中は片方の資格のみで働くことができます。
幼保連携型認定こども園は、教育と保育を一体的に提供する単一の施設として新設されました。
そのため、原則として両資格を保持した職員が配置される決まりです
制度施行後の5年間は、移行期間としての経過措置が取られています。
保育士資格のみを保有する者に対する特例措置
保育士資格のみを保有する者に対する特例措置として、「幼保特例制度」があります。
この制度は、保育士資格と幼稚園教諭免許状のどちらか一方のみを保有している場合に、もう一方の資格を取得するために必要な単位数を軽減したり、免除したりできます。
幼保特例制度の具体的な内容は、以下の通りです。
- 保育士資格を保有しており、一定の勤務経験(3年以上の経験かつ4,320時間が必要)
- 単位履修は、認定こども園で勤務する際に必要なステップ
- 勤務経験(2年かつ2,880時間)の勤務経験を積むことで、必要単位数が6単位に減ります。
幼稚園教諭免許のみを保有する者に対する特例措置
幼稚園教諭免許のみでも幼保連携型では、保育士資格を取得できる特例措置があります。
特例措置は、令和6年度末までの期限付き制度です。
特例措置の要件は次のとおりです。
- 幼稚園教諭免許状を保有する場合は条件が緩和される
- 保育所、幼稚園、認定こども園等で勤務経験を有する
この特例措置では、勤務経験を単位に換算し必要数を軽減できます。
また、幼稚園教諭の免許を保有している場合は、こども家庭庁が実施している「保育士資格取得特例制度」を利用することもできます。
参照:幼保連携型認定こども園で勤務する保育教諭に係る保育士資格取得の特例について
認定こども園での仕事内容
仕事内容は、園のタイプやクラス内容、子どもの認定区分によって異なります。
認定こども園での仕事内容には、以下のようなものがあります。
- 幼稚園型のクラスでは、教育業務や運動会・遠足などの行事に関する業務が中心となる
- 保育所型のクラスでは、保育業務が中心となる
- 幼保連携型の場合は、「幼保連携型認定こども園 教育・保育要領」に基づく運営が重要
- 5歳児クラスでは、活動時間が14時頃までになることが多い
- 保育時間が長い園では、シフト制で業務を調整する
認定こども園で働く保育士は、「保育教諭」と呼ばれ、幼保連携型認定こども園では保育士資格と幼稚園教諭免許の両方が必要となります。
認定こども園の4つのタイプ
幼保連携型
幼保連携型認定こども園とは、幼稚園と保育園の機能を併せ持つ施設で、小学校就学前の児童の教育・保育・子育て支援を一体的に行う施設です。
- 保護者の就業状況に関わらず利用できる
- 保護者の就業状況に変化が生じた際も、慣れ親しんだ施設を引き続き利用できる
- 幼稚園教諭と保育士の資格をあわせ持つ保育教諭が配置されている
- 幼保連携型の要領に沿った運営が求められる
幼稚園型
認定こども園(幼稚園型)は、幼稚園と保育園の両方の機能を併せ持つ施設です。
3歳以上の子どもに対して、1号認定と2号認定の子どもが、同じクラスで教育・保育を同時に実施します。
また、保護者の就労状況が変化した場合でも、認定区分を変更することで、子どもがこれまで通い慣れた園を引き続き利用できる点が特徴です。
これにより、子どもの環境の安定が保たれることが期待されます。
保育園型
保育園型認定こども園は、認可保育園に教育内容を加えた施設です。
保育所保育指針に基づいて保育が行われ、認可保育園のまま県知事から認定こども園の認定を受けます。
保育所型認定こども園では、2号・3号認定のほか、1号認定の子どもも定員内に入園させられます。
1号認定の子どもは、保育の必要性がない3歳以上の子どもも対象です。
地方裁量型
地方裁量型認定こども園は、認可外施設では保育体制に課題が残る場合があり、施設基準を満たさない点で不安が指摘されることもあります。
また、自治体が安全性について懸念を抱きやすいというデメリットもあるでしょう。
地方裁量型認定こども園の園長は、「保育園の園長と同等の資質および能力を有する者」と定められています。
まとめ
認定こども園は、幼稚園と保育園の特長を組み合わせた施設で、家庭の多様なニーズに応える柔軟な保育・教育を提供します。
特に幼保連携型認定こども園では、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方が求められますが、経過措置期間中は片方の資格のみで働くことが可能です。
これにより、移行期の職員負担を軽減しながらも、次世代を担う子どもたちの成長を支える役割を果たします。
この記事を参考に、認定こども園でのキャリアアップを目指し、自分に合った働き方を見つけてください。


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