「派遣保育士は時給が高いと聞くけど、実際どうなの?」
そう思うことはありませんか?
派遣保育士は時給が高い!残業がない!持ち帰りが少ない!とメリットをよく耳にしますが、実際に職場に派遣保育士がいても、実際の給与面や働き方の自由さなど踏み込んだことは聞きにくいですよね。
本記事では、元派遣保育士の私が、実際に働いていた時の仕事内容や1日のスケジュールなどのリアルな体験談を赤裸々にお伝えしています。
派遣保育士が少しでも気になる方は、よく聞くメリットは本当かデメリットは何があるか、ぜひ記事を最後まで読んで確かめてくださいね。
ライター名:ちあき 元保育士ライター
元フルタイム派遣保育士。表向きは結婚を機に正社員保育士から派遣保育士になりましたが、ここだけの話、不妊治療と仕事を両立させるために働き方を変更しました。派遣保育士として3園に勤務し、産休・育休取得経験もあります。そんな私だからお伝えできる、リアルな派遣保育士体験談をお伝えします。
得意なことは、連絡帳書き。苦手なことは、ピアノ。
保育士の派遣・パート・正社員はどう違うの?
代表的な保育士としての働き方として、正社員、パート、派遣保育士がありますが、具体的に何が違うかご存知でしょうか?
下記の表にまとめましたので、何が異なるのかご覧ください。
派遣 | パート・正社員 | |
給与の支払い | 人材派遣会社 | 保育園 |
契約期間 | 有期雇用 (原則3年が上限) | パート:有期雇用 正社員:無期雇用 |
社会保険、福利厚生 | 人材派遣会社の規定が適用 | 保育園の規定が適用 |
まず、派遣保育士と正社員保育士・パートの大きな違いとして、雇用主が異なることが挙げられます。
同じ保育園で働いていても、派遣保育士の雇用主は派遣会社であり、正社員保育士やパートは保育園が雇い主です。
そのため、派遣保育士は人材派遣会社の社会保険や福利厚生が適応されることが特徴です。
また、派遣保育士は契約期間が決まっていて、1つの派遣先での勤務は長くても3年が上限となっています。
正社員保育士は無期雇用のため、原則定年まで働くことができます。
派遣保育士として働くメリットは?
メリット①パートよりも時給が高い
派遣保育士は多くの場合、パートよりも時給が高いです。
理由は、派遣保育士は通常、雇用期間が決まっていて安定性が低い働き方だからです。
不安定であることのリスクを補うため、時給が高めに設定されることが多くなります。
また、派遣保育士は即戦力としてのスキルを求められることがほとんどで、対価として時給が高くなっていることもあります。
そのため、パート保育士よりも時給が高いことが派遣保育士として働くメリットです。
メリット②自由度の高い働き方ができる
派遣保育士は、契約によっては、雇用期間、勤務日数、時間を自分で選ぶことが可能で、自由度の高い働き方ができます。
例えば、私の場合は、正社員保育士では難しい週4でのフルタイム勤務に加えて、早番と遅番なしの勤務が叶えられました。
他にも、短期契約でさまざまな保育園の保育を知ることで、幅広い保育経験を積むために派遣保育士を選択した人もいました。
自分のライフスタイルや大事にしたいことに合わせた働き方ができることは、派遣保育士のメリットの1つです。
メリット③残業や仕事の持ち帰りが少ない
派遣保育士は、比較的契約によって決められた労働時間を守られる傾向にあるので、残業や持ち帰りの仕事が少ないです。
定時で退社できる環境が整っている場合も多いです。
よって、仕事とプライベートのバランスを重視したい人にとっては、残業や仕事の持ち帰りが少ないことがメリットになります。
メリット④条件に合う職場を見つけやすい
派遣保育士は、派遣会社のサポートもあり、自分の希望する条件条件に合う保育園を見つけやすいことがメリットです。
また、合わない保育園に派遣された場合でも、契約期間を終了すれば次の保育園を探しやすく、柔軟に働く場所を変更ができます。
メリット⑤人材派遣会社のサポートが受けられる
人材派遣会社からサポートを受けることが可能です。
例えば、人間関係での悩みや働き方の悩みの相談、労働条件の交渉や職場とのトラブルの対応など、さまざまなサポートが受けられます。
私の場合は妊娠発覚と契約終了の見通しが立ったタイミングがほぼ同時だったので、当時は不安で担当者さんに相談していました。
妊婦でも無理なく働ける労働条件の提案や休職する場合の手続きなどの説明を丁寧にしてもらえて、漠然とした不安が小さくなったことを覚えています。
メリット⑥人間関係に縛られない
保育士の離職の最も多い理由は「職場の人間関係」ですが、派遣保育士の場合は、同じ保育園で長期間働く場合と比べると人間関係に縛られにくい傾向があります。
理由は、職場の人間関係が合わないと感じた場合は、契約期間が終了後に別の保育園に移動することが可能だからです。
よって、人間関係のストレスから開放され、のびのびと働けることが派遣保育士のメリットです。
派遣保育士として働くデメリットは?
デメリット①雇用期間に限りがある
どんなに自分に合う保育園に派遣されたとしても、決められた雇用期間で離れなければなりません。
具体的には、1つの園で働く上限期間は3年と決まっています。
しかし、どれだけ劣悪な派遣先でも決められた雇用期間さえ満了できれば、円満に別の派遣先に移ることができるので、デメリットとメリットの両方を合わせもっているとも言えます。
デメリット②キャリアアップ、スキルアップしにくい
正社員保育士のようにスキルアップする機会は得られにくいです。
例えば、研修で参加人数が決まっている場合は、正社員保育士が優先されることもあります。
派遣保育士でスキルを磨いていくためには、常に新しい保育情報を雑誌やWebサイトからキャッチして自力で研修に参加するくらいの意気込みがないと難しいです。
デメリット③職場に馴染みにくい
職場の人間関係に馴染みにくいというデメリットがあります。
私の体験談になりますが、しばらく「派遣さん」と呼ばれ線引きされていたことありました。
園で勤務している保育士にとっては、派遣保育士は一時的に勤務してすぐいなくなってしまう存在と認識されていることもあるので仕方ないことかもしれません。
ですが、職場によってはすぐに打ち解けることができた園もありますので、園によるところが大きいです。
デメリット④契約終了期間までやめにくい
どんなに劣悪な環境でも契約終了まで辞めにくいです。
派遣保育士仲間から聞いた話ですが、派遣された先の保育園が劣悪な人間関係ですぐに別の派遣先に移りたかったのですが契約終了まで辞められなかったそうです。
確かに契約終了を迎えるまでは辞めにくいですが、契約終了すれば年度途中でも辞められるので一長一短ですね。
<元派遣保育士の実体験> 給与・業務内容・1日のスケジュール
先ほどのメリットとデメリットを踏まえ、より派遣保育士に興味が湧いた方もいるのではないでしょうか?
次の章では、実際に派遣保育士として5年間(産休・育休を含む)勤務してきた私の体験談を赤裸々に紹介します。
当時の1日のスケジュールも記載していますので、参考にしてくださいね。
時給・派遣を選んだ理由・メリット/デメリット
派遣保育士になった当時、私は結婚したての27歳。派遣保育士になった最も大きな理由は、不妊治療をするためでした。
もし仮に正社員保育士として働き続けていた場合、年齢と今までの保育経験から高い確率で1人担任や非常勤保育士と組む形でクラス担任を持つことになっていたでしょう。
治療に集中できないことが目に見えていたため、選んだ働き方が派遣保育士です。
最初の契約は、週に4日の勤務で中番のみのシフトで、ポジションもクラスの副担任。治療と仕事の両立を叶えられたことに派遣保育士のメリットを感じていました。
給与額は、賞与がないので年収単位で比較すると減りましたが、正社員保育士の頃より勤務時間が減少しても月収単位で比較するとそこまで変わりませんでした。
デメリットに感じたことは、契約終了の見通しが立ってから次の勤務先を探さなくてはいけないことです。
近場ですぐに見つかったのでよかったですが、約2週間ほどばたばたしました。
1日のスケジュール
08:30~ | 出勤 (登園してきた子と朝の会まで遊ぶ) |
09:30~ | 乳児クラスの午前おやつ、朝の会 (おやつの配膳、活動の用意) |
10:00~ | クラス別活動 |
11:00~ | 給食 (給食の配膳、子どもたちの給食の見守り、食後の着替えやトイレのサポートなど) |
12:00~ | お昼寝 (環境を整え、睡眠時の呼吸チェック) |
12:30~13:30 | 休憩 |
13:30~ | (連絡帳や書類作成、保育の準備、行事の用意) |
15:00~ | 午後おやつ、帰りの会 (おやつの配膳、延長保育の用意、降園の用意) |
16:00~ | 延長保育 (お迎えがくるまで子どもたちと遊ぶ) |
17:30 | 退勤 |
私の場合、業務内容は正社員保育士とほぼ同じでした。
異なる点は、職員会議に出席しなかったこと、土曜日保育に参加しなかったこと、早番遅番勤務をしなかったことくらいです。
業務内容がほぼ同じだった理由は、派遣先の保育園と最初に行う面談で依頼された業務を全てOKしたためです。
私は日誌や月案などの書類作業が苦ではないため、正社員保育士と同じように仕事をさせてもらっていました。
ですが、私が勤務していた園の他の派遣保育士は書類作成なしで担任なしだったので、契約時に業務内容を調整することでさまざまな働き方で勤務可能です。
元派遣保育士が気になる疑問に答えます!
Q1住宅補助(住宅手当)や処遇改善手当、福利厚生はある?
住宅補助のルールは、保育園や自治体によってさまざまなので一概には言えませんが、派遣保育士は利用できないことがほとんどです。
もし、利用を希望している場合は、派遣保育士でも可能かどうか確認しておきましょう。
処遇改善手当は認可保育園が対象の制度なので、派遣されている園が認可保育園で一定の基準を満たしているなら、ルール上は手当の対象になります。
派遣保育士は人材派遣会社の福利厚生が使えます。
Q2有休をもらえる?
人材派遣会社によっては有給休暇の付与条件が異なる場合がありますが、ほとんどの場合では、以下の2点を満たすことで有給休暇をもらえます。
- 雇用開始から半年以上勤務していること
- 労働日の8割以上勤務していること
私がお世話になっていた派遣会社では、入社後6ヵ月経つと有休がもらえました!
使い方は事前申告さえしていれば自由で、特に使用の制限されたことはありませんでした。
Q3産休・育休の制度を利用できる?
派遣保育士でも利用することができます!
産休は、勤務先の健康保険に加入していれば誰でも取得が可能で、休暇の期間は産前6週間と産後8週間が基本となっています。
育休は、下記のように条件がありますが派遣保育士でも取得は可能です。
- 同一事業主に1年以上雇用されていること
- 引き続き雇用される見込みがあること
雇用期間が1年未満の場合は育休を取得できないため気を付けてくださいね。
派遣保育士で働く前に知っておいてほしいこと
派遣保育士について理解を深める中で「派遣保育士になりたい!」と思っている方もいると思います。
派遣保育士として働く前に知っておいてほしいことがあるのでお伝えしますね。
こんな派遣仲介会社に注意
派遣保育士として働くためには、派遣仲介会社への登録が必要です。
会社選びに失敗すると後悔することもあります。
中には、紹介されて保育園に行ったら雑用ばかりで思っていた働き方と違ったという話も聞きました。
私も、派遣会社に伝えていた希望条件に当てはまらない園を何度断ってもおすすめする派遣会社に出会ったことがあります。
登録したらOKではなく、こちらの希望に耳を傾けてもらえるか、保育園への知見があるか、何かあった時に対応してくれそうか確認しておきましょう。
失敗しないためのポイント
- 派遣会社は2~3社登録する
- 認定されている事業者を選ぶ
- 担当者の方にしっかり働き方の希望を伝える
派遣会社選びに失敗しないためのポイントは、複数の人材派遣会社に登録することです。
求人情報の画面から派遣会社の実態や特徴を掴むことは、難しいものです。
実際に面談に行き、紹介される保育園と条件などの話を聞いてから登録するかしないかを決めることをおすすめします。
また、自分が理想とする働き方を把握していないと、派遣会社の担当者に希望を伝えることができません。
しっかり自己分析して、希望する働き方を伝えられると失敗しにくいでしょう。
まとめ
本記事では、元派遣保育士が派遣保育士としての働き方のメリットとデメリットを実際の体験談を交えてお伝えしました。
派遣保育士は雇用主が派遣会社であり、時給が高い、自由度の高い働き方ができるといったメリットがあります。
加えて、契約終了後は他の職場に移動できるため、人間関係のストレスが少ないです。
一方で、雇用期間が限定されているため、キャリアアップの機会が限られるなどのデメリットもあります。
派遣保育士を検討する方は、複数の派遣会社に登録し、慎重に選んでくださいね。
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