病児保育士になるためには?仕事内容や平均給与、必要なスキルを解説

病児保育士

病気の子どもを預かる保育士のことを「病児保育士」と言いますが、通常の保育士とどう違うのか気になる方は多いでしょう。

近年、共働き世帯が増えているため、病児保育のニーズは高まってきています。

「病児保育士の仕事って何をするの?」「病児保育士になるには、どんな資格がいる?」

などの疑問を持つ方に向けて、今回は病児保育士について徹底解説します。

病児保育士になるメリットやデメリットも踏まえて解説しますので、病児保育に興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。

この記事をまとめると
  • 病児保育士は、病気の子どもをお世話する保育士であり、保育士または看護師資格が必要
  • 非施設型の訪問保育を行う場合は、無資格の方でも働ける
  • 民間資格を取得しておけば、就職で有利になる
  • 病児保育士は持ち帰り仕事や残業が少なく、体力的にも精神的にも負担が少ない
【もと保育士】すももライター

病児保育士に興味はあるけれど、実際どんな仕事をしているのか気になりますよね。また、通常の保育士との違いや、どんな人に向いているのかなどもしっかりと解説しますので、参考にしてみてくださいね。

この記事を書いた人

すもも 元保育士ライタ

8年間保育士として勤務し、主に乳児クラスの担任を務めて参りました。認可保育施設や認可外保育施設での職務経験を活かして、保育士さんに役立つ記事を執筆させていただきます。

目次

病児保育士とは?

病児保育士とは、体調不良や病気の子どもを保護者に変わって看病する保育士です。

子どもをお世話する点では、通常の保育園と違いはありませんが、病気の子どもと関わる仕事になるため、観察力や細かい配慮が求められます。

現代は共働き世帯が増加しているので、子どもの急な発熱で仕事を休めない保護者も多いです。

そんな時でも病児保育なら子どもを預けられるので、病児保育士は共働き世帯にとって、かなり重要な役割を担っています。

病児保育士と保育士の違い

病児保育士と通常の保育士との違いは、以下の通りです。

病児保育士と保育士の違い
  • 対象となる子どもが違う
  • 病児保育専門施設や院内、訪問など働く場所が異なる

病児保育は、乳幼児から小学生までを対象としている場所が多いです。

そのため、通常の保育士とは違って、関わる子どもの年齢が異なります。

病児保育は、専門の病児保育施設や病院内、訪問型など、働く場所が事業所によって違います。

子どもを保育するという根本的な役割は変わりないですが、病児保育士は、子どもの体調を注意深く観察して保育を行わなければなりません。

病児保育士の仕事内容

病児保育士は、病気や体調不良の子どものお世話をするのが主な仕事です。

通常の保育園のように戸外で身体を動かして遊ぶことはせず、室内でゆったりと過ごせるようにします。

病児保育士の仕事内容
  • 検温・保護者からのヒアリング
  • 食事やおやつの提供
  • 静かに過ごせる遊びを用意する
  • 午睡の様子を見る
  • 保護者への連絡
  • 病院の受診

子どもの体調の状態は、一人ひとり異なるため、個々に合った対応をしなければなりません。

上記以外にも事務処理や、消毒などの感染予防対策も病児保育士の仕事です。

病児保育士として働く場所

病児保育士は、通常の保育士とは違って働く場所が複数あり、主に以下の4つです。

それぞれの施設について、下記で細かく説明します。

病児保育専門施設

病児保育専門施設とは?

病児保育専門施設とは、病児保育を専門とする施設のこと。

病児保育専門施設は、病児保育を専門とする施設で、保育士だけではなく看護師が常駐しています。

民間企業やNPO法人が運営している施設がほとんどであり、国内では数少ないのが現状です。

病児と病後児保育を行っているため、共働きの家庭では利用する人が増えてきています。

今後は共働き世帯の増加により、病児保育専門施設のニーズが高まれば、施設数も増えるでしょう。

医療機関に併設された施設

医療機関に併設された施設とは?

病院やクリニック内で、病児保育を行う場所のこと。

病児保育を行っている施設は、病院やクリニックに併設された場所が多いです。

医療機関内であれば、医師が常駐しているので、子どもの体調が急変した時でもすぐに対応できるメリットがあります。

病院によっては、専門的な知識を持っていなければならない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

保育園に併設された施設

保育園に併設された施設とは?

保育施設に併設されている病児保育施設のこと。

保育施設に併設された施設では、主に症状が軽い子どもや、回復に向かっている子どもを預かっています。

また、保育施設に併設された施設では、病児よりも病後児保育を行っている場所が多いです。

「治りかけだけど保育園にはまだ預けられない」などの理由で利用する保護者が多く、需要も高いのが特徴です。

非施設型(訪問対応)

非施設型の病児保育とは?

非施設型の病児保育とは、実際にお世話する子どもの自宅に訪問する保育のこと。

非施設型の病児保育は、保護者の依頼を受けてから保育士を自宅に派遣し、保育を行います。

自宅で保育することで、子どもが安心した気持ちで過ごせるというメリットがあります。

訪問型の保育では、施設型と違って医師や看護師が常駐していないため、急変した場合にも落ち着いて対応できるスキルが必要です。

病児保育士になるために必要な資格

病児保育士になるために必要な資格について気になっている方は多いでしょう。

病児保育士に必要な資格は、保育士資格ですが、訪問型の非施設型で働く場合は、保育士や看護師といった特別な資格は不要。

訪問型では、定められた研修を受ければ、資格が無くても働くことが可能です。

しかし、民間資格を持っている方がスキルの証明になるため、取得しておく方が就職に有利です。

下記で必要な資格について詳しく説明しますので、参考にしてみて下さい。

病児保育士になるために必要な資格
  • 【国家資格】保育士または看護師
  • 【民間資格】認定病児保育スペシャリスト
  • 【民間資格】認定病児保育専門士

【国家資格】保育士または看護師

病児保育士になるために必要な資格は、「保育士」や「看護師」といった国家資格です

「病児保育士」といった資格はないため、基本的には保育士資格を持って入れば、病児保育士として働けます。

施設型で働く場合は、資格が必須の場所が多いですが、訪問型であれば無資格でも勤務可能。

保育士資格を取得する方法
  • 指定保育士養成施設を卒業する
  • 保育士試験に合格する
看護師資格を取得する方法
  • 看護大学などの学校を卒業し、看護師国家試験に合格する

保育士資格は最短2年で取得可能ですが、看護師資格は取得まで、長くて5年の期間がかかります。

最も早く資格を取得したい方であれば、指定保育士養成施設を卒業し、保育士資格取得するのがおすすめと言えるでしょう。

医療保育専門士とは?

医療保育専門士は一般社団法人日本医療保育学会が認定する資格。

医療保育現場 (医療型障害児入所施設、医療型児童発達支援センター等)、乳児院(病・虚弱児介護加算対象施設に限る)に従事している保育士が取得できる資格です。

引用:日本医療保育学会HP

医療保育専門士になるには、日本医療保育学会の会員で、保育士として1年以上医療現場で働く必要があります。

医療保育専門士になれば、通常の保育士よりも専門的な知識を取得できるため、仕事にも役立ちますよ。

医療保育専門士になる条件
  1. 保育士資格を取得していること
  2. 医療保育現場での勤務経験が1年以上あること
  3. 日本医療保育学会の会員であり、入会後1年以上経過していること

学会会員の詳細はこちらからご覧ください。

【民間資格】認定病児保育スペシャリスト

民間資格である「認定病児保育スペシャリスト」とは、その名の通り病児保育のプロを認定する資格です。

日本病児保育協会が認定した資格で、病児保育に携わる方々の技術向上を目的としています。

認定病児保育スペシャリストは、子どものあらゆる病気に対しての看病の方法や、感染症対策など、病児保育に特化したスキルを身に付けられますよ。

認定病児保育スペシャリストは、認知度が高まっているため、資格を取得すれば就職に有利になるため、無資格の方にもおすすめの資格と言えるでしょう。

受験資格・18歳以上であること(高校卒業後)
・Web講座を計13回受講する
・実習を24時間行う
受験費用・Web講座費用:65,000円
・受験費用:8,000円
・実習費用:10,000円
受講概要・日本病児保育協会:認定病児保育スペシャリストWeb講座

【民間資格】認定病児保育専門士

認定病児保育専門士は、全国病児保育協議会が認定する民間資格のこと。

病児保育専門士は、病児・病後児保育室に勤務する保育士・看護師を対象とし、病児保育の専門性を高め、さらに家庭での看護方法などの研鑽を積み、家庭での「家庭看護」へつなぐことにより、病児保育を通して究極の子育て支援を行うことのできる保育士・看護師のこととする。

引用:全国病児保育協議会HP

先ほどの認定病児保育スペシャリストとの最大の違いは、保育士資格または看護師資格を持っているかどうかです。

認定病児保育スペシャリストでは無資格でも取得が可能ですが、認定病児保育専門士は、資格が必須となっています。

病児保育の専門性を高められるため、すでに保育士や看護師として勤務している方であれば、キャリアアップを目指して取得するのがおすすめ。

受験資格・病児/病後児保育室に勤務する保育士または看護師
・全国病児保育協議会に加盟している施設で2年以上の勤務経験があること
・施設長から推薦を受けた者
・全国病児保育病児保育協議会による「病児保育専門士認定講習会」を全て受講できる者
受験費用・1,000円
受講概要・全国病児保育協議会:資格認定実施要項

病児保育士の給料・年収

病児保育士の給料は、月収20万円前後となっており、一般的な保育士と大きな違いはありません。

ただし、勤務する場所や地域によっては、金額に違いがあるということを覚えておきましょう。

様々な求人サイトをチェックしてみると、医療機関で勤務する病児保育士の方が、給料水準が高い傾向にありました。

また、資格を持っているかどうかでも給料に反映され、資格者の方が年収が高くなるでしょう。

病児保育士と通常の保育士は、年収に大きな差は見られないので、給料面だけではなく、福利厚生や休日などもしっかりと考慮して、ご自分に合った就職先を見つけることをおすすめします。

病児保育士になるメリット

病児保育士の仕事内容や、持っていれば有利な資格などについては、ご理解いただけたと思います。

ここでは、病児保育士になるメリットを3つご紹介していきます。

園外活動がないため体力の負担が軽減される

病児保育士は、病気の子どもをお世話するのが主な仕事なので、園外活動などは基本的には実施しません。

そのため、通常の保育士とは違って、体力の負担が軽減されると言えるでしょう。

行事などのイベントも行わないので、準備に追われることもなく、持ち帰り仕事もありません。

保育士は体力勝負と言われることが多いですが、病児保育士であれば、体力を使う仕事が少ないので、体力に自信がない人にもおすすめですよ。

一人ひとりの子どもとしっかり向き合える

2つ目のメリットは、一人ひとりの子どもとしっかりと向き合える点です。

病児保育は基本的に少人数保育のため、預かる子どもが少なく、一人ひとりの子どもとゆったりと関われます。

保育士の配置基準
  • 利用児童3名につき保育士は1名以上配置する

内閣府のホームページによると、病気の子どもが安心して過ごせるように、保育士は子ども3名につき1名以上と定められています。

大人数の子どもを一斉に保育することがないため、一人ひとりの子どもと丁寧に関われるのは、病児保育士のメリットと言えるでしょう。

持ち帰りの仕事・残業が少ない

3つ目のメリットは、持ち帰り仕事や残業が少ない点で、通常の保育士と違って、定時に退勤できることがほとんどです。

病児保育は、病気の子どものお世話をすることが目的で、行事やイベントは実施していないため、持ち帰り仕事はほとんどありません。

通常の保育園では、制作物や発表会などの準備に追われる保育士が多いですが、病児保育士は残業も少ないので、精神的な負担も軽減できますよ。

保育士にとって持ち帰りや残業が少ない点は、誰もが魅力に感じると言えます。

病児保育士になるデメリット

次は、病児保育士になるデメリットについて解説します。

上記のメリットと見比べてみて、ご自分にとってどちらが重要なポイントであるか考えてみましょう。

自分が感染するリスクが高い

まず一つ目、病児保育士は病気の子どものお世話を行うため、自分自身が感染するリスクが高くなる点です。

病児保育では、普通の風邪だけではなく、感染症にかかった子どもを預かる機会も多いです。

感染症の子どもであれば、常に体調の変化に注意しなければならないため、関わる時間も長くなります。

そのため、感染症にかかるリスクが高くなり、場合によっては感染することもあるでしょう。

子どもの主な感染症
  • 麻疹
  • 風疹
  • おたふくかぜ
  • 水ぼうそう
  • インフルエンザ
  • アデノウイルス
  • 手足口病
  • ヘルパンギーナ
  • 溶連菌
  • RSウイルス
  • 感染性胃腸炎

感染リスクを下げるためにも、日頃から手洗いうがい、予防接種などの対策を行うことが重要です。

医療に関する知識も求められる

2つ目のデメリットは、医療に関する専門的な知識を求められることがある点です。

病気の子どもと関わるには、少しの病状の変化も見逃せないため、医療の知識が必要になることも。

乳児であれば言葉で伝えられないので、病児保育士が子どもの様子をしっかりと観察しなければなりません。

万が一、子どもが急変した時には、応急処置が必要になるため、ある程度のスキルや知識は必要と言えます。

どの程度の医療知識を持っておけば良いのかは、施設によって異なるので、事前に確認しておきましょう。

同じ子どもへの継続的なサポートができない

3つ目は、同じ子どもへの継続的なサポートができないという点です。

病児保育で預かる子どもは、体調が回復すれば利用する必要がなくなるので、長期的な保育はできません。

そのため、病児保育士は「少しやりがいを感じづらい」という方がいるかもしれません。

子どもの入れ替わりが激しいのが病児保育の特徴とも言えますが、子どもが元気になって退所する姿は何より嬉しいものです。

継続したサポートは行えませんが、再び利用する可能性もあるため、再会できることも。

保育士経験者に聞く!「病児保育士」はどのような人におすすめですか?

「病児保育士」はどのような人におすすめですか?
  • 一人ひとりの子どもに寄り添いたい人
  • 臨機応変に対応できる人
  • 子どもの病気に詳しい人

「病児保育士に興味があるけれど自分は向いているのか分からない」と悩んでいる方もいるでしょう。

病児保育士は、病気の子どもをサポートする仕事のため、様々なスキルが必要です。

ここでは、病児保育士に向いている人について解説していきますので、ご自分は当てはまっているかどうか確認してみてくださいね。

病児保育は少人数保育なので、一人ひとりの子どもに寄り添いたい方におすすめ。

病気で不安な子どもに寄り添い、献身的にお世話がしたい方であれば、向いているでしょう。

また、子どもの病気に詳しくて、正しい知識を持っている方にもぴったりです。

子どもは急に体調が悪くなることもあるので、パニックにならず落ち着いて対応できる方が求められます。

さらに、医師や看護師の指示に従って、臨機応変に対応できる能力が重要です。

病児保育士に関するよくある質問に回答

病児保育士と病棟保育士の違いはなんですか?

病棟保育士とは?

病棟保育士は、病院で勤務する保育士のこと。場合によっては医療保育士と呼ぶこともある。

病児保育士は、病気の子どもを専門施設や、併設されている施設内で働く保育士を言います。

病棟保育士は、病院に入院している子どものお世話をする保育士で、子どもを患者さんとして接します。

仕事内容に大きな違いはありませんが、病棟保育士の方が医療現場での知識や経験が身に付くと言えます。

病児保育士にはどのようなスキルがあると良いですか?

病児保育士に必要なスキルは、以下の通りです。

病児保育士に必要なスキル
  • 緊急時の応急処置
  • 臨機応変な対応ができる
  • 子どもの気持ちに寄り添える

病児保育で預かる子どもは、急に体調が悪くなることも多いです。

その時に、正しい知識と対応が求められるため、応急処置などのスキルは必要になります。

さらに、子どもの体調だけではなく、病気で苦しんでいる子どもの気持ちを受け止め、寄り添うことも大切です。

まとめ

今回は、病児保育士の仕事内容や、メリット・デメリットなどについて解説しました。

病児保育士は、保育士または看護師資格を持っていた方が就職には有利です。

訪問型の病児保育であれば、無資格でも勤務できますが、研修を受講する必要があります。

病児保育では、子どもの病気や感染症などについて、正しい知識と対応力が求められるため、ある程度の医療知識は持っておく方が良いでしょう。

「認定病児保育スペシャリスト」や「認定病児保育専門士」といった民間資格も持っていれば、病児保育施設で働けますので、取得がおすすめ。

一人ひとりの子どもとゆったりと関わることができるので、少人数保育を希望する方には病児保育はぴったりですよ。

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この記事を書いた人

8年間保育士として勤務し、主に乳児クラスの担任を務めて参りました。
認可保育施設や認可外保育施設での職務経験を活かして、保育士さんに役立つ記事を執筆させていただきます。

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