【中央区】保育士の借り上げ社宅制度(家賃補助)の概要
中央区では、居住に関する費用が補助される借り上げ社宅制度(中央区保育士等職員宿舎借上支援事業)を実施しています。
経済的な負担を軽減しながら働けるため、積極的に活用したい制度ですが、内容は各市町村で異なります。
中央区の借り上げ社宅制度の概要を確認して、理解を深めましょう。
家賃補助の上限割合 | 家賃の8分の7(残り8分の1は事業者が負担) |
---|---|
補助額の上限負担額 | 8万2,000円 (区の上限負担額:71,000円) |
雇用形態 | 常勤、1日6時間以上かつ月20日以上の勤務している職員 |
役職者も利用可能? | 可(施設の経営に携わる職員は対象外) |
勤務地と違う市区町村でも利用可能? | 可 |
同居人がいても利用可能? | 別世帯は不可、(補助金受給者本人が世帯主であれば)同一世帯は可 |
注意点 | ・月の途中で退職、転出入等などの変更あっても、日割り計算はされません ・通勤手段は公共交通機関、徒歩及び自転車の場合のみ利用可 |
自己負担額の相場 | 1万6,000円 |
礼金の補助 | あり |
敷金の補助 | なし |
補足①
品川区の公式サイトでは、次年度以降の内容については未定としているため、年度が変わると変更または廃止される可能性があります(2024年5月時点)。
補足②
補助額の上限負担額を超えた残りの1万250円は事業者負担ですが、事業所の規約によっては補助対象者が全額または一部を負担する場合があります。
補助上限は8万2,000円に対し、中央区では8分の7を補助しており、残りの8分の1は事業者(事業者の規約によっては補助対象者)が負担します。
自己負担の相場1万6,000円は、中央区の1K家賃相場9万8,000円から上限額8万2,000円を差し引いた金額です。
通勤手段は公共交通機関、徒歩及び自転車のみであり、自家用車での通勤は利用対象外となります。
補助対象者本人が世帯主であれば同居人がいても利用可能ですが、別世帯は利用不可のため、ルームシェアなどの利用は難しいでしょう。
補助される費用は、賃借料、共益費、礼金、更新料となるため、敷金、仲介手数料などは対象外となります。
中央区の借り上げ社宅制度を利用できる人の条件
中央区の保育施設には、認可保育園以外に認定こども園、東京都認証保育所、小規模保育事業所などが含まれてます。
中央区内の保育施設に勤めている全員が制度を利用できるとは限らず、雇用形態や世帯の状況などの条件を満たすことが必要です。
とくに単身者でない場合は、同居人に確認すべき事項があるので、条件を確認して早めに利用準備を進めましょう。
- 中央区内の保育施設に勤めていること
- 常勤または1日6時間以上かつ月20日以上の勤務している職員であること
- 世帯主であること
- 保育施設の経営に関わる役員でないこと
- 住宅手当等の支給を受けていない(同居人含む)こと
中央区の借り上げ社宅制度では、保育士以外に保育補助者、調理員、看護師等も対象となります。
世帯主については「上京時に住民票の変更を失念して、実家の親のままだった」という可能性があるため、余裕をもって確認しておきましょう。
同居人がいる場合、住宅手当の支給の有無について世帯全員に確認する必要があります。
ただし、保育施設によっては「単身者のみ対象」といった個別条件を設けているため、保育施設の利用規約についても確認してください。
中央区の借り上げ社宅制度を利用するには
借り上げ社宅制度を利用しているかは保育施設によるため、まずは制度利用の有無を確認しましょう。
申請手続きは事業者経由で行うので、補助対象者本人は住民票などの必要書類を揃えて、事業者に提出してください。
選べる社宅は保育施設によって異なり、提携不動産会社で取り扱う物件や事業者が用意した物件などから選びます。
借り上げ社宅は事業者が借主となって賃貸契約された物件が対象となるため、誤って個人名義で契約しないよう注意しましょう。
中央区の借り上げ社宅制度(家賃補助)の自己負担額は?
借り上げ社宅制度では、上限額より家賃が多い場合に差額を自己負担します。
ただし、自己負担額を保育施設が独自に設けているケースもあるため、差額が自己負担額になるとは限りません。
家賃の自己負担以外にも、制度を利用する場合は賃貸契約の初期費用や引っ越し費用の自己負担が発生するため、詳しく説明します。
家賃の自己負担額の目安
中央区の1Kの家賃相場が9万8,000円のため、上限額8万2,000円を差し引いた額の1万6,000円が自己負担額の目安となります。
物件の面積に応じて家賃が増えることから、同居人がいる状況だと自己負担額はさらに多くなるでしょう。
保育施設で独自に自己負担額を設けている場合は、家賃が8万2,000円以内でも補助対象者が自己負担をすることがあるため注意してください。
1万6,000円はあくまで目安ですが、家賃相場に比べると大幅に経済的な負担を削減できていると言えます。
参考:SUMO 東京都中央区(東京都)の賃貸マンション家賃相場・賃料相場情報
賃貸契約の初期費用の自己負担額
中央区で賃貸契約を締結した時は、約20万〜30万の自己負担額が発生します。
1カ月分の家賃を9万8,000円と想定し、補償対象外となる初期費用の自己負担額の相場を下記のとおり計算しました。
敷金・保証金 | 家賃1~2ヶ月分 | 9万8,000円~19万6,000円 |
仲介手数料 | 家賃1ヶ月分 | 9万8,000円 |
火災保険料 | 家財300万年払 | 8,590円 |
合計 | 20万4,590~30万2,590円 |
敷金、仲介手数料を一部補助する保育施設もあるため、公式サイトの閲覧や電話で確認することをおすすめします。
参考:国土交通省 令和4年度 住宅市場動向調査報告書
参考:損害保険ジャパン 保険料試算(シミュレーション)・見積依頼
引っ越し費用の自己負担額
引っ越し費用の自己負担額は、単身で都内から中央区に引っ越す場合は4万円前後、東京近隣(神奈川・埼玉・千葉)から中央区に引っ越す場合は4万5,000〜6万5,000円前後です。
引っ越し費用は移動距離と荷物料で変わるため、遠方からの引っ越しする場合はさらに自己負担額が増えます。
中央区の借り上げ社宅制度では引っ越し費用は補助金対象外のため原則自己負担ですが、一部補助する保育施設を利用すれば出費を抑えられるでしょう。
中央区の借り上げ社宅制度についての質問に回答
【Q1】制度利用していたが退職、すぐに再就職した場合は再度利用できますか?
中央区では借り上げ社宅制度利用後の再利用について、利用不可期間は設けていません。
中央区保育課保育給付係に問い合わせて、期間を開けることなく制度の利用が可能だと確認しました。
5月末までA法人で制度を利用後、転居せずに6月1日からB法人で制度の利用するといった運用が可能です。
ただし、保育施設によっては社宅利用できる物件に制限があるため、再就職時に保育施設へ必ず確認をしてください。
【Q2】産休・育休・休業期間は対象になりますか?
産休・育休・休業中でも雇用契約が締結されていれば対象です。
中央区保育課保育給付係に問い合わせたところ、中央区では、事業者との雇用契約が締結していれば対象と判断しているという回答でした。
ただし、産休・育休中は補助対象者が世帯主であることが条件になるため、配偶者が世帯主になる場合は対象外となります。
【Q3】借り上げ社宅の所在地が中央区以外でも対象ですか?
通勤手段が公共交通機関、徒歩または自転車であれば、借り上げ社宅の所在地が中央区以外でも対象です。
中央区保育課保育給付係に問い合わせて確認しました。
仕事とプライベートを明確に区別するため、職場の保育施設と自宅に一定の距離をとりたいと考える保育士のニーズにも対応しています。
保育施設の利用規約を確認して、問題なければ中央区以外にある物件を選びましょう。
中央区の保育園の実情・保育環境
中央区では平成29年度まで待機児童問題は深刻でしたが、地道に改善に取り組んだ結果、現在の待機児童は0名です。
しかし、令和6年度以降も未就学児の人口増加を見込んでおり、中央区での保育ニーズは増えていくと予想しています。
高まる保育ニーズに対応すべく、中央区では保育施設の新設や保育士の確保を活発に行っています。
同時に保育士のキャリアアップに関する費用やITC導入費用への補助など、保育士の働く環境改善にも積極的です。
ITCが導入されると連絡帳への記入作業などが軽減されるため、より保育に集中した働き方ができると言えます。
参考:中央区子ども・子育て支援事業計画の策定 分冊版
参考:中央区 令和6年度保育園のごあんない 中央区の現状
中央区で保育士が使えるその他補助金はある?
- 保育士等キャリアアップ補助金
保育士等キャリアアップ補助金制度とは、保育に関わる専門的な知識を高めながら、賃金の処遇改善が行われる制度です。
認可保育園などは中央区が窓口となり、東京都認証保育所などは東京都が窓口となります。
未就学児の年齢・定員数・在籍児童数などから算出した補助金を事業者が受け取り、一定割合が保育士の賃金改善に充てられる仕組みです。
事業者の支給実績を各自治体がチェックしており、支給漏れの防止に努めています。
まとめ
- 補助額の上限は7万1,750円(8万2,000円×7/8)
- 自己負担額の目安は2万6,250円
- 賃借料、共益費、礼金、更新料が対象
- 補助対象者は世帯主であること
- 保育施設の利用規約は必ず別途確認
中央区の保育士の借り上げ社宅制度を利用すると、中央区および周辺で家賃出費を抑えながら就労が可能です。
スムーズな手続きのためにも、事前に住民票などで世帯主が誰かを確認しておき、変更が必要な場合は早めに手続きを行ってください。
注意点は、中央区の制度では対象でも、保育施設の制度では対象外の場合があることです。
理想と現実のギャップを減らすためにも、利用前に中央区の制度内容だけではなく、保育施設の規約内容も確認しておきましょう。
コメント