保育士の仕事はやりがいを感じますが、労働環境や待遇、家庭との両立に悩み、「このまま同じ職場で働き続けていいのだろうか?」と不安に思っている人は少なくありません。
もし、今直面している働き方の課題があるなら、保育業界内・業界外での転職を検討してみるのはいかがでしょうか?
本記事では、保育士に人気の保育業界内外での転職先と異業種に転職した保育士の体験談を紹介しています。
保育士としての経験を活かしつつ、より良い働き方を模索している方はぜひ参考にしてください。
- 保育士を退職・転職する理由は「人間関係」、「業務量の多さ」、「賃金の安さ」など。
- 保育士の転職先ランキング【保育業界編】
- 保育士の転職先ランキング【保育業界以外編】
- 転職しやすいおすすめの職種4選
- 実際に保育士を退職した体験談
保育士を退職する理由や転職する理由
- 職場の人間関係
- 給与が安い
- 仕事量が多い
- 労働時間が長い
- 妊娠、出産、子育て
保育士を退職・転職する理由は人によりさまざまですが、厚生労働省のデータによると代表的な理由として、職場の人間関係、賃金の安さ、長時間労働、業務量の多さなどが挙げられます。
また、保育士の仕事は子育てとの両立が難しいと感じる人も多く、子どもが体調を崩すたびに早退や欠勤をすることに対して、働きにくさを感じている背景もあります。
保育士としてさらなるキャリアアップを望んだり、身につけてきた自分のスキルを別の業種で活かしたいと考える人が増えていることも理由の1つです。
保育士転職先ランキング【保育業界編】
保育士が保育業界内で転職を考える場合、さまざまな選択肢があります。
今悩んでいる課題を解決するために、より安定した職場を求める場合や、職場環境の改善を目指す場合、他の保育施設への転職が人気です。
ここでは、保育業界内での転職先ランキングを紹介し、それぞれの特徴やメリットについて解説します。
①運営元が大手の保育施設
運営母体が大手企業の保育施設は、給与や福利厚生が充実していることが多いです。
大手ならではの運営基盤がしっかりしているため、安心して長く働ける職場として人気があります。
また、独自の研修制度が整っている場合もあり、希望者には海外研修などが設けられています。
主任や園長だけでなく、複数の園を統括するマネージャーや本部職員などの幅広いキャリアアップ先があるので、キャリアを積んでいきたい保育士に適した環境です。
②公立保育園
公立保育園は、自治体が運営しているため、園自体の運営の安定性が高いです。
公立保育園で働く保育士は、地方公務員として働いているので一般的な保育施設と比較して、福利厚生が手厚く、退職金や育児休暇、産休なども安心して取得できます。
したがって、長く安定して働きたい保育士にぴったりの環境です。
また、公立園は地域に根ざした保育を行っているため、地元での信頼が厚く、保護者との関係も築きやすいです。
③規模の大きい保育園
大規模な保育園は、職員の人数が多いため、フォロー体制が整っておりチームワークが良い園がたくさんあります。
職員の人数が多いからこそ、それぞれの役割分担が明確で、かつ業務のマニュアル化が進んでいるので、園児が多くても職員1人あたりの負担が少ないこともあります。
また、園全体で経験の少ない保育士や子育て中の保育士のサポートする雰囲気があります。
大勢の職員や園児に囲まれて、経験を積みたい保育士におすすめの転職先です。
④院内保育施設
院内保育施設は、病院に勤務する医師や看護師の子どもを預かる保育施設です。
病院で働く職員のシフトに合わせて保育時間が設定されているため、24時間体制での保育を提供している園もあります。
夜間保育があるため、通常の保育施設とは異なる勤務形態ですが、その分、夜勤手当などが支給され、待遇が良いこともあります。
また、いざという時に医療機関のサポートを受けやすく、保育士として働く安心感もあります。
⑤小規模保育園
小規模保育園は、定員19人までの少人数で0~2歳児クラスの子どもの保育を行います。
定員数が少ないことで、他の保育施設と比較して家庭的な雰囲気で子どもの成長や生活リズムにじっくりと向き合った保育ができる点が特徴です。
また、職員も園児も少数のため、保護者とのコミュニケーションが密になる傾向があり、寄り添った子育て支援ができます。
低年齢児の保育に丁寧に関わりたい保育士に特におすすめの転職先です。
⑥企業主導型保育施設
企業主導型保育施設は、企業が従業員のために設けた保育施設であり、地域の子どもたちの受け入れもありますが、主に社員の子どもたちに保育を行います。
通常の保育園と異なり、企業の運営方針に基づいた柔軟な運営が特徴です。
従業員向けの福利厚生として保育が提供されるため、保育士にとっても企業の安定したサポートが受けられます。
また、園児数が限られているため、落ち着いた環境で保育ができる点もメリットです。
⑦子育て支援施設
子育て支援施設は、地域の子育て世帯をサポートするための施設です。
職員は、遊びに来た親子に子育て経験や保育士の経験を活かしたアドバイスやサポートを行います。
施設内での遊び場の提供や保護者への子育て相談、情報提供、子育てイベントの企画・運営を行うこともあります。
保育士としての知識や経験を活かしつつ、保護者と直接的に関わりながら支援できるため、子どもだけでなく家庭全体をサポートしたいという保育士に向いています。
保育士転職先ランキング【保育業界以外】
実は保育士の転職先としてあまり知られていませんが、保育業界以外にも、保育士としての経験やスキルを活かせる職種はあります。
保育士としてのキャリアを活かしながら、別の分野で新しい働き方を模索する方も少しずつ増えてきました。
本章では、保育業界以外で人気の転職先ランキングを紹介し、それぞれの職種の魅力について解説します。
①幼児教室
幼児教室は、知育や英語教育、音楽などを中心に、子どもの教育をサポートする施設です。
保育士として子どもに対する豊富な知識と経験が、子どもたちの成長や学びのサポートに役立ちます。
教室のカリキュラムは施設によって異なり、特定のスキルや知識があるとより活躍しやすいですが研修なども充実しているケースが多いので安心です。
保育だけでなく、教育に特化した活動ができるため、子どもの成長を教育的な視点からサポートしたい保育士に向いています。
②ベビーシッター
ベビーシッターは、家庭を訪問して子どもの世話をする仕事です。
保育士としての資格や経験があることで、保護者からの信頼を得やすく、今まで培ってきた保育スキルを活かせます。
家庭のニーズに応じた柔軟な対応が求められますが、マンツーマンで保育するため、目の前の子どもに合わせてじっくり向き合うことができる点が魅力です。
保護者の要望に合わせた細やかなサポートができるため、保育士としてのスキルを個別に活かしたい人に向いています。
③託児所スタッフ
託児所スタッフは、企業や商業施設内に設けられた一時預かりの託児所で、基本的には短時間の保育を担当します。
保護者がショッピングや仕事の間に子どもを預かり、安全に過ごせる環境を提供するのが主な役割です。
一時預かりは短期間の保育が中心なので、保育園とは異なり連絡帳や月案などの書類業務が少ないことがほとんどです。
短い時間での勤務が希望だけど、子どもを見守る仕事をしたい保育士に向いています。
④写真スタジオのスタッフ
写真スタジオのスタッフは、子どもや家族写真の撮影をサポートする仕事です。
保育士としての経験を活かして、子どもたちをリラックスさせたり、自然な笑顔を引き出したり、視線を誘導したりすることが求められます。
七五三やお宮参り、誕生日など、子どもの大切な瞬間を記録するために多くの子育て世帯と関わりますが、保育士としての培ってきたコミュニケーション能力が活かされるでしょう。
保育業務とは異なる分野ですが、子どもと関わる仕事を続けたい方に人気の職種です。
⑤子ども関連のサービスを展開する一般企業
- ベビー用品
- おもちゃのメーカー
- 子ども向けのアパレルメーカー
子ども関連の商品やサービスを提供する企業での仕事も、保育士としての経験を活かせます。
例えば、ベビー用品、おもちゃのメーカー、子ども向けのアパレルメーカーなどでは、保育士の視点を活かして商品開発やマーケティングに携わることができます。
保育現場での経験があることで、実際に使用する保護者や子どものニーズをしっかりと把握できるため、商品やサービスの質を高める提案が可能です。
⑥保育士向け人材派遣会社
保育士向けの人材派遣会社では、保育士の資格や経験を活かして、求職者と保育園をつなぐ仕事をします。
保育業界で実際に勤務していたからこそ、求職者が新たな就職先の保育園に求める条件に深く共感ができるので、求職者の希望にぴったり合う職場の提案が可能です。
また、求職活動中の保育士にとって、元々保育士だったスタッフに転職のサポートをしてもらえることは、とても心強く頼りにされるでしょう。
⑦保育士養成学校の講師
保育士養成学校の講師は、保育士を目指す学生に対して、保育の基礎知識や実技を教える職業です。
保育現場で培ってきたリアルな経験を活かして、実際の保育のノウハウや現場の実情を伝えることができます。
保育現場で常に子どもたちを相手にわかりやすい言葉でコミュニケーションを取ってきた経験が、わかりやすい講義内容の構成や伝え方に活かせます。
現場経験を次世代の保育士に伝えたいと考える人には、やりがいのある仕事です。
保育士から転職しやすいおすすめの職種
保育士から他の業種への転職を考えている方に向けて、比較的転職しやすい職種を紹介します。
保育士としての経験やスキルはさまざまな分野で活かすことができ、働き方を変えながらも子どもや人と関わる仕事を続けることが可能です。
本章では、保育士からの転職がしやすいおすすめの職種について詳しく解説します。
①介護職
介護職は、保育士と同様に人とのコミュニケーションが求められる仕事です。
高齢者との関わりが中心となりますが、相手のニーズに応じたケアを行う点では、保育の仕事で身につけたスキルが役立ちます。
また、介護業界は慢性的な人手不足が課題となっており、介護職未経験でも転職しやすい業界になっています。
介護の基礎知識や資格取得が必要になる場合もありますが、研修制度が充実している企業が多く、サポートを受けながらスムーズに転職することが可能です。
②接客・販売
接客・販売の仕事は、保育士としてのコミュニケーション能力が活せる職種です。
顧客との円滑なコミュニケーションが求められるため、保育士時代に培った対人スキルが役に立ちます。
また、子ども向けの商品やサービスを提供する店舗では、保育士の知識や経験が商品提案や顧客対応に活かされることが多いです。
接客業はシフト制の仕事が多く、ライフスタイルに合わせた働き方ができる点も魅力です。
③事務職
事務職では、保育士時代に培った細やかな気配りや、マルチタスクをこなすスキルが活かされます。
未経験でもOKな求人もたくさんありますが、保育士の経験だけでなく、パソコンの基本的な操作やデータ管理の経験があるとさらに転職が有利になるでしょう。
保育業界とは異なり、事務職では土日休みや残業の少ない職場が多く、ワークライフバランスを重視したい方におすすめの仕事です。
④ライター業
ライター業は、記事やコラムを執筆する仕事です。
保育の仕事をする中で、連絡帳や日誌、月案や行事の企画書、園だよりなど多種多様な書類をわかりやすく書くことが求められた経験がそのまま活かせます。
保育や育児に関する情報を求めている読者層に向けた記事作成では、保育現場でのリアルな体験を反映させた記事の執筆が可能です。
また、フリーランスとして在宅で働ける点も大きな魅力で、子育てや介護と両立しながら働きたい人に人気の仕事です。
「転職を検討している方へ」保育士から転職した人の体験談
保育士として働いていると、仕事へのやりがいを感じる半面、労働環境や待遇面、子育てとの両立などに悩むことも多いのではないでしょうか。
本章は、保育士から別の仕事に転職した人の体験談を紹介します。
働き方に悩んでいる方や新しいキャリアを模索している方はぜひ参考にしてください。
- 保育士歴:7年
- 勤めていた保育園の規模:90名定員の認可保育園
なぜ保育士を退職されたのですか?
保育の仕事と子育ての両立ができずに退職しました。
2人の子どものうち、下の子が病弱で喘息とアトピー性皮膚炎、重い食物アレルギー(小麦と卵)があります。
私は3歳児クラスの副担任として育休から復帰しましたが、子どもが通う保育園からのお迎え要請がひっきりなしで、1週間のうちフルで働けた日がたったの1日ということもありました。
そんな矢先に、下の子どもが入院することになり、これ以上仕事と子育ての両立を目指すことは困難だと判断し退職しました。
今のお仕事について教えてください
現在はフリーランスのWebライターとして活動しています。
子どもが入院していても、アレルギーの影響で保育園に通えない日も在宅で子どものお世話をしながら仕事をする方法を模索し、Webライターという働き方にたどり着きました。
現在はクラウドソーシングサイトを通して記事執筆の案件を受注したり、自分のSNSを活用してクライアントと繋がり、新しい仕事の依頼をいただくこともあります。
子ども優先で働ける点が魅力です。
現役保育士さんで転職を検討されている方へ
保育士として働きながら子育てを両立することは、子どもが小さく健康に問題がある私の場合、とても大変でした。
結果的に退職を選び、今はフリーランスのWebライターとして、在宅で子どもを優先しながら働いています。
転職を考えている現役の保育士のみなさんも、今の自分の人生における大事なものを明確にして、自分や家族に合った働き方や職場を探してみてください。
転職をすることで、より充実した生活が送れますように応援しています!
まとめ
保育士として新たな転職先、保育士の経験を活かした保育業界以外の転職先、どちらも豊富な選択肢があることがわかりました。
今の働き方や職場環境を見直す際には、保育業界内の選択肢に絞らずに、保育業界以外の職種にも幅広い選択肢があると知っておくことが大切です。
知った上で自身のスキルや経験を活かし、どのような仕事が自分に合うのか、どんな働き方が理想かをしっかり考えてみてくださいね。
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