保育士として子どもたちのお昼寝をスムーズに進めたいと思う一方で、「寝かしつけを嫌がられて困る」「どんなことをしても寝ない!」などの悩みを抱えていませんか?
本記事では、子どもが寝かしつけを嫌がる理由や、その対処法と実際の体験談を詳しく解説します。
また、保育士が現場で活用できる具体的なコツやアイデアもシェアします。
子どもの気持ちを理解し、より良いお昼寝タイムを作るためのヒントにしてくださいね。
- お昼寝は子どもの成長、発達に必要
- 寝かしつけを嫌がる理由はさまざまある
- 寝かしつけのポイントは4つ
- 「お昼寝は毎日必ずしなければいけない」は思い込み
お昼寝の重要性と目的
お昼寝は、子どもの健康や成長に欠かせない大切な時間です。
保育園では、朝早くから預けられている子どもたちもいるので、お昼寝の時間に身体を休めることはとても大事な意味を持ちます。
通常保育時間に登園する子どもたちにとっても、お昼寝をすることで午前中に思い切り遊んだ体力を回復し、脳の発達や記憶の定着にも役立つと言われています。
しっかりお昼寝ができることで、午後からの活動も全力で取り組むことができ、保護者も安心して保育園にお迎えに行くことができるのです。
子どもがお昼寝や保育士の寝かしつけを嫌がる理由
お昼寝を嫌がる子どもには、さまざまな理由があります。
いつもお昼寝を嫌がる子もいれば、たまに嫌がる子、突発的に嫌がる子など、子どもたちの背景によって考えられる要因はたくさんあり、どう対応したらいいか迷うこともあるかと思います。
次の章で、代表的な理由と考えられる原因と対策について解説していきます。
寂しい・不安
子どもが親の安心感を求めている場合、寂しさや不安が原因でお昼寝を嫌がることがあります。
特に保育園に入園して間もない時期では、子どもにとって慣れない環境なので眠りにくくなってしまいます。
- そばで優しく背中をトントンする
- 心地よい声で名前を呼びながら「大丈夫だよ」と話しかける
保育園が安心できる場所であること、保育士もまた安心できる大人であることを言葉と態度で示し、子どもにとっての安心できる存在になることが大切です。
子どもの気持ちに寄り添うことで、不安が和らぎ、安心して眠りにつくことができるでしょう。
体調が良くない
子どもが眠りを嫌がるとき、体調不良が原因になっている場合があります。
微熱、鼻づまり、咳、胃の不快感など、軽い体調不良でも小さな子どもにとっては眠りを妨げる要因となります。
特に、鼻づまりや咳は呼吸がしにくくなるので苦しくて眠れないこともあるようです。
- 額に手を当てて熱を測る
- 鼻水や咳などの症状をチェック
体調が悪そうな場合は、無理に寝かそうとせず、保護者や園の方針に従い適切に対応しましょう。
嫌なことや悲しいことがあった
子どもも朝の出来事や他の子とのトラブルが気持ちを引きずることもあります。
激しく怒っていたり、落ち込んでいたり、感情が乱れているときには、すぐにお昼寝モードに切り替えるのは難しいものです。
- 子どもの気持ちを聞いて共感する
- 「また午後に楽しいことをしようね」と前向きな声かけをする
一旦お昼寝を中断して、落ち着いた環境で保育士と話す時間を取ると、子どもの不安定に高ぶっている感情の整理ができるでしょう。
心が穏やかになると、自然と眠りにつけるようになります。
環境が適していない
暑すぎたり寒すぎたり、光や音が気になる環境では、子どもはリラックスできず眠れません。
お昼寝に適切な環境になっているか今一度チェックしてくださいね。
- 室温を調整する
- 電気の明るさを落とす
- 照明を暗めにして、静かな音楽を流す
適切な環境を整えることで、子どもたちはリラックスできて安心して眠ることができます。
また子どもの中には、暗い環境が苦手な場合もあるので、子どもたちの様子を注意深く見ながら環境を調整していきましょう。
お腹がすいている
空腹感が原因で寝かしつけを嫌がるケースもあります。
午前のおやつや給食をどれくらい食べているかを確認し、あまりにも少ない場合は園の方針にしたがって対応しましょう。
まだ1歳未満の場合は、ミルクや離乳食の量と時間を調整し直すタイミングがきているのかもしれません。
保護者と話し合って、離乳食を次の段階に進める、またはミルクの量を増やすなどの対応を取りましょう。
極度の空腹を避けることで、スムーズにお昼寝に入れるようになります。
お昼寝を必要としていない発育段階
子どもの発育に伴い、お昼寝の必要性がなくなることもあります。
一般的には、3歳以降から少しずつお昼寝をしなくても午後まで体力が保てる子どももでてきて、4~5歳になると多くの子どもたちがお昼寝がなくても午後も元気に活動できます。
無理に寝かせようとすると、子どもたちの負担になることもあります。
まだ学年的にお昼寝が必要な時期なら、お昼寝の時間は「横になって静かに過ごす時間」として伝えて、子どもの休憩タイムにするのも良いです。
年長クラスであれば、時期を見て、お昼寝の時間を設けず「静かな遊びをする時間」として、小学校での生活リズムにシフトしていくのもいいかもしれません。
スムーズに寝かしつけを行う4つのコツ
お昼寝を嫌がる子どもを無理に寝かせようとしても、保育士が一生懸命に寝かしつけしようと思えば思うほど逆効果になる場合があります。
次の章から、子どもに負担をかけず、スムーズに寝かしつけを進めるための4つの具体的なコツをご紹介します。
取り入れられそうなコツからトライしてみてくださいね。
寝かしつけに適した環境を作る
- 室温20~22℃(冬)、26~28℃(夏)、湿度50%前後
- 暗めのカーテンで外光を遮る
- 静かな音楽やホワイトノイズを流す
子どもにとって快適な環境を整えることで、自然に眠りやすくなります。
いつも同じ環境を意識することで、子どもたちが安心してお昼寝をすることが可能です。
特に優しいオルゴールの音楽やいつも同じホワイトノイズは有効で、音で「これからお昼寝する」ことが子どもたちにも伝わります。
また、途中で起きてしまっても、いつもの音、いつもの環境になっていることで安心して再入眠できることもあります。
子ども一人ひとりの眠るときの癖を知る
子どもには、それぞれ独自の眠る際の癖や好みがあります。一人ひとりの習慣を理解することで、寝かしつけがスムーズになります。
- お昼寝用の布団を定位置に置く
- 特定の体勢が落ち着く
- 背中をトントンする
子どもの眠る癖はさまざまです。
特定の体勢が落ち着く子でうつぶせ寝を好む子の場合は、園のルールに則って体制を仰向けにしましょう。
多くの子どもたちの癖として知られているのは「背中をトントンする」こと。
一定のリズムで行うことでリラックス効果が得られますが、中にはトントンされていると逆に眠れない子もいますので慎重に見分けてくださいね。
子どもごとの特徴を把握し、適切なアプローチを心がけましょう。
寝かしつけの前に絵本を読む
- もうねんね
- おつきさまこんばんは
- おふとんかけたら
- どこでおひるねしようかな
- たいへんなひるね
寝る前に絵本を読むと、心が落ち着き、お昼寝モードに切り替わりやすくなります。
短時間で読める絵本を選ぶのがポイントです。
「もうねんね」「おつきさまこんばんは」「おふとんかけたら」は乳児クラス向け、「どこでおひるねしようかな」「たいへんなひるね」は幼児クラス向けです。
どの絵本も、お昼寝や睡眠にフォーカスしたストーリーになっているので、お昼寝の導入にぴったり。
落ち着いた声で読めば、子どもたちもリラックスしてお昼寝に向かえるでしょう。
午前中にめいっぱい身体を使い疲れさせる
午前中に体を動かし、エネルギーを発散させることで、自然とお昼寝をしやすい状態を作ることが可能です。
取り入れたい活動としては、公園で走る、滑り台などの遊具で遊ぶなどの外遊び、室内であっても取り入れられる音楽に合わせて全身を動かす体操やダンス、リトミックなどもエネルギー消費が大きいです。
また、じっくり取り組める製作活動も集中することでエネルギーを使うのでおすすめです。
午前中の活動量を増やすことで、子どもたちが心地よい疲れを感じて、リラックスした状態でお昼寝に入れます。
疲れすぎると反対に眠れなくなる子どももいるので、年齢と子どもたちの発達状況、運動量は考慮してくださいね。
【教えて!?】寝かしつけを嫌がられた体験談と対応策
保育士として働く中で、お昼寝を嫌がられた経験を持つ方も多いのではないでしょうか?
次の章から、実際の保育士の体験談をもとに、工夫や対策についてお話しします。
参考にできるところは、明日の保育ですぐ活かしてみてくださいね。
実際にお昼寝を嫌がられたシチュエーションを教えてください
新卒で1歳児クラスの担任をしていた時、新入園児の子が毎日お昼寝の時間になると大声で泣いてお昼寝を拒否していました。
保育園自体に慣れるスピードもゆっくりで、給食の時間とお昼寝の時間が特に不安定になる子でした。
お昼寝の時間になると、全てを受け付けないようで、お昼寝前の絵本の時間から「嫌だ!」の一点張り。
私の関わり方が良くないのではと考えながら、毎日試行錯誤で寝かしつけを担当していました。
他の子にも影響が出そうですごく焦っていましたね。
お昼寝を嫌がられたときにあなたがとった対応策は何ですか?
その子には、まず私が「保育園で安心できる大人の1人」になれるように関わっていきました。
信頼を積み重ねるうちに、お昼寝の身体を横にする時間を楽しめるようになりました。
- 見通しを持てるように次の活動を伝える
- 小さなできたことを見逃さない
- 気持ちを共感する
その子にとってのお昼寝をしない理由が「ママと離れ離れになってさみしいから」だと考えたので、私が保育園で安心できる大人になろうと関わりました。
結果、その子の給食を嫌がる姿もお昼寝を嫌がる姿も徐々に消え、手を握っていると自然に眠りにつくようになりました。
お昼寝は「毎日絶対にしなければいけない」と考えないことが大切
お昼寝はあくまで、子どもの成長や体調に合わせたサポートの一環です。
「毎日絶対にしなければならない」と思うと大変そうに感じますが、子どももその日によってさまざまな理由で眠れないこともあります。
無理に寝かしつけをする必要はなく、横になって静かに過ごすだけでも十分であることを伝えて、お昼寝の時間をより良いものにしていきたいですね。
子どもたちが寝ない理由は何か、保育士自身も深く考えて、子どものリズムに寄り添いながら保育をすることで子どもたちの新しい一面を発見する機会にもなるでしょう。
まとめ
お昼寝は子どもの成長に欠かせない重要な時間ですが、無理に寝かしつけをするのは子どもにとって負担になることもあります。
子どもの気持ちや発達状態に合わせて対応することが大切です。
今回ご紹介したコツや工夫を参考に、保育士としてより良いお昼寝タイムをサポートしてみてください。
柔軟な対応を心がけることで、子どもも保育士も笑顔で午後を迎えられるようになるでしょう。
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