模倣遊びとは?保育士が知っておきたい模倣遊びの例も解説

模倣遊び

模倣遊びとは、大人や周囲の行動を観察して取り入れる遊び方の一つです。

例えば、おままごとや店員さんごっこなどのように、日常生活で目にした行動を再現することが挙げられます。

この遊びは、子どもの成長において非常に重要な役割を果たします。

模倣遊びをによって、社会性をはじめ協調性や観察力など、さまざまな能力が自然に身につくでしょう。

本記事では、模倣遊びが子どもの発達に与える影響や取り入れ方、遊び方を具体的に詳しく解説します。

この記事をまとめると
  • 模倣遊びとは、子どもが大人や周囲の行動を真似ることで成長を促す遊び
  • 見立て遊びは想像力、模倣遊びは観察力を伸ばす
  • 年齢に応じて、簡単な真似からごっこ遊びへ発展していく
  • 模倣遊びのメリットは、社会性や観察力、協調性が身につき、子ども同士の交流が深まること
  • 保育で取り入れる際には、興味や発達段階に合った内容を選び、適切なタイミングで実施する
目次

模倣遊びとは?

模倣遊びとは、子どもが身近な人や物、絵本やアニメの登場人物などの声や仕草を真似して楽しむ遊びです。

ごっこ遊びと似ていますが、日常の動作を忠実に再現するのが模倣遊びの魅力です。

模倣遊びは、子どもの成長過程で自然と現れる遊びの一つで、年齢によって遊び方の傾向に違いがあります。

模倣遊びの実例として、以下のような活動があります。

模倣遊びの例
  • おままごとやお店屋さんごっこ
  • 積み木を電話のように見立てて耳に当ててみる
  • 化粧道具を模した遊びや、料理を作る仕草を真似たりする
  • 猫や犬などの生き物になりきる
  • ヒーローなど好きなキャラクターになりきる

模倣遊びと見立て遊びの違いは?

模倣遊びと見立て遊びは、どちらも成長の過程で見られるものです。

模倣遊びとごっこ遊びの共通点は、真似る行動が基本である点です。

前述で紹介した模範遊びの例を参考に、見立て遊びのアイデアには以下のものがあります。

見立て遊びの参考例
  • 周りの物を別の用途に見立てて遊ぶのが特徴で、想像力を刺激する
  • 積み木やブロック、おままごとなどの玩具を携帯電話や料理の材料などに見立てて遊ぶ
  • 運転手の役になりきり、丸いおもちゃを車のハンドルに見立てて遊ぶ

ごっこ遊びと模倣遊びのいくつかの違いは?

模倣遊びとごっこ遊びは、どちらも重要な発達段階で見られる遊びです。

想像力を刺激したり、コミュニケーション能力を育んだりする効果があります。

模倣遊びは身近な人やキャラクターの真似をする遊び、ごっこ遊びは身近な行動を再現する遊びの形態です。

具体的なごっこ遊びのアイデアは以下の通りです。

ごっこ遊びの例
  • 身近な人や物になりきって遊ぶ遊び
  • 観察した内容をもとに自分なりのイメージを形成、そのイメージ通りに立ち振る舞う
  • おままごと遊びやヒーローごっこなど、さまざまな種類がある
  • 想像力や発想力の育成、子どもの思考力を育てる効果が期待できる

模倣遊びを始めるタイミング

模倣遊びは、生後6~9か月頃から徐々に始まります。

この時期の赤ちゃんは、目の前で大人がする簡単な動作や表情を模倣することで、遊びがさらに広がります。

この遊びは成長の過程で欠かせない要素として大切で、その進行を見守ることで、子どもの発達段階を把握することができます。

模倣遊びの年齢別発達段階
  • 0歳後半:笑顔や手振りの真似を楽しむ
  • 1歳頃:日常の行動を再現し始める
  • 2歳以降~:役割を意識したごっこ遊びを展開する

年齢別でわかる模倣遊びの例

1歳児

1歳児向け模倣遊びのアイディア
  • 家族が料理をする姿を再現する遊び方も人気
  • 積み木を電話として使い、大人の真似をする
  • 絵本の果物を食べるフリをしたり、「ねんね」と床に寝転がったりする

1歳児の模倣遊びは、身近なものを使って簡単な見立て遊びや再現遊びをするのが特徴です。

大人の動作や声、日常生活の行動を観察し、それを遊びに活かす取り組みです。

模倣遊びによって、集中力や観察力、記憶力、表現力、言葉のやり取りを楽しむ能力などが育ちます。

模倣遊びを促すには、大人が積極的に見本を見せてあげることが効果的です。

また、子どもが喜ぶようないろいろな動作をしてあげましょう。

2歳児

2歳児向け模倣遊びのアイディア
  • 積み木や箱、ブロックなどを食べ物に見立てる「お食事ごっこ」
  • 積み木を電話として使う仕草を再現する
  • 好きなキャラクターに変身して活動する遊び

2歳児では、身近なものを別のものに見立てて遊ぶ「見立て遊び」や、生き物やキャラクターになりきる「ごっこ遊び」などがあります。

積み木をつんだり、ブロック遊びができるようになるほか、簡単なあいさつなどもできるころです。

ぬいぐるみなどを相手に、ごっこ遊びをする様子が見られるのもこの時期です。

創造力や独創性を高める手段として、模倣遊びは最適でしょう。

脳が発達して記憶力がついてきた証しとして、まねっこをすることでさまざまなことを会得します。

3歳児

3歳児向け模倣遊びのアイディア
  • ごっこ遊びの定番「お店屋さんごっこ」や、お医者さんごっこ
  • 森の動物になりきって木の実を拾い集める
  • テレビで見たヒーローやヒロインになりきる

3歳児の模倣遊びは、ごっこ遊びに進むタイミングで、役割分担が始まります。

主にごっこ遊びやロールプレイなど、複数人で遊ぶ遊びが中心です。

身近な経験やテレビで見たキャラクターを題材に、想像力や創造力、言語能力、コミュニケーション能力などが育つでしょう。

模倣遊びをする際は、子どもが興味をもちそうななじみがあるおもちゃを用意したり、エプロンなどを用意すると遊びが一層楽しくなります。

4歳児

4歳児向け模倣遊びのアイディア
  • 調理や食事の真似をすることが楽しさを引き立てる
  • 積み木などを携帯電話に見立てて大人同士の会話を観察し、それを真似て遊ぶ

4歳児向けの模倣遊びでは、身近な大人のまねをして、人との関わりを深める大切な学びです。

より細かなストーリー設定を考えられるようになり、友だちと連携して遊ぶことで、より協調性が育まれるでしょう。

自立心の芽生えとも考えられ、社会生活における自信や人と関わる力が養われます。

また、新たな状況や役割を想像する力を養い、独自のストーリーも作り出せるようになります。

5歳児

5歳児向け模倣遊びのアイディア
  • 空想しながらロボットなどになりきる
  • おもちゃのキッチン道具や食材を使って、ご飯を作ったりパーティーを開いたりする
  • お友だちや保育士と役割を決めて遊ぶ

5歳児は、発想力を活かした遊びとして幅広く模倣遊びを活用し、友達と協力して複雑な設定の遊びを楽しむことができます。

空想と現実を組み合わせ、友だちや家族とストーリーを共有しながら遊ぶ能力が向上する時期です。

また、友達同士でトラブルが起きても、子どもたちは問題解決に向けて自分たちで話し合いを重ねます。

大人が手助けする必要はあまりなくなるので、子どもの自発的な行動を促すために、必要な場面だけアドバイスするのがポイントです。

模倣遊びをする効果やメリット

豊かな発想力や想像力を養う

模倣遊びは、想像力や発想力、創造力を養う効果が期待できます。

また、社会性や協調性、コミュニケーション能力などの能力も育つでしょう。

主に以下のような、想像力や発想力を養えます。

想像力や発想力を養える
  • 周囲の大人や好きなキャラクターの言動を再現したりイメージしたりする必要があるため、想像力や発想力が養われる
  • 積み木をお金や電話に見立てて遊ぶ
  • 同じ物でも、子どもはイメージを膨らませて様々な形に変えて楽しむ

言語能力の発達を助ける

模倣遊びは、子どもの言語能力の発達を助けます。

視覚や聴覚を通して大人の動作や声を観察し、真似をすることで、言葉遣いや表現方法を学び、語彙力を高めることができます。

また、友だちと協力して遊ぶことで、コミュニケーション能力や協調性も育ちます。

言語能力の発達
  • なりきる人の言葉遣いや言い回しを観察して覚え、普段は使わないような言葉を発する
  • 音マネをすることでワーキングメモリが鍛えられ、語彙の増加や発話力につながる

社会性や協調性を身につける

模倣遊びは、子どもが他者と関わる初めの一歩として、社会性や協調性を育む効果があります。

社会性や協調性を身につける例
  • おままごとで「お母さん役」と「子ども役」に分かれて遊ぶ中で、他者の立場を理解する練習ができる
  • 複数人で遊ぶ場合には、順番を守る、相手の話を聞くといった基本的なルールを学ぶ

こうしたスキルは、保育園や幼稚園での集団生活の基礎となる大切な要素です。

模倣遊びの場を通じて、相手を尊重しながら一緒に楽しむ経験を重ねることで、子どもは自然と協力する喜びを感じられるようになります。

観察力や記憶力を養う

模倣遊びは、観察力や記憶力を養うだけでなく、想像力や創造力、社会性などを育む効果があります。

その他にも、他者の行動を観察しそれを再現する能力が求められ、これによって子どもの観察力が向上します。

また、目にした動作や言葉を記憶し、自分で再現する過程で記憶力も鍛えられるでしょう。

例えば、親が料理をしている様子を見て、おままごとで再現することは、観察と記憶の両方を活用した遊びの一例です。

観察力や記憶力を養う効果
  • 自分以外の何かの真似をするため、その言動を観察して記憶する必要がある
  • ストーリーがリアルで設定が緻密であればあるほど、観察力や記憶力が身に付いているといえる

模倣遊びを保育に取り入れる際に気をつけたいこと

年齢にあった模倣遊びを取り入れる

模倣遊びを効果的に取り入れるためには、子どもの年齢や発達段階に応じた内容を選ぶことが大切です。

例えば、1歳児であれば日常的な行動を簡単に真似る遊び、2歳児ではおままごとや積み木を使った模倣が適しています。

3歳以上になると、ごっこ遊びのシナリオが複雑化し、役割分担を意識した遊びが展開されます。

適切な遊びを選ぶことで、子どもは無理なく遊びに没頭し、楽しく学びながら成長できるでしょう。

年齢ごと、興味やスキルに合った模倣遊びのアイデアを用意することが重要です。

子供の興味や関心に沿う模倣遊びを用意する

模倣遊びは、子どもの関心を引き出すテーマを選ぶことで、より楽しく取り組めるようになります。

例えば、動物が好きな子どもには「動物園ごっこ」、電車が好きな子どもには「駅員さんごっこ」を提案すると効果的です。

また、子どもが日常で興味を示す場面を観察し遊びに反映させることもポイントです。

子どもの興味に基づいた模倣遊びは、より深い学びや感性の発達を促します。

同時に、大人も一緒に参加すれば親子のコミュニケーションがより密接になります。

記録をきちんとつける

模倣遊びを通じた子どもの成長を把握するために、記録を取ることが重要です。

例えば、遊びの中で新しい言葉を覚えた、複雑な動作を再現できるようになったといった具体的な成果を記録しましょう。

この記録は、子どもの成長を振り返るためだけでなく、保育士や親が次の支援を考える際の資料にもなります。

記録の付け方
  • 遊びのテーマと使用した道具
  • 子どもの反応や取り組み方
  • 翌日に向けた改善点

具体的でわかりやすい記録を取ることで、子どもの成長をより深く理解できます。

取り入れる時間帯やタイミングを見極める

模倣遊びを効果的に行うには、適切な時間帯やタイミングを見極めることが大切です。

例えば、午前中のエネルギーが満ちている時間や、食事後のリラックスした時間帯が模倣遊びに適しています。

また、子どもが自然と興味を示す瞬間を逃さずに一連の流れを活用することもポイントです。

取り入れ例
  • 親が掃除をしている場面を真似たがる場合、そのまま掃除ごっこに発展させる
  • 生活の中で遊びを取り入れる工夫をする

上記のように取り入れることで、より自然で楽しい模倣遊びが可能です。

まとめ

模倣遊びは、子どもの成長を支える大切な遊びの一つで、社会性や観察力、記憶力を高め、子ども同士の関わりの中で協調性も育まれます。

年齢や興味に合った内容を選び、日常生活の中に自然に取り入れることで、子どもが楽しく学びながら成長できます。

また、遊びの記録をつけることで、次の支援にも役立てることが可能です。

保育や家庭での実践を通じて、模倣遊びを子どもたちの発達促進に活かしましょう。

この記事が、模倣遊びの理解と活用の一助になれば幸いです。

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この記事を書いた人

ほいポケ編集部のアバター ほいポケ編集部 保育士ライター集団

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