【世田谷区】保育士の借り上げ社宅制度(家賃補助)の概要
世田谷区の保育士にとって、家賃の問題は深刻です。
国からの処遇改善があっても、実際の賃貸相場が上がっているデータもあり、給与だけでは不安が残ります。
しかし、国が事業している借り上げ社宅制度を利用すれば、実質2〜3割負担ほどで住むことができます。
世田谷区の借り上げ社宅制度の概要は下記のとおりです。
家賃補助の上限割合 | 区外:8分の7 区内:8分の7 |
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補助額の上限負担額 | 区外:8万2,000円 区内:8万2,000円 |
雇用形態 | 常勤(1日6時間以上かつ月20日以上勤務) |
役職者も利用可能? | 園長は可(保育園を運営する法人役員は不可) |
勤務地と違う市区町村でも利用可能? | 規定なし(区外も可) |
同居人がいても利用可能? | 可 |
注意点 | 区が実施する保育研修に参加する必要があり |
自己負担額の相場 | 1〜3万 |
礼金の補助 | あり |
敷金の補助 | なし |
借り上げ社宅制度は毎年更新の事業となりますので、毎年の確認が必要となります。
世田谷区の借り上げ社宅制度は区内・区外の賃貸住宅である制約はありません。
上限額は8万2,000円の補助ですが内訳は国と東京都が7万1,750円(8分の7)を補助し、残り8分の1は保育園を運営する事業所か保育士の自己負担となります。
単身者だけでなく同居人がいても利用ができますが、お互いに住宅手当を支給されていないことや礼金は家賃の差額分が補助対象となるので、必ず無料になるというわけではありませんので、注意しましょう。
世田谷区の借り上げ社宅制度を利用できる人の条件
借り上げ社宅制度を利用するためには条件があります。
世田谷区の場合は利用できる保育施設の幅が広く、認可保育園や認証保育園だけでなく、家庭的保育事業や居宅訪問型保育事業などいわゆる、保育ママ(チャイルドマインダー)や派遣事業のベビーシッターなども利用できます。
詳しい条件は下記のとおりです。
- 保育従事者であること(保育士補助や看護師、栄養士なども含む)
- 常勤(1日6時間以上かつ月20日以上勤務)
- 法人の運営役員ではないこと(主に理事など)
- 平成27年3月以降に、運営事業者が借上げた賃貸に住んでいること
- 借り上げ社宅から勝手に転居した経歴がないこと
- 同居人も含め、住宅手当を支給されてないこと
- 区が開講する研修を受講すること
正職の保育士だけでなく、パート勤務などの非常勤や看護師や栄養士などの保育園に勤務している人なら条件をクリアしていると補助を受けられます。
また、同居人も含めて住宅手当を支給されていないことも条件にありますので、同居人との制度を受けるか確認が必要ですが、実質的には借り上げ社宅制度を利用したほうが得になるでしょう。
世田谷区の独自の条件として、区が開講する保育の質を向上するための研修を受講と明記されていることから、世田谷区が保育に力をいれていることがわかります。
世田谷区の借り上げ社宅制度を利用するには
借り上げ社宅制度を利用するためには、保育園を運営している事業所が制度を申請している必要があります。
保育士が制度を申請することはできませんので、必ず面接のときに制度を利用したい意思を伝えてください。
また、借り上げている賃貸に住むためには、住民票の移動が必要ですので、前もって賃貸の住所をきいて転入届を自治体に提出しましょう。
また、借り上げ社宅制度は就職から8年以内まで利用できると規定がありますが、現在は待機児童数や保育士の人数も増えている傾向から規定が見直されており、ずっと制度を利用することはできませんので注意が必要です。
世田谷区の借り上げ社宅制度(家賃補助)の自己負担額は?
世田谷区の借り上げ社宅制度を利用しても、残念ながら全額が負担されるわけではありません。
世田谷区の家賃相場や賃貸契約の初期費用、さらには引っ越し費用もかかり、結局いくらかかるの?と感じられる人のために、こちらで解説をしていきます。
家賃の自己負担額の目安
世田谷区で1人暮らしをする場合の家賃相場は約9〜11万円で、借り上げ社宅制度を上限まで利用できると自己負担額は約1〜3万円になります。
保育園の事業所が賃貸契約をするため、住む場所を選べなかったり、契約している不動産会社の中から選ぶ形が多く、求人には家賃は5,000円負担や家賃の2割を負担などをしてわかりやすく掲載しているものもあります。
参照:東京都世田谷区(東京都)の賃貸マンション家賃相場・賃料相場情報
賃貸契約の初期費用の自己負担額
賃貸契約の初期費用は以下のとおりです。
- 前家賃
- 管理費(共益費)
- 礼金(相場1ヶ月)
- 敷金(相場1ヶ月)
- 仲介手数料(賃貸の50%が目安)
- 鍵交換代(防犯対策のため)
- 火災保険
- 保証料金(賃貸が払えなくなった場合の保険)
仮に家賃が10万円とすると、管理費が約1万円、礼金・敷金をあわせて20万、仲介手数料5万円、鍵交換代が約2万5,000円、火災保険2万円/2年、保証料金1万円/1年が予想されます。(住宅によって異なります)
そこに8万2,000円を差し引くと、初期費用の合計は33万3,000円です。
初期費用は比較的に安くおさえることができますが、約30万円ほどはかかると考えて移住の準備をすすめましょう。
また、事前に保育園が借り上げている場合は、敷金や火災保険などすでに事業所が払っている可能性もありますので、内定のときに確認をおすすめします。
引っ越し費用の自己負担額
引っ越しにかかる費用は住んでいる場所や時期によって異なります。
中途採用であれば繁忙期の3月を避けるのがベストですが、その際、制度の申請がいつまでにできるのか事業所に確認が必要です。
また、保育園が独自で引っ越し費用を負担する園もありますが、世田谷区の求人を調べたかぎりでは費用を負担する園は多くありません。
引っ越し費用をできるだけ安くするためには、安い業者を探すことや3社ほど相見積もりをすることで、業者に値引きを促すことです。
じっくりと選んで、自分が満足できる引っ越し業者を選びましょう。
世田谷区の借り上げ社宅制度についての質問に回答
【Q1】借り上げ社宅制度がなくなったら家賃補助はどうなる?
借り上げ社宅制度がなくなった場合は、その後の家賃補助はどうなるのでしょうか?
実際のところ、今は制度がいつまで続くかは誰にもわかりませんが、世田谷区の保育園は住宅手当を支給することで対策をしているようです。
求人情報にも、借り上げ社宅制度後は住宅手当を支給と記載がありました。
また、契約をしているのは保育園側なので、賃貸契約を解約する手続きが必要になる可能性があるため、詳しくは保育園に確認することをおすすめします。
【Q2】今、住んでいる賃貸で借り上げ社宅制度は利用できる?
結論としては、保育園の規定によります。
制度上は賃貸契約の名義変更をして保育園の事業所が借りていることにすれば可能で、引っ越しや転居届の手続きなしで制度を利用可能です。
しかし、保育園の規定で不動産会社が決まっていたり、保育園から距離があったり、そもそも前例がないからと断られたりすることもありえます。
現在、働いている保育園が借り上げ社宅制度を利用していて、勤務年数が7年以内であれば相談してみる価値はあると言えます。
世田谷区の保育園の実情・保育環境
世田谷区の保育園は保育士にとって学びの多い場所となります。
世田谷区が発行している『世田谷区保育の質ガイドライン』では、漫画を加えながら保育園ではなにをしているのか、保育士が普段おこなっている配慮などを掲載しており保護者にわかりやすく説明しています。
また、世田谷区が独自で保育の質を向上するためのチェックリストを作成しており、保育園の法人や園長、保育士たちが意識するべき内容を確認でき有益です。
自分の保育に磨きをかけたい、地域と一緒に保育を支えていきたい人には理想の保育環境だといえるでしょう。
参照:なるほど!せたがやのほいく(世田谷区保育の質ガイドライン)
世田谷区で保育士が使えるその他補助金や制度はある?
- 最大1万円の処遇改善助成金
- せたがやHOIKU WORK(世田谷区が運営する保育士求人サイト)
- 保育士就職フェア
世田谷区の保育園では、国からの処遇改善手当に上乗せする形で最大1万円の助成金が受け取れます。
助成を受けられるかは保育園によって異なりますので、確認が必要です。
確認をする場合は、「せたがやHOIKU WORK」を活用しましょう。保育士向けの求人サイトですが、世田谷区が運営しているため、保育士のインタビューや詳しい勤務条件を確認することができ、保育園の特徴がわかりやすく紹介されています。
また、私立保育園の就職フェアや就職相談会なども開催されており、保育士のために有名な方が特別ゲストが講演したり、保育園の特徴や想いを知るチャンスとなるため活用しましょう。
参照:世田谷区の保育士支援
参照:せたがやHOIKU WORK
まとめ
- 世田谷区の借り上げ社宅制度の上限額は8万2,000円
- 区内・区外に住めて同居も可能
- 家賃の自己負担が1〜3万円になるが、8年位内と期限がある
- 自治体から独自の処遇改善の助成がある
世田谷区の借り上げ社宅制度について解説しました。
補助の上限は保育園によって変わりますが、区内・区外に住めて家賃は1〜3万円ほどの負担になるので積極的に利用しましょう。
また、保育の質を向上させるための取り組みから、世田谷区は保育士や地域に優しい地区だといえます。
処遇改善も最大1万円あるため、保育士として働きがいのある環境です。
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