放課後デイサービスは、発達障害などの障害を持つ子どもを対象に、支援を行うサービスのことです。
保育士資格を活かせる仕事の一つなので、療育に興味がある方にはおすすめの職業と言えます。
しかし、Googleで「放課後デイサービス 仕事」と入力すると、きついと表示されます。
今回は、放課後等デイサービスの仕事がきついと言われる理由や、向いている人と向いていない人をまとめました。
放課後等デイサービスに興味がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
- 放課後等デイサービスは、障害を持った子どもや、支援が必要な子どもをサポートする仕事
- 肉体的にしんどいと感じたり、人間関係に悩みを持ったりする人が多い
- 給料は通常の保育士よりも低いが、離職率は平均以下である
- 子どもが好きな人や体力に自信がある人には向いているが、忍耐力がない人には向いていない
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保育園以外で転職を考えている方の中には、保育士資格を活かした仕事に就きたい方が多いでしょう。放課後等デイサービスと保育園では、仕事内容が異なるため、新しい職種にチャレンジするのは勇気がいりますよね。この記事を読んで放課後等デイサービスの魅力や、やりがいを感じていただければ幸いです。
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すもも 元保育士ライター
8年間保育士として勤務し、主に乳児クラスの担任を務めて参りました。認可保育施設や認可外保育施設での職務経験を活かして、保育士さんに役立つ記事を執筆させていただきます。
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「放課後等デイサービスはきつい」という声がある?
「放課後デイサービスはきつい」と言われることが多いですが、実際どんな声があるのかご紹介します。
Twitterで調査したところ、以下のような意見がありました。
人手不足もあって人間関係はホント難しい。
X(旧:Twitter)
複数の事業所で人間関係がグチャグチャになってる。
X(旧:Twitter)
放課後デイサービスでパートしてますが 短時間だけど体力的にしんどいです。
X(旧:Twitter)
Twitterによると、放課後等デイサービスで勤務している方は、「体力的にきつい」「人間関係が良くない」などの理由で、きついと感じているようです。
放課後等デイサービスには、活発な子どもたちや、多動傾向のある子どももいるため、十分な体力が求められます。
そのため、体力的にしんどくなり、体調を崩してしまう職員も多いです。
放課後デイサービスの仕事は、職員間で協力して行う業務がほとんどなので、人間関係に悩みを抱えた職員もいます。
「放課後等デイサービスはきつい」と言われる理由
放課後デイサービスは、障害を持った就学児への支援を行うため、様々な理由により「きつい」と感じている職員が多いです。
放課後デイサービスがきついと言われる理由は、以下の7つが挙げられます。
それぞれの理由について、下記で細かく解説していきますね。
障害がある子供との向き合い方・支援に悩む
放課後デイサービスでは、障害を持った6歳から18歳までの子どもへの支援を行っています。
様々な障害を持った子どもがいるため、障害の種類や、個々に合わせた対応が求められます。
一人ひとり対応の仕方が異なるので、支援の方法に悩んでしまう職員が多いようです。
入職する前に、ある程度の知識を身に付けていても、実際働いてみると「想像と違った」と思うこともあるでしょう。
支援のやり方に正解はないですが「これで合っているか分からない」と日々模索しながら働く部分に「きつい」と実感する職員もいます。
体力的にきつい
放課後デイサービスには、活発な子どもや、障害の種類によっては多動傾向がある子どももいます。
手足を自由に動かすことができない子どももいるため、職員が肉体的にサポートする機会も多いです。
さらに、6歳から18歳までの子どもたちが在籍しているので、年齢によって活動量も異なります。
障害の種類や個々の活動量によって支援を行うため、体力的な負担が大きくて「しんどい」と感じてしまうようです。
普段は放課後に支援を行いますが、夏休みや冬休みなどの長期休みになると、1日中サポートを行うため、疲労が溜まりやすくなります。
トラブルへの対応がきつい
放課後デイサービスに勤務していると、様々なトラブルに直面する機会が多いです。
放課後デイサービスで起こりやすいトラブルは、以下の通りです。
- 暴言や暴力
- いじめ
- 喧嘩
- 怪我
障害の特徴によっては、感情のコントロールが難しいため、暴言や暴力などの行為が起こりやすくなります。
また、コミュニケーションの一環のつもりでも、他の子どもにとったら「嫌がらせ」と感じ、それが原因で喧嘩に発展することも。
障害の特徴だけではなく、日常のストレスが原因で起こる場合もあるため、家庭と連携して子どもの気持ちに寄り添うことも重要です。
どうしても日常的にトラブルが起きやすい環境なので、「トラブルへの対応がしんどい」と感じてしまう職員がいます。
職場の人間関係で悩む
どの職業でも言えることですが、職場の人間関係で悩む職員は多いです。
特に放課後デイサービスでは、職員間で連携して行う業務が多いので、一人ひとりの職員と密接に関わる必要があります。
そのため、性格の不一致や、連携が上手くできないなどの理由で、人間関係がギクシャクしてしまいます。
職員間で話し合ったり、コミュニケーションを十分に取ったりしながら、少しずつ改善することが大切です。
事務作業が多い
放課後デイサービスの仕事は、事務作業も多いです。
一人ひとりの支援方法を記入した「個別支援計画書」といった書類を作成しなければなりません。
子どものサポートだけではなく、書類作成や連絡ノートの記入なども勤務時間内に行うため、人によっては「きつい」と感じることもあるでしょう。
放課後デイサービスの主な事務作業は、以下の通りです。
- 個別支援計画
- 連絡ノート
- 活動の計画書
- 活動報告書
給与が責任に比べて低め
放課後デイサービスの給料は、資格の有無や経験数、働く施設などによって異なります。
厚生労働省が発表している「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」によると、放課後デイサービスの保育士の平均年収は、約270万円です。
職員 | 平均年収 |
通常の保育士 | 325万6,800円 |
放課後デイサービス保育士 | 265万6,428円 |
児童指導員 | 263万2,956円 |
障害福祉サービス経験者 | 287万6,064円 |
令和5年度賃金構造基本統計調査/e-Stat
また「令和5年度賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は、約326万円となっているため、放課後デイサービスの保育士の方が平均年収が少ないと言えます。
児童施設などで子どもたちのサポートを行う児童指導員は、特別な資格が無くてもなれますが、厚生労働省が指定する条件を満たせば、「児童指導員任用資格」を取得できます。
児童指導員任用資格を持っている方が、給料がアップする場合もあるので取得がおすすめ。
さらに、障害福祉サービス経験者であれば、保育士や児童指導員よりも年収が高くなっています。
現場の慢性的な人手不足
近年、保育園や放課後デイサービスなどの福祉施設は、人材不足が深刻化しています。
人材不足の影響により、職員一人ひとりの業務負担が大きいため、残業や持ち帰り仕事も多いです。
放課後デイサービスは、福祉関係の中でも給料水準が低い傾向にあることが、人材不足の要因と考えられます。
人材不足が続くと、職員の肉体的疲労だけではなく、精神的な負担も大きくなってしまいます。
これらの理由から、放課後デイサービスの仕事が「きつい」と感じ、離職を考える人も多いでしょう。
放課後等デイサービスの離職率
厚生労働省が発表している令和5年の「雇用動向調査結果の概要」によると、医療・福祉関係の離職率は14.6%でした。
令和5年の国内全体での平均離職率は15.4%なので、放課後デイサービスは平均的な数値と言えます。
職業 | 離職率 |
医療・福祉関係 | 14.6% |
宿泊・飲食サービス | 26.6% |
教育・学習支援 | 14.8% |
卸売業・小売業 | 14.1% |
上記の表からも分かる通り、医療・福祉関係の離職率は、他の職業と比較してもそれほど高くないです。
人によっては「きつい」と感じて退職する方もいますが、誰もが離職を考えるほどではないと言えるでしょう。
放課後等デイサービスのやりがいとは?
放課後等デイサービスは、子ども達の成長を間近で見られるため、やりがいや達成感を感じる機会も多いです。
先ほども説明したように、放課後デイサービスの離職率は平均よりも低いため、やりがいを感じて働き続ける方も多いと言えます。
放課後デイサービスのやりがいは、以下の3つが挙げられます。
子ども達の成長を見れる
放課後等デイサービスのやりがいは、子ども達の成長を間近で見れる点。
子ども達と接すると、昨日まで出来なかったことが今日になってできるようになった場面に立ち会う機会が多いです。
放課後等デイサービスに通っている子供達は、それぞれ苦手な部分があります。
苦手な部分を少しずつ改善していって、できるようになった瞬間の喜びは保育士も同じです。
子ども達の成長を間近で実感できるのは、放課後等デイサービスで働いている人の特権と言えます。
社会的な意義を感じられる
二つ目のやりがいは、社会的な意義を感じられる点です。
放課後等デイサービスの役割は、障害を持った子ども達が、社会で豊かに生活していけるように支援することです。
また、同時に保護者の方にとっても安心して子どもを預けられる場所を目指しています。
現代は共働きの両親が多いため、放課後に子どもを預かってくれる場所が求められます。
子ども達の成長を見守りながら、学校との連携や地域交流も大切にしているため、社会的な意義を感じながら働くことができるでしょう。
保護者に感謝されることが多い
三つ目は、保護者から感謝される機会が多い点で、療育に通いだしてから子供の成長を実感すると、「放課後デイサービスに通って良かった」と喜んでもらえます。
保護者の方によっては、子どもに対して「正しい声掛けや支援の仕方が分からない」と悩んでいる方もいます。
そんな時に、専門的な知識や経験がある職員からのアドバイスは役に立つでしょう。
子どもの成長を保護者と一緒に喜び合えるのは、放課後デイサービスのやりがいだと言えます。
放課後等デイサービスに向いている人
放課後等デイサービスにはどんな人が向いているのでしょうか。
向いている人の特徴を踏まえて解説しますので、ご自分に当てはまっているかどうか確認してみてくださいね。
体力に自信がある人
放課後等デイサービスでは、子どもと一緒に身体を動かして遊ぶ機会が多いため、ある程度の体力が必要です。
そのため、体力に自信がある人には、向いていると言えます。
放課後等デイサービスの仕事は、肉体的な疲労が溜まりやすいので、日頃から規則正しい生活を送ると、体調を崩しにくくなります。
最初は体力に自信がない人でも、働き続けることでだんだんと体力がついてきますので、それほど心配する必要はありません。
子どもが好きな人
次に、放課後等デイサービスに向いている人は、子どもが好きな人です。
放課後等デイサービスの仕事は、日々様々な障害を持った子ども達の支援を行うため、子どもと関わることが好きであるかどうかが大切です。
また、子どもの成長を一緒に喜び合える人であれば、放課後等デイサービスに向いていると言えます。
辛い出来事があっても、子どもが好きという気持ちを忘れなければ、乗り越えられることも多いですよ。
コミュニケーション能力がある人
最後に、コミュニケーション能力がある人は、放課後等デイサービスに向いています。
放課後等デイサービスでは、日常的に保護者対応が必要となり、子どもの様子などをきちんと伝えなければなりません。
その時に、適切な言葉や対応力が求められるので、ある程度のコミュニケーション能力を身に付ける必要があります。
さらに、放課後等デイサービスでは、スタッフと連携しながら働くことが多いので、コミュニケーション能力が高い人ほど、スムーズに仕事ができるでしょう。
放課後等デイサービスに向いていない人
先ほどは、放課後等デイサービスに向いている人についてご紹介しましたが、向いていない人は、どんな特徴があるのでしょうか。
放課後等デイサービスに向いていない人についてまとめましたので、参考にしてみてくださいね。
協調性がない人
放課後等デイサービスでは、職員との連携が重要になるので、協調性がない人はおすすめできません。
特に、自分一人で黙々と仕事をしていたい人や、やりたいように仕事をしたい人であれば、放課後等デイサービスには向いていません。
子どもが安全に生活できるように配慮しなければならないため、職員同士の声掛けや連携は必須です。
納得できない部分があっても、自分の考えを貫き通すのではなく、一度受け入れてみるのも大切と言えます。
子どもと関わるのが苦手な人
大前提として、子どもが好きではない人は、放課後等デイサービスには向いていません。
子どもと接する仕事であるため、そもそも子どもと関わるのが好きではない人であれば、入職してもすぐに辞めたいと感じてしまうでしょう。
さらに、特別な支援が必要な子ども達が在籍しているので、細かい配慮なども必要になります。
子どもが好きでなければ、お世話すること自体が苦痛に感じてしまうため、子どもにとっても良くない影響を与えてしまうでしょう。
忍耐力がない人
放課後等デイサービスでは、障害を持った子どもと接するため、障害の特徴によっては暴言や暴力などの行為を受ける場合があります。
障害の特性を理解していても、いざ暴言や暴力を受けると誰でもショックですよね。
忍耐力がない人だとイライラしてしまったり、苦痛に感じてしまったりすることも多いです。
さらに、子ども達の自立をサポートする仕事でもあるので、子どものペースに合わせて寄り添う機会もたくさんあります。
ついつい手伝ってしまいたくなることもありますが、子ども達の成長のためには見守る姿勢が大切。
放課後等デイサービスで働くには、かなりの忍耐力が必要になりますので、自信がない人にはおすすめできません。
まとめ
今回、放課後等デイサービスの仕事は「きつい」のかどうかについて解説してきました。
人によってはきついと感じてしまうようですが、放課後等デイサービスの離職率は平均よりも低いため、激務な職業ではないと言えます。
放課後等デイサービスは、子どもの成長を間近で見れる点や、社会的意義を感じられるやりがいがあります。
子どもが好きな人や、コミュニケーション能力が高い人にはぴったりな仕事ですよ。
逆に子どもが好きではない人や、忍耐力がない人には向いていないと言えますので、ご自分に合っているかどうかを見極めることが大切です。
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