保育園では、設定保育や自由保育を取り入れていますが、この違いがあまり良く分からないという方もいるでしょう。
近年は子どもの主体性を伸ばす保育が重要視されていて「自由保育」を積極的に実施している園も多いです。
今回は、設定保育と自由保育の違いについて、それぞれのメリット・デメリットも踏まえて解説します。
設定保育と自由保育を取り入れた1日のスケジュールも記載しているので、ぜひ最後までご覧ください。
- 保育園では設定保育と自由保育があり、どちらをメインとしているかは園による
- 設定保育では、保育士が定めたねらいに沿った保育を展開できる
- 自由保育では、子どもの主体性を伸ばせる
- どちらかだけを取り入れるのではなく、両方バランス良く取り入れる園もある

園によって設定保育を重視するか、自由保育をメインとしているかが異なるため、自分はどちらの保育を大切にしたいかを基準にして、就職先を探すのも一つの方法です。


すもも 元保育士ライター
8年間保育士として勤務し、主に乳児クラスの担任を務めて参りました。認可保育施設や認可外保育施設での職務経験を活かして、保育士さんに役立つ記事を執筆させていただきます。


設定保育とは
設定保育は、保育士が主体となって「ねらい」や「内容」を考えて遊びを展開していく保育で、一斉保育とも呼ばれます。
活動の時間や内容を保育士が決めているため、設定保育は保育士中心の保育と言えるでしょう。
設定保育を行う際は、事前に指導案を書く必要があり、遊びの内容や保育士が留意する点などを記入します。
クラスの子どもたちが一斉に同じ活動を行うため、一人ひとりの子どもの発達や個人差などが分かりやすいです。
設定保育の特徴
- クラス全員で一斉に活動を行う
- 保育士が事前に記入した指導案に基づいて活動を進める
設定保育は保育士が決めた時間に、クラス一斉で活動を行います。
全員一緒に同じ活動をすることもありますが、内容によっては少人数のグループに分けて行う場合もあります。
特に乳児の制作では、安全面からも保育士の目が行き届くように、グループに分けて行うのが良いでしょう。
設定保育は、保育士が立案した指導案に基づいて内容を進めていき、準備物なども保育士が用意します。
保育士が主体となれば、発達段階に応じた内容を取り入れられるので、子どもたちの発達を促せます。
設定保育の活動例
- 制作遊び
- 運動遊び
- 楽器遊び
設定保育では上記の活動例が挙げられますが、他にも園や保育士によって様々な活動を実施します。
制作遊びでは、季節に沿った制作や、ある目的に応じた制作を取り入れることが多いです。
運動遊びは「サーキット遊び」「リトミック」「マットや鉄棒」などが挙げられます。
楽器遊びでは、様々な楽器を鳴らして遊んだり、幼児であれば合奏をしたりします。
どの活動でも子どもの発達に応じた内容であることが大切で、個人差にも配慮が必要です。
設定保育中の保育士の役割
- 子どもの安全面に留意する
- 子ども一人ひとりの活動の様子を見て、必要であれば援助する
- 子どもが遊びや活動に興味を持てるような声掛けを行う
- 時間配分など考え、スムーズに活動が進むよう配慮する
設定保育中は、まず子どもが安全に活動できているかどうかを第一に考えましょう。
子ども一人ひとりの様子をしっかりと観察しながら、必要であれば援助や声掛けを行うことも大切です。
クラス全員がその活動に興味を持つかどうかは、活動を始めてみないと分かりません。
もちろん興味を持たない子どももいるので、決して無理強いはさせず、興味が持てるまで待ってみるか、やってみたいと思えるような声掛けを行ってみましょう。



元保育士の筆者が気を付けていたこととしては、時間配分です。
特に制作ではクラス全員が終わるまでには十分な時間が必要です。
そのため、常に時計を意識して行動し、急いだり急かしたりしないように気を付けていました。時計を常に見ることで、あとどれくらい遊べるかなど、ある程度の予想が立てられるようになりました。
自由保育とは
自由保育は名前の通り、子どもたちがしたい遊びを自由に行う保育です。
近年保育業界では、子どもが主体的に遊べる保育が推奨されており、自由保育を取り入れる園が増えています。
設定保育とは違って、子どもが「したいこと」や「使いたい遊具や教材」を自分で決めるため、保育士は見守る立場になります。
下記で自由保育の特徴について記載していますので、参考にしてみてください。
自由保育の特徴
- 子ども自身が遊びの内容や遊び方を決める
- 子どもの主体性を伸ばせる
自由保育では、保育室や園庭、ホールなどに設けられた遊び場で、子どもたち自身が好きな遊びを選んで遊びます。
保育士は設定保育のように、事前に決めたねらいや目的に導くのではなく、見守る姿勢をとりましょう。
自由保育だから「何をしても良い」という放任ではなく、安全面に配慮して見守ります。
子どもの遊びの様子を見ながら、どんな遊び方をしているのか、友達とのトラブルはないかなどもしっかりと見る必要があります。
自由保育の活動例
- コーナー遊び
- 園庭遊び
- モンテッソーリ教育
自由保育の活動例は主に上記の3つがあり、子どもたちが自由に遊べる環境で行います。
「ままごとコーナー」「制作コーナー」「絵本コーナー」など、各コーナーで区切ったコーナー遊びでは、子どもたちがあらゆる場所を行き来できるので、自由保育にぴったりです。
園庭遊びでは、遊具や砂場などが設置されている園が多いので、子どもたちが自由に遊べます。
モンテッソーリ教育を取り入れている保育園も近年増えてきており、モンテッソーリ教育の教具を用意し、子どもが自由に遊ぶ機会を設けている園もあります。
モンテッソーリ教育は、医師であり教育家であったマリア・モンテッソーリ博士が考案した教育法です。基本的な考え方は「子どもには生来、自立・発達していこうとする力(自己教育力)があり、その力が発揮されるためには発達に見合った環境(物的環境・人的環境)」が必要である」というものです。
引用:日本モンテッソーリ教育綜合研究所
自由保育中の保育士の役割
- 子どもが安全に遊べているかを見守る
- 子どもが主体的に遊べるように環境を整える
- 遊んでいる様子を見守りながら、遊びが広がるような声掛けを行う
自由保育は、子どもたちが主体的に活動するのがねらいなので、保育士は基本見守る姿勢を心がけましょう。
しかし、子どもが危険な行動をしていたり、友達同士でトラブルが起こったりした場合には、保育士が介入してくださいね。
自由保育では、設定保育のような保育士が事前に準備をしなければならないことは少ないですが、環境構成が重要です。
子どもたちが興味を持ち、集中して遊べるような環境づくりを行いましょう。



自由保育では、環境づくりがとても重要となり、玩具は十分な数を用意していないと、友達との取り合いが多かったです。また「コーナー遊び」では、ある程度の時間が経過したらコーナーの内容を変更すると、子どもたちが飽きずに遊んでくれました。
設定保育と自由保育の違いとは?メリット・デメリットを比較
ここでは、設定保育と自由保育のメリットとデメリットについて解説します。
それぞれのメリットとデメリットを理解して、保育に取り入れる際の参考にしてみてください。
設定保育のメリット
- 指導案に基づいて計画的な保育が実施できる
- 保育士のねらいに沿った活動が行える
- 事前準備がしっかりとできる
設定保育では、保育士が指導案を作成し、その指導案に基づいた活動を展開していくので、計画的な保育が可能です。
年齢や発達に応じた内容を取り入れると、活動を通して子ども一人ひとりの発達状況を理解しやすくなります。
クラス一斉に同じ活動をするので、子どもたちが集団行動を学ぶ機会にもなり、忍耐力や思いやりの気持ちも育むことが可能です。
設定保育で制作を取り入れる際は、事前に準備ができるので、当日もスムーズに導入できるというメリットもあります。
指導案を作成しているため、保育士のイメージトレーニングもしやすくなり「ここではこのような言葉がけをしよう」などと、気を付けるポイントも自分で見つけられます。
設定保育のデメリット
- 活動のバリエーションが限られてきて、マンネリ化する可能性がある
- 時間配分を気にしなければならない
- 保育士の指示に沿った活動になるため、子どもが主体的に行動できない
設定保育は保育士のアイデアによって行うため、だんだんとレパートリーが無くなってしまいます。
制作物の内容も季節によって変えていく必要があるので、保育士の負担も大きくなります。
設定保育では時間配分が重要となり、次の活動に影響しないように、保育士が時間を決めて行わなければなりません。
特に制作では「子どもが納得するまでさせてあげたい」という気持ちはあるけれど、時間の関係上、途中で切り上げないといけない場合もあるでしょう。
そうなると、子どもが主体的に活動できないということにもなりかねません。
保育士のねらいに沿った活動ができる面もありますが、子ども中心の活動だけではない点が、設定保育のデメリットと言えます。
自由保育のメリット
- 子どもの自主性を伸ばせる
- 自ら興味のある遊びを見つけて遊べる
- 友達同士での遊びが広がる
自由保育は、子どもが主体的に活動するのを目的としているため、設定保育とは異なり保育士が指示を出す場面は少なくなります。
自由保育では、子どもが自ら考えたり、やってみようとしたりする「自主性」を伸ばせます。
設定保育は、保育士の指示で行動することが多いので、子どもが自ら考える力を発揮できません。
また、設定保育では、保育士が用意した物を使って制作を行いますが、自由保育では子どもが自分で材料や、道具を選んで制作を行います。
さらに、自由保育では子ども同士での遊び方が広がるメリットがあり、人間関係が深まっていきます。
やりたい遊びを自分で見つけ、遊びたい相手も自分で探し、子どもが自分で選択肢を広げられるのは、自由保育の最大のメリットと言えるでしょう。
自由保育のデメリット
- 子ども同士のトラブルが多い
- 保育士の目が行き届かない場合がある
- 遊びの内容に飽きてくることがある
自由保育では、設定保育のように保育士が指示することはないので、友達同士でのトラブルが起きやすくなります。
特に玩具や場所の取り合いが目立ち、危険なことが起きる場合も考えられます。
子どもが自由に遊ぶことは良い点ですが、その反面、保育士の目が行き届かずけがにつながるケースも。
そのため、自由保育を行う場合は、十分な人数の保育士を配置するか、活動の範囲をある程度決めておくのも一つの方法と言えるでしょう。
また、自由保育の度に同じ内容の遊びを用意しておくと、子どもたちが飽きてくることがあります。
子どもたちが長い時間楽しめるように、「今回はここのコーナーを変えてみよう」など、環境構成も見直すことが大切です。



設定保育と自由保育ではどちらが良いとは言えず、両方ともメリットやデメリットはあります。子どもたちの成長や発達を見ながら、設定保育と自由保育を組み合わせた日を設けてみるのも一つの方法ですね。
【保育士が語る】設定保育の保育園のリアル
元保育士の私が勤めていた保育園では、設定保育を多く取り入れていました。
乳児クラスを担当していたため、設定保育のレパートリーが乏しく、日々悩んでいたのを覚えています。
乳児クラスでは、できる制作も限られてくるため、発達に応じた内容を考えるのが大変でした。
今思えば、乳児クラスでは自由保育を中心にした方が良かったのではないかと思います。
しかし、園の方針もあるため、保育士の気持ちだけでは理想の保育ができないのも事実でした。
悩んだ末に、設定保育と自由保育を組み合わせる日を増やして、子どもたちが主体的に活動できるようにしました。
乳児クラスでは、保育士が過度に制限しないように、安全面に注意しながら自由にのびのびと遊べる環境が大切だと思います。
実際の保育園での設定保育と自由保育の取り入れ方
「設定保育の1日のスケジュールが知りたい」
「自由保育ってどのようなスケジュールで行えば良いの?」という疑問を持つ方もいるでしょう。
ここでは、実際の保育園での設定保育と自由保育のスケジュールをご紹介しますので、参考にしてみてください。
設定保育メインの1日のスケジュール
7:00~9:00 | 順次登園・自由遊び |
9:30~ | 朝の会・おやつ(乳児のみ)設定保育 |
11:00 | 片付け・給食 |
12:30~ | 午睡 |
15:00 | 起床・おやつ |
15:30 | 自由遊び |
16:00 | 片付け・帰りの会 |
16:30~ | 順次降園 |
上記は、設定保育をメインとした保育園の1日のタイムスケジュールです。
早朝保育の時間では、まだ子どもの数が少ないので、自由保育を取り入れる園が多いです。
9時になるとクラスの人数が揃うので、午前中に設定保育を行うのが基本となっています。
午後のおやつの後は、早番の先生やパートの先生が退勤すると、保育士の人数が減るクラスもありますし、帰りの準備もしなければならないので、基本は自由保育です。
設定保育をメインとしている園でも、自由保育も一緒に取り入れていることがあります。
自由保育メインの1日のスケジュール
7:00~9:00 | 順次登園・自由遊び |
9:30~ | 朝の会・おやつ(乳児のみ)その後自由遊び |
11:00 | 片付け・給食 |
12:30~ | 午睡 |
15:00 | 起床・おやつ |
15:30 | 自由遊び/クラス活動 |
16:00 | 片付け・帰りの会 |
16:30~ | 順次降園 |
上記は、自由保育をメインとした保育園の1日のタイムスケジュールです。
朝の会の後も、自由保育を実施していますので、子どもたちが十分な時間遊びを楽しめますね。
しかし、天気がいい日は園庭に出たり、園外へ散歩したりすることもあるので、その日によって変わる可能性があるでしょう。
自由保育をメインとしていても、子どもたちのリクエストで設定保育にする日などもありますので、臨機応変に対応することも大切と言えます。
まとめ
今回は、設定保育と自由保育の違いについて解説してきました。
設定保育は基本的に保育士が主体となって、子どもの発達に応じて遊びを展開していく保育です。
自由保育はその反対で、子どもが主体的に活動する保育で、自主性を伸ばせます。
どちらが良いとは言い切れませんので、それぞれのメリットやデメリットをしっかりと理解したうえで、子どもたちにぴったりな保育を見つけてあげて欲しいと思います。
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