保育士として働いていると、やりがいを感じつつも辛いと思う瞬間があります。
働き続けることに自信を無くし、仕事を辞めてしまいたいと悩む保育士もいるでしょう。
辛いと感じた時の対処法を知っていれば、辞める前に辛さを改善できるかもしれません。
退職を検討したときに後悔しない行動を取れば、より良い環境で働くことが可能です。
保育士が辛いと感じた時の対処法と退職するときに取るべき行動について紹介するので、ぜひ参考にしてください。
保育士が辛いと感じる瞬間8選
保育士が辛いと感じる要因は一つではなく、人間関係、業務量や子供・保護者への対応などさまざまです。
子供が好きで保育士になったものの、実際に働き始めたら予想外の行動ばかりで心が折れることもあるでしょう。
本章では、仕事中に保育士が辛いと感じる瞬間についてまとめました。
人間関係のいざこざ
職場の人間関係は保育士の退職理由1位となっており、多くの保育士が辛いと感じています。
保育士の職場は女性が多く、施設外の職員と接する機会が少ないという理由から人間関係のいざこざが起きやすい環境です。
「保育方針の違いで衝突して険悪なムードになる」「先輩が作った派閥に所属しないと仕事に支障がでる」など要因はさまざまです。
人間関係のいざこざによって保育の仕事に集中できない状況は辛いと言えるでしょう。
子供との接し方で悩む
預かっている子供によって性格は異なるため、臨機応変に接する必要があります。
特に子育ての経験がない若い保育士は子供との接し方に悩みやすいでしょう。
何度諭しても同じことを繰り返す子もいれば、落ち着きがなく別行動をする子もいます。
保育士の目が届かないところで他の園児に意地悪をする子もいます。
子供への接し方には必ず上手くいくという正解はありません。
子供が好きで保育士になったとしても子供への接し方に悩み、辛いと感じてしまいます。
持ち帰りの仕事が多く辛い
保育園によっては、人手不足などの理由により持ち帰りの仕事をすることがあります。
保育士の仕事は子供の保育だけではなく多岐にわたるため、勤務時間内に終わらず、さらに残業できない時もあるでしょう。
事務作業をするために時間を作っても、パソコンが1台しかなく別の職員が使用中だと作業はできません。
イベントの装飾は手作りの場合が多く、新園はとくに準備に追われてしまいます。
リフレッシュするはずの時間を削って仕事をしなければならず、辛いと感じる保育士が一定数いる現状です。
給料が安くて辛い
令和5年賃金構造基本統計調査から保育士の平均給与は約27万3千円であり、全体平均給与の31万8千円に比べると低い水準です。
東京都の保育士実態調査からも給与・賞与について保育士が不満を持っていることがわかります。
実際に働く保育士の口コミからは、責任の重さと給与が見合わないという声が見られました。
借り上げ社宅制度など経済面の負担を減らす動きはありますが、調査内容からは解消できていない様子がうかがえます。
保育の仕事によほどのやりがいを感じていないと、給与の安さは辛いと感じるでしょう。
参考:厚生労働省|令和5年賃金構造基本統計調査
参考:令和4年度東京都保育士実態調査結果
保護者のクレーム対応が辛い
保育士は子供だけでなく、保護者のことも考えて仕事をする必要があります。
保護者として当たり前の感情ですが、自分の子供が一番大事であり痛い目にあって欲しくありません。
多少のケガやトラブルを理解してくれる保護者がいる反面、ほんの少しの傷で度が過ぎるクレームを入れてくる保護者もいます。
しかし、小さい子供は予想外の動きをするため、ひっかき傷やすり傷を100%防ぐことは困難です。
一生懸命子供に接していても、保護者からクレームがあると心が折れそうになり辛いと感じてしまいます。
上司と後輩の板挟みで辛い
仕事に慣れてくると後輩保育士の育成を任され、上司と後輩の板挟みにあいやすくなります。
上司が決めた仕事内容を教えるように指示される一方で、後輩からは仕事内容に納得できないと反発されてしまうかもしれません。
双方の立場が理解できるからこそ身動きが取れず、双方の言い分を上手く調整する必要があります。
仕事に慣れてきたのに他人の要望で悩まなければならず、精神的に辛い状況に陥ってしまうでしょう。
人手不足で業務が多くて辛い
保育士の有効給率倍率の推移から、保育士不足であることが分かります。
定められた保育士の配置基準はあくまで最低限のため、配置基準を満たしていても実際は不足していると考えられます。
意思疎通が難しい園児たちを少人数で保育しながら、連絡帳の記入などの多くの業務をこなすのは大変です。
保護者に選んでもらうために、幼児教育など多彩なカリキュラムを用意している保育園も多く、保育士の業務量は増えています。
休憩時間を削らなければ業務を回せないなど、辛くひっ迫した環境だと言えます。
保育士が向いてないと感じて辛い
保育士の仕事に魅力を感じて就職したものの、実際働いてみると向いていないと感じている人もいるでしょう。
子供はとにかく元気で、一緒に遊んだり、抱っこしたり体力勝負な仕事です。
言葉や心が未熟な子供への理解力や、行動予測ができる観察力が必要になってきます。
さらに保護者、施設長、同僚など幅広い年代と接する機会があるため、コミュニケーション能力が求められます。
保育士は想像以上に求められるスキルが多いため、就職後のギャップに悩み、辛いと感じてしまうのです。
保育士が辛いと感じた時の対処法
保育の仕事が辛いと感じてしまうと、保育士として働き続ける自信がなくなります。
退職するのも一つの手段ですが、苦労して探した職場なら対処して働き続けたいものです。
辛さが軽減され働き続けられれば、自信がつき、保育の仕事に前向きに取り組めます。
保育士が辛いと感じた時の対処法を紹介するので、ぜひ試してみましょう。
ストレス発散できるように意識する
辛いと感じた時に、身体には大きなストレスが生じています。
ストレスを貯めこんだ状態のまま過ごしてしまうと、不眠や判断力低下など不調が現れ始めます。
保育の仕事に影響を出さないためにも、日頃からストレス発散を意識してみましょう。
首や肩を回すストレッチや深呼吸は、ちょっとした隙間時間にできます。
帰宅後はシャワーで済ませず、湯船に入ればストレス発散と血行もよくなり一石二鳥です。
自分に合ったストレス発散方法を見つけ、続けることが大事です。
上司や同僚に相談する
頑張りすぎて顔に出せない人は、周囲から問題なく仕事ができていると思われています。
周囲が協力してしてくれる可能性は十分にあるので、悩みを思い切って相談してみましょう。
業務量が多ければ、全員で分担してくれるかもしれません。
受け持ったクラスに配置された人員が少なければ、パートや保育補助でカバーしてくれる可能性があります。
職場で良い人間関係を築けているのであれば、上司や同僚に相談してみましょう。
カウンセラーに相談する
人間関係で悩んでいるなど、職場の同僚に相談しにくい場合は心理カウンセラーに相談する方法があります。
オンラインで相談を受け付けている心理カウンセラーもいるため、自宅でも相談可能です。
家族に話を聞かれたくない場合は、メッセージアプリやメールが使える相談窓口を使うとプライバシーが守られます。
心理カウンセラーに相談すれば、解決の糸口が見つかるかもしれません。
誰かに悩みを聞いてもらえるだけで、気持ちが楽になることもあります。
環境の良い園に転職する
働いている職場の辛さが改善できないと感じた時は、思い切って転職してみるのも良いでしょう。
保育の仕事が好きであれば、職場を変えれば辛さをリセットできるかもしれません。
退職したいと伝えるには勇気が必要ですが、ストレスから体調を崩して働けなくなる状況にならないために一歩踏み出しましょう。
業界全体が保育士不足で転職しやすい現状のため、メリットがあると感じたら転職するのも一つの方法です。
保育士を辞める前に知っておきたいこと
辛さ軽減の対処法を試したが、辞めたいという気持ちに変化がないときもあります。
退職は大きな決断であるため、保育士を辞める選択をする前に再度改善ができないか考えてみましょう。
辛さの要因によっては、勤務形態などを変えて改善可能なケースもまだあります。
退職の再検討ができるように、保育士を辞める前に知っておきたいことをまとめました。
パートで自分のペースで働くこともできる
保育士を辞めたい理由が、責任の重さや勤務時間であれば雇用形態を変えて改善が可能です。
保育園によりますが、クラス担任など大きな責任が伴う仕事は、パート保育士に任せない傾向があります。
週案や月案などの事務作業の量も正社員に比べれば少なく、定時で帰れることも多いでしょう。
土曜保育やイベントなども正社員の保育士が対応するため、ワークライフバランスがとりやすいと言えます。
正社員に比べると収入は減りますが、保育の仕事を続けたいのであれば選択肢として検討してみてください。
辞めたい理由を再度考えてみよう
退職した後に後悔しないためにも、保育士を辞めたい理由をしっかり分析します。
保育士のやりがいは何といっても子供の成長を見守れることです。
退職すれば園の子供の成長は見られなくなり、保育士自体を辞めれば子供たちと接する機会は激減します。
良好な人間関係が築けていたのであれば、同様の人間関係を築ける職場は見つからないかもしれません。
「辞めなければ良かった」とならないために、なぜ辞めたいのか再度考えることが大事です。
辛いと感じたら転職も視野に入れてみては
- 保育士としてのキャリアを活かせる
- 経験によっては高い給料で採用される
- 良い職場を見つけられる
辛いと感じた理由が、子供が苦手など決定的な理由でなければ別の保育園への転職をおすすめします。
保育士は国家資格のため、誰でもできる仕事ではありません。
保育現場で培った知識や経験を活かして働けるため、他業種に転職するよりハードルは低いと言えます。
中途採用では資格やスキルによって給与が増えるため、現在の職場より多い給与で働ける可能性があります。
さらに、保育現場で働いた経験から「良い環境の職場」を見極められるでしょう。
保育士が転職の際にチェックしたいポイント
転職を検討していると、次の職場でも同じ辛さを感じるのではないかと不安になります。
辛さを感じる主な要因は、給与などの勤務条件、人員の充足度や業務量、職場の雰囲気です。
辛さを感じやすい職場を避けるために、転職先についてしっかり調べましょう。
本章では「転職の際にチェックしたいポイント」を紹介するので参考にしてください。
福利厚生や条件面をきっちり確認する
転職を検討している保育園の福利厚生や給与・休暇などの条件を確認しましょう。
休暇制度、家賃補助や交通費などが手厚いと安心感をもって働くことが可能です。
給与や賞与は労働対価であり、働くモチベーションに繋がります。
保育士としてキャリアアップしたいのであれば、評価や研修の制度について調べてください。
女性の場合は産休・育休制度や時短勤務の有無を見ておくと安心です。
理想のライフスタイルや条件を明確にした上で、条件が合致しているか確認します。
保育士と子供の人数割合を確認する
- 【0歳児】子ども3人に対し保育士1人
- 【1~2歳児】子ども6人に対し保育士1人
- 【3歳児】子ども20人に対し保育士1人
- 【4歳児以上】子ども30人に対し保育士1人
上記の目安とする割合は国が定めた最低基準であり、別に自治体または施設が決めた独自基準があります。
保育士が最低基準以上の割合であれば、人員確保に力を入れている可能性が高い保育園です。
しかし、人数割合が多い=一人が負担する業務量が少ないということではないため、注意してください。
保育士の割合が多い保育園の中には、ICT化が進んでおらず手作業の仕事が多い場合もあるため、総合的に判断しましょう。
しかし、子供を多くの人数で保育できるという安心感は得られるため、人員割合は確認すべき項目だと言えます。
参考:厚生労働省|幼稚園と保育所の基準の比較【職員配置・施設設備等】
職場の雰囲気と園長の人柄をチェック
どんなに福利厚生や給与面が良くても、職場の雰囲気が合わないとストレスを感じてしまいます。
職場の雰囲気は園長が決めた方針にも影響されるため、転職活動時は園長の人柄をチェックしましょう。
退職した保育士の口コミの中には、園長と合わなかったという内容もあったため、働きやすさを計るうえで重要な要素です。
休暇が取りやすいか、残業を削減する体制なのか、保育施設の保育方針が自分の求める方針と違いがないかも確認します。
職場見学と同時に職場の口コミを見るなどして、実態を把握しましょう。
ワークライフバランスをチェック
- 給与や昇給の水準
- 休暇の取りやすさや残業の実態
- 福利厚生や研修制度の充実度
内閣府ではワークライフバランスがとれた社会について下記の通り定義しています。
- 経済的に自立可能
- 豊かな生活のために時間確保が可能
- 多様な働き方・生き方が選択可能
どんなにやりがいのある仕事であっても、給与が少ないと充実した生活はできません。
基本給以外に加算される金額や、補助される金額についてチェックしておきましょう。
土曜出勤の代休があるか、残業時間の実態などを調べ、疲れた身体を休める時間が確保できるか確認します。
結婚・出産しても働き続けることが可能か、親の介護が必要な時に対応できるかなど、制度の充実度も重要だと言えます。
参考:内閣府|仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章
【まとめ】辛いと思ったらまずは環境を変えよう
- 辛いと感じたときは対処法を試す
- 保育士を辞める前に理由を再度考える
- 辛いときは転職を検討する
- 転職するときは自分に合った職場かチェックする
保育士の仕事はやりがいがある一方で辛さを感じる仕事でもあります。
辛いと感じたときは軽減できるか試し、難しい場合は転職を検討してください。
だたし、後悔しないためにも、他に方法はないか、辞めたい理由は何かを再検討することが大切です。
保育士の資格と経験があれば、より良い環境で再度保育士として働くことも可能です。
転職後の職場についてしっかり確認しておくと、同じような辛い経験をせずに働き続けられます。
保育士は素晴らしい職業であるため、可能な限り辛さを改善して働いていきましょう。
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