職務経歴書は、転職活動の際に応募先へ自分のスキルや過去の業務内容を伝えるための大切な書類です。
職務経歴書の知識がなく、「職務経歴書に何を書けばよいのか分からない」「見本が載っているサイトを参考にしたい」と、お困りの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、保育士を目指す方のための職務経歴書について、記載内容や書き方の見本などを詳しくご紹介します。
自分の魅力やスキルを十分にアピールしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。

職務経歴書は、これまでの経歴をざっくりと記載する履歴書とは違い、職務経歴にフォーカスするイメージ。何を書いたらよいのか迷うかもしれませんが、この記事を見れば書き方が例文つきで記載されているので、そのまま活用もできますよ。ポイントを押さえて、採用担当者を惹きつける文章を書いてみましょう!


ゆぴ 元保育士ライター
保育士歴9年。ピアノが得意で、子どもと一緒に歌をうたうことが好きでした。現在は、専業主婦兼Webライターとして活動中です。保育士や保育士を目指す方の、力になれるような記事を執筆しています。
そもそもなぜ職務経歴書は必要なの?
職務経歴書は、応募先に自分の職歴やスキルを細かく伝えるために、転職活動時には欠かせません。
就活の際に、ほとんどの企業が履歴書とセットで職務経歴書の提出を指定します。
「履歴書だけ書けばよいのでは?」と疑問に思われるかもしれませんが、履歴書は住所や学歴・家族構成など自分のプロフィールを担うのが目的なので、これだけでは採用担当者が知りたい以前の職務内容や習得スキルを伝えられません。
そのため、職務経歴書はこれまでの企業名や業務内容、実績などを知る判断材料として重宝されています。
保育士の職務経歴書を作成する前のチェックリスト
はじめに、保育士の職務経歴書を作成する前のチェックリストを5つの項目別にご紹介します。
記載内容を整理せずに書き出してしまうと、何を伝えたいのか分からなくなってしまいます。
何度も書き直して、余計な時間を費やしたくないですよね。
作成前に、記載内容や書き方などをある程度整理してみてください。
①職務経歴書のサイズと量
市販の職務経歴書は、A4判(A3サイズの2つ折り・210mm×297mm)とB5判(B4サイズの2つ折り・182mm×257mm)など、様々なサイズのものがあります。
園からサイズの指定がある場合は、必ず決まったものを使いましょう。
特に指定されていない場合はA4判・B5判のどちらを使用しても構いませんが、文字が小さずぎるとごちゃごちゃした印象を与えてしまうため、A4判がおすすめです。
反対に、書く内容があまりない場合にA4判を使用すると余白が目立ってしまうので、B5判を使用するとよいですよ。
②職務経歴書に書く内容をリストアップしておく
職務経歴書を記入する前に、書く内容のリストアップが大切です。
保育士の職務経歴書に書く内容の例を、下記にまとめてみました。
- 業務内容
- 雇用形態
- 配属ポジション
- 取得資格・免許
- 得意分野・スキル
- 自己PR
この他にも、前職の保育施設の規模や種類・退職理由などを記載しても構いません。
このなかでも特に大切な項目が、自己PRです。
これまでの業務で培ったスキルや、自分が働いたら求人先にどのようなメリットがあるのかなどを明確にアピールしましょう。
③手書きorパソコンで作成 可能ならPCスキルをアピールできるパソコン作成がおすすめ
手書きとパソコンどちらで作成するか決めましょう。
パソコンが使用できるのであれば、PCスキルをアピールできるパソコン作成がおすすめです。
パソコンスキルに自信のない場合は、無理にパソコンを使用せず手書き作成でも問題ありません。
手書き作成の場合、字の綺麗さや人間性が現れるので丁寧に書くように意識してください。
また、手書きの場合に修正ペンを使用すると採用担当者にネガティブなイメージを与えてしまうため、使用は控えましょう。
④職務経歴書の書き方は2種類
職務経歴書を記載する際は、編年体形式とキャリア形式の2つの形式のうち、どちらを採用するか決めましょう。
- 編年体形式
- キャリア形式
経歴を時系列でまとめる形式の編年体形式に対し、キャリア形式は業務内容や職域などをキャリアに応じてまとめます。
一貫して保育士をしてきた方や、同じ職種で働いていた方は編年体形式の使用が一般的です。
反対に、転職により業界や職種が変わった人や、転職経験の多い人はキャリア形式を使用してみてください。
⑤履歴書と整合性を確認
最後に、職務経歴書の作成前に履歴書との整合性を確認しましょう。
職務経歴書と履歴書には、経歴や取得資格など記載内容が被る項目もあります。
履歴書に保育士歴5年と記載しているにもかかわらず、職務経歴書には3年になっているなど、双方の情報に誤りがあると採用担当者が困惑し、悪い印象を与えてしまいます。
履歴書と職務経歴書に矛盾が生じないように、正しい情報の記入を意識してください。
保育士の職務経歴書の記載内容【見本】
ここでは、保育士の職務経歴書の各項目の記載内容をポイントや見本と併せてご紹介します。
職務経歴書は職務経歴だけでなく、保有スキルや資格、自己PRなど記載項目が多いです。
各項目に正しい書き方があるので、ルールに沿って見やすい書類を作成しましょう。
①日付・氏名
一見記載ルールがないように思われる日付や氏名にも、正しい書き方があります。
日付は、作成日ではなく投函日を書きましょう。
面接時に直接渡す場合は、面接当日の日付を記入してください。
年は西暦・和暦のどちらでも構いませんが、履歴書や職歴欄と統一しましょう。
氏名欄は、苗字と名前の間にスペースを開けることを意識してください。
②職務経歴として記入したほうがいい項目
職務経歴に記入すべき項目は、以下の通りです。
- 雇用形態:正社員・パート・派遣など
- 園の種類:公立保育園・認可外保育園・企業内保育園などの種類
- 園の規模:園児数・職員数
- 担当業務:担任・保育補助・主任・園長など
- 職務内容:クラス運営・行事の企画運営・保護者面談・クラス便り、月案等の書類作成など
保育業界以外での勤務経験がある場合は、職務概要や業務内容を簡潔にまとめ、PCスキルなど保育業界で活かせるスキルをアピールしてみてもよいでしょう。
保育業界に関係のない業務内容やスキルを淡々と並べても、採用担当者の心には響きづらいので注意してください。
③保有資格・スキルなど
保有資格やスキルがある場合は記載しましょう。
資格や免許を記入する際は、正式名称と取得時期を正確に記載するよう心がけてください。
また、現在取得中の資格がある場合は、「絵本専門士の資格取得に向け勉強中」のように記入しても構いません。
さらに、その他にもピアノやリトミック、絵画などの保育現場で活かせるスキルがあれば、併せて記入します。
アピールできるスキルがない場合は特になしと記入しますが、採用担当者に熱意が伝わりづらくなるため、できるだけ空欄は避けるとよいです。
④自己PR(例文付き)
保育業界から転職する人、異業種から保育業界に転職する人、ブランクのある人など、立場によって自己PRの内容は変わります。
特に、保育士の経験がない異業種から保育業界に転職する人は、なぜ保育士になりたいのかをしっかりとアピールしなければなりません。
これまでの職務で培ったスキルや、自分の長所、アピールポイントを保育業界にどう活かしていくのかを記入しましょう。
それぞれ立場別の自己PR例文も記載しているので、自分に当てはまるものを見つけて参考にしてみてください。
長年、以上児の担任をしていました。1クラス30人程度の規模の大きい園で経験を積んだため、集団製作の指導や子どもを惹きつける話し方に自信があります。また、10年間習っていたピアノも得意で、季節のうたの伴奏や簡単なリトミック指導も可能です。前園では、以上児とのかかわりを深めていくなかで、未満児保育もじっくり学びたいと思い退職しました。0〜2歳児のみが通うアットホームな貴園で、子ども一人ひとりにあった保育を実践していきたいと思います。
前職では5年間主任保育士として勤務後、出産・育児を機に退職しました。7年間の子育ては、子育ての大変さや、子育てと仕事を両立する保護者の方の苦労を改めて知るきっかけになりました。子育てを通し、再び保育業界に復職して子どもたちとかかわりたいと思ったのが応募理由です。ブランクはありますが、子育ての経験を活かし、より子どもや保育者に寄り添った保育を行いたいと思います。
以前は、子ども向けのアパレル店に勤めていました。親子連れのお客様に対応することが多く、徐々に子どもとじっくりかかわりたい気持ちが強くなりました。好奇心旺盛で、新しい分野にも躊躇なく足を踏み入れられるのが私の強みです。保育業界は初めてですが、前職で培ったコミュニケーション能力や、笑顔を絶やさない対応を活かしたいと思います。また、幼少期から絵を描くことが得意なので、絵画のスキルを活かした保育にも挑戦したいです。


応募する前に確認すること
条件の合う求人先を見つけたら、応募する前に確認しておきたい項目があります。
「なんとなくアクセスや給料がよくて応募してみたら、希望していない縦割り保育の園だった」のように、蓋を開けると労働条件が自分の希望と合っていなかったというケースは少なくありません。
労働条件は自分の希望に適しているのか、自分のスキルや長所は応募先に活かされるのかなどを確認しておきましょう。
①応募先の保育施設の必要な情報を集められているか
応募先の保育施設の必要な情報を、ある程度入手できているか確認しましょう。
施設の種類や規模、縦割り保育の有無など、応募する前にリサーチしておきたい項目はたくさんあります。
施設の情報が頭に入っていないと、応募先の園でどのような保育がしたいのかがイメージしにくいです。
また、面接の際に志望理由やこの園を選んだ理由を聞かれることが多いですが、応募先の基本的な情報を知らないと明確に答えられず、採用担当者にも悪い印象を与えてしまいます。
応募を決めたら、施設のホームページや求人サイトから施設の概要や基本的な情報を集めることが大切です。
②アピールしている部分と応募先の人物像が合っているか
自分がアピールしている部分と、応募先が求める人物像が合っているかを確認しましょう。
アピールしたい部分と応募先が求める人物像が一致しないまま応募してしまうと、自分の強みが応募先に伝わらず、採用担当者からも必要な人材ではないと判断されてしまうためです。
例えば、ピアノスキルが不要の園にピアノが得意なことをアピールしても、採用担当者の心には響きませんよね。
このような過ちを犯さないためにも、自分のアピールしたい部分が応募先にも適用するのかを確認しておいてください。
③労働条件が自分のライフスタイルに適しているか
労働条件が自分のライフスタイルに合っているのかを確認することも大切です。
子どもの送迎のために残業はしたくない、家から職場が遠いのでマイカー通勤をしたいなど、一人ひとり希望条件は異なります。
労働条件が合わないと、自分の生活に支障が出てしまい困りますよね。
応募する前に、妥協できない条件があればピックアップしておき、応募先の労働条件と噛み合っているかチェックしましょう。
保育士の採用面接でのポイント
保育士の採用面接で気をつけたいポイントはたくさんありますが、今回は「明るくハキハキと受け答えする」を重点に解説します。
- 明るくハキハキと受け答えする
保育士の1番の業務内容は、子どもとかかわることです。
当然、保育にあたる際は、笑顔を絶やさずに子どもとかかわらなければなりません。
面接官は、志願者が受け答えするときの表情や話し方に注目します。
受け答え時に笑顔が見られなかったりモゴモゴと喋ってしまったりすると、「この人は子どもの前でも笑わないのかな」「どんな保育をするんだろう」と不安になってしまいます。
面接官に良い印象を与えるだけでなく、子ども相手にどのような保育をするのかを想像してもらうために表情に気をつけて、笑顔を絶やさずハキハキと受け答えできるように意識してみてください。
【体験談】面接官に聞かれた職務経歴書の内容
ここでは、元保育士の私が実際に面接官に聞かれた職務経歴書の内容をご紹介します。
私はこれまでに保育業界内で2回転職をし、書類作成や面接、実技テストなどを経験しました。
職務経歴書は、書くポイントを掴めばスラスラと書けた記憶があります。
リアルな職務経歴書の内容や面接でのやりとりをお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
①音楽が得意なことをアピール
私の1番の特技はピアノなので、ピアノを中心に音楽が好きで、得意であることをアピールしました。
「弾き歌いはできるか」「楽譜を見ないでも弾けるか」という質問をされ、楽譜を見なくても弾き歌いができることを伝えたと思います。
また、ピアノの実技テストがあったため、難易度が高すぎず確実に間違えないで弾ける曲を選んで演奏しました。
ピアノのスキルを見るというより、ピアノが途中で止まらないか、止まっても動揺せずすぐに弾けるかなどを重点に見ていたと思います。
②前園での担当クラスや業務内容
幼稚園からこども園に転職する際に、幼稚園での担当クラスや業務内容をいくつか質問されました。
幼稚園では3〜4歳児の副担任をしていたので、担任のサポートや環境整備、バス乗務など副担任の業務内容をお話ししました。
2年間しか保育経験がなかったため、どの程度の仕事ができるのかを把握したかったようです。
自信がない印象を与えてしまわないように、できるだけ笑顔でハキハキと喋ることを意識しました。
職務経歴書についてよくある質問
職務経歴書に関する、よくある質問を3つピックアップしました。
「聞きたいことがあるけど誰に聞いたらよいのか分からない」と、お困りの方もいるかもしれません。
気になるものがあれば、チェックしてみてください。
【Q1】短期間で離職した場合の職歴も記載する必要がありますか?
短期間で離職した場合の職歴も、省略せずにすべて記載するのが原則です。
在職期間が短くても、しっかりとした職歴になります。
職歴を省いたことが分かれば、採用担当者に不信感を与えるだけでなく、最悪の場合、経歴詐称したとして採用取り消しになる恐れもあります。
「短期間だし書かなくてもよいか」と一人で解決せず、明確に記載しましょう。
【Q2】今までの全ての職歴を記載したほうがいいですか?
職務経歴書には、これまでの職歴をすべて記載するようにしましょう。
保育業界以外の職歴がある場合も、省略せず記入してください。
職歴が多すぎて枚数をオーバーしてしまう場合は、詳細は直近の職歴を1〜2つだけに絞り、残りは概要だけをまとめて記入しても問題ありません。
過去の職歴を聞かれる可能性もあるので、職歴が多い場合も業務内容などをある程度答えられるように準備しておきましょう。
【Q3】職務経歴書はどのように提出しますか?
職務経歴書の提出方法には、メール・郵便・直接持参するの3つの方法があります。
基本的にどの方法で提出しても構いませんが、応募先の指示がある場合は該当する手段で提出しましょう。
メールの場合は第三者による閲覧や改編などのセキュリティ管理に注意し、郵便や直接持参の場合は折れ曲がらないようにファイルに入れてください。
まとめ
保育士の職務経歴書について、書き方のポイントや見本をご紹介しました。
職務経歴書を作成する前に、応募先の情報を集めたり、自分のスキルや長所を理解したりすることが大切です。
自分のアピールポイントと応募先の希望人物像が合っているのかを確認し、書き始めましょう。
職務経歴書は履歴書とは違い、指定されたフォーマットがない自由度の高い書類です。
本記事でご紹介した見本やポイントも参考にして、自分の魅力が最大限応募先に伝わるような職務経歴書を作成してみてくださいね。
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