保育士不足が深刻化する地域を中心に注目されている「地域限定保育士」をご存じですか?
2025年に制度が法制化され、特定の地域で保育士と同じ業務ができる新しい資格として整備されました。
とはいえ、「保育士と何が違うの?」「働き方の幅は広がるの?」と疑問を感じる人も多いはず。
今回は地域限定保育士制度の概要から取得の流れ、メリット・デメリット、実際に働く保育士の声を元に、
保育士経験者の視点でわかりやすく解説します。
- 地域限定保育士制度は、特定の地域でのみ働ける資格
- 実技試験は27時間以上の指定講習で免除される場合も
- 合格のチャンスが増える一方で、働く地域が3年間限定される点はデメリット
- 給与は通常の保育士と大きく変わらず、将来的には全国資格へ切り替えも可能
まふゆ先生保育士を目指している人はチェックしてみてくださいね


地域限定保育士制度とは?
地域限定保育士制度とは、保育士不足が特に深刻な地域に限り、保育士と同様の業務を行える資格を設ける制度です。
通常の保育士資格と違い、登録した自治体内のみで勤務できる点が特徴で、一定期間働くと全国で働ける保育士資格への切り替えが可能になります。
制度が生まれた背景
保育士不足という言葉をよく耳にしますが、地域によって保育士不足の度合いに差があり、採用が難しい自治体では待機児童の解消や保育の質の確保が課題となっていました。
そこで2015年度から一部の地域で先行実施され、2025年10月に制度として全国化に。
通常の試験では人材確保が追いつかない地域が、独自科目の追加や試験実施回数の調整など地域の実情に合わせた採用を行えるようになり、
保育現場の人材確保を強力に後押しする仕組みとして位置づけられています。
地域限定保育士として働くまでの流れ
働くまでの流れとしては、地域限定保育士制度を導入している自治体の試験案内を確認し、筆記試験に申し込みます。
筆記試験に合格すると、実技試験を受けるか、自治体指定の27時間以上の実技講習を修了して免除を受けるかを選択できます。
すべての要件をクリアすると「地域限定保育士」として自治体に登録され、その地域内の保育施設で働くことが可能になります。
登録後は、3年間その地域で勤務することが必要です。
- 認定された自治体で実施される「地域限定保育士試験」に申し込む
- 筆記試験(通常科目+必要に応じて独自科目)を受験
- 筆記試験合格後、実技試験を受験(地域により免除規定あり)
- 合格後、自治体へ「地域限定保育士」として登録
- 登録した自治体内の施設で勤務開始
- 3年以上経過+所定の勤務経験(1年・1440時間)で全国資格へ移行申請が可能
登録できないケースは?
登録できないケースには、『試験に合格していない場合』や『必要な書類が提出できない場合』などがあります。
特に、他自治体での登録を前提とした申請や、勤務経験の不備がある状態で全国資格への切替えを求めるケースは認められません。
また、登録後に一定期間勤務せず離職が続いている場合、資格の更新や切替えが遅れることもあります。
自治体ごとに細かな基準があるため、事前に確認しておくことが大切です。
- 試験に合格していない
- 必要な書類が提出できていない
- 他自治体での登録を前提とした申請
- 勤務経験の不備
保育士とは何が違う?
地域限定保育士と通常の保育士の大きな違いは働ける範囲です。
通常の保育士資格は全国の保育園などで勤務することができますが、地域限定保育士は登録した自治体内のみという制限があります。
また、自治体ごとに独自科目の設定や実技免除の講習制度など、試験内容にローカルな違いがある点も特徴です。
一方で、3年経過+一定の勤務経験を満たせば、通常の保育士資格へ切り替えられるため、まずは地元で働きながら将来的に活動範囲を広げたい人には適した制度と言えます。
地域限定保育士試験の概略
地域限定保育士試験は、保育士不足が特に深刻な自治体が独自に実施できる資格試験です。
通常の保育士試験と同等の筆記科目に加え、地域の保育ニーズに応じた独自科目を設けられる点が特徴です。
試験内容や実施回数は地域によって異なります。
受験資格
地域限定保育士の受験資格は、基本的に通常の保育士試験と同じです。
- 一般の4年制大学や短期大学、専門学校などを卒業している
- 高等学校や中学校を卒業し、児童福祉施設で2年以上2880時間勤務した経験がある
- 児童福祉施設で5年以上かつ7200時間以上勤務した経験がある
また、対象地域に居住していなくても受験可能で、他県からその地域で働きたい人にも門戸が開かれています。
試験内容
地域限定保育士試験は、通常の保育士試験と同じ9科目の筆記試験に加え、自治体が必要と判断した場合は独自科目が課されることがあります。
筆記試験にすべて合格した後に実技試験が行われますが、27時間以上の指定講習を修了することで実技が免除される場合もあります。
実施される時期
実施時期は自治体ごとに異なり、全国一斉には実施されていません。
多くは年に1回程度の実施を予定しており、試験日程や申込期間は各自治体が公表します。
通常の保育士試験と異なり、地域が必要とするタイミングで柔軟に設定される点が特徴で、通常の保育士試験と地域現地保育士試験を両方受講するという方もいます。
受験料
地域限定保育士試験の受験料は、自治体ごとに設定されるため一律ではありません。
全国の保育士国家試験より安く設定される自治体もあれば、ほぼ同額となる場合もあります。
また、筆記と実技で費用が分かれていることが多く、講習による実技免除を選ぶ場合は別途受講料が必要になることもあります。
実施される自治体
地域限定保育士制度はもともと国家戦略特区で先行導入され、神奈川県・大阪府・沖縄県・千葉県成田市・仙台市などが実施してきました。
2025年10月に制度が一般化され、現在は三重県・滋賀県・大阪府・奈良県・岡山県・福岡県が実施方法書の認定を受けています。
ただし、導入は各自治体の判断に委ねられるため、全国一斉ではなく段階的に拡大する見込みで、
例えば滋賀県は令和7年度の導入を予定していましたが、準備不足により見送りとなり、導入時期は未定となっています。
最新情報はこども家庭庁や各自治体の発表を随時確認する必要があります。。
科目の免除
地域限定保育士試験では、筆記科目の免除制度は基本的に通常の保育士試験と同じ仕組みが適用され、過去に合格した科目は有効期間内であれば再受験が不要です。
また、実技試験については、自治体が指定する27時間以上の講習を修了した場合に限り、実技試験の全部を免除できる特例があります。
なお全国統一の保育士試験の科目と地域限定保育士試験の科目合格制度は「同一の試験区分内」でのみ有効のため、別制度の試験(全国試験と地域限定試験)は互換されないという位置付けになっています。
地域限定保育士試験を受けるメリットとデメリット
地域限定保育士試験は、保育士不足が深刻な地域で人材を確保するために設けられた制度です。
通常の保育士国家試験とは別に受験できるため、資格取得のチャンスが広がるという良さがあります。
その一方で、地域限定ならではの制限もあり、制度への理解が重要です。
メリット①合格できるチャンスが増える
地域限定保育士試験を受ける最大のメリットは、資格取得のチャンスが広がることです。
通常の保育士国家試験とは別枠で実施されるため、年に複数回受験できることになります。
また、自治体が実情に合わせて独自科目を設定する場合もあり、地域に求められる人材像に沿った内容となるため、試験難易度が適正化されやすい点も特徴です。
「働きたい地域が決まっている」「一度で全科目を取りきる自信がない」という人にとって、受験方法の選択肢が増えることは大きなメリットといえます。
メリット②実技試験を受けずに済む場合がある
地域限定保育士試験では、自治体が指定する27時間以上の実技講習を修了することで、実技試験が免除される特例があります。
全国の保育士試験では必ず実技試験を受ける必要がありますが、地域限定制度では「講習で実技能力を確認する」という別ルートが用意されているため、緊張しやすい人や本番形式が苦手な人には大きな利点です。
講習は実践的内容が多く、その後の現場で役立つスキルを身につけられる点でもメリットといえます。
地域限定保育士の実技講習とは?
地域限定保育士制度の実技講習は、自治体が指定する実技試験の代替措置として行われます。
保育の基礎技術を27時間以上かけて学び、講師による評価を受けることで実技試験免除の対象となります。
- 子どもとの関わり方、保育観察
- 身体表現・音楽表現の基礎
- 乳幼児の安全確保や発達理解
- 模擬保育を通じた実践力評価
実技試験を受けない代わりに、保育士として身に付けておくべき表現の技術や実践力を養います。
【保育実技講習会(地域限定保育士試験)】(所要日数:5日間)
「音楽表現」「造形表現」「言語表現」等の演習・講義、「保育実践見学実習(事前、事後指導含む)」
※「保育実践見学実習」は、保育所等での実習(1日間)を含みます。参照:大阪府 令和6年度「大阪府地域限定保育士試験」の実施について
デメリット①一部の自治体でしか対応していない
地域限定保育士制度は全国制度として整備されたものの、実際に試験を実施するかどうかは各自治体の判断に委ねられています。
そのため、試験が受けられる地域はまだ少なく、住んでいる地域や働きたい地域で導入されていない場合は受験できません。
また、導入予定であっても準備不足により見送りとなるケースもあり、制度の浸透には時間がかかるとみられます。
受験を検討する際は、こども家庭庁や自治体の発表をこまめに確認する必要があります。
デメリット②登録後3年間は働く場所が限定される
地域限定保育士は、資格登録をした自治体でのみ働くことができ、登録後3年間はその地域外で保育士として働くことはできません。
家庭の事情で引っ越しが必要になった場合や、働きたい園が他県にある場合には不利になる可能性があります。
この制約は、3年以上勤務し、かつ1年以上(1440時間)の勤務経験を積むことで解除され、全国資格への切り替えが可能です。
しかし、切り替えが可能になるまで一定期間の拘束がある点は、デメリットとして理解しておく必要があります。
地域限定保育士の給料は?
地域限定保育士の給料は、基本的に通常の保育士と大きく変わりません。
給与は自治体や勤務する施設の規模、処遇改善加算の有無によって決まるため、「地域限定だから安い」という仕組みにはなっていません。
保育士不足が深刻な地域では、人材確保のために手当や家賃補助を手厚くしている自治体もあります。
また、通常の保育士資格へ切り替えた後も給与体系が変わらず働けるため、キャリアや収入面での不利益はほとんどないと考えられます。
【独自アンケート】地域限定保育士を選んだ理由は?
地域限定保育士制度はまだ新しい仕組みですが、導入地域では受験者から一定の関心を集めています。
今回、地域限定保育士を実際に取得して働いている方に独自アンケートを実施し、「なぜこの制度を選んだのか」を調査しました。
サンディさん/32歳/保育士歴3年
子どもの頃から保育士になるのが夢でしたが、一発勝負の筆記試験に強い苦手意識がありました。
何度か挑戦しても暗記科目の壁を越えられず、資格取得を諦めかけていたところ、この制度を知りました。
住んでいる地域では、筆記試験合格後も実技試験まで有効期間が延長されるため、心に余裕を持って得意な実技試験に集中できました。
メリットは、やはり筆記試験のハードルが下がったことです。
苦手な科目にじっくり取り組めたおかげで、無事に合格を掴むことができました。



筆記試験に苦手意識がある方にとっては地域限定保育士はとても魅力的な制度!
有効期間については自治体によって差があるため確認してみて下さいね。
KKさん/43歳/保育士歴6年
地元で長く働きたいという気持ちが強かったからです。
通常よりも受験のハードルが少し低く、実際の保育現場での経験を積みながら資格取得を目指せる点にも魅力を感じました。
地元の子どもたちの成長を支えられる仕事に、より早く近づけると感じたことが大きな理由です。
メリットは、試験範囲が一般よりも狭く、勉強の負担が少なかった点です。
そのおかげで子育てと両立しながら無理なく資格取得を目指せました。



地元で長く働きたいという人にとっては、地域限定保育士資格にデメリットはほとんどないかと思います。
子育ての経験を生かして頑張ってください!
ahiさん/25歳/保育士歴5年
地域で県外には出たくない人には、オススメなのかなと思います。
この制度を使うことで、保育の人手不足が解消されるという所がメリットではないのかなと思う。
デメリットとしては、3年間は同じ場所に勤務をするということ。
違う保育園や場所に移動したい、県外に行きたいとなっても移動することができないことがデメリットではあるのかなと思う。
この制度があり、県外に出ることは無いよって思う人は地域限定保育士の制度を使ってもいいのではないのかなと思います。



地域によって処遇改善の加算が違うことがあるので、お給料は気になるところ。
自分が今後3年間どう働きたいかを明確にしておくのが良いですね。
まとめ
地域限定保育士制度は、保育士不足が深刻な地域で働きたい人にとって、新たな選択肢となる資格です。
試験方式の柔軟さや実技免除などのメリットがある一方、働く地域が限定されるなどの注意点もあります。
制度の特徴を理解し、自分の働き方に合った資格取得を目指してくださいね。








