保育士は仕事量や責任が大きいハードな職種であるにも関わらず、給料が低いネックも抱えています。
「重労働なのに、なぜ保育士の給料は低いの?」と、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、保育士の給料が低い理由や給料を上げるためにできることを詳しくご紹介します。
保育士を目指している方や現在の給料に悩んでいる保育士の方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 令和5年度の保育士の平均年収は390万円
- 給料が低い理由に、保育士の重要性が認識されていない、サービス残業が多いなどが挙げられる
- 給料を上げるためには、キャリアアップ研修の受講や給料の高い園への転職を検討すると◎
- 保育士ワーカー、保育士人材バンクなどの転職サービスがおすすめ

私も「残業や持ち帰りの仕事をしているのに、給料はこれだけしか貰えないの!?」と、疑問を持っていた保育士の一人です。保育士として頑張ると決めた以上、給料も上げたいですよね。本記事で紹介している方法も参考にして、給料アップを目指しましょう!


ゆぴ 元保育士ライター
保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。


保育士の平均年収!実情とは?
厚生労働省の調査によると、令和5年度の保育士の平均年収は390万円です。
同じく、令和5年度の給与取得者全体の平均年収が460万円なので、保育士の年収は給与取得者全体より約70万円低いことが分かります。
園によって賞与の回数や金額、待遇が異なるため、この数字より高い園もあれば低い園もあるでしょう。
保育士(男女計)/年度 | 所定内給与額 | 年間賞与、 その他特別給与額 | 平均年収 |
---|---|---|---|
令和5年 | 26.4万円 | 71.2万円 | 390万円 |
参考:厚生労働省 令和5年賃金構造基本統計調査 国税庁 令和5年分 民間給与実態統計調査
保育士の給料が低い理由
「公定価格」が決められているから
公定価格が決められていて変動しないのが、保育士の給料が低い理由の一つです。
政府や各自治体から園に支給される運営費である公定価格は、子どもの年齢や園の定員などで単価が変わりますが、以前から低く変動が少ない傾向にあります。
令和6年度の公定価格は令和5年より単価が多少増額されたため、園児数の減少がない園では増収が期待されました。
今後も変動が予想されるので、国の発表を気にかける必要があるでしょう。
どこの園も給与が低いという現実
保育士はどこの園も給与が低い現実があります。
以下の表は、私立保育施設の非常勤保育士の年収をまとめたものです。
私立の保育施設の場合、保育士全体の平均年収390万円を超える場所は一つもありませんでした。
給与が低いのは承知しつつ、できるだけ給料の良い職場で働けるよう事前にリサーチしておきましょう。
施設の種類 | 1人当たり給与月額(賞与込み) | 平均年収 |
---|---|---|
私立保育所 | 24.3万円 | 291.6万円 |
私立幼稚園 | 23.3万円 | 279.6万円 |
私立認定こども園 | 24.5万円 | 294万円 |
私立の家庭的保育事業 | 16.0万円 | 192万円 |
私立の小規模保育事業(A型) | 23.3万円 | 279.6万円 |
事業所内保育事業(A型適用) | 18.6万円 | 223.2万円 |
私立の事業所内保育事業(20人以上) | 18.9万円 | 226.8万円 |
参考:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>
保育士という仕事の重要性が正しく認識されていない
世間から保育士の仕事の重要性が正しく認識されていないのも事実です。
子どもを保育施設に預ける機会のない人からは、「どうせ保育士はただ子どもと遊んでいるだけ」「楽な仕事なのでは?」と思われがちです。
このようなイメージが、「保育士の給料は安くて当たり前」という考えに結びついています。
実際、保育士は子どもの安全を見守り成長を支える、保護者が安心して働けるようサポートするなど、社会的に重要な役割を果たしています。
以前と比べれば保育士の重要性は理解されつつありますが、さらに重要度を認知される必要があるでしょう。
サービス残業が多い傾向
サービス残業が多い傾向にあるのも、保育士の給料が低い理由に含まれるでしょう。
保育士は、以下のようなサービス業務を当たり前のようにこなしています。
- 保護者対応
- 書類作成
- 行事や制作準備
- 会議やミーティング
30分や1時間以上の業務なら残業手当を申請しやすいですが、短時間の業務は申請しづらいです。
短時間のサービス残業が積み重なった結果、残業時間の合計は増える一方、手当が貰えず給料は本来より安くなってしまいます。
サービス残業は労働基準法違反なので、時間外労働をした場合はきちんと申告することを心がけましょう。
過去も低いという歴史的な背景がある
保育士の給料は、過去から低いという歴史的な背景があります。
以前、保育業はあくまでも子育ての延長と捉えられ、専門性がある仕事とは認識されていませんでした。
女性の社会進出が当たり前である近年とは違い、女性は家庭に入るのが当たり前と考えられていた時代もあったため、保育士は特別な職種ではないと給料に伸び悩む要因になりました。
保育士の給料を上げるには、今以上に保育の需要や有り難みを国から評価されなければなりません。
保育士として給料を上げるためにできること
キャリアアップ研修を受ける
キャリアアップ研修を受けて、副主任保育士や専門リーダーの職を目指す方法があります。
キャリアアップだけでなく保育の専門知識を学べるので、保育士が受講して損のない研修です。
研修を受けて役職に就く機会を得ると、以下のように手当がつきます。
- 職務分野別リーダー:最大月5,000円
- 専門リーダー・副主任保育士:最大月40,000円
ただし、園によって役職に就ける人数が限られるため事前に役員配置を確認しておきましょう。
役職に就く
前述にもある通り、主任保育士や園長、副園長などの役職に就くと給料が上がります。
以下の表は、保育園の職種ごとの平均年収を割り出したものです。
職種 | 給与月額(賞与込み) | 年収の概算 |
---|---|---|
施設長 | 64.3万円 | 771.6万円 |
主任保育士 | 56.4万円 | 676.8万円 |
保育士 | 36.5万円 | 438万円 |
職種ごとの年収を比較すると、438万円の保育士に比べ主任保育士は676.8万円、園長は771.6万円と約300〜400万円も差があります。
保育士以上にハードワークで責任も重くなりますが、その分給料が高くなりやりがいを感じられるので、長年保育士を続ける予定の方は役職へのキャリアアップも視野に入れてみてください。
参考:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査集計結果<速報>
【番外編】保育士の経験を活かした副業で稼ぐ
保育士の経験を活かし副業で働くのも一つの方法です。
給料の低さに悩んでいる保育士の中には、得意なスキルを活かし以下のような副業で増収入を得ている方がいます。
- ハンドメイド作品の出品
- 壁面やペープサートの作成代行
- 保育に関するWebライティング
- ベビーシッター
休日や平日の隙間時間を利用して副業を行えば、楽しく収入を増やせるでしょう。
ただし、公務員は副業が禁止されているので公立の施設に勤めている方は注意が必要です。
転職して給与が高い園で働く
転職して給与が高い園で働くのもおすすめの方法です。
園によっては基本給や賞与額が高い、待遇が良いなどの理由から高年収を期待できます。
一つの園で長く働いてキャリアアップを目指したり、キャリアアップ研修を受講したりするよりも、転職した方が効率よく給料を上げられますよ。
各園の給料は求人誌や園のHPから確認できるため、チェックしてみましょう。
次項では転職方法を詳しく解説しているので、そちらも参考にしてみてくださいね。
給料を上げたいなら転職がおすすめ!
前述にもある通り、手っ取り早く給料を上げるなら転職がおすすめです。
保育士業界の転職のプロが揃う転職サイトやエージェントを使用して、納得のいく給料の園に転職してみましょう。
給料が高い園を探すのにぴったりな転職サービスを、いくつか以下に挙げました。
- 保育士ワーカー…保育業界トップクラスの求人数
- 保育士人材バンク…最短3日で内定が貰える
- レバウェル保育士…職場のリアルな雰囲気が分かる
- マイナビ保育士…直接アドバイザーに会って相談できる
転職サービスによって特徴やターゲット層が異なるため、自分に合ったサイトを選んでみてください。
まとめ
保育士の給料が低い理由を詳しくご紹介しました。
公定価格が定められている、保育士の重要性が十分に認識されていないなどの理由から、現在も保育士の給料は低いままです。
しかし、近年は保育士の待遇が少しずつ改善され、今後給料は上がる傾向にあります。
さらに給料アップを目指すならば、転職や役職への昇進を視野に行動へ移してみてください。
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