乳児期の基礎的な動きの習得から、幼児期の協同性や挑戦する気持ちの育ちまで、年齢によって育てたい力は少しずつ変化します。
だからこそ、発達段階に合った運動遊びを選ぶことが、子どもたちの成長をしっかり支えるポイントです。
本記事では、運動遊びのねらいを年齢別にわかりやすく解説し、保育現場で実際に使える活動例も紹介します。
日々の保育にすぐ活かせる内容をまとめました。
- 0〜5歳児の発達に合わせた運動遊びの工夫
- 安全への配慮や環境づくり、役割分担を意識して活動を行うことが大切
- 楽しい雰囲気づくりと丁寧な関わりが、運動あそびをより豊かな経験へ
- 運動遊びの指導案の書き方を詳しく解説
けんくん先生【保育士ライター】「いまこの遊びでどんな力が育っているのかな?」と少し視点を持つだけでも関わり方が変わります。
明日からの保育のヒントになれば嬉しいです!


0・1歳児の運動遊びのねらい
0・1歳児の運動遊びでは、「寝返り・はいはい・つかまり立ち」など一人ひとりの発達段階に合わせて、無理なく心地よく身体を動かす経験を積むことが大切です。
遊びの中で手足を伸ばす・踏ん張る・体をひねるなどの動きが育つと、姿勢の安定や歩行への意欲につながります。
また、保育者と目を合わせたり声をかけてもらいながら動くことで、安心感の中で挑戦しようとする気持ちも育ちますよ。
- 心地よく体を動かし、全身の基礎運動能力を育てる。
- 安心できる大人との関わりの中で、自分から動いてみようとする意欲を育てる。
- 手足を使った多様な動きを通して、姿勢やバランスの基礎を養う。



“できた!”が生まれる瞬間を、安心できる関わりでそっと支えてあげたいですね。
0・1歳児におすすめの運動遊び
0・1歳児は、はいはい・つかまり立ちなど発達の土台を育てる大切な時期。
安全な環境で体を動かす経験は、筋力やバランス感覚を無理なく育ててくれます。
今日は室内でも楽しめる運動遊びをご紹介します。
サーキットあそび
マットの山をハイハイで登ったり、傾斜を滑り降りたり、トンネルをくぐるなど、全身を使った動きが自然に引き出される遊びです。
保育者がそばで見守りながら、怖がる子には抱っこや軽い補助を行い、安心して挑戦できる環境を整えることが大切です。
しっかり体を動かせる運動遊びとして、乳児期の筋力・バランス感覚・探索意欲を育むのにぴったりですよ。
- さまざまな動きを経験し、全身の筋力やバランス感覚を育てる
- トンネルや山越えに挑戦し、探索意欲や「やってみたい」気持ちを伸ばす
- 保育者の見守りのもとで安心して挑戦し、成功体験を積んで自己肯定感を高める
ハイハイで楽しむ「サーキットごっこ」
0・1歳児は全身を使った移動遊びが発達の中心にあります。
特にハイハイは体幹・腕・脚の筋力をバランスよく育てる大切な動きです。
マットやタオルを山のように重ねたり、段ボールトンネルを作ったりして、「サーキットごっこ」のコースをつくると、楽しみながら自然と運動量が増えます。
大人が前で呼んだり、後ろから優しく見守るだけでも子どもたちは安心して挑戦できますよ。
- 無理のない段差にして、転倒しにくい環境を準備する
- 怖がる子は大人が前に立ち、安心して進めるようにサポート
- トンネルや段差などを組み合わせて、“できた!”を積み重ねる
布あそびで体を動かす「ひっぱり・くぐり遊び」
布やタオルを使った「ひっぱり・くぐり遊び」は、0・1歳児が楽しみやすい運動遊びのひとつです。
長い布を床に広げてトンネルのようにしてくぐったり、保育者が布の端を持って動かし、その上をハイハイで追いかけたりと、遊び方はとてもシンプル。
布の動きを目で追うことで視線のコントロールが育ち、くぐる・追いかける動きで全身の発達を促します。
道具が柔らかく安全なのも魅力で、保育室でも無理なく取り入れやすい運動遊びです。
- 布は大人がしっかり持ち、安全に遊べる広さを確保する
- 追いかける・くぐるなど、子どものペースに合わせて遊び方を変える
- “できた”瞬間を大切にし、笑顔でたくさん認めてあげる



子どもたちのペースを大切に、安心して楽しめる環境をつくっていきましょう。
2・3歳児の運動遊びのねらい
2・3歳児は、全身をダイナミックに使う動きが一気に伸びる時期です。
走る・跳ぶ・くぐる・登るなど、遊びの中で自然と運動量が増え、体の使い方を自分で調整する力も育っていきます。
保育者が環境を整えることで、子どもたちは「やってみよう」という気持ちを持ちながら挑戦し、自信へとつなげていきます。
安全に見守りつつ、成功体験を積み重ねられる運動遊びを取り入れることが大切です。
- 全身を使った運動を楽しみ、体の動かし方を身につける
- くぐる・跳ぶ・渡るなどの動きに挑戦し、「できた」の経験を積み重ねる
- 自分の順番やコースの流れを理解し、見通しを持って活動する力を養う



“できた!”が増える2・3歳。
身体を使った挑戦は、心の育ちにもつながります。
2・3歳児におすすめの運動遊び
2・3歳児は、体の動かし方がぐんと上達し、挑戦する意欲が伸びる時期です。
全身を使った運動遊びを通して、楽しみながら基礎的な運動能力や自信を育てていきましょう。
バランスあそび(平均台・線の上歩き)
2・3歳児は、足元への意識が少しずつ育ち、バランスをとりながら進む遊びに挑戦しやすくなる時期です。
平均台や床に貼ったガムテープの線の上をゆっくり歩く活動は、体幹や足の指の力を自然に育て、転びにくい体作りにもつながります。
保育者が近くで見守りながら「ゆっくりね」「前を見て歩けたね」など声をかけることで、挑戦する気持ちが育ちます。
安全な環境を整えながら、達成感を味わえるバランス遊びを取り入れていきましょう。
- 平均台は低い高さで設定し、転倒しないよう横で見守る
- 最初はテープの線の上からスタートし、少しずつ難易度を上げる
- 一人ずつ順番に進み、前の子と距離を空けて歩かせる
ボールあそび(投げる・転がす)
ボールを投げたり転がしたりする遊びは、腕・肩・手首を連動させながら動かす経験ができ、全身の運動能力の土台づくりに効果的です。
2・3歳児は“ねらって投げる”ことがまだ難しい時期ですが、近い距離の大きな的から始めることで「当たった!」「できた!」の喜びが生まれます。
友だちと交互に遊ぶ活動にすることで、順番を待つ経験にもつながります。
- 的は大きめ・距離は近めから始めて成功体験を増やす
- ボールが転がる範囲を確保し、周囲の安全を確認してから行う
- 交互に投げるなど、順番を守る遊び方を取り入れる
まねっこ運動(動物になりきる動き)
動物になりきって体を動かす“まねっこ運動”は、全身の筋力や体幹を楽しみながら育てられる運動遊びです。
うさぎのようにジャンプ、くまのように四つ這いで歩く、ワニのように床に手足をつけて進むなど、普段とは違う動きをすることで身体の使い方を豊かに広げていきます。
保育者の動きをよく観察し真似する経験は、模倣力や集中力の育ちにもつながります。
- 保育者がゆっくり大きく動いて、真似しやすいスピードで示す
- ケガをしないよう、走る動きから距離を空けて広い場所で行う
- 動物の動きを変えて、難易度に応じてバリエーションを調整する
遊びの中で育つ力を、これからも大切に見守っていきましょう!
4・5歳児の運動遊びのねらい
4・5歳児は、身体の使い方がさらに巧みになり、全身をしっかりコントロールする力が育ってくる時期です。
運動遊びを通して、バランス感覚や俊敏性だけでなく、自分で考えて動く力・友だちと協力する力も発達します。
また、この年齢は“挑戦したい気持ち”が強くなるため、少し難しい動きに挑む経験が心の成長にもつながります。
保育者は安全な環境を整えつつ、成功体験・達成感を味わえるような言葉かけや環境の工夫が大切です。
- バランス感覚・巧緻性・持久力など、基礎的な身体能力を高める
- 友だちとの関わりを通して、協力・順番・ルール理解を深める
- 自分で挑戦しようとする意欲や「できた!」という達成感を味わう



挑戦する気持ちがぐんと育つ年齢。できた!が明日の自信になります。
4・5歳児におすすめの運動遊び
4・5歳児は体の動きがより器用になり、挑戦する気持ちもぐんと育つ時期です。
友だちと一緒に取り組む楽しさを味わいながら、体力・協調性・達成感を育てる運動遊びを楽しみましょう。
リレー・ルールのある走る運動(友だちと協力して楽しむ)
5歳児に近づくにつれ、勝ち負けへの関心が芽生え、“友だちと力を合わせる喜び”を感じられるようになります。
リレーやチームで行う走る運動は、俊敏性や持久力を育てるだけでなく、順番・ルール・仲間を応援する気持ちなどの社会性を育てます。
保育者は勝敗だけに焦点が偏らないよう、“協力して走る楽しさ”を大切にできる声かけを意識しましょう。
- 走るコースや折り返し地点をわかりやすく示し、衝突が起きないようにする
- バトンの受け渡しは立ち止まって行うなど、子どもが焦らない方法を取り入れる
- 勝ち負けだけに注目しない声かけをし、“友だちと力を合わせる楽しさ”を感じられるようにする
高さのある巧技台あそび(バランス感覚と挑戦心を育てる)
4・5歳児は高さへの興味や挑戦意欲が強くなり、巧技台・平均台・跳び箱などを使った運動がぐんと広がります。
登る・渡る・跳ぶといった動きはバランス感覚や空間認知能力を高め、身体のコントロール力を鍛えてくれます。
「どうしたら渡れるかな?」と考えながら取り組むことで、問題解決力も育ちます。
保育者は安全な高さ設定や見守りを徹底し、成功体験が積み重なるよう環境を調整しましょう。
- 高さは子どもの発達に合わせて調整し、初めて挑戦する子には低い段からスタートする
- 渡る・登る・跳び下りるなどの動きは、一人ずつ順番に行い、周囲との距離をしっかり確保する
- 保育者は横・後ろから見守り、足が滑りそうなときやバランスを崩したときにすぐ補助できる位置に立つ
鉄棒・うんていあそび(ぶら下がり・支持力を育てる運動)
4・5歳児は腕の力や体幹が発達し、鉄棒やうんていなどの“支持する力”を使う運動に意欲的に取り組めるようになります。
ぶら下がる、足を浮かせる、身体を支えるといった挑戦は、握力・腕力・体幹バランスの向上につながります。
また、できたときの達成感は自己肯定感を大きく高めてくれます。保育者は補助の仕方や安全な待機位置を丁寧に伝えながら、無理のない挑戦ができる環境を整えていきましょう。
- 勢いをつけ過ぎず、まずは“ぶら下がるだけ”の経験から始める
- 子どもの脇や背中を支えて補助し、顔が鉄棒にぶつからないよう位置を調整する
- 順番待ちの場所を決め、鉄棒の後ろに回り込まないよう見通しを持たせて安全を確保する
挑戦するたびに、子どもたちの“できる”はどんどん広がっていきます!
保育に運動遊びを導入する際のポイント
運動遊びは、子どもの体力だけでなく「意欲」「心の安定」「自己肯定感」など、発達の土台を育てる大切な時間です。
安全に楽しめる環境づくりはもちろん、一人ひとりのペースに合わせた援助が欠かせません。
保育者が遊びの意味を理解し、子どもの挑戦を温かく支えながら進めていくことがポイントです。
安全に行えるよう配慮する
運動遊びを取り入れる際は、「どの子も安全に挑戦できる環境づくり」が最も大切です。
活動前には、床材・遊具のぐらつき・周囲のスペースなどを必ず確認し、転倒や衝突のリスクを最小限にします。
また、子どもの発達段階や個々の特性に応じて難易度を調整し、無理のない範囲で参加できるようにすることも必要です。
保育者が見守る位置や声かけの仕方ひとつで安心感が変わるため、常に子どもの動きを予測しながらかかわることが安全な運動遊びにつながります。
- 活動前に遊具の固定・床の滑りやすさ・スペースの確保を必ずチェックする
- 子どもの発達や体力に合った難易度に設定し、無理な挑戦はさせない
- 死角が生まれないよう見守り位置を調整し、危険な動きにはすぐに声をかける
役割やルールを決めておく
運動遊びを安全かつスムーズに行うためには、事前に「どのように遊ぶか」「何を気をつけるか」といった役割やルールを子どもと共有しておくことが重要です。
特に乳幼児期は見通しをもつ力がまだ育っていないため、シンプルでわかりやすいルール設定が効果的です。
また、子ども自身がルール作りに参加すると、守る意識や主体性も高まります。
保育者は言葉だけでなく視覚的な提示や実際の動きを交えて伝え、どの子も安心して遊びに参加できるよう環境と理解の土台を整えましょう。
- 走る順番・使う道具・待つ場所などを事前に具体的に示す
- ルールは短く・わかりやすく・一度に伝える量を少なくする
- 子どもが決める場面も作り、守りやすく納得できるルールにする
全員が楽しめる雰囲気作りを心がける
運動遊びは、子ども一人ひとりの得意・不得意が見えやすい活動です。
そのため、保育者が「競争ではなく、みんなで楽しむ時間である」ことを丁寧に示し、安心して参加できる雰囲気をつくることが欠かせません。
できた姿だけを評価するのではなく、挑戦しようとする気持ちや取り組む過程をしっかり認めることで、自信や自己肯定感の育ちにつながります。
また、声かけや音の環境、応援の仕方なども配慮し、どの子も“やってみたい”と思える心地よい場を整えましょう。
- できた・できないで比べず、挑戦する姿を温かく認める
- 無理に参加を促さず、安心できる距離から関われる環境をつくる
- 応援の声や音量を調整し、過度な緊張やプレッシャーを与えない
運動遊びの指導案の書き方
運動遊びの指導案は、「ねらい」「活動内容」「安全面の配慮」「子どもの姿」を具体的に整理することで、安心して活動を進められる大切な土台になります。
特に運動遊びは環境設定や危険予測が欠かせないため、事前に流れを明確にし、子どもの発達段階に合わせた計画を立てることがポイントです。
指導案の展開例
指導案の書き方
活動内容
登る・くぐる・跳ぶなど、さまざまな動きを組み合わせたチャレンジサーキットに取り組みます。
コーンの間をジグザグに歩いたり、フープを跳んで進んだり、マットの坂を登った後にトンネルをくぐり、最後はふわふわマットへジャンプして着地します。
自分のペースで挑戦し、達成感を味わいながら全身をしっかり使って楽しめる活動ですよ。
また、友だちと一緒に参加することで、順番を守る心や見通しを持って進む力も育ちます。
- コーンを使ったジグザグ歩きでバランス感覚を育てる
- フープジャンプで跳ぶリズムや脚力を養う
- トンネルくぐりやジャンプで挑戦する気持ちを育てる
環境構成
サーキットの全体が子どもから見通せるよう、広めのスペースを確保してコースを一直線に配置し、コーンはゆったりした間隔でジグザグに並べ、進む方向が分かりやすいように矢印マークを床に貼りましょう。
フープは跳びやすいように十分な幅を空けて置き、マット山は滑りにくい素材を選び、側には常に保育者が立てるスペースを確保します。
トンネルは出口がしっかり見える角度に調整し、最後のジャンプ台となるふわふわマットは転倒しにくい広さを確保して設置します。
また、子ども同士がぶつからないよう一方通行の動線をつくり、安全と安心の中で挑戦できる環境を整えましょう。
- コーン・フープ・マット・トンネルが一方向に進めるよう一直線に配置され、動線が交差しないようにする。
- 道具がずれないようマットの固定やフープのテープ止めを行い、安全に挑戦できる環境を整える。
- 全体が見渡せる位置に保育者を配置し、危険箇所にすぐ介入できるようにスペースを確保する。
予想される子どものすがた
サーキット遊びでは、コーンを避けて歩いたり、フープを跳んだり、山を登ってトンネルをくぐるなど、さまざまな動きを組み合わせた活動に取り組みます。
子どもたちは見本を見ながら「できるかな?」と期待や少しの不安を抱きつつも、自分のペースで挑戦しようとする姿が見られますよ。
難しい場面では立ち止まったり慎重に動く姿もありますが、一つできるごとに達成感を味わい、次の動きへ意欲的に進もうとするようになります。
友だちの姿に刺激を受け、励まし合いながら楽しむ姿も増えていきますね。
- コーンやフープを見て「やってみたい!」と期待をもってコースに向かう。
- 高さのある場面やトンネルなどに緊張しつつも、保育者の声かけで一歩踏み出そうとする。
- できた動きに自信をもち、友だちと嬉しさを共有しながら次のチャレンジに進もうとする。
まとめ
運動遊びは、子どもの発達段階に合わせて環境を工夫することで、楽しさと挑戦が自然に生まれます。
0〜5歳児それぞれに合った活動を取り入れながら、安全面への配慮やルールづくり、保育者の関わり方を意識することが大切です。
運動遊びを通して体の使い方や協力する力が育ち、日々の保育全体にも良い循環が広がります!








