実際に保育の仕事をしていると、予想以上にストレスを感じる場面が多く疲弊しませんか。
「保育以外の仕事が予想以上に多くて大変」
「対応が難しい要望を保護者から言われてしまった」
ストレスをこまめに発散しないと心身の健康が損なわれ、仕事にも影響が出てきます。
一方でストレスと上手に付き合えれば、保育士として前向きに働くことが可能です。
本記事ではストレスが辛いと感じている保育士向けに、ストレスの要因と対処法について紹介しています。
- 保育士が感じやすいストレスの要因
- ストレスが辛くなったときの対処法
- ストレスを感じにくい職場に転職するためのコツ
保育士でストレスを感じながら働いている人は多い
SNSに投稿された内容を見ると、現職の保育士の多くがストレスを感じながら働いているのがわかります。
そして、近年では保育士による園児への虐待事件を目にするようになりました。
東京都の事件を起こした加害者は「イライラしていた」と話しており、保育現場のストレス事情は想像以上に深刻な状況です。
令和6年6月には、勤務中の保育士が2歳男児の首を切りつけ、殺人未遂の容疑で逮捕された事件がありました。
該当の園では4月に保育士が一斉退職したことが利用者へのインタビューで分かっており、ひっ迫した職場環境だったと推測できます。
園児を傷つける行為は決して許されるものではありませんが、事件を起こすほど追い詰められていたのでしょう。
事件を起こさないまでも、働きながらストレスに悩む保育士が多くいる現状です。
保育士が感じやすいストレス7選
ストレスを感じる要因は一つではなく、職業や職場の環境によって異なります。
そのため保育士が感じるストレスは、保育士特有の仕事内容や職場環境によって発生するものだと考えられます。
本章で紹介する保育士が感じやすいストレスを参考に、自分のストレスの要因について考えてみましょう。
人間関係によるストレス
東京福祉局が行った保育士実態調査の結果を見ると、下記の項目で人間関係が重要視されていることがわかりました。
- 職場を辞めた理由 1位
- 職場を選ぶときに重視した項目 2位
- 職場で働き続けるために充実を希望する項目 2位
保育士の仕事は一人でやり遂げるのは難しく、助け合いが必要です。
そのため、同僚と良い関係を維持しようと必要以上に気をつかい、結果として人間関係にストレスを感じてしまいます。
園によっては派閥争いが発生して板挟みにあうこともあるでしょう。
さらに、同僚だけではなく園児の保護者とも関係を築く必要があり、様々なシーンでストレスを感じやすいと言えます。
給料が低いことによるストレス
統計調査によると保育士の給料は平均約26万5千円となっています。
処遇改善加算により少しずつ増えてきたものの、一般労働者の平均給料と比べると保育士の給料は未だ低い水準です。
そのため、SNSや求人サイトには、手取り金額に対して「少なすぎる」という声が多く投稿されています。
詳しく見ていくと、単純に金額が安いだけではなく「業務量や仕事内容に金額が見合わない」ことに対しても不満を抱いていました。
どんなに仕事を頑張っても給与に反映されなければ、自分の仕事を認めてくれないと感じ、事業者へストレスが溜まっていくでしょう。
業務や雑用が多いことによるストレス
保育士の仕事には、連絡帳の記入、行事の準備、社内書類の作成など、保育以外の業務が数多くあります。
園内業務のICT化により連絡帳の記入や社内書類の作成の作業は楽になりましたが、業務自体が不要になったわけではありません。
また、PCやタブレットは全員に配備されているとは限らず、順番待ちなどの煩わしさがあるのも事実です。
業務以外にも掃除やゴミ出し、園庭の草むしりなどの雑用も保育士が行う必要があります。
子どもを見守る仕事をしながら合間をみて他の業務をしなければならず、ストレスを感じるでしょう。
責任の重さによるストレス
子どもの命を守るために、保育士は常に安全に配慮して仕事をする必要があります。
自由に行動する子どもをコントロールするのは難しく、言うことを聞いてくれない園児達にイライラすることもあるでしょう。
最近では各地の保育園で重大な事故が発生しており、保護者からの目も厳しくなっている状況です。
そのため、失敗は許されないとプレッシャーを常に感じながら保育をしなければならず、ストレスが蓄積されていきます。
理不尽なクレームによるストレス
保育士をしていると避けられないのが保護者からの要望やクレームであり、対応が苦手という人もいるでしょう。
上手く活用すれば保育の質の改善につながりますが、我が子のことしか考えていない理不尽なクレームは保育士にとって大きなストレスです。
無理難題に対応できないと伝えるだけでも疲弊し、対応するとしても気力と体力が奪われてしまいます。
また、保護者との関係は切りたくても切れないため、理不尽なクレームが続いてもクラス担当から外れるか卒園まで我慢が必要です。
将来性が見えないことによるストレス
少子化が進んでいる社会情勢から、保育士の仕事が不安視されています。
数年前までは待機児童問題がありましたが、令和6年4月時点で待機児童数は0人となっており、保育施設の利用児童数は令和7年がピークの見込みです。
廃止や統合が進むと保育士が飽和状態になり、保育園での勤務が難しくなる可能性があります。
他業種に転職するとしても保育士の仕事内容が活かせるかなど不安は尽きず、考えれば考えるほどストレスが溜まっていきます。
参考:こども家庭庁|新子育て安心プラン実施計画
参考:厚生労働省|保育を取り巻く状況について
保育の難しさ・難しい子どもと接することによるストレス
子どもには個性があり、接し方に正解がないことが保育の難しさだと言えます。
特に新卒採用などの若い保育士は経験が少ないため、接し方がわからずストレスを感じやすいでしょう。
良かれと思い行動しても逆効果になることもあれば、思い通りにいかないと暴れたり他の子を傷つけたりする園児もいるため、悩みは尽きません。
慣れるまで解消が難しく、保育の仕事をするなら避けて通れない保育士特有のストレスです。
ストレスを感じて辛くなった保育士ができること
仕事をするのであれば、ストレスを感じずに過ごしたいと思いますよね。
しかし、ストレスを完全に取り除くのは難しく、うまく対処する必要があります。
日常生活の中でストレスを発散したり、ストレスの原因自体から離れたりすれば現状より改善できるでしょう。
本章では、保育士におすすめのストレス対処法について紹介しています。
同僚や先輩に相談してみる
職場の同僚や先輩に悩みを話してみると気持ちが軽くなるのでおすすめです。
同じ保育士の立場から共感やアドバイスが得られ、余力があれば実際の業務の中でフォローしてもらえるでしょう。
ただし、相談できる間柄になるためには、日ごろから同僚や先輩と良い関係を築く努力が必要です。
同僚や先輩から相談を受けたら親身に対応し、ヘルプを頼まれたら可能な限り対応しましょう。
ストレスを発散できるような趣味を見つける
厚生労働省ではストレスに対するセルフケアとして運動や音楽など6つの方法をおすすめしています。
マラソンやヨガなどの運動は園児と遊ぶための体力づくりになり、ピアノや歌などの音楽は保育のスキルとして活かせるでしょう。
もちろん仕事と趣味を明確に区別したい場合は、保育の仕事と関係ない趣味を見つけても問題ありません。
どのような職場でもストレスは少なからず感じるため、自分に合った趣味を見つけて発散することが大切です。
思い切って休職してみる
ストレスフルな状態が続くと、心だけではなく体の健康にも影響を及ぼすと言われています。
もし、継続的なストレスによって自分の健康が維持できないと感じたら、思い切って休職してみましょう。
厚生労働省では「こころの健康」を保つために、一時的な休暇ではなく長期的な休養を取ることが重要と述べています。
保育の仕事から離れる=退職ではなく、休職という選択肢があると覚えておけば選択肢が広がります。
正社員ならパートや派遣に切り替える
園にもよりますが、パートや派遣の方が正社員より任される仕事量は少ない傾向があります。
そのため、勤務形態を正社員からパートや派遣に変更すれば、業務量や保護者対応で感じるストレスは軽減可能です。
退職や休職と異なりパートへの切り替えは人員が減ることがないため、保育園側に受け入れてもらいやすいでしょう。
ただし、正社員とフルタイムの平均給与の差は53,680円となっており、必ずしも同額になるとは限りません。
より条件が良い保育園へ転職する
自分の努力で環境を変えるのが難しければ、条件の良い保育園に転職する方法があります。
中途採用は経験やスキルによって給与が変動するため、アピールできれば給与アップが可能です。
ただし、転職先の条件が良くても理不尽なクレームがないとは言い切れません。
人間関係や責任の重さによるストレスはどの職場でも感じるでしょう。
ストレスの要因が分からないまま転職をすると後悔するため、現状を見極めてから検討しましょう。
保育士が働く環境でストレスを感じている場合は転職を検討しよう!
過度なストレスを感じ続けるのであれば、思い切って転職するのがおすすめです。
とはいえ、選んだ転職先が現状より環境が良くない可能性もあり、なかなか転職に踏み出せない人もいるでしょう。
本章では、働きやすい保育園に転職できるようにホワイト保育園の特徴と転職に役立つサービスについて紹介します。
働く職場の環境は簡単には変わらない
保育士が感じるストレスの多くは、十分な人員が確保できていれば対策が可能です。
人手が確保できれば、園児に保育士の目が行き届き、業務量は分散され、ストレスは軽減されていくでしょう。
しかし、約76年ぶりに改善された配置基準は、現場の混乱を避けるため経過措置が取られており、当分の間は人手不足が続くと予想されます。
いくら働く環境を改善したいと思っても、現場の人員が足りなければ手が回らず実現は困難です。
ブラックな保育園は時代遅れ!ホワイト保育園に転職するために
転職先として選びたいホワイト保育園の特徴は下記のとおりです。
- 求人が常に出されていない
- 福利厚生が充実している
- 振替休暇・有給休暇を取得しやすい
- サービス残業がなく残業代が適切に支払われる
- 良い口コミが投稿されている
保育士の募集のタイミングが少なければ、退職者が少ない良い環境だと推測できます。
また、福利厚生が充実していれば安心して保育の仕事に取り組むことができ、休暇が取りやすければプライベートも充実するでしょう。
残業はやむを得ず発生する時期もあるため、残業代が適切に支払われるかも大事なポイントです。
ただし求人内容だけでは実態の把握が難しいため、求人サイトやSNSに投稿された口コミの確認をおすすめします。
様々な選択肢から選びたいなら「転職サービス」の利用がおすすめ!
ホワイト企業の特徴が分かっても、自分の判断だけで求人を選ぶのは少し不安ですよね。
転職サービスを利用すれば、専属のアドバイザーが希望の条件に合致した保育園を提案してくれるので、安心して転職先を選べます。
さらに、非公開の求人が紹介される場合もあるため、自分で探すより選択肢の幅が広がります。
他にも面接日の調整や面接への同行など手厚いサポートを受けられるため、転職に自信がない人におすすめのサービスです。
まとめ
- 仕事の特性上、保育士はストレスを感じやすい
- ストレスを感じたら対処法を試してみる
- ストレスの強さによっては休職や転職も視野にいれる
- 転職するならホワイトな保育園を選ぶ
保育士の仕事はやりがいを感じる一方で、ストレスを感じやすい仕事だと言えます。
変わらない環境の中でストレスを感じ続けると、心と体の健康に影響がでてくるため対策が必要です。
同僚への相談や、ストレス発散できる趣味でセルフケアをしてみましょう。
それでも、ストレスが辛いと感じたら、休職や転職をして保育現場から離れてみるのも一つの方法です。
ストレスとうまく付き合い、前向きに保育の仕事に取り組んでいきましょう。
コメント