保育園の実習では、保育の一部分を担当する部分実習や、一日主として保育をする責任実習があります。
今回は、部分実習を行うために、年齢に合わせた活動の例や指導案の書き方・気を付けるポイントについて解説していきます。
子どもの前で指導するとなると「何をしたらいいかわからない」「指導案はどうやって書けばいいんだろう」と不安に思う実習生がたくさんいると思います。
ぜひ指導案の作成に活かしてくださいね。
- 年齢別の部分実習で行う活動例を紹介
- 部分実習に必要な指導案を作成する流れ
- 部分実習指導案の具体的な書き方
- 先輩保育士の部分実習の体験談
- 部分実習や部分実習指導案を作成するときの注意点
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自分が主になって保育ができるのかと不安を感じる人が多いと思います。しかし、しっかり計画や準備をすれば子どもたちと部分実習を楽しむことができます。最後まで読んでポイントを押さえてくださいね。
部分実習とは?
部分実習とは、保育実習を行う学生が、担任の代わりに部分的に時間を設けて保育を行うことです。
担任保育士は補佐として立ち回ることが多く、保育を進めるのは学生自身です。
時間や内容は実習する園によって変わります。
「制作」とお題が決められることもあれば、「帰りの時間」と時間だけを伝えられることもあります。
実習を行うにあたり、子どもたちの年齢や発達状況、雰囲気に合わせた計画を立てる必要があるでしょう。
【年齢別】部分実習で行う活動例
初めての部分実習ですと、どんな活動行えばいいのか悩んでしまいがちですよね。
年齢はいくつなのかによってできることが変わります。
年齢や人数などの基本的な情報を知るようにしましょう。
そして、子どもたちと「何をして遊んでみたいか」を考えてみると計画しやすくなります。
年齢別におすすめの遊びや活動をご紹介します。
年齢 | 部分実習でおすすめの活動例 |
---|---|
0歳児向け | ・手遊びを使ったふれあい遊び ・短めの絵本の読み聞かせ ・タオルを使った遊び ・楽器を使った歌遊び |
1歳児向け | ・エプロンシアター ・風船遊び ・まねっこゲーム ・フラフープを使ったゲーム |
2歳児向け | ・しっぽ取りゲーム ・野菜スタンプ ・的当てゲーム ・ペープサート |
3歳児向け | ・紙芝居 ・爆弾ゲーム ・体操、ダンス ・新聞遊び |
4歳児向け | ・フルーツバスケット ・伝言ゲーム ・折り紙 ・作って遊べる制作 |
5歳児向け | ・じゃんけん列車 ・椅子取りゲーム ・ハンカチ落とし ・ドッヂボール |
年齢別に部分実習で行う活動例を見てみると、0歳児は大人が主体となって動く活動が多くなります。
年齢が上がるにつれ難易度が上がり、個人で行う活動よりも集団での遊びができるようになっていきます。
手遊びや絵本はどの学年でも行えますね。
4歳児、5歳児頃になるとルールが理解できるようになり、ゲーム遊びもおすすめです。
また、同じ学年でも歩ける子もいれば、ハイハイ期の子がいるなど月齢に差があることもあります。
実習する時期が年度初めなのか年度末なのかによってもできることが変わるでしょう。
それぞれの発達に合わせた活動を選ぶことが重要なポイントです。
さらに、与えられた時間や場所で行える活動なのかを考えることも必要です。
部分実習で必要な指導案を作成する流れ
部分実習で必要な指導案を作成する流れを理解します。
まずは、事前に実習する園やクラスの情報収集をすることが大切です。
そして、担当保育士とコミュニケーションを取り、情報は合っているのか、計画の方向性は間違っていないかを確認してから実際に指導案の作成に入ります。
手順を踏んで、指導案を作っていきましょう。
①保育園の決まりや規則・指導方針を確認する
指導案の作成前に、実習を行う園の方針や決まりを確認することが大切でしょう。
普段から子どもたちは、園のルールに沿って過ごしています。
- ジャングルジムは保育士がいる時だけ
- すのこは土足禁止
- ぶらんこは立ち乗り禁止 等
決まりがあることで子どもたちが、安全に活動できているのです。
急にやり方を変えると子どもも混乱し、実習どころではなくなってしまうことも考えられます。
事前に確認しておくと指導案に入れることができます。
②担当するクラスや子どもたちの様子を確認する
担当するクラスや子どもたちの様子を確認しましょう。
年齢によってできることが違ったり、ゲームをする場合は人数でできる遊びが変わったりします。
- 年齢
- 人数
- 発達状況
- クラスの雰囲気(活発、大人しいなど)
- 配慮が必要な子はいるのか
- 子ども同士の関係性
事前に知っておくことで、活動や環境設定を計画しやすくなるでしょう。
配慮が必要な子どもの情報も先に聞いておくと、活動中にスムーズにサポートすることができます。
③指導案を作成する
必要な情報を聞いたら、実際に指導案を作成します。
担当するクラスの状況や雰囲気に合わせ、子どもたちはどんな活動が必要なのか楽しめるのかを考えます。
外で活動したい時には、雨が降った時の計画も必要です。
園によっては、保育士によって立てられている「月案・週案・日案」に沿って作成するように指示される場合があります。
大まかな計画が決まっているのであれば、指導案を作成する前に担当保育士に相談してみましょう。
④担当保育士に指導案を確認してもらい修正・再考する
作成できたら、担当保育士に指導案を確認してもらい修正・再考します。
日々の保育がある中で見てもらうので、部分実習の一週間前には出すようにしましょう。
ほとんどの場合、一度でOKをもらえることは少なく、修正しなければいけないので余裕を持って早く提出するといいですよ。
目を通してもらい、アドバイスを受けた箇所を修正します。
不安もあると思うので、意図が汲み取れているのかその都度保育士に確認を取ると安心です。
⑤副案(代替案)を作成する
副案(代替案)を作成しておきしょう。
天候や子どもの状況などによって、急遽内容を変更しなければいけないこともあります。
例えば、外の活動は雨天の活動を考えておく必要があり、保育の流れによっては予定よりも短い時間しか確保できない等のハプニングが考えられます。
急な変更にも柔軟に対処できるよう副案を計画しておきましょう。
計画の仕方は、本案と同じように担当保育士と内容を相談しながら決めます。
部分実習指導案の具体的な書き方
実習を行う園やクラスの情報収集ができたら、部分実習指導案の具体的な書き方をもとに、実際に作成していきます。
軸となるねらいを決め、活動内容とあっているのか確認しながら書いていきましょう。
また、予想される環境や子どもの動き、保育士の配慮は思いつく限りすべて記載していくことが重要なポイントです。
①ねらい
まずは活動のねらいを決めましょう。
ねらいが定まらないと、何をするのか、準備するものはあるかなど計画が進みません。
- 集団遊びを楽しむ
- 絵本を通じて想像する力を養う
- 指先の感覚を養う 等
子どもに活動を通して何を経験してほしいのかを考えると、自然とねらいが見えてきます。
同じ新聞遊びでも、思いきり遊ぶことを重視するのか、指先を使って細かな作業をするのかでねらいは変わりますよね。
指導案においてねらいは核になり重要です。
②部分実習で行う活動内容
部分実習で行う活動内容は、指導案の一番重要なポイントです。
どんな遊びで必要な道具はあるのか、ルールや注意点はあるのかを細かく書きます。
だいたいわかるだろうと省略してまいがちですが、活動の内容を具体的に書き、誰が見てもどの保育士でも実習できるような指導案を立てるといいですよ。
もう1点、時間配分を決めておきましょう。
準備や移動の時間、メインの活動時間の確保を予想しておくと当日スムーズに動くことができます。
③環境構成
環境構成とは、保育を行う環境を想定し計画したものを具体的に指導案に書き起こします。
- 保育室内の設備(机や椅子など)
- 子どもの位置
- 準備する教材、材料
- 使う道具の置き場 等
物の位置も重要ですが、子どもが集中できるようにするために、実習生の立つ場所やカーテンは閉めるのか開けておくのかといった細かい点も考えておきます。
安全に行うためにも、実習生や子どもの動きを想像すると、計画しやすくなりますよ。
④予想される子どもの様子・姿
予想される子どもの様子・姿を指導案に記載します。
子どもの反応や言動を予想しておくと、実習生はどんな対応をするべきか事前に計画することができます。
当日慌てずに部分実習をスムーズに行うことができるでしょう。
例えば、活動の導入で子どもが興味を示し、盛り上がった時には「早くやりたい」と言い、反対に「やりたくない」という消極的な子もいるかもしれません。
普段の生活の様子を参考にすると想像しやすいですよ。
⑤実習生(保育士)が行う援助
実習生(保育士)が行う援助を細かく考えることも、スムーズな実習を行うために必要です。
円滑に進めるための動きも重要ですが、子どもの興味を引くための声掛けや配慮を考えておきましょう。
全員が活動に積極的とは限らないのです。
参加を拒否したり、上手くできず泣き出すというハプニングがあるかもしません。
反対に、興奮し過ぎて収拾がつかなくなってしまうこともあります。
色々な状況に対応するために計画しておきましょう。
先輩保育士さんに聞く!部分実習の体験談を教えてください
私が初めて行った部分実習は、5歳児クラスで新聞遊びを行いました。
人数は約15人で、時間は午前中の1時間ほどでした。
子どもの前に立つと、緊張でドキドキした思い出があります。
指導案の作成した時に注意したことや、実際に部分実習を行ってみて感じたことをお伝えしますので、ぜひ指導案作成の参考にしてくださいね。
指導案作成時に注意したこと
私が指導案作成時に注意したことは、2つあります。
- 提出期限を守る
- 子どもたちの様子を観察する
担当保育士は業務の合間で、指導案を確認してくれるので、期限に余裕を持って提出することを心掛けました。
事前に相談に乗ってもらえるので、早く出すことで修正することができますし、担当保育士の負担を減らせると考えたためです。
一緒に部分実習を行う子どもたちのことを知っておくと、動きを想像しやすく、指導案も書きやすかったです。
作成した指導案をもとに部分実習を行ったときの感想
部分実習は、担当保育士や園長・主任が見ていてとても緊張しました。
5歳児クラスで新聞遊びを行い、楽しんでくれたことを覚えています。
しかし、指導案で計画していた通りにいかず、時間が余ってしまい早めに切り上げました。
理由として、
- 導入が短すぎた
- 遊びのレパートリーが少ない
- 5歳児には簡単すぎた
- ちぎって雪にすると興奮して危なかった
時間が足りない時、余った時両方のパターンを考えておくべきだったと反省しています。
部分実習を行うときのアドバイス
部分実習を行う際は、小さなことも指導案に記載しておくと、慌てずに対応ができます。
書かなくてもわかるだろうと省略してまいがちですが、当日子どもの前に立つととても緊張します。
担当保育士に予想した反応が合っているのか、事前に確認しておくと安心ですよ。
実際に使用する場所や道具は、前もって下見しておくことも大切です。
部分実習が始まってから、わからなくて困っている様子を子どもたちに見せないようにしましょう。
部分実習や部分実習指導案を作成するときの注意点
部分実習や部分実習指導案を作成するときの注意点を解説していきます。
担当するクラスの年齢や発達状況に合わせた活動を考えることが重要です。
また、子どもたちは怪我をしたり喧嘩をしたりしないよう、決められたルールの中で生活しています。
事前に知っておくと基本の保育を崩さずに、部分実習に活かすことができます。
①子どもの年齢や発達に適した活動を考える
子どもの年齢や発達に適した活動を考えるようにしましょう。
難しくてできなかったり、簡単ですぐにできてしまったりする遊びは、やりがいがなく面白くなくなってしまいます。
体操・ダンスのようなルールがなく個人でやる活動は、乳児から取り組むことができますが、曲や振り付けを年齢によって変えた方が楽しめます。
年齢や発達に合わせて、担当するクラスのどの子供も楽しめるものを考えると楽しい部分実習を計画できますよ。
②行う活動についてのルールや決まりがないか確認する
行う活動についてのルールや決まりがないか確認するようにしましょう。
遊びや制作の道具の使い方などは、園やクラスごとでルールがある場合があります。
- パズルは机の上のみ
- ハサミは保育士と行う
- 椅子は引きずらない 等
普段の生活で、子どもが安全に過ごすために、日々保育士が声掛けをしているルールがあることが多いでしょう。
園の道具を使う制作や運動遊びをする時には、特に詳しく決まりを確認しておくと安心です。
③時間を測りならがら保育内容をシミュレーションする
時間を測りならがら保育内容をシミュレーションしておくと、当日スムーズに実習を行えます。
「列に並ぶ」という単純な動きでも、大人と子どもでは時間の掛かり方が違います。
立って椅子をしまう動作があったり、外に出て並ぶのであれば、靴を履く時間が必要でしょう。
頭の中で想像しただけではわからないことが、実際に動くことで気付くことができます。
時間があまりすぎてしまうこともあるので、自分が動いてみることが大切です。
④部分実習後は振り返りを行う
部分実習後は振り返りを行いましょう。
念入りに計画・準備していたとしても、何が起こるかわからないため予定通りにいかないことが多いです。
慣れていない実習生は、保育を進めることで精一杯になることが普通です。
実際にやってみると子どもによって反応が違うので、子どもの対応ができなかったり、足りない準備に気付くことがあるでしょう。
見守っていた担当保育士と一緒に振り返ると、アドバイスをもらうことができますよ。
まとめ
今回は、保育園で部分実習を行うために、活動の決め方や指導案の書き方・ポイントを解説しました。
活動は年齢などに合わせるだけでなく、実習を行う園やクラスの方針やルールに沿って計画することが重要です。
普段と違うやり方をすると子どもが混乱するきっかけになり、怪我に繋がる可能性があります。
環境や子どもの反応などの予想される事柄はすべて記載しておくと、当日子どもと楽しく過ごせる計画を立てることができますよ。
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