戸外遊びは、園庭や公園などで遊ぶことを指し、子どもの成長や発達を支える大切な保育活動です。
自然の中での活動は、子どもの体力や五感を養うだけでなく、心の豊かさを育む効果があることはご存知でしょうか。
本記事では、保育活動における戸外遊びのねらいや年齢別の遊び方、さらに注意点について詳しく解説します。
戸外遊びを保育に取り入れる際のポイントやメリットを知り、子どもたちが安全で楽しく遊べる環境を整えましょう!
- 戸外遊びは全年齢の子どもたちに欠かせない保育活動
- 戸外遊びを通して、身体能力やコミュニケーション能力が育まれると期待されている
- 戸外遊びでは、適切な人数配置と遊ぶ場所の下見や点検が必須
- 年齢によっておすすめな戸外遊びは異なる

子どもたちに大人気の戸外遊びですが、保育士にとっては、人数配置の問題もあってちょっぴり億劫に感じてしまうこともありますよね。
戸外遊びならではの子どもの成長を知っておくことで、前向きに取り組めそうですね!!


ちあき
認可保育園で勤務後退職して留学。その後は英語の幼稚園で働く。結婚を機に派遣保育士に転身し、さまざまな園で経験を積む。保育士歴は通算7年ほど。
子どもが重度アレルギー児になったことでライターに転身した2児の母。
戸外遊びとは?
戸外遊びとは、保育施設の園庭や近所の公園など屋外で行う遊びのことで、自然や広い空間を活用して行います。
子どもたちは、走ったり跳んだりすることで身体を動かす楽しさや、自分の身体をコントロールすることを学び、自然に触れることでさまざまな興味関心が得られます。
- 公園でのボール遊び
- 遊具で遊ぶ
- 鬼ごっこ
- 砂遊び
- 自然の中の探検遊び
屋外での活動は、室内では得られない刺激を子どもたちに与え、心身の健全な発達に欠かせないものです。
保育活動における戸外遊びのねらい
保育所保育指針の「環境」では、以下のようにねらいが明記されています。
- 身近な環境に親しみ、自然と触れ合う中で様々な事象に興味や関心を持つ
- 身近な環境に自分から関わり、発見を楽しみ、考えるなどして、それを生活に取り入れようとする
- 身近な出来事を見たり、考えたりする中で、物や文字などに対する感覚を豊かにする
子どもが主体的に身近な環境と関わることで、自然を始めとするさまざまなものを理解し、豊かな感性を育むことが示されています。
戸外遊びは、保育所保育指針に基づいた重要な保育活動です。
戸外遊びが子どもの発達に与える効果
戸外遊びは、子どもの健やかな成長や発達に欠かせない活動です。
身体能力やコミュニケーション能力の向上、五感を養う効果など、多方面での成長を促します。
本章では、戸外遊びが子どもたちに与える具体的な影響について詳しく解説します。
戸外遊びの効果を知ることで、より効果的な活動を行えるでしょう。
身体能力の向上
戸外遊びでは、走る・跳ぶ・登るといった全身を使った動作を通じて、体力や運動能力が向上が期待できます。
広い空間での活動は身体能力だけでなく、空間認識能力などが育つとも考えられています。
例えば、かけっこでは心肺機能が強化され、鬼ごっこでは瞬時に動きを切り替える調整力も身につくでしょう。
また、ジャングルジムなどの公園にある遊具では握力や身体を使う能力が刺激されます。
このように、屋外活動は子どもの全身運動を自然に促し、身体能力の向上に密接に関わっています。
コミュニケーション能力の向上
戸外遊びは、コミュニケーション能力を育む場でもあります。
遊びの中で協力したり、ルールを守ったり、意見を出し合ったりすることを通して、社会性の向上が期待できます。
- 鬼ごっこの役割決め
- 遊びのルール決め
- ゲームの作戦 など
戸外遊びの中での子どもたち同士でのやり取りを通じて、子どもたちは社会性や言語能力を自然に高めていきます。
また、園庭や公園ではクラス以外の友達や近隣の保育施設の子どもたちと関わる機会も豊富です。
譲り合って遊んだり、挨拶をしたりすることで知らず知らずのうちにコミュニケーションスキルが磨かれるでしょう。
五感を養える
室内よりも自然の中の方が、見る・聞く・触る・匂いを感じるといった五感をフルに使う体験が多いです。
- 暑い、寒いなどの温度感
- 葉っぱのザラザラした感触
- 水たまりの温度や音
- 土の感触
- 生き物の観察
- 天気
- 鳥のさえずり
- 季節の花
- 風の心地よさ など
五感を刺激する環境は、子どもの感性を豊かに育て、想像力を育む土台となります。
自然と触れ合う時間は、子どもの健やかな感性の育成に欠かせません。
豊かな人格の形成
自然の中で自由に遊ぶことは、子どもにとって自己表現の場となり、感情のコントロールや思いやりの心を育む機会にもなりえます。
例えば、初めての遊具に挑戦する経験からは、子どもは勇気や自己達成感を感じるでしょう。
また、友達と譲り合って遊ぶことで、協力する姿勢や他者を思いやる気持ちが育つきっかけになります。
戸外でのさまざまな体験を通じて、子どもたちは自発的に行動し、挑戦する力を伸ばすとともに、豊かな心を形成する大切な土台を築いていきます。
【年齢別】戸外遊びのねらいと遊び方
戸外遊びと一言で表現しても、0歳児クラスの子どもと5歳児クラスの子どもは同じねらいで同じ遊びはできないですよね。
本章では、戸外遊びにおいて、年齢ごとのねらいと遊び方の例をお伝えします。
子どもたちの年齢や発達に応じた遊びを取り入れることで、効果的に興味や能力を引き出すことが期待できます。
【0歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | 自然の中で五感を刺激し、外の世界に慣れる。 |
遊び方 | 保育士と一緒に日光浴をしたり、暑さや寒さの感触を楽しむ。 |
0歳児クラスの子どもたちにとっての戸外遊びは、生活リズムを整えるためや屋外の空気を感じることが目的になります。
生まれて初めて体感する季節もあるので、保育士と一緒に四季を感じることも主な目的のひとつです。
月齢によっては、砂遊びやボール投げ、遊具にも挑戦してみてもいいかもしれません。
【1歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | 簡単な動作を繰り返し楽しむ中で運動能力を育む。 |
遊び方 | 砂遊びやボールを転がす遊び。 シャボン玉を追いかける遊び。 |
0歳児クラスの子どもたちより運動能力が発達している1歳児ですが、まだまだ戸外には見知らぬ物がたくさんあります。
保育士が簡単な言葉で伝えることで、子どもたちの世界はどんどん広がっていくでしょう。
歩く、走るだけでも運動能力が磨かれていきますが、戸外ならではのボールを使った遊びやシャボン玉などを取り入れると動作の幅も広がります。
また、繰り返しを好む時期なので繰り返し同じ遊びを行うと良いでしょう。
【2歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | 保育者や友達と一緒に体を動かす楽しさを知る。 |
遊び方 | 鬼ごっこやしっぽとりなど簡単なルールのある遊び。 |
2歳児は、0~1歳児の頃と比較して、走ったり跳ねたりする動きが安定し、どんどん活発になる時期です。
また、手先が器用になり、道具を使った遊びにも挑戦できるようになります。
言葉の理解力も高まるため、遊びの中で簡単なルールを取り入れたり、クラス全体でルールのあるゲームを行ってもよいでしょう。
【3歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | ルールのある遊びやチームプレイの遊びを通じて協調性を養う。 身の回りの自然を発見し、友達と共有することでコミュニケーション能力を刺激する。 |
遊び方 | チームでのボール遊び、しっぽ取りゲーム、縄跳びなど。 |
3歳児クラスになると、運動機能だけでなくコミュニケーション能力も発達してきているので、チームで話し合ったり、ルールを共有することも可能です。
とは言え、まだまだ保育士の仲介も欠かせない時期なので、子どもたち自身で話し合っているときは遠くから見守りながらもタイミング良くサポートできるといいですね。
【4歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | 戸外での活動で仲間との協力やルールを守る力を育み、自然や環境への興味を深め、自分から挑戦する意欲を育む。 身近な自然を観察して、成長過程などに気づく。 |
遊び方 | さまざまな種類の鬼ごっこをその時々の状況に応じて選んだり、縄跳びやルールのある遊び、ドッヂボール遊びなどの動きの多い遊び。 |
4歳児は身体のバランス感覚が向上し、複雑な動きや集団での遊びも楽しめるようになります。
例えば、ドッヂボールやさまざまな鬼ごっこなどを通じて、仲間と協力する楽しさを感じる経験ができると良いでしょう。
また、自然の中で昆虫探しや植物観察を行うことで、探求心を育てることもできます。
【5歳児】戸外遊びのねらいと遊び方
ねらい | 集団での活動を通じて、協調性や責任感を育てるとともに、挑戦する力や達成感を得る体験を増やす。 戸外での活動により、身体能力や社会性の向上を目指す。 |
遊び方 | ドッジボールやチームを組んで行うリレー競争、宝探しゲームなど、戦略や協力が必要な遊びを取り入れると良いでしょう。 |
5歳児は身体の動きがさらに洗練され、ルールのある遊びを理解し楽しむだけでなく、自分たちの状況に合わせてアレンジすることも可能な年齢です。
自然を活かした探検ごっこや、簡単なキャンプごっこを通じてリーダーシップや冒険心を育てることも効果的です。
決まり切ったルールだけでなく、子どもたちが自分たちの状況に合ったルールを考えたくなるような余白のあるゲームを提供できると良いでしょう。
戸外遊びを行うときの注意点
子どもたちと戸外遊びを行う際は、安全を最優先に考えることが重要です。
具体的にどんなことに注意すれば、子どもたちが安全に楽しく戸外遊ぶを行えるか注意点をお伝えします。
気をつけなければならないことを予め把握していることで、より子どもたちが安全で安心して遊べる時間を提供できますよ。
遊び場の下見や点検を行う
安全な環境で子どもたちが遊ぶため、事前に危険箇所がないか確認を行いましょう。
特に不特定多数人が利用する公園には、タバコの吸い殻やガラスの破片が落ちていることもゼロとは限りません。
子どもの年齢を考慮して、どの部分が危険個所になり得るか、死角になるかはしっかり把握して保育士同士共有することも忘れずに確認してくださいね。
また、初めて行く公園は必ず下見を行いましょう。
想定していた年齢の子どもに合う遊具ではなかった、公園に行くまでの道の交通量が多かったなどの発見があります。
十分な引率者数の確保を行う
子どもたち全員に目が届くよう、適切な人数の保育士を配置しましょう。
特に、広い公園の中で活動する場合、子どもたちが視界から外れることを防ぐために、大人の目が行き届く人的環境を整える必要があります。
引率者が不足すると、危険を察知したり、即座に対応することが難しくなるため、事前に適切な人数を調整しましょう。
目安としては、子どもの年齢や人数に応じた配置基準を参考にしてください。
ただし、散歩など園外に行く場合は必ず2人以上の大人が引率するようにしましょう。
熱中症対策とこまめな水分補給を徹底する
戸外遊びでは、特に夏場や暑い季節に熱中症のリスクが高まります。
遊びの前に子どもたちに水分補給を促し、遊びの最中も一定時間ごとに休憩と水分補給を行うようにしましょう。
日陰を活用したり、帽子を着用させて直射日光を避ける工夫も必要です。
また、子どもたちの顔色や体調に変化がないかをこまめに観察し、体調が悪そうな場合はすぐに休ませることが重要です。
季節や気候にあわせた適切な服装を選ぶ
戸外遊びでは、季節や気候に応じた適切な服装を選ぶことが子どもの安全と快適さにつながります。
例えば、寒い季節には防寒着や手袋、帽子を着用し、風邪をひかないよう配慮しましょう。
一方、夏場は通気性が良く汗を吸収しやすい素材の服を選び、帽子で紫外線対策を行います。
フードがついた洋服やサイズの合っていない服は、子どもたちが屋外で遊ぶうえで、危険になりかねません。
季節に適した子どもたちの成長に合った服装は、子どもたちが存分に遊びを楽しみながら快適に過ごすために欠かせません。
保育士経験者おすすめ!戸外遊び3選
戸外遊びは、子どもの体力や社会性を育むだけでなく、自然の中で五感を刺激し、心豊かな成長を促します。
本章では、保育士経験者の視点から、子どもたちが夢中になれるおすすめの戸外遊びを3つを紹介します。
どの遊びも楽しさ満点です!
子どもたちが思い切り遊べる時間を作るためのヒントとして、ぜひ参考にしてください。
対象年齢:0~5歳児 砂場遊び
- 0~1歳児 砂の感触を楽しむ。
- 2~3歳児 砂で形を作ったり、見立てて遊ぶ。
- 4~5歳児 砂場の道具や水などを使ってクリエイティブに遊ぶ。
砂場遊びは、年齢ごとに楽しみ方が広がるため、幅広い年齢の子どもたちが取り組める遊びです。
4~5歳児なら、道具や水を組み合わせることで、子どもたちの創造力や工夫する力を育む場ともなりますし、友達と協力して砂山を作ったり道をつなげたりすることで、コミュニケーション能力やチームワークも刺激されます。
保育士が適切な環境を整え、幅広い年齢の子どもたちの成長が期待できます。
対象年齢:2歳児~ しっぽ取りゲーム
- チームを2つに分けます。
- ズボンにしっぽをズボンに挟みます。
- 保育士の合図で相手チームのしっぽを取るために追いかけます。
しっぽ取りゲームの遊び方はシンプルで、子どもたちが腰に布やひもなどで「しっぽ」をつけて走り回り、互いのしっぽを取ることを競います。
身体を使った運動だけでなく、相手の動きを読む観察力や瞬発力、ルールを守りながら楽しむことで、社会性や協調性を身につけることができるのも魅力です。
簡単なルールなので、2歳児クラスの後半に初めてのルールのある遊びとしても取り入れやすい遊びのひとつです。
対象年齢:4歳児~ 宝探しゲーム
- 保育士は事前に宝物とヒントや地図などを用意しておく。
- チームを分けて宝を探す。
宝探しゲームは、子どもたちの探究心や好奇心を引き出す人気の戸外遊びです。
事前に「宝物」となるものを隠し、地図やヒントを手掛かりに見つけ出します。
個人戦もできますが、チームで協力しながら行うことで、コミュニケーション能力やチームワークを育むことが期待できます。
また、宝の場所を遊具の上や工夫しないと取れない場所に設定すれば、身体の使い方を工夫する力や観察力、集中力も刺激されます。
まとめ
戸外遊びのねらいや各年齢の遊び方について解説しました。
戸外遊びは、子どもの身体能力やコミュニケーション能力、五感の発達、豊かな人格形成に関連する大切な活動です。
年齢や発達に応じた遊びを通じて子どもたちの成長を促せます。
また、遊びを安全かつ楽しく進めるためには、引率者の配置や季節に応じた配慮も必要です。
戸外遊びを積極的に取り入れ、子どもたちの成長を見守る保育環境を整えていきましょう。
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