保育士としてキャリアアップを考えた時に、まず思い浮かぶのが主任保育士ではないでしょうか。
しかし、主任保育士になることで「給料がどの程度アップするのか」「実際どのような仕事をするのか」がわからないとなかなか挑戦できませんよね。
主任保育士にキャリアアップすると任される業務が増え、代わりに主任手当が支給されるようになります。
本記事では、主任保育士に興味がある方向けに、主任手当の相場、主任保育士の給料や実際の仕事内容について紹介しています。
- 保育士の主任手当の相場
- 主任保育士の平均給与
- 主任手当に対する保育士の声
- 主任保育士の実際の仕事内容
保育士の主任手当の相場はどれくらい?
主任手当=役職手当であり、役職手当とは特定の役割や仕事に就く職員に支給されるものです。
主任保育士になれば任される業務や果たす責任が増えるため、対価として主任手当が支払われます。
では、主任手当は一体どの程度の金額で支給されているのでしょうか。
内閣府の資料から計算してみたところ、主任手当の相場は3〜4万円でした。
職種 | 月給 |
主任保育士 | 237,252円 |
保育士 | 202,470円 |
差額 | 34,782円 |
しかし、あくまで3〜4万円は相場であり、実際の金額は地域や施設によって異なります。
正確な金額を確認するのであれば、勤めている保育施設の就業規則や求人情報を確認してみましょう。
参考:平成30年度子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料|9頁
主任手当と合わせた主任保育士の平均給与
主任保育士の給与は、私立か公立か、常勤か非常勤かによって異なります。
そのため、参考金額にはなりますが、主任保育士の平均給与を下記の通り計算しました。
主任手当の相場 | 30,000円 〜 40,000円 |
---|---|
主任保育士の平均月給 | 約343,000円 |
平均給与の約343,000円は、政府統計調査の主任保育士の平均給与(賞与込み)から、保育士の賞与641,250円÷12カ月を差し引いた金額です。
保育士の給与と比較すると、私立保育園では10〜15万円、公立保育園では10〜20万円超の差がでており、主任保育士になれば大幅な給与アップが見込めます。
参考:政府統計調査|職種別職員一人当たり給与月額の状況
参考:政府統計調査|令和5年賃金構造基本統計調査
主任手当は地域によって違う!実際の求人を確認してみよう
実は、主任手当の支給額は事業者側が決めており法律で特段定められていません。
そのため、同じ地域の求人でも主任手当30,000円と特定の金額が明記している施設もあれば、10,000円〜30,000円と幅をもたせて記載している施設もあります。
実際に主任保育士の求人を見ていくと、施設により違いだけではなく地域によって支給額の傾向があったため、求人内容を都道府県別にまとめてみました。
都道府県 | 手当 | 月額給与 |
---|---|---|
東京都 | 約40,000円 | 321,338円 〜 381,338円 |
神奈川県 | 約40,000円 | 292,319円 〜 352,319円 |
宮城県 | 約25,000円 | 195,000円 〜 225,000円 |
埼玉県 | 約30,000円 | 240,000円 〜 290,000円 |
大阪府 | 約20,000円 | 287,000円 〜 359,000円 |
京都府 | 約15,000円 | 219,000円 〜 255,000円 |
愛知県 | 約20,000円 | 230,000円 〜 250,000円 |
福岡県 | 約20,000円 | 245,000円 〜 300,000円 |
長崎県 | 約20,000円 | 180,000円 〜 220,000円 |
上記の表から、東京都および周辺地域は主任手当の相場と同等または高めであり、東京都から距離が離れた地域は、相場より低い状況だとわかります。
しかし埼玉県と福岡県の求人を見ると、主任手当は埼玉県の方が高いのに対し、月額給与は福岡県の方が高い状況です。
求人を探す際には、主任手当のみではなく主任手当と合わせた給与額を見て応募の判断をしましょう。
さらに、主任手当の支給額と任せられる業務量のバランスなども確認しておくと、実際に就職したときのギャップが少なくなるため安心です。
主任手当は高い?低い?保育士の声を紹介
主任手当の相場や主任保育士の平均年収について紹介してきましたが、実際に支給されたときに金額アップが体感できるか心配になりますよね。
実態を調査していくと、主任手当についてSNSに投稿している主任保育士の生の声がありました。
主任手当は高いのか低いのか、実際の主任保育士たちの投稿内容と共に紹介します。
SNSに投稿された内容から、主任手当の支給額だけではなく主任手当を含んだ給与額にも不満があるようです。
主任手当が相場どおりでも手取り金額は低いという投稿から、相場と同等の金額が支給されても満足できるとは限らない実情がわかります。
また、主任手当の支給額が低いという声の中には、主任ではない保育士よりも給与が低いという内容もありました。
キャリアアップで主任保育士になったにも関わらず主任以外の保育士より低い給料では、不満を感じてしまうのも納得です。
保育士の主任手当でわかったこと
せっかくキャリアアップして主任保育士になっても、満足できる給与がもらえないと辛いものです。
実は、主任手当が支給されても給与に満足できない理由の一つに処遇改善加算があります。
本章では主任手当と処遇改善加算の関係や、より高い主任手当を得るための方法などについて解説します。
処遇改善加算Ⅱが原因で副主任が主任の給与を超えてしまうことも
処遇改善加算とは保育士の処遇改善のために設けられた仕組みで、注目したいのは加算される対象者です。
処遇改善加算Ⅱの対象者は園長、副園長、主任以外の保育士となっており、副主任保育士になると給与に月額4万円が加算されます。
そのため主任手当が4万円未満の施設だと、副主任が主任より多い給与をもらうケースが出てきてしまいます。
副主任から主任にキャリアアップする可能性もあるので、主任にチャレンジするときは主任手当の支給額に注意しましょう。
参考:厚生労働省|保育士のキャリアアップの仕組みの構築と処遇改善について
主任手当が増える可能性は低いため転職も視野に
主任手当の支給額は施設によって定められており、事業者側が変更すれば増額する可能性はあります。
しかし、主任手当に対する自治体からの補助がないことから増額の見込みは薄いでしょう。
将来の選択肢を増やすためにも、主任手当の支給額に不満がある場合は、より高い給与がもらえる施設への転職を視野にいれておくことをおすすめします。
転職先を選ぶ際の注意点は、主任手当の支給額だけではなく主任手当を含んだ給与額で選ぶことです。
経験やスキルによっては他の施設への転職をすることで大幅な給与アップが狙えます。
主任保育士として採用されるには
主任保育士には豊富な保育経験や知識が求められるので、採用されるためには一定年数以上の保育経験が必要です。
常勤の主任保育士の勤続年数は20年以上という統計調査の結果から、保育に長く携わってきた人が役職に就いている現状がわかります。
実際の求人を見ていくと保育経験7〜10年という条件が多く目につきました。
また、主任保育士に求められるものは保育の経験年数だけではなく、職場の保育士をまとめるリーダーシップやコミュニケーション能力も必要です。
施設によっては事務作業を任される場合があるため、パソコンやICTの操作スキルがあるとより良いでしょう。
主任保育士の主な仕事内容
主任保育士の主な仕事内容は下記のとおりです。
- 施設長のサポート業務
- 職員の育成・指導
- 保育環境の整備
- 保護者への対応
施設長のサポート業務には保育士のシフト・業務の調整、書類・帳票の作成や施設長不在の代理対応などがあります。
また施設の保育の質向上も重要な仕事であり、職員への日々の指導はもちろん、指導計画書の作成や、職員の悩み相談へのアドバイスなどを行います。
他には、落下物の危険がないかなど、子どもが安全に過ごせるような保育環境の整備や、保護者と保育士間のトラブルへのフォローをする場合もあるでしょう。
主任保育士は円滑な施設運営に欠かせない存在で、仕事内容は多岐にわたります。
まとめ
本記事では、主任保育士がもらえる主任手当や主任保育士の仕事内容について紹介しました。
主任手当が高くても給与になると少ないというケースがあるため、キャリアアップするかどうかは手取り金額で判断しましょう。
ただし、現在勤務している施設の主任手当の支給額が低い場合は、副主任より給与が低くなる可能性があるため注意が必要です。
経験年数と保育スキルに自信があるのであれば、より高水準の施設に転職することも視野に入れましょう。
主任保育士の仕事は施設の運営に大きく関わるため、責任重大ですが大変やりがいのある仕事です。
主任保育士にキャリアアップするときは、仕事内容と給料のバランスが取れているか判断した上で、チャレンジしてみてください。
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