保育士の初任給は平均どのくらい?施設や地域別に徹底紹介!

保育士初任給

残業や持ち帰りの仕事が多いのに関わらず、安月給のイメージがある保育士。

保育士を目指している方の中には、「保育士の初任給っていくらくらいなのだろう?」「保育士の初任給は安いって聞いたけれど本当かな?」など、初任給が気になる方も多いと思います。

本記事では、保育士の初任給や初任給で一人暮らしするコツをご紹介するので、保育士を目指している方はぜひ最後までご覧ください。

この記事をまとめると
  • 保育士の初任給は平均21.4万円
  • 初任給は、年齢や地域、施設形態により多少異なる
  • 保育士の初任給でも一人暮らしは可能
  • 保育士の手取りを増やすには、キャリアアップ研修の受講や資格取得がおすすめ

新人保育士として働くことが決まった人の中には、同時に一人暮らしを始める人もいると思います。一人暮らしは引越し費用や家賃、生活費など出費が多く、初任給で補えるか不安ですよね。ですが、ポイントを押さえれば一人暮らしも問題なし。新生活を応援しています!

この記事を書いた人
岡本

ゆぴ  元保育士ライター

保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。

保育士の初任給は高い?安い?

保育士の初任給は低賃金と言われていますが、実際はどうなのでしょうか?

ここでは、令和5年の厚生労働省のデータを元に保育士の初任給を解説していきます。

新人保育士の場合でも年齢や地域、施設によって初任給は異なるので、自分が該当する項目を必ずチェックしておきましょう。

データで見る保育士の初任給

初めに、年齢や継続年数ごとの給料をまとめました。

経験年数0年を初任給と捉えた場合、20〜24歳の保育士の初任給は平均21.4万円でした。

初任給は勤務施設や地域によって差があり、初任給に加え賞与が支給される園もあるでしょう。

年齢/継続年数0年1〜4年5〜9年10〜14年
20〜24歳21.4万円22.9万円
25〜29歳22.6万円25.0万円25.6万円
30〜34歳24.8万円23.4万円25.8万円26.5万円
35〜39歳21.6万円24.1万円25.6万円27.3万円
40〜44歳26.8万円24.2万円23.7万円26.9万円

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査

保育士の初任給が高い地域はどこ?

次に、主要都市の医療・福祉職の初任給を比較していきます。

現金給与額のみを見る限り、静岡県が31.2万円、沖縄県が27.8万円と高いことが分かりました。

初任給は東京都が高いイメージがありますが、現金給与額自体がそれほど高いわけでなく、家賃手当や賞与などの支給で全体の年収が高くなっています。

都道府県決まって支給される現金給与額
北海道25.7万円
宮城県22.8万円
埼玉県27.6万円
千葉県26.8万円
神奈川県25.5万円
東京都24.6万円
新潟県20.7万円
静岡県31.2万円
愛知県26.5万円
京都府25.1万円
大阪府25.7万円
兵庫県25.9万円
岡山県24.9万円
広島県23.5万円
福岡県23.5万円
沖縄県27.8万円

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査 

初任給が高い保育施設は?

最後に保育施設ごとの令和6年3月の給与と、令和5年度の賞与を併せた平均給与を比較しました。

家庭的保育事業の36.8万円が最も高く、次いで保育所の34.8万円、幼稚園の33.5万円となります。

正確な初任給ではないですが、平均給与が高いと必然的に初任給も高いでしょう

保育士施設平均給与
保育所34.8万円
幼稚園33.5万円
認定こども園33.2万円
家庭的保育事業36.8万円
小規模保育事業(A型)29.4万円
小規模保育事業(B型)30.0万円
小規模保育事業(C型)30.4万円
事業所内保育事業(A型)28.2万円
事業所内保育事業(B型)27.9万円
事業所内保育事業(20人以上)30.1万円

初任給が高い施設は魅力的ですが、その分体力を必要としたり残業、持ち帰りの仕事が多かったりと苦労も多いです。保育業は忙しさや責任の重さがあることを十分理解しておきましょう。

参考:令和6年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果<速報>

保育士の初任給の内訳は?

「初任給から手取り額は何が引かれている?」「初任給はいつ入るの?」など、初任給に関する疑問は多いのではないでしょうか。

ここでは、保育士の初任給の内訳やボーナスの時期などを詳しく解説します。

就職前にお金の知識をしっかり身につけておけば、一人暮らしをしてもお金に困ることなく生活できますよ。

手取り額って何が引かれているの?

総支給額から健康保険料や税金などを引かれた金額を、手取り額と言います。

どのような項目が引かれているのかを、具体的にまとめました。

  • 健康保険料(医療費の軽減や手当金など公的医療保険のための保険料)
  • 厚生年金保険料(老後の生活などを支える厚生年金のための保険料)
  • 雇用保険料(失業給付や求職教育訓練など雇用保険のための保険料)
  • 所得税(個人の所得にかかり、国に納付する税金)
  • 住民税(自治体に納付する税金)

この他にも、40歳以上が払う介護保険料や財形貯蓄、社宅費などが控除されます。

手取りは総支給額の75〜85%と言われているため、初任給を21.4万円とすると手取り額は16〜18.1万円前後が妥当でしょう。

保育士ならではの手当ては何かある?

保育士に支払われる給与には、保育士のみに支給される以下のような手当が含まれています。

  • 資格手当(保育士資格取得者が貰える)
  • 特殊業務手当(残業や持ち帰りの仕事が多い場合に支給される)
  • 役職手当(主任保育士や園長、副園長などの役職に就くと支給される)
  • 扶養手当(配偶者や子どもを扶養している場合に支給される)
  • 保育手当(保育士が自分の子どもを保育施設に預けている場合、勤務先が保育費用を負担してくれる)

私は資格手当や特殊業務手当てに加え、通勤手当、調整手当が支給されていました。保育施設によって手当の数や金額が異なるので、就職前にどのような手当が貰えるのか確認しておきましょう。

保育士の初任給はいつもらえる?ボーナスは?

保育士の初任給の支給日は、園により異なります。

  • 当月末締め、当月25日払の場合…4月から働いた場合、4月25日に振り込まれる
  • 15日締め、当月25日払いの場合…4月16日〜5月15日の給料が5月25日に振り込まれる
  • 当月末締め、翌月25日払いの場合…4月から働いた場合、翌月の5月25日に振り込まれる

当月末締め、翌月末払いの場合だと、最初の約1ヶ月は給料が入らないことになるので、生活費が足りなくならにように事前にお金の管理をしておきましょう。

ボーナスは、基本的に夏と冬の年に2回支給する園が多いです。

公務員保育士時代は、6月と12月にボーナスが支給されました。前職の幼稚園や非常勤保育士時代とは額が大きく異なり、驚いた反面、とてもよろこんだ記憶があります。

保育士の学歴の差が気になる!初任給の違いはある?

「学歴によって初任給に差があるのでは?」と、気になる方もいると思います。

初任給の違いを学歴別にまとめたのが、以下の表です。

最も高い大学院の28.3万円と低い高校の18.1万円には、約10万円の差がありました。

保育士資格取得や保育園の面接では、学歴はそれほど重視されないものの、園の施設形態や方針によって初任給に違いがあるケースもあります。

少しでも多くの給料を貰いたいならば専門学校や短大、大学などを経てから保育士を目指すとよいでしょう。

高校専門学校高専・短大大学大学院
所定内給与額18.1万円22.8万円21.6万円25.1万円28.3万円

参考:厚生労働省 賃金構造基本統計調査

【元保育士ライターが解説!】初任給で一人暮らしは可能?

新卒で保育士として働き出すと同時に、一人暮らしデビューをする方も多いと思います。

「少ない初任給で生活できるかな」「職場から近い場所に住むべき?」など、疑問や不安も多いでしょう。

ここでは、元保育士ライターが保育士の一人暮らしに関するアドバイスをさせていただきます。

保育士の初任給で一人暮らしも不可能ではない!

結論、保育士の初任給でも一人暮らしは不可能ではありません

一人暮らしを始める際に必要な費用の一部を挙げました。

  • 引越し費用
  • 家具・家電費用
  • 敷金・礼金
  • 仲介手数料
  • 日割り家賃・前家賃
  • 火災保険・地震保険料

これだけを見ると、初任給だけで暮らすのは大変かもしれません。

実家から家具や家電を持ってくる、敷金・礼金のない部屋を借りる、レンタカーを借りて引っ越すなど、出費を抑える工夫が大切です。

職場に近すぎる自宅は要注意!

一人暮らしをする際、職場に近すぎる自宅を選ぶのは要注意です。

「職場が近ければ通勤時間が短かなってラッキー」と思いがちですが、休日に保護者や子どもにすれ違ったりプライベートな姿を一方的に見られるなど、プライバシーがないため職場付近に住むのはおすすめしません。

住む場所を決めるときには、以下の点にも注意しましょう。

  • 駅から近い場所
  • スーパーやショッピングモールから近い場所
  • 夜になると人通りが少ない場所

保育士ならではの一人暮らしの悩みとは?

新生活にワクワクするひとり暮らしですが、一方で保育士ならではの悩みもあります。

  • 早番の日は一人で早起きしなければいけない
  • 残業や持ち帰りの仕事があると帰ってから夕飯を作る時間がない
  • 家事と仕事を両立しなければならない
  • ピアノを置ける広さの部屋に住めない
  • 教材や資料を置くスペースが少ない

新卒で一人暮らしをするとなると、広さに余裕のある部屋に住むのが難しいため、ピアノや教材を置くスペースがなく困る場合も。

また、朝起こしてくれたり家事をしてくれたりする家族がいないので、仕事と家事を全て1人でこなさなければなりません

このように、一人暮らしの苦悩を理解した上で新生活を迎えられるとよいですね。

保育士の一人暮らしにおすすめな部屋は?

初めての一人暮らしに、どのような部屋を選ぶか迷うと思います。

元保育士視線から一人暮らしにおすすめの部屋を、以下に挙げました。

  • 防音に優れている部屋(ピアノやギターなどの練習に対応できるため)
  • 職場や駅から1km以上離れている部屋(保護者や職員との遭遇を防ぐため)
  • 押し入れやクローゼットなど収納場所が多い部屋(保育の教材や仕事着が嵩張るため)

仕事とプライベートを両方充実させるために、部屋選びにはこだわりたいですね。

保育士の初任給が少ない!保育士の手取りを増やす方法5つ

保育士に生きがいを感じつつ、「初任給が少ない」「年収をもっと上げたい」と思う方も多いでしょう。

ここでは、保育士の手取りを増やす方法を5つご紹介します。

キャリアアップ研修を受ける、資格を取得するなどすぐに取り掛かれる項目もあるので、気になるものがあれば早速行動に移してみてください。

①同じ職場で長く働く

1つめは、同じ職場で長く働き続けることです。

公立保育園をはじめとする一部の施設では、勤続年数で基本給が変わる定期昇給制度があり、働けば働くほど年収アップを目指せます。

また、同じ職場で働き続けて将来的に主任や園長、副園長に就き、役職手当を貰うのも夢ではありません。

現在の給料や職場関係に不満がないようであれば、今の環境で自分の力を確かめてみるのもよいでしょう。

②キャリアアップ研修の受講

2つめは、キャリアアップ研修の受講です。

保育士キャリアアップ研修制度は、給料の安さや役職の少なさを抱えた保育士の処遇改善を目的に厚生労働省が導入した研修です。

  • 乳児保育
  • 幼児教育
  • 障害児保育
  • 食育・アレルギー
  • 保健衛生・安全対策
  • 保護者支援・子育て支援
  • 保育実践
  • マネジメント

上記8分野の研修を終えてから役職に就くと、給料と一緒に役職手当が発生します

ゆくゆくは園長や主任、副主任保育士を目指している方は、ぜひ研修を受講してみてください。

③給料が高い職場への転職

3つめは、給料が高い職場への転職を検討することです。

前述にもある通り、家庭的保育事業(保育ママ)、保育園、幼稚園の初任給が高いと分かっています。

仕事量が多く大変ですが、その分達成感を味わえる職場でしょう。

後悔しない職場に転職するには、転職先の徹底リサーチが大切です。

転職サイトやエージェントを活用して、自分の希望に合った職場を見つけてみてください。

④キャリアアップに役立つ資格の取得

4つめは、キャリアアップに役立つ資格を取得することです。

保育士のキャリアアップにおすすめの資格を、以下にいくつか挙げました。

  • 絵本専門士
  • リトミック指導者
  • 食育アドバイザー
  • 医療保育専門士
  • おもちゃインストラクター

自分が興味のある分野や得意なスキルが活かされて、キャリアアップに繋がるかもしれません。

また、保育に関する資格は転職時にアピールできる材料にもなるので、最低1つは持っておくと便利ですよ。

⑤自治体の補助金制度を利用する

5つめは、自治体の補助金制度を利用することです。

各自治体により、保育士に向けた独自の補助金制度を揃えています。

ここでは、東京都千代田区の補助金制度を一例にご紹介します。

  • 借り上げ社宅制度(区内在住の場合、約8万円の家賃手当がつく)
  • 月額3万円の処遇改善加算の実施
  • 奨学金返済の支援(年間最大24万円支給)

借り上げ社宅制度の補助金額が多いなど、制度内容が充実している自治体で職を探すのも一つの手でしょう。

参考:千代田区保育従事職員宿舎借り上げ支援事業補助金交付要綱 保育士奨学金等返済支援事業補助金 千代田区保育施設等加算給付実施要綱

【まとめ】保育士の初任給は職場や地域で金額が違う!収入を増やす方法も考えておこう

保育士の初任給を、職場や地域別にご紹介しました。

初任給は21万円程度ですが、実際の手取り額は16〜18万円と少ないです。

初任給だけでの一人暮らしは可能であるものの、金銭的には厳しいでしょう。

キャリアアップを目指す、給料が高い職場に転職するなどして、収入を増やす方法を考えてみてくださいね。

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この記事を書いた人

保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の力になれるような記事を執筆しています。

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