3歳児は指先が器用になる時期で、簡単な折り紙製作やはさみの直線切り、のり貼りなどできることも増えてきます。
「3歳児の製作に何を取り入れよう?」「どんなことができるかな」と、3歳児の製作内容を考えている保育者や実習生の方は多いのではないでしょうか。
本記事では、3歳児が製作でできることや季節ごとにおすすめの製作アイデアをご紹介するので、3歳児を担当している保育者や実習生の方は、ぜひ主活動の計画に役立ててみてください。
- 3歳児になると、手先や指先を上手く使う功緻性が発達する
- 製作の指導案には、3歳児の姿や発達に合うねらいや配慮を付け加える
- 季節を感じたり行事に関連のあるものを題材に取り入れたりするのがおすすめ
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3歳になると成長速度が急に速くなり、できることが一気に広がります。特に手先の器用さが発達するので、細かい動作ができる製作を取り入れるのがおすすめ。物事への興味関心も膨らむ時期なので、子どもたちが楽しみながら取り組める活動を計画していきましょう!
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ゆぴ 元保育士ライター
保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。
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3歳児にできることとは?
3歳児にできること
3歳児になると身体面・運動面・知能面・言葉の発達など、各分野で大きな発達がみられます。
手先の功緻性(こうちくせい)が発達するのも3歳児の特徴のひとつです。
手先・指先をうまく使いこなす力と言われる功緻性が発達するため、以下のようなことができるようになります。
- はさみを使った工作
- 紙を折る・切る
- のりを指で伸ばしながら塗る
- クレヨンを正しく持って絵を描く
製作を行う際は、上記の動作を活動のねらいに取り入れるのがおすすめです。
指導案を作成する時のポイント
3歳児を対象にした製作の指導案を作成する際は、3歳児の姿や発達に合ったねらい・活動を記載することが大切です。
製作のねらいの例をいくつかご紹介します。
- 製作遊びを通して自由に表現することを楽しむ
- こいのぼり製作を通して子どもの日に興味をもつ
- はさみの持ち方を知り直線を切ろうとする
- 自分で作った作品で遊ぶことを楽しむ
また、3歳児の製作活動では環境構成や配慮をしっかりと考えておかなければなりません。
はさみを持ったまま歩いたり、のりが付いた手で他のものを触ったりと、3歳児は保育者の予測不能な行動をとることが多いです。
少人数ごとに行う、はさみの取り扱い方を事前に子どもと一緒に確認するなど、危険が生じないようために環境構成や保育者の配慮を指導案に記入しておきましょう。
【春】3歳児におすすめの製作アイデア
初めに、春にぴったりな3歳児向けの製作アイデアを3選ご紹介します。
お花やちょうちょなどの春ならではの自然や、こどもの日のように行事を題材にした製作がおすすめです。
暖かく過ごしやすい気候を活かして、外に製作コーナーを設けてみてもよいですね。
また、新年度が始まったばかりの春は新しい環境に慣れていない子どももいるので、一人ひとりが落ち着いた環境で取り組めるように配慮しましょう。
- 吹き絵をストローで!春の製作になる花のお絵描き
- デカルコマニーで作る!パッタンちょうちょ
- はじき絵で作るこいのぼり製作
吹き絵をストローで!春の製作になる花のお絵描き
絵の具をストローで吹いて花の模様を作る、春にぴったりの製作です。
吹き絵でどのような模様ができるのかワクワクしながら作ることができ、子どもたちもよろこぶこと間違いありません。
園で育てている花の前に座り、本物の花を見ながら製作してみてもよいですね。
完成した作品は室内に飾ることで、さらに春の訪れを感じられますよ。
- 画用紙
- クレヨン
- 絵の具
- パレット
- 筆
- 水
- ストロー
- クレヨンで画用紙に花の茎や葉っぱを描く
- 好きな色の絵の具をパレットに出し水と混ぜる(水は多めがよいです)
- 絵の具を筆で取り茎の上に垂らす(手拭きや雑巾を準備しておくとOK)
- ストローで絵の具を好きな方向に吹く
- 画用紙の方向を変えたり絵の具を足したりしながら満足いくまで吹いて花の完成
デカルコマニーで作る!パッタンちょうちょ
絵の具を転写させる「デカルコマニー」の技法を取り入れた製作です。
画用紙を開くときに「どんな模様ができているのかな」とワクワク感が味わえます。
「この模様は〇〇に似ているね」と声をかけてしまうと子どもの想像力が養えなくなるので、「これな何の模様だろうね?」と子どもが考えられるように援助しましょう。
- 画用紙
- 絵の具
- はさみ
- モール
- セロハンテープ
- 画用紙を蝶の形に切る(難しけれが事前に用意しておく)
- 好きな色の絵の具を画用紙の片側のみにつける
- 紙を半分に閉じ、簡単に手でこすって色を写す
- よく乾かしてから、Vの字に折ったモールをセロハンテープで貼り付けて完成
- お好みで蝶々の顔を画用紙で作ったらさらに可愛くなります♪
はじき絵で作るこいのぼり製作
クレヨンと絵の具を使ったはじき絵で作る、こいのぼり製作です。
油が水をはじく仕組みを利用したはじき絵は、クレヨンで描いた模様が浮き出てくる様子を見て楽しめます。
こいのぼりを描くのが難しければ、園に飾っているこいのぼりや絵本に載っているこいのぼりを見ながら描けるように工夫してみてください。
- 画用紙
- クレヨン
- 絵の具
- パレット
- 水
- 筆
- クレヨンでこいのぼりの絵を描く(模様も一緒に描くのがポイント)
- 好きな絵の具をパレットに取る
- クレヨンの上から絵の具を塗る(クレヨンで描いた模様が浮き出るように重ねる)
- 絵の具が乾いたら完成
※汚れても良いように画用紙の下に新聞紙やシートを敷いておくのがおすすめです
【夏】3歳児におすすめの製作アイデア
夏は海やアイスなど楽しいことがいっぱいの季節なので、製作の題材にも取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、7月の七夕に向けて、当日までに飾れるように6月半ばから後半にかけて七夕製作に取り組むのもよいでしょう。
七夕会のある園では作った作品を持ち寄ったり飾ったりして、七夕らしさを味わえる環境の中で会を開いてみてもよいですね。
夏は色水遊びや泥遊びなどダイナミックな遊びを取り入れる園も多いため、絵の具を使った大胆な製作にも挑戦しやすいですよ。
- はさみとのりで海を作ろう
- 夏に壁面製作に!簡単にじみ絵アイス♪
- 紙皿で作る七夕製作
はさみとのりで海を作ろう
はさみとのりで海の生き物を作る夏にぴったりの製作です。
生き物の足をまっすぐ切る工程は、はさみの直線切りの練習になります。
3歳児ははさみを使い始めたばかりの月齢なので、危険のないように必ず保育者が側で見守るようにしてください。
今回は3つの生き物を例にしていますが、お好みで魚やヒトデ、ワカメなど子どもの好きな生き物を追加すれば、さらに個性の出る作品になりますよ。
- 色画用紙
- はさみ
- のり
- クレヨン
- マジック
- タコ・イカ・クラゲの画用紙を作っておく(足の部分にマジックで切り取り線を描いておく)
- 太い線に沿ってはさみで切る
- クレヨンで生き物の顔を描く
- ギザギザ線や波線で作っておいた海の背景の上に生き物をのり付けして完成(興味があれば背景も子どもが作れるようにする)
※はさみを使用する際は、危険のないように手を添えたり側で見守ったりしましょう
夏に壁面製作に!簡単にじみ絵アイス♪
にじみ絵でアイスを作る、暑い夏にぴったりの製作です。
絵の具が滲んでいく様子に、子どもたちは興味を湧くこと間違いなしですよ。
子どもの発達や興味に合わせて、アイスやコーンの形を自分で切らせてあげてもよいですね。
工程数が多く集中力を要する製作なので、無理に一度に完成させるのではなく、一人ひとりのペースに合わせて進めていきましょう。
また、一度にクラス全体で製作を進めるには保育者の目が行き届かないため、少人数ごとに行うとよいですよ。
- 画用紙(アイス用、コーン用、台紙用)
- 絵の具
- 筆
- 水
- 両面テープ(のりでもOK)
- クレヨン
- アイス用の画用紙に筆で水を塗る
- 好きな色の絵の具をその上に乗せる
- コーン用の画用紙にクレヨンで模様を描く
- アイス、コーンの画用紙の裏に両面テープを貼る(のりを使用してもOK)
- 台紙にコーンとアイスの画用紙を貼る
- 周りにクレヨンで好きな模様を描いて完成
紙皿で作る七夕製作
紙皿で作る、七夕の時期にぴったりの製作です。
3歳児になると目や口を意識しながら顔を描けるようになっていくので、人や動物の顔を描く製作はおすすめです。
難しい作業もあるため、彦星と織姫の顔を描く工程をねらいにして取り組んでみてください。
完成した作品はそのまま机やロッカーの上に飾ってみてもよいですし、紐をつけて壁掛けにしても可愛くなりますよ。
- 紙皿
- 折り紙(衣装用)
- 色画用紙(顔用)
- カラーペン(クレヨンでもOK)
- はさみ
- のり
- 紙皿を半分に折る
- 3ヶ所に三角の穴を開ける(保育者が行いましょう)
- 折り紙を4分の1に折り折り線に沿って切る
- 切った折り紙を紙皿の三角の部分に貼って衣装が完成(難しければ保育者が行いましょう)
- 画用紙を丸く切る(保育者が行いましょう)
- 切った画用紙に彦星と織姫の顔を描く
- 事前に作っておいた星などの飾りを頭に貼り付ける
- 顔を衣装に合わせて貼って完成
【秋】3歳児におすすめの製作アイデア
秋は、紅葉やミノムシなど季節を感じられる自然を製作の題材にするのがおすすめです。
また、10月末にはハロウィーンもあるので、9月後半から10月半ばにかけてハロウィン製作を計画してみるのもよいですね。
段々とはさみの扱い方に慣れてくる時期なので、はさみを使う工程がある製作を積極的に入れてみてください。
また、集中力もついてくる頃なので、年度の始まりよりも工程数の多い製作を選んでみましょう。
- プチプチで作るキノコ製作
- 紙皿を使ったおばけのキラキラリース作り
- トイレットペーパーの芯で作れる!簡単かわいいミノムシ
プチプチで作るキノコ製作
プチプチを使用した、秋にふさわしいキノコ製作です。
立体感のあるプチプチの使用で、画用紙だけの平面で作るよりも可愛らしさが増しますよ。
プチプチに色を塗る触感も楽しめること間違いありません。
葉っぱの形やプチプチを切る工程は3歳児には難しいので、保育者が行うか援助してあげてください。
一本の紐にキノコや葉っぱをつけて、モビールのように飾るのもおすすめですよ。
- 色画用紙
- プチプチ
- ボンド
- ペン
- はさみ
- 画用紙でキノコや葉っぱの台紙を作る(保育者が行いましょう)
- キノコのかさの部分を切りプチプチに型を取る(保育者が行いましょう)
- はさみでキノコや葉っぱの型を切る(難しいものは保育者が援助しましょう)
- ボンドでプチプチを台紙に貼る(ボンドの扱いに慣れていないので援助してあげてください)
- 他のパーツもボンドで貼る
- プチプチの丸い部分をペンで塗っていく
- ペンでキノコの顔を描く(クレヨンでもOK)
紙皿を使ったおばけのキラキラリース作り
紙皿を使った、ハロウィンにぴったりのおばけリース製作です。
アルミホイルの感触を楽しみながら紙皿に巻きつけるのが、この製作のねらいの一つです。
巻くときに手に力を強く入れすぎるとアルミホイルが破れてしまうので、保育者が手を添えてあげるとよいですよ。
おばけの他にもカボチャや飴などの飾りをつければ、よりハロウィンらしくなるのでおすすめです。
完成後は、壁面にして飾ってみてくださいね。
- 紙皿
- アルミホイル
- リボン
- カラーペン
- 色画用紙
- ボンド
- 穴あけパンチ
- はさみ
- 紙皿を半分に折り内側の線に沿って半円に切る(保育者が行いましょう)
- 画用紙でおばけの型紙を作る(難しければ保育が援助しましょう)
- 輪っかの紙皿をアルミホイルで巻いていく(細長く破ると上手く巻きやすいです)
- カラーペンでアルミホイルに模様を描く
- カラーペンでおばけに顔を描く(クレヨンでもOK)
- ボンドで輪っかにおばけを貼り付ける
- 穴あけパンチで上部に2ヶ所穴を開ける (保育者が行いましょう)
- 穴にリボンを通して結んだら完成
トイレットペーパーの芯で作れる!簡単かわいいミノムシ
トイレットペーパーの芯でミノムシを作る、秋を感じさせる製作です。
用意する材料も少ないので、簡単に取り組めます。
トイレットペーパーの芯は、園で使用した後の芯を回収すればすぐに数を集められますよ。
折り紙を手でちぎる工程は、指先の力を促すだけでなく紙をちぎる感触を楽しむねらいが含まれています。
完成した作品に毛糸をつけてぶら下げれば、よりリアルなミノムシになるので試してみてください。
- トイレットペーパーの芯
- はさみ
- 折り紙
- のり
- 丸シール
- トイレットペーパーの芯をはさみで半分に切る(難しいので危険のないように援助しましょう)
- 折り紙を半分に折りはさみで切る
- 折った折り紙を手で縦にちぎっていく
- 何色か同様に行う
- 折り紙にのりをつけてトイレットペーパーの芯に貼り付ける
- 丸シールで作った目を貼り付けて完成
【冬】3歳児におすすめの製作アイデア
冬は、クリスマスお正月、節分、バレンタイン、ひな祭りなど行事が充実している季節です。
そのなかでも、子どもたちが興味をもったり人気のある行事を製作の題材にしてみましょう。
寒い冬は室内で過ごす日も多くなるので、さまざまな製作に挑戦できるよい機会です。
また、新年度を控える冬は年度の集大成が出せるように、少し難易度の高い製作にもチャレンジしてみてくださいね。
- レジ袋で作る凧製作
- 鬼のお面を手作りで!簡単にできる節分製作
- にじみ絵で作るひな祭り製作
レジ袋で作る凧製作
ビニール袋で作る正月にぴったりの凧製作です。
子どもが行う工程は絵を描くだけですが、その後外で凧を飛ばして楽しむことができます。
製作を進める際は、お正月や凧遊びの由来を導入で伝えていくとより凧に興味がもてるようになりますよ。
凧遊びは、園庭や公園など広い場所で行うのがおすすめです。
また、凧糸が絡みやすいので、遊ぶ際ははさみやセロハンテープを近くに置いておくとよいですよ。
- ビニール袋
- カラーペン
- 凧糸
- はさみ
- 厚紙
- レジ袋の持ち手を下にしてカラーペンで自由に絵を描く(ペンが色移りしないように新聞やシートを敷いておくとよいです)
- 持ち手に1本ずつ凧糸を結ぶ(ここからの工程は保育者が行いましょう)
- 手で持って引っ張る側の凧糸を結ぶ
- 計3本の凧糸を結ぶ
- 四角に切った厚紙に凧糸を巻いて完成
鬼のお面を手作りで!簡単にできる節分製作
画用紙と紙皿で作る、節分にぴったりの鬼のお面製作です。
花紙を鬼の髪の毛に見立てることで、立体的でかわいい仕上がりになります。
また、花紙をちぎったり丸めたりして指先での感触も楽しめますよ。
工程数の多い製作なので、休憩を挟んだり複数回に分けて取り組むのがおすすめです。
完成したらお面にする前に壁面にしてもよいですし、節分集会や豆まきをする際には、ぜひ作ったお面をつけて参加してみてくださいね。
- 色画用紙
- 紙皿
- はさみ
- ペン
- ボンド
- 輪ゴム
- クレヨン
- 花紙
- 紙皿を半分に折りはさみで切る
- 画用紙で鬼の角と顔を作る
- クレヨンで鬼の顔を描く
- クレヨンで鬼の角の模様を描く
- 角と顔の型紙を線に沿ってはさみで切る
- 花紙を丸めて髪の毛を作る
- 丸めた花紙にボンドをつけて頭付近に貼る
- ボンドで角を貼る
- 紙皿全体にボンドを塗り鬼の顔を貼る
- 画用紙と輪ゴムで作ったお面の頭につける部分にホッチキスで鬼の顔をつけて完成
にじみ絵で作るひな祭り製作
にじみ絵でひな人形を作るひな祭り製作です。
にじみ絵は、上から水をつけた筆で塗る、霧吹きを使うなど様々な方法がありますが、この製作ではトレーに張った水にコーヒーフィルターを浸す方法を取り入れています。
水につけた瞬間に、カラーペンのインクがどのように滲むのかを見るのが楽しい瞬間です。
細かいひな人形の顔や飾り作りは、手先の発達を促す働きもありますよ。
ひな人形の歴史や由来を伝えたり、ひなまつりの歌をうたいながら製作をしたりして、ひなまつりに興味がもてるようにしましょう。
- コーヒーフィルター
- 色画用紙(ひな人形の顔用)
- 折り紙(ひな人形の飾り用)
- はさみ
- のり
- 絵の具
- 水
- 筆
- トレー
- カラーペン
- 色画用紙や折り紙でひな人形の顔を作る(顔のパーツはクレヨンで描いてもOK)
- コーヒーフィルターにカラーペンで自由に模様を描く
- 水を入れたトレーにコーヒーフィルターを軽くつける
- コーヒーフィルターを乾かす
- コーヒーフィルターでもう一つ同様に作る
- コーヒーフィルターを折って着物の形にする
- コーヒーフィルターの上部分にのりをつけて顔を貼る
- もう片方も作って完成
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