アキ (元園長)
保育士歴18年・園長歴6年。 園長として多くの月案・週案をチェックしてきた経験を活かし、 効率よく質が高い月案・週案を仕上げられるようサポートします。
この記事では月齢に関わらず、2歳児向けの12月用の月案文例を解説していきます。
最初に月案作成のポイントをご紹介します。
ただ、いち早く例文をご確認したいという方は「こちらのリンク」を押してください。
元園長が教える月案・週案の重要ポイント
大前提、月案を作る上でどんなことが重要なのか?
実際に保育士さんたちの数々の月案をチェックしてきた元園長先生に、重要ポイントを伺いました。
- 年間カリキュラムに基づく計画を立てる
- まずは「前月の子どもの姿」から考え始める
- 「今月のねらい」と「具体的な内容」は連動して考える
この3つが、年齢・時期関わりなく月案を作成する上で意識してほしい点です。
要するに、「保育園での活動を通して、子どもたちにどんな姿になってもらいたいのか」を考えると良いということですね。
逆によくあるダメなパターンは、ねらいと内容が連動していないものです。
いったい何のための月案なのか考えられていないと、作り直しとなってしまいます。
5歳児・12月の月案のポイント
次に、「5歳児・12月」ならではの月案のポイントを紹介します。
- 寒くなり感染症が流行する時期を健やかに過ごすための保育者の配慮や、子ども達ができることを考える。
- 寒さの中でも、戸外へ出て体を十分動かして遊ぶ時間を作る。
- 行事やイベントを通して、子ども一人一人が自己を発揮し成長できる活躍の場を作る。
- 異年齢児と交流し、やり取りを楽しむ機会を多く持つようにする。
12月は楽しい行事やイベントが盛りだくさん。園の最年長児である5歳児クラスの子ども達は、活動の中心的存在です。
やり遂げることによって、一人一人の自信となるような関わりを行っていきたいですね。
それではここから、具体的な月案の例文をまとめていきます。
《 STEP1》 前月の子どもの姿を思い出す
- 寒くなってきたが、戸外で上着を着たりと自ら衣服の調節をし、元気に友だちと遊んでいる。
- 午睡をしない生活に慣れ、生活の見通しを立てながらすすんで身の回りのことや役割に取り組んでいる。
- 発表会に向けての準備・練習では、時々思いがぶつかり合いながらも、子ども同士意見を出し合いながら作り上げていく楽しさを感じているようすがある。
- 季節の変わり目の周囲の自然・環境に興味を持ち、触れたり調べたりして楽しんでいる。
《 STEP2》 今月のねらいを決める
養護のねらい
教育(5領域に対応)のねらい
養護のねらい①の具体的な月案
ねらい
冬の感染症について知り、予防の行動をする
養護・内容
- 冬の感染症の症状や予防の方法について知る。(生命の保持)
- うがい・手洗を丁寧に行う。(生命の保持)
養護・予想される子どもの姿
- 病気の予防の方法や、冬を快適で健やかに過ごす方法を、保育者や友だちと話し合う。
- うがい・手洗いが感染症の予防に繋がることを知り、丁寧に行う。
養護・環境構成/保育者の配慮
- うがい・手洗いの大切さを改めて知らせ、自ら丁寧に行おうとする姿を大いに認める。
- 手洗い場をこまめに清掃・消毒し、清潔を保つ。
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養護のねらい②の具体的な月案
ねらい
体の不調やけがを自ら保育者に訴える
養護・内容
- 体の不調の症状やけがの状態を、言葉にして保育者に伝える。(生命の保持)
- 体の不調を保育者に理解してもらい、安心する。(情緒の安定)
- 自分で自分の身を守ることの大切さが分かる。(生命の保持)
養護・予想される子どもの姿
- 体の不調から、不安なようすを見せる。
- けがを予測し、危ないことは避けようとする。
養護・環境構成/保育者の配慮
- 冬に流行する感染症の症状について分かりやすく説明し、気になる症状があったり体に異変を感じた時は、保育者に伝えるよう、子ども達にお願いする。
- 子どもの辛い症状に寄り添った言葉を優しくかけ、安心できるよう関わる。
- けがをした時の処置について、保育者間で対応の方法・手順を改めて確認しておく。救急箱の中身の在庫確認を行い、補充する。
>>ねらいを書き終えて行事や遊び、
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養護のねらい③の具体的な月案
ねらい
一日の活動の見通しを立てながら身の回りのことを行う
養護・内容
- 日々の生活の習慣や周囲の動きから、自分で次の活動を予測し考えて行動する。(健康・環境)
養護・予想される子どもの姿
- 次にする行動に自信が持てず、保育者の指示を待ったり聞きに来る。
- 保育者の動きや今までの経験をもとに、流れを予測して行動をしてみる。
養護・環境構成/保育者の配慮
- 「今日の活動」など今日1日に取り組む主な活動内容を、子ども達が見やすい場所に掲示しておく。聞きに来る姿も優しく受け止め、自信が持てるような関わり・声かけを行う。
- 自ら考え次の行動を起こそうとする姿を大いにほめ、意欲を高められるようにする。
>>ねらいを書き終えて行事や遊び、
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教育のねらい①の具体的な月案
ねらい
寒さに負けず、戸外で体をたくさん動かして遊ぶ
教育・内容
- 寒さの中でも戸外で思い切り体を動かし、開放感や心地よさを感じる。(健康・環境)
- 戸外へ出て、集団で行う遊びを楽しむ。(健康・人間関係)
教育・予想される子どもの姿
- 寒さの中でも戸外へ出ることを喜び、元気に遊ぶ。
- 友だちや保育者と一緒に、ドッヂボールや鬼ごっこなど集団での遊びを楽しむ。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 戸外での自由遊びの時間を多めに設け、ボールや縄跳び・フープなど、遊具を充実させておく。
- 保育者も遊びに混ざり一緒に楽しみながら、動くことによって体が温まる心地よさや開放感について共有する。
>>ねらいを書き終えて行事や遊び、
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教育のねらい②の具体的な月案
ねらい
自信を持ちながら、発表会に楽しく参加する
教育・内容
- 自己を発揮し、相手の意見も聞きながら、練習・準備を進める。(人間関係・言葉・表現)
- 発表会に自信と期待感を持って参加する。(表現)
教育・予想される子どもの姿
- 子ども同士、意見を出し合ったり協力し合うことの楽しさを感じ、発表会へと気持ちが盛り上がっていく。
- 自分なりの表現や友だちの表現を互いに認め合い、自信を持って本番を迎える。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 子ども達が互いに意見を交換したり、工夫している姿を受け止め、見守る姿勢を大事にする。
- 子どもの自分なりの表現を大切にし、認める声かけ・励ましをする。楽しい雰囲気の中、自信を持って本番を迎えられるようにする。
>>ねらいを書き終えて行事や遊び、
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教育のねらい③の具体的な月案
ねらい
冬の自然や行事に興味・関心を持つ
教育・内容
- 冬の自然に興味を持ち、四季の変化に気づく。(環境)
- 日本の伝承遊びや大掃除など、年末年始の行事に関心を持って取り組む。(環境)
教育・予想される子どもの姿
- 気温の低さや周囲の木々のようす、生き物の変化を、見て触れて感じたことを言葉にしたり、調べたりする。
- 普段使用している保育室に感謝の気持ちを持ちながら、大掃除に取り組む。
- カルタ遊びなどの伝承遊びを知り、友だちと一緒に楽しむ。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 冬の自然に関する絵本や図鑑を用意し、いつでも取り出せる位置に置く。
- 掃除用具の使い方を子ども達と一緒に確認する。きれいになった気持ちよさを言葉にして共感する。
- 伝承遊びを保育者も一緒に行いながらやり取りを楽しみ、年末の雰囲気を味わえるようにする。
>>ねらいを書き終えて行事や遊び、
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教育のねらい④の具体的な月案
ねらい
異年齢児との交流を楽しむ
教育・内容
- 異年齢児と楽しく関わりながら、思いやりの気持ちを持つ。(人間関係・表現)
教育・予想される子どもの姿
- 異年齢児が喜ぶことを考え、積極的に行おうとする。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 乳児クラスの職員と連携し、行事や普段の遊びで交流の機会を多く持てるようにする。
- 相手を思いやって行動する姿を大いに認め、その行動によって乳児が喜ぶ様子を伝え、慕われる嬉しさも十分味わえるようにする。
行事・遊び・食育・職員との連携・家族や地域との連携・自己評価の月案例
今月の行事
- 冬至
- 生活発表会
- クリスマス会
- 大晦日
- 身体計測
- 誕生会
- 避難訓練
今月の遊び
- 鬼ごっこ
- ドッヂボール
- クリスマスの製作
- ごっこ遊び
- 12月の歌を歌う
- 手遊び
- 絵本・紙芝居
- お絵描き・塗り絵・折り紙
- 冬の自然に触れる散歩・戸外遊び
- 異年齢交流
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食育
- メニューの中の冬の旬の食材に興味を持つ。
- 異年齢児と一緒に行事食の会食を楽しむ。
職員との連携
- 行事や異年齢交流では、他クラスの職員と連携し、打ち合わせや確認を重ね、子ども達が楽しく行えるようにする。
- 発表会での子ども一人一人の具体的な成長を職員間で共有し、今後更に伸ばしていけるような保育者の関わりを話し合い考えていく。
家庭や地域との連携
- 発表会を通して頑張って取り組んできたことや、成長した子どもの姿を伝え、共に喜び合う。
- 年末年始の長期休みの過ごし方について、規則的な生活リズムを保つ大切さや感染症の予防についてのお便りを配布する。
自己評価
- 冬に流行する感染症について話をする機会を設けることで具体的な症状への理解ができたため、自分や友だちの体の不調に気づき、保育者に訴えたり、自分なりの対処をしようとする姿が見られた。
- 発表会では、自信に満ち溢れていた子ども、恥ずかしそうな子ども、様々だったが、自分なりの表現でそれぞれが精一杯取り組み、成長が見られた。
- 異年齢児との交流では年長児としての責任感、広い心を持つことを学べたようだった。これからも交流の機会を多く持ち、楽しめるようにしていきたい。
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