中卒から保育士になるには?中卒で保育士資格を得るための方法を解説

中卒から保育士になるには?中卒で保育士資格を得るための方法を解説

保育士は、子どもたちの健やかな成長を見守り支援する専門職です。

保育士は国家資格という安定性の高さと、やりがいのある職業として人気があります。

今回は、中卒から保育士資格を得るための具体的な方法と保育士試験の対策などを紹介します。

ぜひ最後まで読んで、お役立てください。

この記事をまとめると
  • 中卒でも条件を満たし、保育士試験を受けることで保育士になれる
  • 保育士になるには、まず高卒認定試験に合格することが必要不可欠
  • 社会福祉施設での実務経験を積むことで、保育士試験の受験資格が得られる
  • 保育士試験の対策は計画的な学習スケジュールと保育所保育指針の理解が重要
Takako【元保育士】

「中卒でも保育士になれるのかな」と不安になりますよね。
今回は、中卒でも保育士を目指す人のための具体的な方法を紹介しているので、最後までチェックしてください!

この記事を書いた人
takakoライター

Takako 元保育士ライター

保育士歴7年、現在は男女2児の母をしています。保育現場で培った経験や知識を活かし、悩んだり困ったりしている保育士の方、保育士を目指している方の力になれるような記事を心がけています。

目次

中卒でも保育士を目指すことは可能!

保育士になるためには、2つの方法があります。

1つ目は、各都道府県知事や厚生労働大臣が指定した学校または専門施設である「指定保育士養成施設」を卒業することです。

指定保育士養成施設へ入学する場合はまず、高等学校卒業資格を取得しなければなりません。

2つ目は、年に2回実施される「保育士試験」に合格することです。

中卒者の場合、保育所や児童館、児童養護施設などの児童福祉施設で5年以上かつ7200時間以上(高卒者は2年以上かつ2880時間以上)の実務経験が必要になります。

参考:こども家庭庁 

中卒から保育士を目指す方法①指定保育士養成施設を卒業する

指定保育士養成施設とは身近でいうと保育の専門学校のことをいいます。

この指定保育士養成施設を卒業することが、保育士を目指す人の中では一般的なルートでありもっとも確実な方法です。

また、指定保育士養成施設を卒業する最大のメリットは、保育士に必要な科目の授業、実習を修了することで保育士試験を受けることなく、保育士資格の取得が可能になることです。

指定保育士養成施設とは

指定保育士養成施設とは保育士を養成するための学校または、専門施設のことをいいます。

この施設は、保育の専門知識の習得と実践技能を養成することを目的としています。

子ども家庭庁によると、令和3年4月の時点で指定保育士養成施設は大学(4年制)、短大(2年制)、専門学校(2年制・3年制)を含めて全国に675ケ所あります。

学校によっては通信制や夜間学部がある学校もあるので自身のライフスタイルに合わせて学ぶことができるでしょう。

参考:子ども家庭庁

まずは高卒認定試験に合格する必要がある

「高卒認定試験」とは、高校を卒業していない人が「高卒と同等の学力」を得ていると国が認定する試験です。

この高卒認定試験に合格すると、大学や専門学校の受験資格を得られます。

それだけでなく、高卒以上を求める就職や公務員試験、国家資格の受験資格も取得可能になるため、進路選択の幅が広がるでしょう。

この高卒認定試験は「高卒と同等の学力」を示すものなので最終学歴は中卒のままです。

中卒者はまず、この高卒認定試験を受験し合格することが必要不可欠です。

高卒認定試験の受験資格

高卒認定試験の受験資格は、義務教育を修了していれば年齢制限はありません。

ですが、下記に該当する人は高卒認定試験を受けることができません。

高卒認定試験対象外の人
  • 高等学校を卒業している人
  • 高卒認定試験をすでに合格している人
  • 大学入学資格検定を持っている人
  • 既に大学入学資格を持っている人

他にも注意点などがあるので事前にしっかりと確認しておきましょう。

参考:文部科学省

高卒認定試験の試験科目と日程

2025年の高卒認定試験の試験科目と日程は以下の通りです。

要件試験科目
必修教科国語、地理、歴史、公民、数学、理科、英語
要件試験科目条件



選択教科
理科下記のどちらかの条件は必修
①科学と人間生活 ①科学と人間生活➕②〜⑤のうちどれか1つの合計2つ合格する
②物理基礎
③化学基礎
④生物基礎
⑤地学基礎
②〜⑤のうちどれか3つ合格する
第1回試験日第2回試験日
令和7年8月7日(木)、8月8日(金) 令和7年11月8日(土)、11月9日(日)

出願期間などの詳しい詳細は文部科学省のHPをご確認ください。

参考:文部科学省

中卒から保育士を目指す方法②保育士試験に合格する

実務経験の条件を満たすことで保育士試験の受験資格を得ることができ、保育士試験に合格すると保育士資格を取得することができます。

保育士試験の合格率は低めです。

ですが、着実に実務経験を積みしっかりとした学習計画を遂行することで保育士試験合格の可能性は高くなります。

参考:保育資格取得方法

保育士試験とは

保育士試験とは、保育士資格を取得するための国家試験のことです。

保育士試験は筆記試験と実技試験があり、筆記試験は全部で9科目、各100点満点でそれぞれの合格点は60点以上です。

実技試験は、筆記試験合格者が受験可能で音楽、造形、言語のうち2つを選択し受験します。

令和4年度の東京都における保育士試験の合格率は約30%で、10人中3人しか保育士試験に合格しておりません。

そのため、保育士試験の難易度は高めと言えるでしょう。

参考:保育士試験の実施状況

保育士試験の試験科目と日程

令和7年度の保育士試験の試験科目と日程(前期と後期)は以下の通りです。

令和7年度 試験日試験科目(筆記)
<前期> 令和7年4月19日(土)

<後期> 令和7年10月18日(土)
・保育の心理学  
・保育原理    
 ・子ども家庭福祉 
・社会福祉   
<前期> 令和7年4月20日(日)

<後期> 令和7年10月19日(日)
・教育原理   
  ・社会的養護    
・子どもの保健  
     ・子どもの食と栄養   
  ・保育実習理論  
令和7年度 試験日試験科目(実技)※2分野選択
<前期> 令和7年6月29日(日)

<後期> 令和7年12月7日(日)
・音楽
・造形
  ・言語  

詳細は、全国保育士養成協議会のHPをご確認ください。

参考:全国保育士養成協議会

保育士試験の受験資格(中卒の場合)

中卒者の場合の保育士試験の受験資格は「5年以上かつ7200時間以上の児童等の保護または援護に従事した勤務経験」が必要です。

分かりやすくいうと、児童福祉法で定められた保育所や児童養護施設、学童保育などで「5年以上」「7200時間」の実務経験があれば保育士試験の受験資格を得ることができます。

参考:全国保育士養成協議会

実務経験に該当する施設

実務経験に該当する施設は下記の通りです。

受験資格を得られる施設
  • 保育所
  • 児童館
  • 児童養護施設
  • 助産施設
  • 乳児院
  • 障害児入所施設
  • 児童発達支援センター

紹介した施設以外にも、対象となる施設は多くあるので全国保育士養成協議会のHPを確認してください。

また、自身の勤務している施設が対象施設なのかも合わせて確認をしておくと安心でしょう。

参考:全国保育士養成協議会

知事により受験資格が認定されるケースもある

施設によっては受験資格の条件以外に、「受験資格認定証」が必要になります。

受験資格認定証とは、各都道府県知事により交付されるもので、必要書類を提出し審査を受ける必要があります。

受験資格認定証(知事認定書)を受ける必要のある施設は以下の通りです。

受験資格認定が必要な施設
  • 認可外保育施設
  • 小規模保育事業(小規模認可保育所 等)
  • 幼稚園
  • 一時預かり事業
  • 放課後等デイサービス
  • 院内保育

こちらも、対象となる施設は他にもあるので全国保育士養成協議会のHPを確認してください。

参考:全国保育士養成協議会

保育士試験の受験資格を満たす実務経験の積み方

保育士試験を受けるためには児童福祉法で定められた施設で実務経験を積み、指定された受験資格を満たすことが必要不可欠です。

受験資格が認められる施設には保育所を始め多くあります。

実務経験は定められた期間と時間を厳密に満たす必要があるだけでなく、中卒者は他の経歴の人よりも多くの実務期間が必要になります。

フルタイムで勤務し実務経験を積む

中卒者でも、フルタイムで働くことは可能です。

保育士の処遇改善は進んでいますが、慢性的な人手不足は依然として続いているため保育士資格がなくてもフルタイムでの働き方は需要があるでしょう。

フルタイムで働けば、1日8時間勤務で週5日間働くと約3年5ヶ月で7200時間達成できる計算になります。

注意点

1.児童福祉法で定められた児童福祉施設であること。

→知事認定なしで保育士試験の受験資格を満たす施設と、知事認定が必要な施設とがあります。

2.保育補助など直接児童と関わる業務が必須。

清掃・事務など作業のみの業務は不可です。

自身の働いている施設が受験資格認定基準に該当するかどうかは、勤務先に確認しておきましょう。

パートやアルバイトで勤務し実務経験を積む

パートやアルバイトで実務経験を積むことも可能です。

フルタイムで働くよりも時間はかかってしまいますが、自身のライフスタイルに合わせて無理のない範囲で働けることがメリットです。

具体的な時間や7200時間を達成するまでにかかる年数は以下の通りです。

1日あたり週の総勤務時間おおよそのかかる年数
4時間を5日間20時間7年6ヶ月
1日あたり週の総勤務時間おおよそのかかる年数
6時間を5日間30時間4年8ヶ月

1日6時間勤務の場合は、7200時間はクリアしていますが5年以上に該当しないため、もう少し長く実務経験を積む必要があります。

自身の働いている施設が受験資格認定基準に該当するかどうかは、勤務先に確認しておきましょう。

中卒から保育士試験を目指す人におすすめの勉強方法

保育士試験では、保育所保育指針に基づいた試験問題が多く出題される傾向にあります。

そのため、保育所保育指針の深い理解と過去問を軸にした勉強方法が最も効率的です。

保育所保育指針などから基礎を身につけ、通信講座やテキストで学びを深め、無料の過去問などで傾向と時間配分をつかみ、しっかりと対策をしていきましょう。

計画的に学習スケジュールを立てる

保育所保育指針は、保育の基本方針や保育内容が記載されており、一定の保育水準を保つ基準となる重要なものです。

保育士試験では保育所保育指針から多くの問題が出題される傾向にあります。

まずは保育所保育指針を読み、その内容をしっかりと理解しておくことが重要です。

その後は、保育士試験の過去問を解いたり苦手科目の克服・強化をしていくなど自身に無理のない学習計画を立てることで効率的に学習することができるでしょう。

過去問で試験傾向を把握する

実際に保育士試験で出題された最新の過去問を5年分、解いておきましょう。

5年分の過去問を解いておくことで、出題傾向の把握や自身の苦手なところを捻出することができます。

またその際は、全て解答し終わるのにかかった時間などを計測しておくことで実践的なペース配分を掴めるので時間不足といったリスクを減らすことが可能になります。

保育士試験の過去問は、保育士試験を担当している全国保育士養成協議会のHPなどにも載っているので活用してください。

通信講座を利用する

ユーキャンやヒューマンアカデミーなどでは通信で通える保育士試験対策の講座があり、保育所保育指針の解説や、実技試験に向けた対策などのサポートを行なってくれます。

何度でも質問に答えてくれる制度、実技試験の音声添削など様々な講座があるので自身に合わせた学習方法が見つかりやすいのが特徴です。

独学で学習することが苦手な人にはおすすめの方法です。

無料の資料請求や体験動画などもあるので、検討してみるのもいいでしょう。

保育や福祉に関連する時事問題もチェック

保育士試験では、保育や福祉に関する時事問題もよく出題されます。

多く出題される傾向にあるのは最新の社会動向や法改正を反映した問題です。

保育や福祉に関する時事問題は、公式HPである厚生労働省の「保育・子育て支援政策」のページや、読売新聞の「教育面」などから知ることが可能です。

図書館に行くと各社の新聞が無料で読めるので、活用してみるのもいいでしょう。

日頃のニュースもチェックしておくと安心です。

保育士試験の実技試験!3分野の概要と対策【元保育士がアドバイス】

保育士試験の実技試験は、筆記試験合格者のみ行うことができ「音楽・造形・言語」の3分野のうち2分野を選択します。

この試験では保育現場における表現力が評価されます。

実際の保育現場では、子どもたちの様子に目を向けながら活動を行う必要があるため、子どもと目を合わせて笑顔で行う練習も重要です。

また、間違えてしまってもやり直したり、止まってしまうことがないようやり切る力も必要になってきます。

「音楽に関する技術」の概要と対策

音楽に関する技術は、「子どもの前で歌うこと」を想定して事前に用意された2つの課題曲を弾きながら歌います。

選択可能な楽器はピアノとギター、アコーディオンの3種類です。

リズム感や音程の正確性など総合的に表現が豊かであることが求められます。

試験本番でも楽譜から目を離し、試験官を子どもと見立てながら楽しく笑顔で楽器を弾けるように練習しましょう。

課題曲については、全国保育士養成協議会のHPでダウンロードが可能です。

参考:全国保育士養成協議会

「造形に関する技術」の概要と対策

造形に関する技術では、「保育の一場面」を鉛筆やシャーペン、色鉛筆などを使用し絵画で表現します。

保育の状況をイメージし、造形表現をおこなう表現力が求められます。

「保育の一場面」を表現するため、人物や保育室、遊具や行事ごとの衣装や装飾など、多様なシチュエーションで練習をします。

造形に関する試験時間は45分なので、実際に時間を計測しながら本番同様、時間を意識しながら行いましょう。

細かなルールや注意点もいくつかありますので、全国保育士養成協議会のHPで確認しておくと安心です。

参考:全国保育士養成協議会

「言語に関する技術」の概要と対策

言語に関する技術では、3歳児を想定し指定された3つのお話の中から1つを選択して、物語の素話を3分間行います。

基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方ができることが求められます。

自身の声のトーンや抑揚、身ぶり手ぶり、リズムなどを用いた表現力、物語を3分間に収める時間管理力などを身につけましょう。

臨場感や、始まりと終了のメリハリをつけるなどして「子どもたちをいかに物語に引き込めるか」を意識しながら、子どもに配る視線や笑顔を忘れないように工夫することが大切です。

参考:全国保育士養成協議会

まとめ

保育士は、子どもたちの健やかな成長を見守り支援する専門職であり、子どもの成長をとても身近に感じられ、好きを仕事にできるやりがいのある仕事です。

児童福祉法で定められた施設で実務経験を積みながら、計画的に試験対策を行うことで中卒者でも保育士資格を得ることは十分可能です。

本記事を通じて、夢の第一歩を踏み出してみてくださいね!

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この記事を書いた人

保育士歴7年、現在は男女2児の母をしています。保育現場で培った経験や知識を活かし、悩んだり困ったりしている保育士の方、保育士を目指している方の力になれるような記事を心がけています。

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