「愛着形成」が、子どもの発達において重要であることは、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
しかし、実際に「愛着」とはどのようなことなのか、どんなことをすればいいのかわかっていないという人もいるでしょう。
今回は、愛着形成の意味や影響、発達段階別の表れなど、おすすめの遊びについて解説します。
子どもとかかわる際にいい関係を作るため、ぜひ解説を参考にしてくださいね。
- 愛着形成とは身近な大人と心の絆を育むプロセス
- 愛着は人格への影響が大きく自己肯定感に繋がっている
- 保育士は生活や遊びの中で寄り添うことで愛着関係ができる
- 遊びを積極的に取り入れることで子どもは安心感を得られる

幼少期の身近な大人とのやり取りは、心に残っていることも多いですよね。それだけ子どもの中では、信頼できる大人がいるかは重要なポイントです。保育士は、両親や家族の次に長く過ごす存在ですので、愛着について理解しておきましょう。


Yama 幼稚園教諭ライター
幼稚園教諭歴10年、保育士資格有。体を動かすことが好きで、一緒に走り回って遊んでいました。現在は2児の母をしながら、子育てと保育の経験を活かしてWebライターをしています。
愛着形成の基本的な意味
愛着形成とは、子どもが特定の人と社会的なやり取りを通して、心の絆を築くプロセスのことです。
両親や周囲の大人に働きかけ、それに応えてもらうことで信頼していき、繰り返していくことにより、信頼関係が形成されて、子どもは精神的に安心できるようになっていくでしょう。
これは、身近な大人に限ることではなく、頻繁にやり取りをする人と関係が作られることで気持ちの安定に繋がります。
愛着は「アタッチメント」とも呼ばれ、後の人間関係にも影響を与えます。
愛着形成が子どもに与える影響
愛着形成は、子どもの心の成長と発達を支えるために大切です。
子どもの人格がつくられる上で影響が大きく、しっかりと形成されると、自信を持って新たな挑戦をしたり、感情を上手にコントロールしたりします。
反対に、不十分だと消極的になったり、暴力的になったりします。
影響を理解することも、愛着関係をつくるためには重要です。
愛着がしっかり形成された場合の子どもへの影響
- 新しい環境や状況にも意欲的に取り組める
- 人見知りや後追いなどの行動をする
- 両親や養育者がいなくても安心感を維持できるようになる
- 感情を上手にコントロールできるようになる
愛着がしっかり形成された子どもは、新しいことにも前向きに取り組むことができます。
また、知らない人には警戒しつつも、両親や養育者には愛情を示す行動を見せるようになります。
成長とともに、大人がいなくても過ごせるようになってきて自立してくるでしょう。
感情を上手にコントロールできるようになり、自分の行動を様々な状況に合わせられるようになってきます。
愛着が形成されることで、自己肯定感が高まり、自信につながります。
愛着形成が不十分だった場合「愛着障害」となる
- 人に対して警戒心が強くなったり怖がったりする
- 無表情で感情表現が苦手
- 感情のコントロールが難しく、自傷行為や暴力的な行動をする
- 落ち着きがなくなる
愛着形成が不十分な子どもは、人との関わりが難しいと感じることがあります。
両親以外の大人に強い警戒心を持ったり、怖がったりすることが増えます。
また、感情表現が苦手な子が多く、無表情になり人とのコミュニケーションが取りにくいということもあるでしょう。
感情をコントロールできずに、ちょっとしたことで激しく怒ったり、泣いたりすることがあります。
感情を表す手段として、自分を傷つけたり、乱暴な行動を取ったりすることも少なくありません。
また、安定した関係が築けていないことによる不安が表れると、落ち着きがなく、物事に集中しにくくなります。
愛着形成が不十分な子どもたちは自己肯定感が低く、適切な愛着行動はしないことが多いでしょう。
愛着形成の段階について
愛着は、子どもの心を育むためのプロセスによって形成されます。
生まれてから3歳まで、子どもは両親や周囲の大人との絆を少しずつ深めていきます。
4つある過程は、子どもの心の成長や社会性を育てるための大切な基盤です。
愛着形成の各段階を知ることで、大人は子どもの成長をしっかりとサポートできるようになりますよ。
①生まれてから生後12週間
生まれてから生後12週間は、「定位」と「信号」の段階です。
定位とは、子どもが人の声や顔に反応し、注意を向けたり、追視したりする行動です。
まだ特定の相手の認識はないので差別なく、反応していることがほとんどでしょう。
信号とは、子どもが泣き声や表情、体の動きで自分の欲求を伝えようとする行動を指します。
2つの行動は、大人と子どもの愛着形成の基礎となり、安心感を得て、人との関わりを学んでいきます。
②生後12週間から生後6ヵ月
生後12週間から生後6ヵ月は、「定位」と「信号」の能力がさらにアップする時期です。
定位では、特に信頼している人を認識し、声や顔を見分けて反応するようになり、笑顔で応えることが増えます。
信号では、泣き声や表情、体の動きがより明確になり、自分の気持ちや欲求を大人に伝えることができるようになるでしょう。
また、大人の反応を予測し、期待することもあり、特定の相手との関係が深まる時期でもあります。
③生後6ヵ月から2~3歳
生後6ヵ月から2~3歳の子どもは、好きな人がはっきりし、両親を「安心できる場所」と認識して求める行動が増えます。
例えば、知らない人には警戒心を示す「人見知り」をしたり、親が離れると泣いたりする「分離不安」が見られたりすることもある時期ですね。
また、言葉や動きが発達するにつれて、自分の気持ちや欲求をより具体的に伝えることができるようになります。
泣いてる姿を見ると、不安になりますが、しっかりと愛着関係ができている証です。
④3歳以降
3歳を過ぎると、愛着形成はより深まり、安定していく時期です。
子どもは両親と築いた関係を基盤に、今までより活動範囲を広げて家族以外の人と関わりが出てきます。
言葉が上手になり、気持ちや欲求をより明確に伝えることができるようになるので、同じ年代の友達との関係が増え、社会的なスキルが育まれます。
両親から一時的に離れることも、少しずつ大丈夫になり、自立心が芽生えてくる時期でもありますよ。
両親が大切な存在であることは変わらず、困った時には親を頼ることで安心することを繰り返します。
保育士が子どもと愛着形成していくための方法
子どもと愛着形成をするために、保育士は「安心できる場所」になる必要があります。
子どもに安心感を与えるためには、信頼感が愛着に繋がっていくので、日頃からの態度や言葉が優しく、温かみのあるものであることが大切です。
普段のやり取りから意識できることばかりなので、すぐに取り入れて実践してみてください。
応答的な関わりを心がける
応答的な関わりとは、子どもの気持ちや行動に対して敏感に気付き、大人が丁寧に反応し、適切に反応することです。
具体的には、子どもが泣いたら優しく声をかけたり、抱っこしたりして安心感を与え寄り添います。
また、子どもが「これ見て!」と何かを指さした時には、しっかりと目を合わせて共感することが大切です。
保育士とやり取りを繰り返すことで、子どもは「自分の気持ちが伝わった」と感じ、安心感や自己肯定感が上がるだけでなく、コミュニケーション能力も向上します。
保育士が子どもにとっての安心できる場所になる
子どもにとっての安心できる場所となるためには、保育士はいつも優しい態度で接することが大切です。
子どもの気持ちを受け止め、共感することで信頼関係を築くことができます。
また、困った時や不安な時に、助けてくれる人、寄り添ってくれる人だと示すことも重要ですよ。
名前を呼び、目線を合わせて話しかけるなど、個別の関わりを大切にしましょう。
繰り返し伝えることで、子どもは保育士を「安心できる場所」と認識し、園でも新しいことに挑戦するようになります。
言葉がけを意識する
- 「あなたは大切な存在」と伝える
- 「嬉しいね」と共感する
- 「よく頑張ったね」と過程を評価する
子どもの気持ちに寄り添って、共感したり、行動の過程を褒めたりする言葉をかけることが大切です。
「あなたは大切な存在だよ」と伝えることで、子どもの自己肯定感が上がり、「嬉しいね」といった共感の言葉も、素直に受け止めることができるようになってきますよ。
また、「よく頑張ったね」と過程を評価する言葉は、子どもの努力を認め、自信に繋がります。
些細な言葉のやり取りから、子どもは自分のことを認めてもらえているか判断します。
スキンシップをとれる遊びを行う
優しいスキンシップを取り入れた遊びが、愛着形成にはとても大切です。
例えば、手遊びやふれあい遊びは、子どもが安心感を抱くだけでなく、楽しい時間を共有することで特別な絆を感じられます。
直接触れることで大人との関係を密に感じられ、子どもが心を開きやすくなり、笑顔が生まれるでしょう。
また、スキンシップを行うことで、情緒が安定し信頼感が増すので、コミュニケーション能力の向上など脳へのいい影響が出てきます。
元保育士がおすすめ!愛着形成を築くためにおすすめの遊び
遊びは、子どもの愛着が形成できる機会がたくさんあります。
手遊びやごっこ遊びの中でも、大人の態度や言葉がけによって、子どもの自己肯定感を向上させることに繋がります。
何気ない遊びでも、少し意識してかかわってみると子どもの反応が良くなるのでやってみてくださいね。
見てもらえているという自信がつき、喜ぶ姿が見られますよ。
①ふれあい遊び
対象年齢:0歳~2歳
歌やリズムに合わせて体を動かしながらスキンシップを取り、コミュニケーションを楽しむ遊びです。
例えば、「いないいないばあ」や「いっぽんばしこちょこちょ」などがありますね。
道具や準備がいらないので、いつでもどこでも日常的に楽しめます。
子どもの自己肯定感が高まり、他者とのコミュニケーション能力を育てる大切な活動です。
②手遊び
対象年齢:0歳~4歳
手遊びは、道具がいらないので、歌を歌えばいつでも遊ぶことができます。
具体的な例として、「あたまかたひざポン」や「トントントンひげじいさん」などの、歌と手の動きを組み合わせたものがたくさんあります。
脳が活性化されるので、言語能力の発達を促します。また、手先の動かし方の練習にもなり、器用さが向上するというメリットがありますよ。
③絵本の読み聞かせ
対象年齢:0歳~5歳
同じ物語を共有すると、共感し合うことができます。
読み終わった後に、コミュニケーションを取ると、想像力や言語能力が育まれて子どもの脳と心の発達が促されますよ。
子どもの反応を否定せずに、尊重することを大切にしましょう。
子どもの気付きを褒めることで、大人が同じ気持ちでいてくれているということを知るきっかけにもなります。
④ごっこ遊び
対象年齢:1歳~5歳
ごっこ遊びは、子どもが様々な役を演じる想像遊びで、大人の行動を真似したり、物語の登場人物になりきったりして楽しみます。
特に信頼関係ができている大人の真似をすることが多いですよ。
一緒にごっこ遊びをすると、やり取りの中で共感したり、してもらえたりする経験ができます。
自分の言葉を受け止めてもらえているという自信にも繋がります。
⑤運動遊び
対象年齢:4歳~5歳
大人と子どもが一緒に体を動かして遊ぶと、褒める機会が増えます。
特に、子ども自身も達成感のある「鉄棒」や「縄跳び」など練習することで上手くなるような遊びは、言葉がけが増えて、見てもらえているという安心感に繋がります。
注意したいのは、色々とアドバイスしたくなることですが、子どもの「できた」という気持ちを潰さないように、意思を尊重することです。
過程を褒めるとより、子どもの気持ちに寄り添うことができますよ。
まとめ
今回は、愛着形成の意味や影響、発達段階別の表れなど、おすすめの遊びについて解説しました。
愛着形成は、身近な大人と心の絆を育むプロセスで、人格が形成への影響が大きいです。
しっかり形成された子どもは、情緒が安定していて、明るく積極的な態度を取るようになります。
保育士は、応答的かかわりやスキンシップを意識的に多くすることで、安心できる存在だと子どもに認識してもらえるようになりますよ。
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