保育士の仕事を辞めたいと思っても「クラス担任だから年度末まで働くべき」と我慢していませんか。
確かに保育士の仕事は年度で一区切りになっているため、スムーズに退職するなら年度末がベストです。
しかし、退職を検討している人の中には、年度末まで耐えるのが難しいと考えている人もいるでしょう。
本記事では退職を検討している保育士向けに、年度途中で退職した時のメリット・デメリットや円満退職する方法などについて解説します。
- 年度途中で保育士が辞める理由
- 保育士が年度途中で辞めるメリット・デメリット
- 保育士が年度途中でも円満に退職するための方法
- 退職する前に保育園から受け取る必要がある書類
- 年度途中でもスムーズに転職できるおすすめの転職サービス
そもそも保育士は年度途中で辞めていいの?
結論から申し上げると年度途中で辞めても問題はありません。
民法では労働者が退職する権利を認めており、退職の申し出から2週間経過後に雇用期間が終了する(雇用期間の定めがない場合)としています。
ただし、労働条件通知書に「退職する〇日以上前に届けること」と記載がある場合は、明記されたルールに従いましょう。
条件に合意した上で雇用主と労働契約を締結しているため、民法で認められているからとルールを無視する行為はトラブルに発展する可能性があります。
もちろん緊急を要する理由があるなら、保育園に事情を説明して退職日の相談をしてみましょう。
年度途中で保育士が辞めるよくある理由
保育士が年度途中で辞める理由にどのようなものがあるか気になりますよね。
参考となる情報として「今の保育園に最も感じている不満」に関する調査結果があります。
転職理由として良く聞かれるものをアンケートの選択肢にしているため、退職に踏み切った理由が見えてくるでしょう。
実際の回答者の割合とともに、それぞれの理由について解説します。
人間関係がつらい・悩んでいる
アンケートに回答した人のうち19.2%が「人間関係が合わない」と不満を抱えていました。
男性保育士が増えてきたものの、保育園の職場は女性が多い職場です。
さらに、他の園と交流する機会が少なく閉鎖的な環境だと言えるでしょう。
一緒に働く同僚だけではなく、園児の保護者との関係にまで配慮して保育士は仕事をする必要があります。
そのため、派閥争いや保護者からのクレームなど人間関係の悩みは尽きません。
保育現場で働く約5人のうち1人が不満を抱えている状況から、よくある退職理由の一つだと言えます。
給料が低い
「給与が低い」と回答した人は全体の46.2%で、約半分の人が不満を感じています。
令和5年賃金構造基本統計調査の結果から、全体平均給与の31万8千円に比べると保育士の平均給与は約26万5千円と低い状況です。
実際、命を預かる責任重大な仕事内容に対して支給される給与額が見合わないという口コミをよく見かけます。
処遇改善加算や借り上げ社宅制度など、保育士の待遇改善が実施されてきましたが未だに満足を得られていない現状だと言えるでしょう。
同じ保育の仕事をするならば「良い給与水準の施設に転職したい」と考える保育士は多いと考えられます。
残業が多い
園に対する不満として「残業が多い」と回答したのは全体の16.8%です。
令和6年4月の保育士の有効求人倍率は2.42倍といまだに高い水準であり、人手不足の状況だと分かります。
さらに、保育士の業務内容は園児の保育だけではなく、週案・月案の作成、イベントの準備や幼児教育など多岐にわたります。
人手不足が慢性化している園では、一人当たりの業務量が多く残業をしないと回りません。
人手不足や残業時間が改善されない園で働く保育士は、より働く環境が良い職場への転職を考えるでしょう。
方針が合わない
回答者のうち17.8%の人が園に対して「方針が合わない」ことに不満を感じています。
同じグループ園でも園長によって保育園の方針が異なることが多く、園長が決めた方針が自分のやりたい保育と違えば不満は募っていくでしょう。
また、同僚とも保育の方針が完全に一致することは稀で、細かい部分で日々すり合わせが必要です。
園内に譲らない同僚がいると、自分のやりたい保育ができないためストレスは蓄積されていきます。
年度途中でも退職した方が良い保育士の例
- パワハラやセクハラなどハラスメント被害にあっている
- 健康上の理由で保育の仕事に支障がでている
- サービス残業が常態化しているなど待遇が悪い環境で働いている
上記の例は自分の努力で改善が見込めないため、我慢して仕事を続けても辛い状況のままです。
いずれ体調やメンタルが壊れる可能性があるため、年度途中でも退職した方が良いでしょう。
一方で「ミスを繰り返すから保育士に向いていない」と思ったとしても、経験不足が要因の可能性があります。
仕事を続ければ改善する見込みがあるため、退職するかどうかの判断は慎重に行いましょう。
もし迷ったら「自分の努力で現状が良くなるかどうか」で判断することをおすすめします。
保育士が年度途中で辞めるメリット・デメリット
年度途中で退職できるからといって安易に行動に移さず、退職すべきか慎重に判断しましょう。
得られるメリットしか考えず退職してしまうと、思わぬデメリットに頭を悩ませてしまう可能性があります。
退職によって発生するデメリットに納得した上で、年度途中の退職に臨みましょう。
保育士が年度途中で辞めるメリット
- 年収アップの可能性がある
- 人間関係のストレスから解放される
- 新しい経験・スキルアップができる
- 自分に合った社風・職場環境で働ける
一番のメリットは、現在の職場に感じている不満が解消され精神的に楽になることです。
さらに、転職すれば年収アップやスキルアップできる可能性があります。
中途採用の多くは経験やスキルによって給与を決めているため、転職先によっては現在の給与より高い金額で働けます。
また、保育園によって保育方針やカリキュラムが異なり、新たな経験やスキルが身につくでしょう。
転職先についても実際に働いた経験から厳しい目で品定めができ、より自分が働きやすい職場を見つけることが可能です。
保育士が年度途中で辞めるデメリット
- より良い環境の職場に転職できるとは限らない
- 人間関係を一から構築する必要がある
- 退職金のもらえる額が減る・もらえない
次の職場を探したときに希望する条件の求人が見つかるとは限りません。
急な人員不足によって年度途中に募集している求人もあるため、中には職場環境が良くないものもあるでしょう。
また、運良く希望の職場に転職できたとしても、転職した先の人間関係を一から築く必要があります。
中途入社は同期がいないことが多く、しばらくは寂しさを感じるかもしれません。
さらに、保育園によっては退職金の計算が年単位で行われるため、減額されたり支給されなかったりする可能性があります。
保育士が年度途中でも円満に退職するための方法
実際に年度途中での退職を決意しても、円満に辞められるか不安になりますよね。
円満な退職のためには、職場が納得する退職理由を用意して、残った同僚のために行動することが大切です。
結果として不要なトラブルを防止し、転職時に責任感をもって対応した事実をアピールできます。
円満に年度途中に退職する方法を紹介するので参考にしてください。
相手が納得する退職理由を準備しておく
退職理由はポジティブかつ保育園側が対処できない理由にすると良いでしょう。
例えば「家族との時間を大切にするため」「スキルアップのため勉強の時間を確保したい」など、前向きな理由は悪い印象を与えません。
「残業時間が長い」「人間関係が上手くいかない」などの理由は、改善すると言って引き止められる可能性があるため注意が必要です。
健康上の理由であれば、率直に保育士として仕事を続けるのは困難だと伝えて問題ありません。
最低3ヶ月前までには退職の意思を伝える
退職者がでた場合、人員確保のために求人募集、採用面接や入社準備など保育園側に大きな負担が発生します。
求人を出してもすぐに応募・採用できるとは限らないので、年度途中で辞める場合は退職意思を最低でも3ヶ月前までに伝えましょう。
また退職時期にも配慮すれば、さらに円満に退職が可能です。
年度初めの慌ただしさが収まる6月、園児や先生が慣れてきて落ち着き始める8月、仕事納めで落ち着く12月が退職するタイミングとして適しています。
業務の引き継ぎを早めに終わらせておく
後任の保育士に負担をかけないためにも、引継ぎは早めに着手しましょう。
保育士が抱える業務量は多く、引継ぎの時間を急に確保するのは困難です。
また、引継ぎは口頭のみでなく、後で確認ができるようにノートやファイルなどの文書で残すことをおすすめします。
引継ぎする内容は下記のとおりです。
- 園児の性格やアレルギーの有無
- 家庭環境、保護者への応対ポイント
- 行事の準備や進行方法、書類の作成方法
余裕をもって引継ぎを終わらせておくと在籍中に不明点への対応ができるため、退職後の問い合わせ防止にもなります。
同僚や親御さんへの挨拶を行う
事情を知らない保護者の中には、年度途中で退職する保育士に対して「責任感がない」とマイナスな感情を抱く人もいます。
そのため、退職するときは可能な限り保護者へ挨拶をしておきましょう。
退職理由を聞かれても、事実を伝えずに「一身上の都合のため」と回答して問題ありません。
また、円満退職のためにも同僚への挨拶を省かず、感謝の気持ちを伝えることが大事です。
朝礼などで同僚全員に挨拶したとしても、退職日近くに再度個別に挨拶をすると好印象を持たれやすくおすすめです。
退職する前に保育園から受け取る必要がある書類
保育園を退職する際に受け取る書類は、下記の通りです。
- 年金手帳または基礎年金番号通知書
国民年金に加入するとき、転職して厚生年金に加入するときに提示・提出します。
- 雇用保険被保険者証
転職先で雇用保険に加入する場合に必要になる書類です。
- 源泉徴収票
確定申告や転職先での年末調整のために使用します。
- 雇用保険被保険者離職票
離職票とも呼ばれ、失業手当を受給する際に必要となります。
- 健康保険被保険者資格喪失証明書
国民健康保険に加入するときに利用する書類です。
年金手帳・基礎年金番号通知書、雇用保険被保険者証、そして源泉徴収票は事業者側が保管または発行する書類のため、退職時に受け取りましょう。
雇用保険被保険者離職票や健康保険資格喪失証明書は、退職時点で転職先が既に確定している場合は原則不要です。
ただし、状況によっては必要になるため受け取っておくと安心です。
保育士が年度途中で辞めたら転職にも影響する?
保育士の場合、年度終了まで働いてほしいと考える採用担当者が多いため、転職に少なからず影響はあると言えます。
そのため転職活動をするときは、採用側が納得できる退職理由を用意しておくと良いでしょう。
例えば「御社の〇〇に魅力を感じ、思い切ってチャレンジしてみました」など、行動力・決断力をアピールできる理由がおすすめです。
ただし、面接で採用官に深掘りされたときに上手く回答できない可能性があるため、事実と全く異なる理由は避けたほうが賢明です。
年度途中でもスムーズに転職したいなら転職サービスがおすすめ
- 保育士ワーカー
- 保育士人材バンク
- 保育士バンク!
保育士に特化した転職サービスは上記のとおりで、利用すれば専属のアドバイザーがサポートしてくれます。
保育士は業務量が多く転職活動に時間を割けないため、転職サービスを上手く活用すればスムーズな転職ができるでしょう。
転職サービスなら、希望に添える保育園の選定、面接日の調整、退職理由の話し方アドバイスなど、手厚いサポートが受けられます。
さらに非公開求人の紹介が受けられる場合もあるため、良い転職を希望するのであれば転職サービスを利用しましょう。
まとめ
- 保育士は年度途中でも辞められる
- メリットだけではなく、年度途中で退職するデメリットを確認する
- 保育園を辞めるときは円満退職を心がける
- 年度途中の退職は転職に影響がでる可能性がある
理想は年度末での退職ですが、保育士の仕事は年度途中でも辞められます。
もちろん退職すればストレスから解放されますが、転職後の職場が良い環境とはかぎりません。
理由によっては辞めずに解決できるため、退職すべきかよく検討してからの決断をおすすめします。
また、退職するときは保育園側に配慮し、円満な退職を心がければトラブルを防止できます。
自分の体調や気持ちを最優先に考え、退職に適切なタイミングを選択しましょう。
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