保育士資格は国家資格であり、国家資格の中には定期的に更新が必要なものがあります。
そのため「保育士免許も更新手続きが必要?」と気になる人もいるのではないでしょうか。
他にも保育士免許を取得した後にも何かすべきことがあるのか、どのような手続きが必要なのか気になりますよね。
本記事では保育士免許の有効期限や各種手続き方法、気になる疑問について紹介します。
保育士免許に関する手続きへの理解が深まるので、ぜひ最後までお付き合いください。
- 保育士免許には有効期限がないため更新は不要
- 改姓や本拠地の都道府県が変わったときは免許情報の更新手続きをする
- 保育士登録、免許情報の更新、保育士証の再発行は登録事務処理センターで手続き可能
- 幼稚園教諭の免許は教員免許更新制が廃止されたので不要
- 免許情報の更新や再交付には時間がかかるため、早めの手続きをしよう
保育士の免許に期限はない
保育士の免許には有効期限はなく期限延長のような更新手続きは不要です。
ただし、指定保育士養成学校の卒業や保育士試験に合格して資格を取得するだけでは保育士として働けないため、保育士登録の手続きをする必要があります。
保育士登録とは各都道府県の登録簿に保育士として登録してもらう手続きで、登録する項目は下記のとおりです。
- 氏名
- 生年月日
- 本籍地の都道府県名
- 登録番号
- 録年月日
- 資格要件
保育士登録が完了すると保育士免許を保有している証明として「保育士証」が交付されます。
つまり、一度登録さえすれば保育士免許を更新することなく日本国内のどこでも保育士として働けるようになるのです。
保育士の免許情報の更新が必要なタイミング
保育士免許に有効期限はありませんが、保育士登録簿に登録されている内容が変更となったときに登録情報の更新手続きが必要です。
保育士登録簿の情報は保育士証にも記載されているため、保育士証の書き換えと一緒に行います。
具体的に免許の登録情報の更新が必要なタイミングについて確認してみましょう。
結婚して苗字が変わるとき
氏名は保育士登録簿に登録されている項目であるため、結婚によって苗字が変わったら情報更新の手続きを行います。
本来、保育士証は保育士として働ける証明書類になるため、保育士証と公的証明書などの書類と氏名が違っていては証明の役割を果たせません。
「保育士証は使用しない」と思っても、何かのタイミングで提示を求められる可能性があるので手続きは必要です。
運転免許証など他の公的証明書の変更手続きと一緒に保育士免許の情報も更新すれば手間が省けますよ。
本籍地を変更するとき
氏名と同様、本拠地の都道府県名が変更になったら保育士証の情報更新手続きを行いましょう。
結婚したときなど配偶者の籍に入った時には、氏名の変更だけでなく本拠地の変更が必要か確認しておくと二度手間になりません。
他にも離婚で籍から抜ける時に本籍地が変わったり、家を購入したタイミングで本籍地を変えたりする場合があります。
保育士登録簿への本籍地の都道府県名の登録は児童福祉法施行規則でも定められているため、忘れずに情報更新をしてください。
参考:児童福祉法施行規則
保育士免許の情報更新の流れ
氏名や本拠地が変わって情報更新が必要になったとき、実際にどのような手続きをするのでしょうか。
情報更新は保育士登録関係の委託を受けている登録事務処理センター経由で行い、電話やネット上での手続きではなく郵送での手続きとなります。
保育士免許の情報を更新する手続きの流れと注意点について確認しましょう。
登録事務処理センターへ「登録変更等の手引き」を返送してもらうための封筒を郵送します。
- 返信用封筒1枚(角形2号がおすすめ)
- 送信用封筒1枚
- 封筒に貼る切手
返信用封筒はA4サイズを折らずに入れられる大きさのものを使用して、返信用封筒および送信用封筒に「書換え手引き○部」と赤字で明記します。
郵便料金は全て申請者が負担するため、返信用封筒には必要な部数が送れる分の切手を貼って送信用封筒に入れて封をしましょう。
部数に応じた郵便料金の目安は事務処理センターのサイトで確認可能です。
送信用封筒の切手は自分で用意するより郵便局で貼ってもらう方が正確な郵便料金で郵送できるので、窓口への持ち込みがおすすめです。
事務処理センターから返送されてきた手引きに同封されている払込用紙を使って手数料を払い込みます。
- 手数料は1,600円
氏名と住所を専用の払込用紙に記入して郵便局の窓口で払い込みの手続きをしますが、ATMでの払い込みや同封されている払込用紙以外の使用は不可のため注意しましょう。
払い込み後、受付印が「振替払込請求書兼受領証」と「振替払込受付証明書」に押されているのを確認して受け取ります。
どちらも大事な書類になるのでなくさないようにしてください。
登録事務処理センターに送付する必要書類は下記のとおりです。
- 保育士証書換え交付申請書
- 振替払込受付証明書
- 保育士証(紛失時は不要)
- 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)
まず、取り寄せた手引きの中にある「保育士証書換え交付申請書」の裏面に手数料払い込み後に受領した「振替払込受付証明書」をのり付けしましょう。
次に、戸籍抄本に記載されている下記の内容を「保育士証書換え交付申請書」に転記してください。
- 氏名および本拠地が変更になった理由
- 変更後の本籍・氏名
保育士証を紛失している場合は「保育士証書換え交付申請書」に紛失した理由を記入します。
STEP3で用意した必要書類を封筒に入れて郵便局の窓口へ持ち込んで登録事務処理センターへ簡易書留で郵送します。
〒102-0083
東京都千代田区麹町1丁目6-2
登録事務処理センター
必要書類のうち保育士証は原本を送付するため、情報更新中でも就職活動などができるように保育士証はコピーを取っておきましょう。
郵便局の窓口から受け取った書留郵便物受領書は不着などのトラブル時に使うので大切に保管します。
必要書類の提出方法は郵送のみとなり登録事務処理センターへの直接持ち込みは受け付けていません。
郵送した書類に不備がなければ都道府県にある保育士登録簿の内容が更新され、内容が書き換わった保育士証が交付されます。
書類審査中に不備があれば登録事務処理センターより連絡が入るので対応しましょう。
不備連絡がなく、必要書類を提出してから3ヶ月経っても書き換え後の保育士証が届かない時には登録事務処理センターまで連絡をしてください。
- 書留郵便物受領書
- 振替払込請求書兼受領証
連絡した際に上記の書類を用意できないと対応が難しい場合があります。
保育士登録をする流れ
登録事務処理センターでは保育士登録の対応も行っていて、登録までの流れは保育士免許の情報更新と同じですが登録料や必要書類が異なります。
簡単に手続きの流れを見てみましょう。
手引き取り寄せに使用する封筒には「保育士登録の手引き○部」と赤字で明記します。
手数料は情報更新時と異なり4,200円です。
保育士登録には下記の書類が必要となります。
- 保育士登録申請書
- 振替払込受付証明書
- 保育士登録できる資格を証明する書類
- 戸籍抄本(戸籍個人事項証明書)
簡易書留で登録事務処理センターへ郵送します。
不備の連絡が入ったら対応しましょう。
保育士資格を保有していれば、保育士登録の手続きはいつでも可能です。
保育士免許を紛失した際も手続きが必要
保育士証を紛失した場合でも登録事務処理センターで再発行手続きが可能です。
手続きの流れは情報更新や保育士登録時と同様で下記の点に注意しましょう。
- 手引き取り寄せ時に使う封筒に「再交付手引き○部」と記載
- 手数料は一人当たり1,100円
- 必要書類
- 保育士証再交付申請書(再交付手引きに同封)
- 振替払込受付証明書
再発行できるとはいえ、手間や手数料がかかるため保育士証は大切に保管してくださいね。
【注意】幼稚園教諭の免許は更新が必要だったが、更新不要へ!
以前は教員免許更新制が導入されていたため更新が必要でしたが、令和4年7月1日に廃止となりました。
令和4年7月1日時点で幼稚園教諭の免許が有効または休眠状態の場合、更新不要です。
休眠状態とは「平成21年3月31日以前にはじめて免許を取得」かつ「免許の有効期限時点で現教職員ではない」場合に適用されます。
一方で、令和4年7月1日時点で有効期限が切れている場合は免許失効です。
失効となった場合でも各都道府県の教育委員会に再授与申請をすれば、有効期限がない状態の教員免許を授与してもらえます。
保育士の免許に関する疑問に回答
免許情報の更新や再交付にかかる時間は?
申請の受け付けから更新または再交付されるまでにかかる時間は約2ヶ月です。
ただし、受付した時期や状況によってはさらに時間がかかる場合もあるため余裕を持った手続きを心がけましょう。
登録事務処理センターのトップページで書類の到着締切日と発送予定日が掲載されているので、手続き前の確認をおすすめします。
自治体によってはマイナンバーを使用して戸籍抄本を「コンビニ交付サービス」で受け取れるので活用してみてください。
参考:証明書のコンビニ交付
更新期間の転職は可能?
更新期間で保育士証の原本が手元になくても、保育士登録をしていれば保育士として働けるため転職は可能です。
ただし、転職先の判断による場合もあるため必ず転職先へ事情を説明して問題がないか確認をしてください。
登録事務処理センターでは、更新期間中でも就職や転職活動などで提示できるように保育士証のコピーをとって保管するように勧めています。
転職先には保育士証のコピーを提出して、書き換え後の保育士証が届いたら原本の提示を行いましょう。
保母資格証明書は保育士証と違うの?
平成15年11月28日までに保育士資格を取得した人に発行されていた書類を保母資格証明書といい、保育士証とは異なります。
手元に保育士証がなく保母資格証明書しかない場合は、保育士登録が行われていないため保育士として働けない状態です。
保育士として働く予定がある場合は、登録事務処理センター経由で保育士登録を行いましょう。
働く予定がない場合の保育士登録は不要で、登録しなくても保育士登録できる資格は消失しません。
旧姓のまま働き続けたいけれども情報更新は必要?
旧姓のまま働き続けるとしても、戸籍の苗字が変わったのであれば免許情報の更新手続きは必要です。
保育士証に旧姓の記載が欲しいのであれば旧姓併記できるので活用しましょう。
旧姓併記に必要な書類は戸籍妙本など、新しい苗字と併記したい旧姓がわかる戸籍関係書類です。
ただし、旧姓併記できるのは苗字のみで名を変更しても併記される名は変更後のものとなります。
併記した旧姓は免許情報の更新をすれば削除可能です。
参考:登録に関するQ&A
まとめ
本記事では保育士免許について期限や各種手続き方法について紹介しました。
登録事務処理センターでの各種手続きの流れに大きな差はありませんが、手続き完了まで時間がかかります。
転職などで保育士証を提示する機会が分かっているのであれば、間に合うようなスケジュールで手続きを行うと良いでしょう。
保育士証は保育士として働く上で重要な書類となるため、いつ提示を求められても問題がないように最新の状態に更新しておくことが大切です。
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