梅雨を迎える6月。雨が続き、戸外に出られない日も多くなります。また、気温や湿度の上昇とともに、さまざまな感染症の流行も見られます。季節ならではの特徴を盛り込み、充実した内容の園だよりを作成しましょう。
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Aki 園長歴6年
保育士歴18年、園長歴6年。これまで多くのカリキュラム添削や、保育士さんたちの悩みに寄り添ってきました。この記事では園長として多くの月案・週案をチェックしてきた経験を活かし、 効率よく質が高い月案・週案を仕上げられるようサポートします。
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【全月共通】園だより/おたよりのポイント
園だよりはポイントを押さえておくことで、単なる「お知らせ」にならず、保護者に喜ばれる魅力的なおたよりを作成できます。
園長として数多くの園だよりを添削してきた経験から、保育士さんがつまずきやすいポイントをまとめました。
以下で解説する点を踏まえて、読み応えのある園だよりを作成していきましょう。
①専門用語や事務的な表現を使わない
・×「午睡」→ ○「お昼寝」
・×「発達段階に応じた遊び」→ ◯「子どもたちの成長に合わせた遊び」
・×「気温が低下するため」→ ○「寒くなるので」
園だよりは、全クラスの保護者に向けて発行するものです。
園を代表した文書のため、しっかりした文章を書かなきゃ…とプレッシャーに感じ、表現が事務的になってしまうことがあります。
しかし、事務的な表現は冷たい印象を与えてしまうことも。
子どもたちの魅力的な姿を十分に伝えられるよう、温かみのある柔らかい表現を心がけましょう。
また、文章を読むことに慣れていない保護者や、母国語が日本語以外の保護者のために、誰が読んでもわかるようなシンプルな言葉を使用するのも大切なポイントです。
②読む人がイメージしやすい文章を心がける
・×「いつものお散歩コース」→ ○「園近くの公園まで歩くお散歩コース」
・×「お外で遊びました」→ ○「砂場でお山を作ったり、追いかけっこをして遊びました」
・ ×「給食を食べました」→ ○「大好きなカレーを夢中で食べ、笑顔がいっぱいでした」
保護者は、園で子どもが何をして過ごしているのか、どんな小さなことでも知りたいと思っています。
しっかり伝わる文章を書くためには、読む人がその時々の情景を目の当たりにしているかのように感じられる表現を使用するのがポイントです。
具体的な描写を用いたり、場面ごとの感覚・匂い・味などの五感を活用したりすることで、より臨場感のある文章を作成することができます。
③誤字脱字や言葉の使い方を注意
<誤字脱字>
・×「食べれる」→ ○「食べられる」
×「見れる」→ ○「見られる」
・×「子供達」→ ○「子どもたち」
<言葉の使い方>
・×「してください」→ ○「しましょう」「していきましょう」
・×「安心感を感じる」→ ○「安心する」
<敬語>(二重敬語に気を付ける)
・×「お越しになられる」→ ○「お越しになる」
・×「お話しさせていただきます」→ ○「お話しします」
誤字・脱字や間違った言葉の使い方は、読み手にとって思った以上に気になるもの。
意図せず高圧的な物言いになっていたり、たびたび間違いがあるようでは、園への信頼を大きく失うことにも繋がります。
特に、パソコンで作られた文章は、思わぬ文字変換がされていることも少なくありません。
必ず複数名に確認してもらう、言葉使いや表現に自信がない場合には辞書で調べるなどを徹底し、正しい文章で作成できるよう十分に配慮しましょう。
【園長が体験】喜ばれたお便り/指摘されたお便り

ここでは園長として働く中で、実際に保護者の方に喜ばれた表現や、逆にご指摘いただいた表現について紹介します
・子どもたちの日常の様子が伝わってくる具体的な文章や写真の掲載
・日常の育児に活かせるコラム
・子どもたちに人気の遊びや給食のレシピ
・「お願い」ばかりの園だより
・高圧的、事務的な文章
・誰にでも当てはまるような文章や、丸々テンプレートの使用
日中、子どもと離れて過ごす保護者にとって、園の様子や子どもたちの成長を感じられるような園だよりは、楽しみにしていることの一つです。
子どもたちの日常が手に取るようにわかるものは、特に喜ばれます。
また、豊富なテーマのコラムや、子どもたちが喜ぶ給食メニューのレシピなど、日頃の育児に活かせる内容も園と家庭とをつなぐお守りのような存在になっているようです。
逆に、お願いばかりの内容や、圧を感じる文章では、読むのが嫌になってしまいます。喜んで読んでもらえるような内容を心がけて作成しましょう。
6月の園だより/おたよりのポイント
梅雨シーズンに突入する6月。
5月のカラッとした心地良い陽気から一変、雨が多く、ジメジメとした日が続くようになります。
外に出られないイライラから、友だち同士でのいざこざが発生したり、夏季特有の感染症が流行したりと、この時期ならではのトラブルが見られるのも特徴です。
不快に感じることも多いこの季節ですが、楽しく快適に乗り切るためのアイデアを届けたいですね。
①衣替えについて知らせる
気温・湿度ともにぐんぐん上昇する6月は、こまめに着替えをし、適切な汗の始末をするのが心地良く過ごすポイントです。
子どもの体調を心配するあまり、長袖や保温性のある素材の服を着せて登園する保護者もいますが、厚着をすると汗を冷やし、かえって風邪を引きやすくなってしまいます。
梅雨時期に適した服装を伝え、快適に過ごせるようにしましょう。
②熱中症や、流行しやすい感染症について伝える
幼い子どもたちは、体温調節機能が未発達のため、大人に比べて体温が上がりやすい傾向にあります。
年々暑さが厳しくなる日本では、戸外だけでなく室内でも熱中症のリスクがあり、子どもたちは特に注意が必要です。
熱中症の予防方法や、万が一起きてしまった時の対処法などを共有しておきましょう。
また、夏季に流行する感染症についても、早めに注意喚起すると安心です。
どんな感染症が流行するのか、それぞれどんな症状が出るかなどを共有し、園内でのまん延を予防しましょう。
③室内で楽しめる遊びを紹介する
雨の日が続き、室内遊びが増える6月。広い場所で思いきり体を動かして遊ぶことができず、子どもたちのストレスも溜まりやすくなります。
日中の運動量が不足することで、寝つきが悪くなり、寝不足になる可能性もあります。
天気予報とにらめっこし、「今日は何して遊ぼう…」と悩むのは保育士だけではありません。
室内でも十分に体を動かして遊べる遊びや、園で人気のある室内遊び、歌や絵本などを共有し、家庭での遊びもサポートしてあげましょう。
それではここからは具体的な円だより/クラスだよりの文例を紹介していきます。
挨拶文・書き出しの文例
6月に入り、梅雨の気配が感じられるようになってきました。じめじめとした日が続きますが、子どもたちは毎日元気に過ごしています。
6月の歌と言えば「かえるのうた」。ケロケロと元気な歌声が園内に響き渡り、明るく照らしてくれています。
園庭に、色とりどりの紫陽花が咲き始めました。玄関に飾ると、「園庭の紫陽花だ!」「きれいだね」と大喜びの子どもたちです。
6月4日は虫歯予防デー。看護師の〇〇先生のお話を聞きながら、虫歯の原因や、歯の正しい磨き方を知り、口内の健康について学びます。
雨の日が続き、なかなか外に出られない子どもたち。晴れることを願って作られた、かわいい表情のてるてる坊主が窓辺に並んでいます。
先月子どもたちが植えた夏野菜の苗が、6月の恵みの雨を浴び、テラスで元気いっぱい育っています。収穫の日が楽しみです。
雨の季節がやってきました。お気に入りの長靴やレインコートを身につけて登園する子どもたち。なんだかとても嬉しそうです。
<長めの文例>
4月の入園・進級から早くも2ヶ月が経ち、梅雨の季節がやってきました。すっかり園生活に慣れた子どもたち。保育士の声掛けのもと、遊びや身支度を行なう姿を見て、安心して生活できている様子がわかり、嬉しく思います。
雨の日が続き、なかなか外に出られない日々を過ごす子どもたち。残念がっているのかと思いきや、窓から外を眺めて、「お花が喜んでいるね」「きらきらしているね」と嬉しそうに言葉を交わしていました。子どもたちの感性に驚かされる毎日です。
先月は、保護者会にご参加いただきありがとうございました。保護者の皆様と、今年1年間のクラスの目標を共有でき、実りの多い一日となりました。引き続き、子どもたちの健やかな成長を一緒に見守っていければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
保護者に伝えたいことに関する文例
6月に入り、気温・湿度ともに高くなってきました。子どもたちは汗をかきやすく、日中こまめに着替えをすることが予想されます。薄手の着替えを多めにご準備ください。また、ロッカー内の着替えの衣替えもお願いいたします。
雨の日が多くなり、多くのお子さんが雨具を使用して登園するようになります。各クラスごとに雨具の置き場を設置しましたので、お子さんのクラスの場所に置いてください。なお、傘やレインコート、長靴にも必ずわかりやすく記名をお願いいたします。
気温や湿度が上がると心配される熱中症。体温調節機能が未発達のお子さんは、体の中に熱がこもりやすく、熱中症のリスクが大人よりも高くなります。園では、快適な室温湿度の管理、こまめな水分補給、適度な休息などを徹底し、熱中症に注意しながら安全に保育をしています。



1つ注意として、保護者の方からするとお願いされることが多いと疲れてしまいます。お願いの数はあまり多くならないようにしましょう。
また、「〜してください」「〜気をつけてください」など一方的な書き方は高圧的に感じてしまうので気をつけましょう。
子どもたちの姿に関する文例
乳児期・幼児期共通の文例
ついこの前桜が咲いていたかと思えば、あっという間に雨の季節がやってきました。すっかり薄着になった子どもたちの姿からも夏の到来を感じられ、季節は着実に進んでいるんだなと、時の流れの速さに驚く毎日です。
毎朝、朝の回の時間になると、各クラスから季節の歌が聞こえてきます。6月の歌は「かえるのがっしょう」「あじさい」「とけいのうた」などなど…。どんよりした雨の日が続いていますが、子どもたちの歌声のおかげで、毎日明るい保育園です。
外に出られない日は、広いホールでリトミックやサーキット遊びをして、思いっきり体を動かして遊んでいる子どもたち。ダンスでは、前に出て見本を見せてくれる年長さんの真似をして、小さなクラスのお友だちも一緒に踊っています。
乳児期向けの文例
入園・進級から2ヶ月が経ち、すっかり保育園生活に慣れた様子の子どもたち。登園すると、大好きなお友だちを見つけて笑い合ったり、保育者に甘える姿が見られたりと、安心して生活してくれている様子が伝わり、嬉しくなります。
室内で、運動遊具を使ってサーキット遊びを楽しむ子どもたち。マットの上で転がったり、巧技台のお山を登ったり、フープをくぐったりと大喜び!室内でもたくさん体を動かし、雨の季節も楽しく過ごしていきたいと思います。
「あめふりくまのこ」の歌と絵本が大好きな子どもたちは、保育者がメロディーに乗せて絵本を読むと、夢中になって絵本を覗き込み、一緒になって歌ってくれます。雨でなかなか外に出られない日が続きますが、お部屋の中で雨の季節を満喫する子どもたちです。
幼児期向けの文例
みんなで協力して大量の新聞紙を破り、保育室内に新聞紙プールを作りました。ちぎった新聞紙を上から降らせて雨に見立てたり、新聞紙プールの中で泳ぐ真似をしてみたり、広い保育室を存分に使って、夢中になって遊びこんでいました。
雨上がりに散歩に出かけると、道に咲いていた紫陽花の上に小さなカタツムリを発見した子どもたち。観察していると、次々と「飼ってみたい」との声が上がりました。みんなで相談し、保育園に連れて帰ることに。図鑑を見て飼育方法を調べ、一生懸命お世話をしています。
前日の雨で濡れた砂場で、ダイナミックな砂遊びを楽しむ〇〇組さん。大きなスコップで穴を掘ったり、高い山を作ってそこから水を流し湖を作ったり、みんなでアイデアを出し合いながら工事を進め、最終的には一つの街が完成!子どもたちの想像力と協力し合う力に感動しました。
食育に関する文例
食育月間
平成17年に「食育基本法」が制定され、毎年6月は「食育月間」と定められました。食は、健康な体と心を育むためになくてはならない営みです。「食育」と聞くと特別なことをしなければならないと思いがちですが、ご家庭ごとの日々の行いも立派な食育です。家族で食について話し合い、身近な食育を楽しんでみてはいかがでしょうか。
6月は「食育月間」です。食を通して、生きる力を身に付けるために制定されました。この機会に、各ご家庭でできる食育に取り組んでみませんか?
<家庭でできる身近な食育の例>
①朝ごはんを食べる
②家族で食卓を囲む
③親子で一緒に調理をする
④ゆっくりよく噛んで食べる
⑤食材の無駄を減らす
⑥家庭菜園を行う
食中毒に注意
気温や湿度が高くなるこれからの季節は、食中毒の発生が心配されます。保育園では、食事の前の手洗いを徹底しながら、調理員の健康管理にも細心の注意を払って、安全安心な食事を提供しています。各ご家庭でも十分に気をつけ、食中毒を予防しましょう。
食中毒が心配されるこれからの季節。各ご家庭で気をつけるポイントをお知らせします。
<食中毒を予防する3つのポイント>
①つけない…調理前や食事前には必ず手を洗いましょう
②ふやさない…食品や食材はすぐに冷凍・冷蔵し、調理したら早めに食べきりましょう
③やっつける・・・加熱調理の際は、中までしっかりと火を通しましょう
よく噛んで食べましょう
6月4日~10日は、歯と口の健康習慣です。よく噛んで食べることは、食べ物を飲み込みやすくするだけでなく、あごの発育を支え、虫歯や肥満の予防にもつながります。ゆっくりとよく噛んで、味わって食べる習慣をつけましょう。
6月4日は虫歯予防デーです。健康な歯を作るためには、歯ごたえのある食べ物がおすすめ!よく噛むことで、唾液の分泌が促され、虫歯の原因菌を弱らせることができます。毎日のおやつを、クッキーやチョコレートから、野菜スティックや干し芋、おせんべいなどに変えてみましょう。
保健に関する文例
爪を切りましょう
6月に入ると、半袖で過ごすようになります。子どもの肌は繊細で柔らかいため、遊んでいる時や活動時などに、誤って自分や友だちの肌を傷つけてしまう可能性があります。また、爪が長いと、砂やクレヨンなどが爪の中に入ってしまいなかなか取れません。爪を短くしての登園をお願いいたします。
夏の感染症に注意
保育園では、毎年夏季に以下の感染症の流行が見られます。少しでも症状が見られた際には受診していただき、医師の診断を仰いでください
①手足口病…口の中や手のひら、足の裏、腕などに、小さな水膨れのような発疹が現れます。登園不可の感染症ではありませんが、口内の発疹が痛み食事量が落ちますので、普通の食事が摂れるようになるまではご家庭で様子を見てください。
②プール熱…39℃以上の高熱、のどの痛み、目の充血や目ヤニなどが見られます。主症状が消失して2日が経過するまでは登園不可となります。
③ヘルパンギーナ…38℃以上の高熱、のどに水泡ができるのが主な症状です。症状が改善し、通常通りの食事が摂れるようになるまでは、ご家庭で様子を見てください。
熱中症
戸外だけでなく、室内にいても熱中症になるリスクはあります。以下の症状が見られた際には、速やかに医療機関を受診しましょう。重症の症状が見られた場合には、ためらわず救急車を要請しましょう。
<受診の目安>
・頭痛や吐き気、嘔吐が見られる
・だるそうにしている
・高熱
<救急車を呼ぶ目安>
・呼びかけに答えない、意識がない
・けいれんを起こしている
・汗がでなくなり、手足が冷たい
行事に関する文例
歯科検診
6月〇日に、△△歯科の先生にご来園いただき、歯科検診を実施します。当日の朝は、必ずうがいや歯磨きを行ってから登園してください。歯科検診の結果は、けんこうカードにてお知らせしますので、確認後、サインをして園にお戻しください。
父の日(ファミリーデー)
いつも家族のために頑張ってくれているおうちの方へ、子どもたちが感謝の気持ちを込めてプレゼントを贈ります。内容は、お渡しするまでのお楽しみ。愛情を込めて製作しますので、楽しみにしていてくださいね!
時の記念日
6月10日は時の記念日。時間の大切さを知ることを目的に定められたこの日に、保育園でも、時間について知る行事を行います。時間を守ることの大切さや、時計の仕組みをわかりやすく伝えるとともに、それぞれオリジナルの時計を製作します。行事の様子は写真でお伝えします!
雑学に関する文例
雨の日の室内遊び
外に出られない日が増える6月。梅雨時期にぴったりな、身近なものを使った室内遊びをご紹介します。
・小麦粉粘土…小麦粉と水だけで作れる粘土。もちもちとした感触が楽しく、食紅などで色付けすれば、製作のアイデアが広がります。
・新聞紙遊び…細かくちぎった新聞紙を段ボールの中に入れてプールのようにしたり、丸めてボールにしたり、子どもの自由な発想で遊びがどんどん展開します。
6月のおすすめ絵本
おうちにいることが多くなる6月。子どもたちと一緒に、絵本の世界にトリップしませんか?
乳児さん、幼児さん、それぞれにおすすめの絵本を紹介します。
<乳児>
・あめかな
・ぞうくんのあめふりさんぽ
・あめふりくまのこ
<幼児>
・ちいさなきいろいかさ
・だるまちゃんとかみなりちゃん
・わにさんどきっはいしゃさんどきっ
締め・まとめの文例
ジメジメどんよりとした季節がやってきますが、雨の季節を思いっきり楽しめるような遊びをたくさん行い、毎日元気に笑顔で過ごしていきたいと思います。
突然やって来た暑さで体調を崩さないよう、活動と休息のバランスに気をつけ、元気いっぱい過ごしていきます。
装飾で使える!6月用のフリーイラスト素材
かえるフレームのイラスト


ダウンロードページURL:https://illustplus.net/illusts/3421
はみがきのイラスト


ダウンロードページURL:https://illustplus.net/illusts/4772
今回のまとめ
今回は、6月の園だよりを作成する際のポイントについて解説しました。
大人は憂鬱になりがちな梅雨時期ですが、子どもたちにとっては発見がいっぱい。
親子で園生活に期待がもてるような園だよりを作成し、雨の季節も楽しく過ごしていきたいですね。
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