保育士は子どもたちの安全を見守り、心と体の健やかなサポートを行うとても重要な役割を担っている職業です。
そんな保育士の給料は、一般職と比べて低い傾向にあるのは誰もが認めていることでしょう。
ですが、保育士は役職や学歴、公務員保育士か私立園保育士なのかによっても年収が大きく変わってきます。
今回は公務員保育士についてや年収、年収の上げ方などを紹介していますのでぜひ参考にしてください。
- 公務員保育士の年収は年齢や役職によって大きく変わる
- 公務員保育士と私立保育士の大きな違いは「雇用形態」にある
- 公務員保育士は自治体の保育施設に勤務するため、保育園以外の配属先の可能性もある
- 公務員保育士が年収を上げるためには、勤続年数やキャリアアップが必要不可欠
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保育士はとてもやりがいのある職業ですが、年収や私立保育園との差はどうなのかなど気になることが多くありますよね。
公務員保育士の年収はいくらなのか、年収の具体的なあげ方なども詳しく解説しています。
【公務員保育士】年齢別の年収は?
公務員保育士の給料は勤続年数、学歴、地域、役職などによって違ってきます。
また、通勤手当や地域によっては地域手当などの支給がある場合もあるためここでも年収は変わっていきます。
新卒で公務員保育士となった場合の年収はおおよそ300万円前後ですが、勤務年数が長いほど安定した昇給と賞与が期待できるでしょう。
- 20代~30代の公務員保育士の年収はおおよそ400万前後
- 40代~50代の公務員保育士の年収はおおよそ600万前後
20代~30代の公務員保育士の年収
下記に20〜30代の年齢別・学歴別のおおよその年収をまとめましたので、参考にしてください。
20代〜30代 | 大卒の年収 | 短大卒の年収 | 高卒の年収 |
---|---|---|---|
20歳~23歳 | ¥3,204,000 | ¥2,955,900 | ¥2,930,000 |
24歳~27歳 | ¥3,519,000 | ¥3,415,000 | ¥3,393,000 |
28歳~31歳 | ¥3,990,000 | ¥3,903,000 | ¥3,865,000 |
32歳~35歳 | ¥4,475,000 | ¥4,370,000 | ¥4,322,000 |
36歳~39歳 | ¥5,000,000 | ¥4,909,000 | ¥4,880,000 |
40代~50代の公務員保育士の年収
下記に40〜50代の年齢別・学歴別のおおよその年収をまとめましたので、参考にしてください。
40〜50代 | 大卒の年収 | 短大卒の年収 | 高卒の年収 |
---|---|---|---|
40歳~43歳 | ¥5,576,000 | ¥5,498,000 | ¥5,426,000 |
44歳~47歳 | ¥5,995,000 | ¥5,865,000 | ¥5,807,000 |
48歳~51歳 | ¥6,312,000 | ¥6,162,000 | ¥6,083,000 |
52歳~55歳 | ¥6,539,000 | ¥6,303,000 | ¥6,207,000 |
56歳~59歳 | ¥6,729,000 | ¥6,412,000 | ¥6,325,000 |
【公務員保育士】役職別の年収は?
公務員保育士の年収は役職が上がるごとに基本給があがり役職手当がつき、勤続年数によるベースアップの影響が大きくなってくるでしょう。
公務員保育士が役職に就くには、役職ごとに違う「キャリアアップ研修」の受講が必須条件となります。
下記に役職別の年収をまとめましたので参考にしてください。
- 役職なしの公務員保育士の年収はおおよそ300万前後
- 主任保育士の公務員保育士の年収はおおよそ600万前後
- 施設長・園長の公務員保育士の年収はおおよそ700万前後
役職なしの公務員保育士の年収
公立・常勤 | 公立・非常勤 | 私立・常勤 | 私立・非常勤 | |
---|---|---|---|---|
(賞与込み) | 役職なしの保育士¥3,357,000 | ¥2,075,000 | ¥3,145,000 | ¥2,029,000 |
役職なしの公務員保育士と私立園勤務の保育士の常勤・非常勤別の年収の違いを表を使って比較していきましょう。
役職なしの保育士の場合、公務員保育士と私立園勤務の保育士とでは年収の違いは大きくないことがわかります。
ですが、公務員保育士は給料の安定性が期待できます。
参考:こども家庭庁 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
主任保育士の公務員保育士の年収
公立・常勤 | 公立・非常勤 | 私立・常勤 | 私立・非常勤 | |
(賞与込み) | 主任保育士¥6,222,000 | ¥4,671,000 | ¥4,766,000 | ¥2,056,000 |
次に公務員の主任保育士と私立園勤務の主任保育士の常勤・非常勤別の年収の違いをみていきましょう。
主任保育士にもなると年収の差は200万以上と大きく違ってくることがわかります。
常勤保育士なのか、非常勤保育士なのかによっても大きな差がでてくることがよくわかりますね。
参考:こども家庭庁 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
施設長・園長の公務員保育士の年収
公立・常勤 | 公立・非常勤 | 私立・常勤 | 私立・非常勤 | |
---|---|---|---|---|
施設長・園長 (賞与込み) | ¥7,133,000 | ¥3,644,000 | ¥6,345,000 | ¥2,443,000 |
次に公務員保育士の園長と私立園保育士の園長の常勤・非常勤別の年収の違いをみていきましょう。
園長保育士になると、役職手当の他に管理手当などもつくため大幅に収入が増えます。
公務員保育士は勤続年数が長く役職が上がるほど収入があがり、安定した給与体制がメリットの一つです。
参考:こども家庭庁 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
公務員保育士と私立園勤務の保育士とは何が違う?
公務員保育士と私立園勤務の保育士の最大の違いは「雇用形態」です。
公務員保育士は地方自治体に採用される保育士のことで、主に公立の保育施設で働くことができ、位置付けは「地方公務員」にあたります。
一方で、私立園勤務の保育士は社会福祉法人や企業の採用になり位置付けは「会社員」です。
以下ではより具体的に、公務員保育士と私立園勤務の保育士の違いについて紹介します。
公務員保育士と私立保育士の比較
公務員保育士と私立保育士の違いの比較は以下にまとめました。
公務員保育士 | 私立園勤務の保育士 | |
---|---|---|
採用試験 | 地方自治体が主催する採用試験を受ける | 各園の運営母体の求人に応募し、採用試験を受ける |
勤務先 | 地方自治体が運営する公立の保育施設や児童福祉施設 | 社会福祉法人が運営する保育施設 (認可保育園、無認可保育園) |
異動の有無 | 2、3年に1度あり | 姉妹園の異動の可能性はあり |
待遇 | 定期昇給や地方公務員と同等の福利厚生が期待できる | 勤務する園によって昇給制度や福利厚生も異なる |
休暇の取りやすさ | とりやすい | 勤務する園によって取りやすさは異なる |
勤務時間 | 1日あたり8時間程度 | 1日あたり8時間程度 |
就職における難易度 | 難易度は高い | 難易度は高くない |
公務員保育士は地方自治体の定める「公務員採用試験」を受ける必要があるため、難易度が高くなります。
公務員保育士と私立園保育士【役職別年収の比較】
公務員保育士 | 私立園勤務の保育士 | |
---|---|---|
施設長 (常勤・賞与込み) | ¥7,133,000 | ¥6,345,000 |
主任保育士 (常勤・賞与込み) | ¥6,222,000 | ¥4,766,000 |
保育士 (常勤・賞与込み) | ¥3,357,000 | ¥3,145,000 |
役職がない保育士と比べると、役職がつくと格段に年収が上がっていることがわかりますね。
年収を上げるためには役職に就くといったことが必要不可欠となってきます。
参考:こども家庭庁 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査
公務員保育士ならではのデメリット
- 2~4年に1度異動がある
- 競争率の高さから倍率が高く採用待ちがある
- 地域の支援センターや療育センターなど保育以外の業務に就く可能性がある
公務員保育士は私立保育士よりも待遇面がよいことから競争率が高い傾向にあります。
また、公務員保育士は地方自治体が管轄する保育所や福祉施設の勤務になるので勤務先を選ぶことができません。
基本的には人手が足りていない保育所や福祉施設の配属になります。
公務員保育士は基本的には2〜4年ごとに異動があり1箇所の保育施設で長く務めることはできません。
保育所以外の施設に勤務することもあるので柔軟な対応が不可欠となるでしょう。
保育園以外の公務員保育士の配属先は?
公務員保育士は、自治体が運営する保育施設に勤務します。
自治体が運営する保育施設は公立保育施設以外だと、「児童発達支援センターや療育センター」「地域の子育て支援センター・児童館」「自治体の子育て支援課」などがあります。
各福祉施設によって目的が違うため、各施設に合わせた専門的な知識が必要になってくることもあるのでニーズに合わせた柔軟性も大切になるでしょう。
児童発達支援や療育センターなどの福祉施設
- 一人ひとりの発達に合わせた運動機能の向上を促すサポートを行う
- 認知機能の向上を促すサポートを行う
- コミュニケーション能力の向上を促すサポートを行う
児童発達支援や療育センターは「発達の遅れや障害をもった児童の発達を支援する」といった目的がある施設です。
発達障害に関する知識や療育技術の他に、子どもの発達段階に関する専門的な知識が必要です。
また、家庭と連携していく必要があるため家庭支援の知識も必要不可欠になってくるでしょう。
地域の子育て支援センター・児童館
- 子どもや親同士の交流や情報交換ができる居場所をつくる
- 地域と連携し、情報を提供する
- 子育ての悩みに対する相談・支援を行う
地域の子育て支援センターや児童館は「地域の子育て家庭を支援する」といった目的をもった施設です。
子育て支援センターや児童館には、年齢に合わせた玩具や遊具も多く揃っており子どもたちの健全な遊びを促してくれるでしょう。
また、子どもに関する専門的知識や子育ての悩みを傾聴してアドバイスをするためのスキルが必要になります。
自治体の子育て支援課
- 子育て家庭の孤立防止
- 経済的支援などを通して子育て環境を整える
- 地域の子育て環境の向上
自治体の子育て支援課は、「専門的な知識と豊富で柔軟な情報で子どもと親をサポートする」ことを目的としてる施設です。
また、子どもたちの健やかな成長を促すだけでなく、育児相談や支援プログラムの提供など親のメンタルサポートも行っています。
子育て支援の基礎知識や、相談対応スキルなどが必要になってくるでしょう。
公務員保育士が年収を上げるためには?
経験年数に応じた昇給や、リーダー、副主任、主任などといったポジションに就くことで更なる賃金の上乗せが期待でき、結果として年収アップに繋がります。
公務員保育士が年収を上げるためには、保育士としての経験年数を増やし、スキルをしっかりと築くことが重要です。
以下では、公務員保育士が年収を上げるための具体的な方法を3つ紹介します。
勤務年数を重ねる
公立に勤務する保育士は地方公務員にあたります。
一般的に地方公務員は勤続年数に応じて給料も変わってくるため、公務員保育士も勤続年数が長いほどそれに応じた給料のベースアップが期待できるでしょう。
また「処遇改善制度」があり、これは保育士の給料や待遇の向上を図り人材確保と離職率低下を目的とした制度です。
この処遇改善も勤続年数などに応じて手当の加算率が上がっていくため、年収を上げることに繋がっていきます。
主任や園長などの役職に就く
役職に就くと収入が大幅に上がることで年収アップに繋がっていきます。
園にもよりますが、副主任やリーダーなどに昇格することで副主任手当やリーダー手当などの役職手当をもらえる可能性もあるでしょう。
役職に就くにあたり園全体またはクラス全体をまとめていく力や、より専門的なスキルと知識が必要不可欠となります。
また、都道府県が実施している各役職に応じた「キャリアアップ研修」の受講が必須になってきます。
年収の高い私立保育園などに転職する
地方公務員にあたる公務員保育士の給料は各自治体によって異なりますが、同じ自治体内なら基本的には大きな差はありません。
その点、私立保育園の給与体系は各園を運営する法人によって決められています。
また、公務員保育士は勤務先が選べないのに対して、私立保育園は自身の希望する園に勤務できる可能性が高いです。
人材育成に力を入れている私立保育園であれば、早期に昇格できる可能性が高くキャリアアップがしやすいといえます。
公務員保育士に関するよくある質問と回答
公務員保育士になるにあたって賞与や退職金などについて気になることがありますよね。
ここでは公務員保育士に対してよくある質問の賞与や退職金、副業などについて具体的にわかりやすく回答していきます。
ボーナスや退職金はもらえる?
もらうことができます。
公務員保育士のボーナスは夏と冬の年に2回、月の給料の約4.3ヶ月分です。
これは地方自治体の基準によって支給されます。
退職金も地方自治体の条例や勤続年数に応じて計算し、支給され退職後1ヶ月以内に支給されることが多いです。
ただし、1年以上の勤続が条件となります。
公務員保育士の試験倍率は高い?
試験倍率は高い傾向にあります。
公務員保育士は、給料や待遇の良さから人気が高い職業の一つです。
試験倍率は自治体や採用人数によっても異なりますが、東京都の人気エリアにもなると倍率は約4.2倍になることもあります。
保育士の公務員試験では、筆記試験の他にピアノ演奏、絵本読み聞かせなどといった実技試験も行います。
公務員保育士に中途採用はある?
あります。
公務員保育士の中途採用の募集は各自治体ごとに行われます。
例年6〜8月ごろに募集を開始していることが多いようです。
公務員保育士の中途採用は保育資格を有する者・保育士資格を取得見込みのある者、一定の職務経験などが求められます。
中には普通自動車運転免許証が条件となっているところもあるので希望する保育施設の条件をよく確認してくださいね。
公務員保育士は副業可能?
原則禁止です。
公務員保育士の副業は「地方公務員法」によって禁止されています。
公務員は国家や国民全体の奉仕者といった役割をもっており、副業によって信頼や公務員のイメージを損なわないため設けられています。
公務員の副業が見つかってしまった場合は懲戒処分をうけ、最も重いと免職処分となってしまう可能性があるので十分注意が必要です。
まとめ
公務員保育士は収入や待遇の良さなどから人気が高く、エリアによっては狭き門となるでしょう。
ですが、勤続年数を増やしたりキャリアアップ研修を受け役職に就いたりすることで、大幅な年収アップが期待できます。
地域や各園の手当などによっても変動しますが、一般的に公務員保育士の年収は私立保育士の年収よりも高く、安定性があることも魅力的ですね。
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