今回は、元園長監修のもと
実用的な「0歳児・9月の”クラス全体向け”の月案例文」をお届けします。
保育園によって、0歳児は月齢ごとの個人案を作成することもありますよね。
月齢に合わせた月案を参考にしたい方は、次にまとめた記事も併せてご覧ください。
■0歳児(低月齢)9月の月案
■0歳児(中月齢)9月の月案
■0歳児(高月齢)9月の月案
月案作成の負担を減らせるよう工夫してまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。
最初に月案作成のポイントをご紹介します。
ただ、いち早く例文をご確認したいという方は「こちらのリンク」を押してください。
元園長が教える月案・週案の重要ポイント
大前提、月案を作る上でどんなことが重要なのか?
実際に保育士さんたちの数々の月案をチェックしてきた元園長先生に、重要ポイントを伺いました。
- 年間カリキュラムに基づく計画を立てる
- まずは「前月の子どもの姿」から考え始める
- 「今月のねらい」と「具体的な内容」は連動して考える
この3つが、年齢・時期関わりなく月案を作成する上で意識してほしい点です。
要するに、「保育園での活動を通して、子どもたちにどんな姿になってもらいたいのか」を考えると良いということですね。
逆によくあるダメなパターンは、ねらいと内容が連動していないものです。
いったい何のための月案なのか考えられていないと、作り直しとなってしまいます。
9月・0歳児の月案のポイント
次に、「0歳・9月」ならではの月案のポイントを紹介します。
- 残暑や気温の変化により体調を崩しやすい時期のため、子ども一人一人の体調に留意し、ゆったりと過ごせるような配慮を取り入れる。
- 子どもの思いをしっかり受け止め、より愛着関係が深まっていく関わりについて考える。
- 個々の発達に合わせた、身体全体を動かす遊びを取り入れる。
- 散歩・戸外遊びで秋を感じられる機会を作る。
この時期の子どもたちは、自分で動ける範囲が少しずつ増え、周囲への好奇心がより旺盛になってきます。
また、人と関わりを持とうとする場面が多く見られるようになってきます。
まだまだ残暑が厳しく、体調の変化も気になる9月は、健康にゆったりと過ごせる工夫も取り入れたいですね。
それではここから、具体的な月案の例文をまとめていきます。
《 STEP1》 前月の子どもの姿を思い出す
- 厳しい暑さにより、疲れた様子が見られたり、体調を崩す子がいた。
- 自分の要求を、泣く・身振り手振り・簡単な単語などで保育者に伝えようとする。
- 手づかみ食べ・スプーンやフォークの使用で、自分から食べようとする。
- 水遊び・シャワー・沐浴を喜び、心地良さそうな表情をする。
- 担当保育者など、よく関わりのある保育者に親しみを持ち、安心して過ごしたり、一緒に遊ぶことを喜ぶ。
- 好きな遊びを見つけ、繰り返し行いじっくり楽しんでいる。
- 友だちの様子が気になり、じっと観察したり関わろうとする。
《 STEP2》 今月のねらいを決める
養護のねらい
教育(5領域に対応)のねらい
養護のねらい①の具体的な月案
ねらい
残暑・気温差に負けず、健康にゆったりと過ごす
養護・内容
- 残暑・気温差に留意し、水分補給や十分な休息をとりながらゆったりと過ごす。
(養護の場合…生命の保持)
(3つの視点の場合…健やかに伸び伸びと育つ) - 着替えやシャワーでさっぱりした心地よさを味わい、快適に過ごす。
(養護の場合…生命の保持)
(3つの視点の場合…健やかに伸び伸びと育つ)
養護・予想される子どもの姿
- 残暑・季節の変わり目の気温差により、体調を崩したり、ぐずるなど疲れていたり眠そうな様子がある。
- たくさん汗をかいて遊び、午睡ではぐっすりと眠る。
養護・環境構成/保育者の配慮
- 一人一人の体調の変化を見逃さないよう、子どもの様子をよく観察し、体調を細かく把握しておく。
- 汗をかいたら、適宜、着替え・シャワー・こまめな水分補給を行い、快適に過ごせるようにする。
- 朝・夕と日中の気温の変化に合わせて室内温度の調節・換気を行い、冷やしすぎには注意する。
- 午睡では一人一人のペースを大切にし、ぐっすりと眠れる環境を整える。
養護のねらい②の具体的な月案
ねらい
保育者に思いや欲求を受け止めてもらい、安心して過ごす
養護・内容
- 保育者に思いや欲求を満たしてもらいながら、信頼関係を深めていく。
(養護の場合…情緒の安定)
(3つの視点の場合…身近な人と気持ちが通じ合う) - 安心できる保育者に見守られている環境で、伸び伸びと遊ぶ。
(養護の場合…情緒の安定)
(3つの視点の場合…身近な人と気持ちが通じ合う)
養護・予想される子どもの姿
- 自分の気持ちや生理的欲求を保育者に訴え、満たしてもらうことで満足する。
- 安心できる保育者がそばにいることで不安が無くなり、好きな遊びを伸び伸びと楽しむ。
養護・環境構成/保育者の配慮
- 何かを伝えようとする様子が見られる時は、目と目を合わせて気持ちを汲み取ろうとする姿勢で関わる。
- 人見知りや不安な様子がある時は、できる限り同じ保育者が関わるように配慮し、安心感を与えられるようにする。
養護のねらい③の具体的な月案
ねらい
様々な食材に慣れ、意欲的に食事をする
養護・内容
- 様々な味や食感のものに慣れる。
(養護の場合…生命の保持)
(3つの視点の場合…健やかに伸び伸びと育つ) - 自ら食材を掴んだり、口に運んだりして、意欲的に食べる。
(養護の場合…生命の保持)
(3つの視点の場合…健やかに伸び伸びと育つ)
養護・予想される子どもの姿
- 見慣れない食材・メニューは食べようとしないことがある。
- 手づかみ・食具使用など、それぞれの発達に応じた食べ方で、自ら食べ物を口に運ぶ。
養護・環境構成/保育者の配慮
- 食材の名前や味・食感を伝え、興味や食べたい気持ちが湧くようにする。
- 食材を掴みやすい形状にしたり、口に詰め込み過ぎないよう少量ずつ小皿にのせるなどの配慮をする。
- 意欲的に食べる姿勢や、上手に口に運べたことをほめる声かけをし、自信へと繋げていく。
教育のねらい①の具体的な月案
ねらい
保育者と簡単な言葉・喃語・仕草でのやり取りを楽しむ
教育・内容
- 保育者とのやり取りの中で、声を出すこと・話すことの楽しさを味わう。
(5領域の場合…人間関係・言葉・表現)
(3つの視点の場合…身近な人と気持ちが通じ合う) - 同じ言葉・喃語を保育者と話したり、同じ仕草をしたりすることで、気持ちの繋がりを感じる。
(5領域の場合…人間関係・言葉・表現)
(3つの視点の場合…身近な人と気持ちが通じ合う)
教育・予想される子どもの姿
- 遊びの中で、様々な声を出しながら保育者と一緒に話す楽しさを共有する。
- 保育者の真似をしたり、保育者に真似をされたりすることを楽しむ。
教育・環境構成/保育者の配慮
- ゆったりとコミュニケーションがとれるよう、子どもと保育者が1対1で関わる時間を作る。
- 子どもの発した言葉に耳を傾け、一つ一つ丁寧にこたえていく。
- 「いないいないばぁ」など子どもが真似しやすい遊びを一緒に楽しむ。
教育のねらい②の具体的な月案
ねらい
全身を使った運動遊びを楽しむ
教育・内容
- 全身を使って遊び、身体を動かすことの楽しさを知る。
(5領域の場合…健康・表現)
(3つの視点の場合…健やかに伸び伸びと育つ) - 音楽を聴いて体をゆすったり、リズムを刻んで楽しむ。
(5領域の場合…健康・環境・表現)
(3つの視点の場合…身近なものと関わり感性が育つ)
教育・予想される子どもの姿
- 行動範囲が広がり、ハイハイ・つかまり立ち・伝い歩き・歩行などそれぞれの方法で、登ったりくぐったり、全身を使った運動遊びをする。
- 好きな曲や知っている曲が流れると、嬉しそうに体を動かす。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 遊ぶために十分な、広々としたスペースを確保し、転倒によるけがをしないよう、保育者がそばで注意深く見守る。
- マットや大型ブロックなどを使い、ハイハイや上り下りを楽しめる山やトンネルを作る。
教育のねらい③の具体的な月案
ねらい
好きな遊びを見つけて、じっくりと楽しむ
教育・内容
- 身近にある玩具・素材に興味を持ち、自ら触れて遊ぼうとする。
(5領域の場合…環境・表現)
(3つの視点の場合…身近なものと関わり感性が育つ) - 好きな遊びを満足いくまでじっくりと楽しむ。
(5領域の場合…環境・表現)
(3つの視点の場合…身近なものと関わり感性が育つ)
教育・予想される子どもの姿
- 仰向け・腹ばい・座位・立位など様々な姿勢で好きな遊びを楽しむ。
- 玩具を手に取り、触れたり口にもっていったりして感触を確かめながらじっくり遊ぶ。
教育・環境構成/保育者の配慮
- 一人一人の好きな玩具や素材を把握し、用意しておく。
- それぞれの成長に合わせ、子どもが手に取りやすい位置に玩具を配置する。
- 玩具を口にもっていくことがあるため、使用後の玩具は消毒・乾燥を行い、清潔を保つ。
教育のねらい④の具体的な月案
ねらい
戸外で秋の自然に触れて遊ぶ
教育・内容
- 秋の自然に触れて遊ぶことを楽しむ。
(5領域の場合…環境・表現)
(3つの視点の場合…身近なものと関わり感性が育つ) - 戸外にある様々なものに興味を持つ。
(5領域の場合…環境)
(3つの視点の場合…身近なものと関わり感性が育つ)
教育・予想される子どもの姿
- 秋の植物・生き物など自然物をじっと見たり、触れてみて感触を楽しむ。(身近なものと関わり感性が育つ)
- 戸外の心地よい秋の風を感じたり、景色を楽しみながら散歩する。(身近なものと関わり感性が育つ)
教育・環境構成/保育者の配慮
- 座位や腹ばいの子どもも自然物に触れながら戸外で遊べるよう、レジャーシートを用意する。
- 散歩中の景色を眺めながら「きれいだね」「気持ちがいいね」など保育者が感じたことを言葉にして伝えたり、指差しで示しながら、子どもが興味を持てるように関わっていく。
行事・遊び・食育・職員との連携・家族や地域との連携・自己評価の月案例
今月の行事
- お月見(十五夜)
- 敬老の日
- 運動会
- 防災の日
- 救急の日
今月の遊び
- 秋の自然を見つける戸外遊び・散歩
- 木の実・落ち葉など秋の物に触れる遊び
- 秋の歌を聴く・歌う
- お月見の製作
- 敬老の日の製作
- 運動会に向けた身体全体を使った運動・リズム遊び
食育
- 様々な食材・味・食感に慣れ、お腹が満たされる量を意欲的に食べる。
- 食具に興味を持ち、使ってみようとする。
職員との連携
- 一人一人の体調について申し送りをしっかり行い、職員全体での情報の共有・把握に努める。
- 後追い・人見知りには、子どもが安心感を持てるように、できる限り同じ保育者が関われるよう、職員間で話し合い配置を決めておく。
- 運動遊びでは、転倒や衝突の危険がないよう、子どもの動きに合わせて保育者同士が常に声を掛け合い、見守りをする。
家庭や地域との連携
- 疲れによる不調や病気を見逃さずに対応できるよう、朝の受け入れ時や降園時に家庭と園、それぞれの子どもの様子を密に伝え合い、健康状態を互いに把握しておく。
- 暑い日に備え、多めの着替え・調節のしやすい衣服・シャワー用のタオルを持参してもらう。
- 運動会に向けて、早めにお知らせを配り、参加を呼び掛けたり、内容についてわかりやすく説明する。
自己評価
- 残暑が厳しく汗をかいた時には、こまめな水分補給を行い、着替え・シャワーをしたため快適に過ごせた。
- 着替え・食事・午睡前など生活の中で慌ただしくなる時間帯は、保育者同士声を掛け合い、状況に応じた役割分担・確認し合うことで、流れをスムーズにすることができた。
- 子どもの体調を保育者同士で細かく伝え合ったため、小さな体調の変化にも気付くことができた。
- できる限り同じ保育者が関わりを持つことにより、安心して過ごす様子が見られた。
- 食べ物を握りやすく口に運びやすい形状にしたり、小皿へ少量よそって提供することで、自分から手を伸ばして食べる姿が増えた。
- 運動遊びでは、高月齢・低月齢で場所を分けて行うことで安全に楽しむことができた。
■0歳児(低月齢)9月の月案
■0歳児(中月齢)9月の月案
■0歳児(高月齢)9月の月案
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