1歳児のクラスの5月は、新年度が始まって1ヵ月が経ち、少しずつ園生活のリズムに慣れてくる時期です。
一方で、1歳児クラスは一般的に新入園児と在園児の両方が在籍しているため、特に新入園児はゴールデンウィーク明けには再び不安定になる子も少なくありません。
安心できる園生活を過ごすことが大切なこの時期だからこそ、個々の姿を丁寧に捉えた個人案作成が求められます。
本記事では、低月齢・高月齢それぞれの具体的な姿やねらいを詳しく解説します。
- 1歳児クラスの5月は、ゴールデンウィーク明けで情緒不安定になる子どもがいることを見越しておく
- 低月齢と高月齢の子どもでは発達が大きく異なるので、それぞれの欲求を満たせる環境を用意する
- 比較的戸外遊びに適した季節ではあるが、寒暖差や新年度の疲労があることに配慮して調整していく
ちあき【元保育士ライター】1歳児クラスは新入園児と在園児の両方が在籍することもあり、春はクラス運営が難しい時期でもありますね。
クラスの子どもたちを思い浮かべながら、ぜひ例文等を参考にしてください。


ちあき先生
認可保育園で勤務後退職して留学。その後は英語の幼稚園で働く。結婚を機に派遣保育士に転身し、さまざまな園で経験を積む。保育士歴は通算7年ほど。
子どもが重度アレルギー児になったことでライターに転身した2児の母。
【1歳児】5月の個人案の作成ポイント
【先輩保育士からのアドバイス】
チェックしておこう!
- 新入園児の慣れ具合を個別に把握しているか
- ゴールデンウィーク明けの情緒の変化を想定しているか
- 探索活動が活発になる時期であることを踏まえているか
- 言葉の芽生えや模倣行動に注目しているか
4月に新入園児の慣らし保育を終えることが多く、5月に入ると「慣れてきた頃だから安心」と思いがちです。
しかし、実際には疲れが出やすく、また寒暖差により体調を崩しやすい時期でもあります。
特に連休明けは、再び保護者との分離不安が強くなることも少なくありません。
また、低月齢の子どもは歩行が少しずつ安定し、高月齢の子どもは探索意欲が高まるので、それぞれ活動範囲が広がります。
個人案では「安心できる園生活の土台を作ること」と「それぞれの探索意欲を満たすことの」の両面を意識し、発達段階に応じた具体的な姿を記述しましょう。



私も1歳児クラスを担任したとき、新入園児と在園児それぞれの欲求を満たすのに苦労しました。
新入園児には安心できる土台を、園生活に慣れている在園児には欲求を満たせる環境を意識していました!
【1歳児・5月の個人案】子どもの姿
【低月齢】1歳2ヵ月~1歳7ヵ月
- 歩行が確立していき、自分で移動しようとする
- 保育者との愛着関係ができてくる
- 探索活動が活発になり、口に入れようとする
低月齢児は、歩行が確立していく頃で、どんどん活発になっていく時期です。
とはいっても、まだ歩行が不安定で転倒も多いのでケガには気をつけましょう。
行動範囲が広がったことで、より自分の身の回りの物への興味関心が深まり、触ったり口に入れたりして確かめる探索行動が活発になるので、誤飲には注意したいですね。
情緒面では、連休明けに不安定になる子もいるため、抱っこやスキンシップを通してまた園生活を安心して過ごせるように環境を整えていきましょう。



よちよち歩きの低月齢の子どもに活発な高月齢の子どもがぶつかる……などのトラブルも多い時期です。
それぞれが発散できる環境を用意したいですね。
【高月齢】1歳8ヵ月~2歳1ヵ月
- 簡単な言葉でのやり取りが増える
- 「自分でやりたい」という自己主張が強くなる
- 身の回りのさまざまな物に興味関心を示し、関わろうとする
高月齢の子どもたちは、少しずつ言葉でのコミュニケーションができるようになり「ちょうだい」「いや」「じぶんで」など意思表示がはっきりしてきます。
したがって、自己主張が強くなり、葛藤したり友達とトラブルになったりする場面も増える時期です。
言葉がスムーズに出てこないことで、咄嗟に手が出てしまったり、噛みつきなどのトラブルが起こるケースもあるかもしれません。
子どもたちの様子をよく観察しながら、子どもたち同士のコミュニケーションの橋渡しをしていきましょう。



トラブルは成長の証でもあります。感情を言葉に置き換えるサポートを丁寧に行いましょう。
1歳児共通の子どもの姿
- 保育者との信頼関係が安定し始める
- 戸外遊びへの関心が高まる
- 生活リズムが整い始める
5月は気候が比較的安定してくるので、戸外で体を動かす活動が増える時期です。
砂や草花など自然に触れる体験を取り入れ、季節を感じられる環境を用意するとよいでしょう。
また、連休明けは不安定になる子どもも多いですが、少しずつ1歳児クラスの園生活の流れを理解し始め、安心して過ごせる時間が増えてきます。
一方で、新しい環境や寒暖差の影響で疲れやすい面もあるため、ゆっくり過ごす時間も必要です。



最近の5月の末頃には、夏日を記録することもあります。適切な着衣で戸外活動ができるといいですね。
【1歳児・5月の個人案】ねらい
【低月齢】1歳2ヵ月~1歳7ヵ月
- 安心できる環境の中で歩行を十分に経験する
- 手先を使った遊びを楽しむ
- 喃語や身振りでの表現を受け止めてもらう
5月の低月齢児は、園生活に慣れてきた一方で、連休明けに不安定さが見られることもあります。
まずは特定の保育者との愛着関係を土台に、安心して過ごせることを最優先し、室内外での探索活動を十分に保障して「触る・握る・運ぶ」などの経験を積み重ねましょう。
歩行が始まったばかりの子も多いため、安全に配慮しながら移動の楽しさを味わえるようにすることが大切です。
また、喃語や指差しなどの小さな表現を丁寧に受け止め、コミュニケーションの芽を育てていきます。



発達を急がず、まずは「安心できる環境」から意識しましょう。信頼関係がすべての土台ですよ。
【高月齢】1歳8ヵ月~2歳1ヵ月
- 簡単な言葉で気持ちを伝えられるようにする
- 安心できる環境下で「自分でやりたい」気持ちを表現する
- 簡単な身の回りのことに挑戦する
高月齢の子どもたちは語彙が増え、意思表示がはっきりしてきます。
「いや」「じぶんで」といった自己主張が増えることは、自立への大切な一歩です。
保育者は気持ちを言葉に置き換えながら受け止め、「伝わった」成功体験へとつなげていきましょう。
また、友達と同じ空間で過ごすことで子どもたち同士の関わりが増えてきて、社会性の芽生えも見られます。
関わり方を見守り、必要なときはサポートに入り橋渡しをし、適切なコミュニケーションを伝えていきましょう。



否定せず、気持ちを代弁しながら見守りましょう。
1歳児共通のねらい
- 安心して園生活を送る
- 生活リズムを整える
- 戸外で身体を十分に動かす
- 保育者との信頼関係を深める
5月は気候が安定し、戸外活動を積極的に取り入れやすい時期です。
散歩や園庭遊びを通して自然に触れ、身体を動かす楽しさを味わいます。
一方で、5月の末には夏日を記録するなど寒暖差が大きい時期でもあり、さらに新年度の疲れも出やすいため、十分な休息を確保し、生活リズムを整えることも大切です。
どの発達段階の子にとっても、安心できる保育者の存在が活動の広がりにつながるので、日々のやり取りを丁寧に重ね、信頼関係をより深めていきましょう。



活動と休息のバランスを意識し、心地よく過ごせるように配慮しましょう。
【1歳児・5月の個人案】環境構成と保育者の配慮
【低月齢】1歳2ヵ月~1歳7ヵ月
- 安心できる保育者の近くで遊べる空間を作る
- 誤飲につながる玩具を精査し、近くに置かない
- はいはいや歩行を十分に楽しめるスペースの確保する
低月齢の子どもたちは、園生活に慣れつつも情緒が揺れやすい時期でもあります。
まずは保育者の姿が見える位置で安心して遊べる環境を整え、歩行が不安定な子どもの近くには、転倒したときにケガにつながりそうな玩具を置かないなどの安全対策をしましょう。
はいはい、つかまり立ち、歩行などの発達段階に応じて身体を十分に動かせるスペースを確保することも大切ですよ。



安心、安全の環境を確保しながら、意欲を止めない空間を意識できるといいですね!
【高月齢】1歳8ヵ月~2歳1ヵ月
- 自分で取り組める玩具や生活動線を工夫する
- トラブルを想定しスペースを分ける
- 言葉を引き出す関わりを意識する
高月齢の子どもたちは「自分でやりたい」気持ちがどんどん強くなる時期なので、取り出しやすい玩具棚や着脱しやすいように小さめのイスなどを用意しておき、主体的に行動できるよう配慮するとよいでしょう。
友達との関わりが増える分トラブルも起こりやすいため、遊びのコーナーを分ける、十分な量のある玩具を提案する、同じ玩具を複数用意できるようにしておくなど環境で予防することも大切です。
また、言葉の発達をサポートするために、保育者は気持ちを丁寧に代弁しましょう。



玩具の取り合いは、十分な量を用意しておくことで避けられることもしばしばあります。まずは環境で防げないか考えてみましょう。
1歳児共通の環境構成と保護者への配慮
- 安心できる一日の流れをつくる
- 活動と休息のバランスを取る
- 家庭との生活リズムの共有
- 成長の姿を具体的に伝える
1歳児クラスでは、毎日の生活の流れを安定させることが安心感につながります。
活動が活発になる一方で新年度の疲れも出やすいため、休息スペースを確保し無理のないスケジュールを心がけましょう。
また、ゴールデンウィーク明けは生活リズムが崩れやすいため、家庭との情報共有が重要です。
日々の小さな成長や挑戦の姿を具体的に伝えることで、保護者の安心感にもつながりますよ。



子どもだけでなく、保護者の安心も支える視点を忘れずに個人案へ反映しましょう。
【1歳児・5月の個人案】食育
【低月齢】1歳2ヵ月~1歳7ヵ月
- 保育者に見守られながら安心して食べる
- 手づかみ食べを十分に経験する
- 食材の感触や匂いに触れる
- 一人ひとりの食事量や体調に配慮する
低月齢の子どもたちは、中には離乳食が終わって間もないこともあり、体調や情緒によって食事にムラがあるケースも少なくないです。
まずは、安心できる雰囲気の中で「食べることは楽しい」と感じることを大切にしていきましょう。
手づかみ食べは発達にとって重要な経験であり、こぼすことも学びです。
食材のわらかさや温かさなど五感で感じることが、食への興味を広げることにつながります。
無理に完食を目指すのではなく、その子のペースを尊重することが基本です。



「きれいに食べる」よりも「楽しく食べる」を大切にしましょう!
【高月齢】1歳8ヵ月~2歳1ヵ月
- スプーンやフォークを使う経験を増やす
- 「自分で食べたい」気持ちを尊重する
- 食事のマナーの基礎を伝える
- 食材の名前や簡単な言葉に触れる
高月齢の子どもたちは自分で食べる意欲がどんどん高まり、スプーンやフォークを使おうとする姿が見られます。
うまくいかずこぼすこともありますが、挑戦を受け止めることが大切です。
また、「いただきます」「ごちそうさま」などの挨拶や、座って食べる習慣など基本的なマナーの芽も育てていきましょう。
食材の名前を伝えたり、「にんじんだね」と声をかけたりすることで、言葉と食の結びつきも深まります。



できた部分をしっかり認め、「自分でできた!」を増やす関わりを心がけましょう。
1歳児共通の食育
- 楽しい雰囲気で食事をする
- 家庭との食事状況を共有する
- 食べる意欲を育てる声かけを行う
5月は園生活のリズムが少しずつ整い始める時期です。
決まった時間に食事をとることで、空腹感や満腹感を感じやすくなります。
食事中は落ち着いた雰囲気で、保育者が一緒に「おいしいね」と共感することで、食事の楽しさを伝えていきましょう。
また、連休明けは家庭での生活リズムが乱れがちなため、食事量や内容を保護者と共有すると安心ですね。
無理なく食べる意欲を育てる姿勢が大切です。



楽しい食事時間を積み重ねることが未来の食を楽しむ心につながります!
【1歳児・5月の個人案】作成する際の注意点
1歳児の5月は、慣れと疲れが入り混じる時期です。
新年度の延長線上ではなく「5月ならでは」の姿を具体的に捉えることが、実践につながる個人案作成のポイントになりますよ。
注意点を確認しておこう!
- GW明けの情緒の揺れを想定する
- 月齢差を書き分ける
- 安心できる環境を第一に意識する
- 家庭との連携内容を具体的に記す
5月は園生活に慣れたように見えても、連休明けに不安定になる子も少なくありません。
したがって、落ち着いてきた前提で個人案を作成するのではなく、情緒面の変化を見越して具体的に記すことが重要です。
また、1歳児クラスでは月齢差が大きいため、発達段階に応じた書き分けを意識しましょう。
さらに、家庭との生活リズムの共有や食事・睡眠状況なども記載し、実践につながる内容にするといいですね。
【1歳児・5月の個人案】自己評価・反省の例文
自己評価や反省は、子どもの姿と保育者の関わりを振り返り、次の実践へとつなげる大切な視点です。
1歳児の5月は安心できる環境の中で過ごせるようになることが中心となるため、情緒面や生活面の変化を具体的に振り返ることがポイントになります。
低月齢・高月齢それぞれの例文を紹介します。
低月齢の自己評価・反省の例文
- 保育者との関係が安定し、安心して探索する姿が増えた。
- 歩行への挑戦が増えたが、安全確保の配慮をさらに工夫したい。
- 連休明けに情緒が不安定になる姿が見られたため、関わりを見直した。
- 手づかみ食べを楽しむ姿が見られた。



低月齢の子どもはどれだけ保育者と信頼の土台がどれだけ築けたかが評価の軸になります。
また、探索や歩行への挑戦が増える時期なので、安全面や情緒面の配慮が十分だったかを振り返ることも重要ですよ。
連休明けの変化や食事、睡眠などの生活面の具体的な姿を記録することで、6月以降の個人案の作成に活かせます。
高月齢の自己評価・反省の例文
- 「自分でやりたい」という気持ちが出てきて、環境を整えることで成功体験を積めた。
- 子どもたち同士での関わりが増えたので、トラブル場面へのサポートを見直す。
- 言葉でのコミュニケーションが増えた。
- 連休明けに甘えが強くなったため、関わりを再確認した。



高月齢の子どもたちは自己主張が増えてきたり、子ども同士での関わりが広がる時期です。その中で、保育者がどのように気持ちを受け止め、仲立ちをしたかが評価の視点になります。
できたことを肯定的に捉えつつ、改善点を具体的に示すことで、次月の個人案へとつながりますよ。










