「主任保育士はどんな仕事をするの?」
「きつい、怖い、嫌われるといわれるけど本当?」
現場で働く保育士たちをまとめるリーダーであり、園長のサポート役でもある、主任保育士。
実際、どんな役割を担い、どんな悩みがあるのでしょうか?
主任保育士という立場がつらい場合の対処法についても、詳しくご紹介します。
現在、主任保育士として働き、様々な悩みを抱えている方も、是非ご覧ください。
- 主任保育士は現場保育士の指導や各クラスの支援など、様々な重要な役割を受け持つ
- 向いていない・嫌われる・怖がられるといった、主任保育士ならではの悩みがある
- 主任保育士に不向きな人とは、協調性が低く、感情的になりやすい傾向がある
- 主任保育士という立場がつらい場合は、無理せず園長に相談したり、転職・休職・退職を検討しよう

主任保育士の役割とは?
主任保育士の役割について真っ先に思い浮かぶのは、保育士たちをうまくまとめる、現場の最高責任者、というイメージではないでしょうか。
保育の質を上げていけるよう、保育士一人一人の指導を行い、相談にも乗る、保育士たちの頼れる存在です。
他にも主任保育士の役割は、園長の補佐や園の運営、保護者との連携やサポートなど、実に多岐にわたります。
ここでは、主任保育士の様々な業務の中でも、特に重要な3つの役割についてご紹介します。
他の保育士を指導する立場である
主任保育士としての主な役割として、まず第一に思い浮かぶことは「保育士の指導や育成」でしょう。
現場の保育士へ保育の指導・相談を行い、意欲と自信を持ち、子どもと向き合うことができるよう支えていく、大事な役割です。
子どもたちの心身の健やかな成長の為にも、日々保育の内容が適切かどうか、冷静で客観的に見極め、対応する責任があります。
保育に支障や問題がある場合は、正しい方向へと導いていく技量が必要です。
指導や育成を誠実に受け止めてもらうには、保育士との信頼関係の構築も不可欠になります。
役職がつくため責任が重くなる
主任保育士は、現場の最高責任者です。
役職がつくため、何か起きた時には、現場の保育士以上に責任を背負うことになります。
例えばケガや事故の場合、子どもや保護者への謝罪や対応はもちろんのこと、現場の保育士のことも守らなければなりません。
子どもや保護者だけでなく、園全体を守る立場にあることを念頭におき、的確な対応をすることが求められます。
主任保育士として、常に責任の重さを認識し、気を配る姿勢がとても大切ですね。
担任は持たない代わりに各クラスを支援する
主任保育士は基本的には、担任を持たずフリー保育士として在籍します。
園全体の様子を把握しながら、状況に応じて各クラスに入る役割を担うのです。
保育士の配置人数が基準を満たしていない、という場合だけではありません。
子どもの様子や活動内容により人手が足りない状況の時も、自ら保育に入り支援するといった、臨機応変な行動・判断力が必要です。
よって、日ごろから各クラスの保育士とコミュニケーションをとり、子どもたちの姿をよく観察し、全てのクラスについてしっかりと把握しておくことが肝心です。
【元保育士が解説】主任保育士ならではの悩みとは?
現場の保育士をまとめる立場の主任保育士ですが、保育士たちの保育スタイルや性格は実にさまざま。
なかなか思い通りに統率できないのはよくあることであり、主任保育士にとってはおそらく、1番の悩みの種でしょう。
また、保護者との人間関係や仕事量の多さから、心身共に疲れ、必要以上に深く悩んでしまうことも。
精神面でも肉体面でも負担が大きい、主任保育士ならではの悩みについて、元保育士が解説していきます。
主任保育士に向いていないと思う
保育園で働いている主任保育士です。
現場の保育士とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、求めていることが噛み合ってなくて、このまま主任を続けていっていいのか退職した方がいいのか悩んでいます。
ベテランの保育士が揃っているのですが、次に主任を受けてくれる人がいません。引用:Yahoo!知恵袋
現場の保育士との関わり方に悩む主任保育士は、たくさんいます。
コミュニケーションがうまくいかず、求めることがなかなか伝わらないのは、自分に自信も無くなり、とても辛いですよね。
ベテラン保育士も主任保育士の大変さが分かるため、引き受ける自信がないのでしょう。
世の中、誰一人として同じ人はいない為、一つのことを伝えても受け取り方がそれぞれ違うのは、保育士同士でも当然起こりうることです。
一度では伝わらない、思い通りにいかないのは当たり前のこと、と思えると、少し気持ちが軽くなります。
気持ちにゆとりができると客観的に物事を見られるようになり、思い違いを防ぐ伝え方にも気づけるかもしれません。
また、信頼関係の構築ができていないことも、うまくいかない理由の一つです。
焦らず時間をかけ、普段から保育士たちとコミュニケーションを図り、良好な関係を築いていくことで、上手に伝える方法や、保育士たちの気持ちも見えてくるでしょう。
他の保育士から怖がられる
保育士です。
初めてクラスを持った子たち(0歳〜3歳まで持ち上がり)が今、年中なので、あと一年で卒園します。同じタイミングで退職しようと考えているのですが、最近、主任からの圧?というか、見張られているというか、存在が怖くなりつつあります。部屋のドアが開く音、足音、周りから聞こえる声など敏感になり、ビクビクしていることが増えました。卒園するまでのあと一年耐えるか、子どもたちを見送れないまま退職するか、どちらかで迷っています。どちらがいいでしょうか?また何かアドバイスなどありますでしょうか?引用:Yahoo!知恵袋
主任保育士は役職がついている以上、現場の保育士から一目置かれる存在になるのは仕方のないことです。
各クラスに目を配り、より良い保育へと保育士たちを導く責任と役目があるからです。
しかし、現場の保育士が退職を考えてしまうほど萎縮してしまうということは、普段から穏やかに指導を行うような主任保育士ではないことが伺えます。
主任保育士が理不尽に怒り出す、子どもの前でも圧をかけた態度をとるといった場合は、我慢せず、園長や先輩保育士に相談することをお勧めします。
怖いと思わせることは恐怖感を与えるだけで、指導どころか何も生み出しませんし、子どもたちにも悪影響ですよね。
また、話し合うことで主任保育士が自身の姿を見直すきっかけになり、良好な関係作りへと変わる可能性もあります。
初めて受け持った子どもたちの卒園を保育士として見届けたい、という思いはとても素敵ですね。
子どもたちや保護者にとっても嬉しく、心に残ることでしょう。
嫌われている
保育士、主任園長代行しています。最近管理者からは私の意見は全否定され、ガン無視されます。もう5ヶ月くらい。私は何の為にここにきたのか、何のためにここに居るのか、わからなくなり、自分
の居場所さえ見失っています。このままここに居て良いのか。自分が何をしてるのかさえ、わからなくなっています。退職も考えています。管理者から、保育士なんて、誰でも出来ると言われ、そのショックから、保育士を30年続けてきた思い、やる気がなくなった。こんな思いされた方いらっしゃいますか?引用:Yahoo!知恵袋
上記の悩みにあるような職場環境において、自信ややる気を無くしてしまうのは当然のことです。
- 意見を聞き入れてもらえない
- 無視される
- 傷つくような言葉を言われる
自分に思い当たる節があるなら直す努力ができるのですが、これといって思い当たる落ち度がない場合、「嫌われても仕事だから」と割り切るにも、精神的限界がありますよね。
特に主任保育士の場合、園長などの上の立場の人間・現場保育士などの下の立場の人間、どちらとも日々関わるポジションにいるため、両方から嫌われてしまうことも。
苦しい胸の内を話せる保育士がいれば、話しを聞いてもらい、共感してもらうことで、再び自信を取り戻し、乗り越えることができるかもしれません。
しかし、誰にも相談できないような人間関係・環境であれば、今後の改善はおそらく難しいかと思われます。
無理せず、転職や休職・退職を視野に入れ、どうか自分の心を守ってください。
長時間勤務がきつい
主任保育士をしております。
長時間勤務に悩んでおります。日中は保育に入ったり、電話対応、来客対応、保育士の話を聞くなどして終わります。大体17時ぐらいから子どもたちが減り始め、職員も退勤していき、そこから事務仕事が始まります。毎日12時間勤務は当たり前。年度末等は15時間以上の勤務時間となります。もちろん管理職なので残業代は出ません。休日出勤もあります。
主任保育士をやってらっしゃる方、保育園にお勤めの方、この働き方についてどう思われますでしょうか。ご意見よろしくお願いいたします。引用:Yahoo!知恵袋
主任保育士は、保育以外の他の業務も担当するため、仕事が増えます。
しかし、何もかも全てを引き受けてしまうと、業務が終わらず溜まっていき、立ち行かなくなってしまうことも。
主任保育士として必要な仕事のみをピックアップし優先順位をつけてこなしていき、他の保育士に任せられる仕事は、分担する
上記を実行することで、主任保育士の仕事が明確になり、負担も軽くなります。
そして仕事を任された保育士にとっても良い経験となり、未来の主任保育士の育成にも繋がります。
工夫をしても仕事が追いつかない場合は、園の運営方針自体に問題がある可能性が高いということです。
加えて、規定以上の長時間勤務、残業代が出ないというのは違法になります。
園長に改善を訴えても改善しない場合は、労働基準監督署への報告や監査に値するほど重大な問題です。
保育士の長時間勤務による疲れは、保育の質の低下、子どものケガ・事故にも繋がってしまいます。
園長や管理者には今後、危機感を持って真剣に考えていただきたい問題ですね。
主任保育士に不向きな人の特徴
現在、主任保育士を務めているが、上手くいっていないと感じる人や、リーダーシップをとりながら行動することに経験が無い人や苦手意識のある人は、「そもそも自分は主任保育士には向いていないのでは?」と、自分の適正について疑問や不安を抱きやすいですよね。
では実際に、どんな人が主任保育士には向いていないのか、逆に向いているのはどういう人なのか、それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
他の保育士の意見を聞かない
他の保育士の意見を聞き、汲み取ることができない人は、主任保育士には向いていない可能があります。
その理由は、自分の意見が全て正解だと思い込み、他に良い意見が出ても気づかず、応じようとしないからです。
そのため、現場の保育士たちは不満を感じやすくなってしまい、関係がうまくいかなくなってしまうという結果に。
主任保育士として園をより良い方向に導いていくには、他の保育士の意見を聞き、互いに寄り添い、取り入れていくという能力が求められます。
保育士一人一人の声に耳を傾け、後輩の意見も尊重できるような人が結果的に下からも慕われ、主任保育士として能力を発揮できるような人材である、ということですね。
全て一人で抱え込もうとする
以下のようなタイプの方は、一人で仕事を抱え込んでしまうことが多く、主任保育士としての役割を果たしにくいかもしれません。
- まじめで責任感が強すぎる
- 人を頼ることが苦手
- 効率主義で自分で行う方が早いと思っている
自分で全てをこなそうとすると、他の保育士が新しいことに挑戦したり、経験を積んだりする機会が減り、育成の面でも影響が出てしまいますよね。
また、業務が増えるにつれて主任保育士自身が負担を感じやすくなり、結果的に自分を追い込んでしまうことに。
仕事を振り分けることに対して、「相手に負担や迷惑をかけてしまうのでは」と心配しすぎる必要はありません。
周りを信じて適切に業務を分担できる人こそ、主任保育士に向いていると言えるでしょう。
ネガティブな発言をしがち
愚痴や悪口などネガティブな発言が多い人は、主任保育士には向いていません。
- いつも悪口や陰口を言っている…「自分も言われているのではないか?」
- 園についての不満・愚痴が多い…「自己解決能力の低い人だ」
上記のように思われてしまい、信頼関係が築きにくくなってしまいます。
保育の現場では、悪口や陰口を控え、不満ばかりを口にしないことが大切ですね。
もし問題が起きても、前向きに解決策を考えられる人が、主任保育士としてふさわしいでしょう。
感情的になってしまう
感情の起伏が激しい人は、主任保育士としての役割を果たすのは難しいと言えます。
気持ちの浮き沈みが大きいと、周りの雰囲気にも影響を与えやすく、一緒に働く保育士たちも戸惑ったり、疲れてしまうことがあります。
園全体をまとめていくためには、主任保育士には冷静に物事を判断し、客観的に状況を見つめる力が求められます。
自分の感情に振り回されることなく、安定した気持ちで保育士たちを支えられる人こそ、主任保育士に向いているでしょう。
他の保育士の努力や成果を認めない
保育士が日々努力している姿や、成果を出したことを一緒に喜び、認めることができる姿勢は、主任保育士にとってとても大切です。
保育士が成長していくためには、意欲が欠かせません。
もし、努力や成果をきちんと認めてもらえない環境だと、成長に必要な意欲が少しずつ失われていってしまいます。
他の保育士の努力や成果に気づき、素直に認め、共に喜び合うことのできる人こそ、主任保育士にふさわしいでしょう。
人間関係の構築が苦手
保育の現場では、保育士同士の連携がとても大切です。
そのためには、まず良い人間関係を築くことが欠かせません。
コミュニケーションがうまくとれず、人間関係を築くのが苦手な方は、主任保育士としての役割を果たしにくいかもしれません。
人間関係を築くというのは、現場の保育士と個別に会話をしたり、必要に応じて意見交換の場を作ったりして、みんなが気持ちよく働ける環境を整えることを指します。
職場の人間関係が安定していると、保育士一人ひとりが安心して子どもたちと向き合い、生き生きとした保育ができるようになりますよね。
主任保育士には、積極的にコミュニケーションをとり、周囲と良い関係を築いていける人が向いているでしょう。
主任保育士という立場がつらい場合の対処法
「自分なりに頑張ってみたけど、やっぱり主任保育士として働くのはつらい」
「主任保育士としての立場自体がもう、無理だ」
今のつらい状況を変えるためには、どうしたら良いのでしょうか。
もう、自分の力だけでは解決が難しい、と判断した場合の、3つの対処法について詳しくご紹介します。
園長に相談する
まずはつらい気持ちを一人で抱え込まずに、園長に相談してみましょう。
園長に相談する際のポイントは以下の通りです。
- つらいことや悩んでいることを、素直に正直に伝える
- ただの文句や愚痴と捉えられてしまわないよう、気をつけながら話す
しっかりと聞いてもらい、つらい気持ちに理解を示してくれたり、寄り添ってもらえることで、気持ちが急に楽になることもあります。
また、園長が解決方法を提案してくれたり、良い方向へと導くために行動を起こしてくれるかもしれません。
退職を決断する前に、「また頑張ってみよう」という気持ちに切り替わる可能性も十分にあります。
転職活動をすすめる
以下のような場合には、誰にも打ち明けることができず、改善もしないまま、つらい状況が今後も続いてしまうだけなので、転職を考えましょう。
- 園長や周りの保育士に相談したが、何も変わらない
- そもそも園長や周りの保育士たちとは、相談できるような間柄ではない
何より大切なのは自分の心であり、自分の健全な心を守るためには、より良い職場で安心して働くことです。
転職活動には、園で働きながら探す方法と、退職後に探す方法の2パターンがあります。
現在の自分の生活スタイルに合わせて、無理なく転職活動を進めていけると良いですね。
- 保育士ワーカー
- ジョブメドレー
- 保育士バンク
思い切って休職・退職する
今の状況に心身共に疲れ切ってしまい、主任保育士としてこれ以上働く意欲が無い、という場合は、思い切って休職・退職を視野に入れましょう。
心身の健康は、他の何物にも代えがたいものです。
限界を迎えた今、自分の気持ちが最優先です。
- 休職の場合は、医療機関を受診し、診断書を取得しておくとやり取りがスムーズになる
- 退職の場合、一般的に1ヶ月以上前の申告が必要、と定められていることが多いが、園によって異なる場合もあるので、退職の意思が固まり次第、園長先生に伝えるようにする
つらい状況から心身共に離れることで、心が解放され、徐々に気持ちも安定し、再び復職や転職へと気持ちが向くかもしれません。
まとめ
主任保育士は保育士の指導や各クラスの支援など、様々な重要な役割を受け持つ、現場の最高責任者です。
他にも、園長の補佐や園の運営、保護者との連携やサポートなど、業務内容は多岐にわたります。
向いていない・嫌われる・怖がられるといった、主任保育士ならではの悩みがあり、業務量の多さや人間関係など、精神面でも肉体面でも負担が大きいポジションといえます。
主任保育士に不向きな人の特徴には、「意見を聞かない」「感情的になってしまう」など、主に人間関係を円滑に進められるかどうかが鍵となり、主任保育士として向いているのは、社会性・人間性が豊かな人です。
主任保育士という立場がつらいと感じるときは、一人で抱え込まずに、まずは園長に相談してみてください。
それでも負担が大きい場合は、転職や休職、退職といった選択肢も考えながら、どうか自分の心と体を大切にしてくださいね。
無理をしすぎず、自分に合った職場環境や働き方を見つけていけることが、何よりも大切です。
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