【4歳児・年間指導計画】元園長監修の例文集・書き方のポイントまとめ（保育士必見）

保育園で、毎年必ず作成する年間指導計画。

次年度のクラス担任が決まった3月〜4月頃までに、担当するクラスの子どもの年齢や発達の特徴を踏まえながら、1年間の見通しを持って保育を進めていくための計画書です。

今回は、4歳児クラス担任向けに、年間指導計画の作成方法とそのポイントをわかりやすく解説します。

月案作成の負担を減らせるよう工夫してまとめておりますので、ぜひ参考にしてみてください。

最初に作成のポイントをご紹介します。
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【全年齢共通】年間指導計画とは？目的や区分について

年間指導計画を作成する目的

年間指導計画は、「年間カリキュラム」とも呼ばれ、受け持つクラスを1年間どのように保育していくかを計画するものです。

保育所保育指針や、各園ごとに策定している全体的な計画などの要素をもとに、前年度の子どもの様子や年齢ごとの特徴を踏まえて作成します。

園が決める「全体的な計画」との違い

全体的な計画が、保育園の運営や施設の方針についての大枠をまとめた計画であるのに対し、年間指導計画は、1年間子どもたちにどのような保育を行うかを計画するものです。

そのため、園で定められた全体的な計画をもとに、クラスごとにより具体的な計画を策定するのが年間指導計画の位置付けになります。

区分について

1歳児から5歳児までは、1年間を以下の4期に分けて計画を作成します。

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【全年齢共通】年間指導計画は何を書けばいいの？基本項目について

年間指導計画の基本項目は保育園によって違いがあるようですが、基本的には次に挙げるような内容となっています。

• 年間目標
• 子どもの姿
• ねらい
• 内容
• 環境構成/保育者の配慮
• 食育
• 家庭との連携
• 行事

それぞれどういった内容を書けばいいのか、詳しく解説します。

年間目標

1年を通し子どもたちにどのように成長してほしいかを考え、生活や遊び/学びなどの幅広い視点で目標を立てます。

子どもの姿

区分の項目で分けた期ごとに、それぞれ予想される子どもの姿を記入します。

0歳児クラスには、生後2ヶ月から1歳11ヶ月までの子どもたちが在籍するため、月齢を5つの区分に分けて表記します。

ねらい

こんな姿に育ってほしいという、保育者の「願い」を記入します。

年齢や月齢ごとの子どもの姿をもとに、それぞれの発達段階を意識した内容を考えましょう。

内容

ここには、「ねらい」を達成するために行う保育の内容を記入しましょう。

1〜5歳児は、「健康」「人間関係」「環境」「言葉」「表現」の5領域から、具体的にどのような指導・配慮を通してねらいを達成するのか計画を立てていきます。

環境構成／保育者の援助

「内容」を実施するには、適切な環境設定と周囲の協力が必須です。

子どもが主体的に行動できるように、環境設定や必要な保育者の配慮について記入します。

特に保育には「環境」への配慮が欠かせません。

子どもたちが安全で健やかに成長できるように、物的・人的な環境を整えましょう。

食育

子どもたちが食に興味を持ち、意欲的に食事を楽しめるよう、月齢に添った食育計画を記入します。

4歳児期では、基本的な食事のマナーが一通り身に付き、配膳や食後の片付けなども行えるようになってきます。

また、食と健康の関わりや、食材が持つ栄養素などにも興味を持てるようになるのが幼児期ならではの特徴です。

年齢ごとの発達に即した計画を立てましょう。

家庭との連携

子どもの健やかな成長には、保護者との連携も必要不可欠です。

1年間を通して、保護者とどのように/どういったコミニュケーションをとりながら、一緒になって子どもの発達を援助していくか考えましょう。

行事

すでに園で決まっている行事を記入したり、季節に合わせて担当しているクラスのオリジナルの行事を記入したりします。

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【4歳児】 年間指導計画を立てるときのポイント

ここまでは全年齢共通してポイントを解説してきましたが、ここからは4歳児特有のポイント・気をつけなければならない点を解説します。

4歳児は、心も身体もぐんぐん成長し、様々な物事に主体的に関われる年齢です。

子どもが自ら取り組みたくなるような環境設定が大切になります。

また、成長に伴う葛藤が見られるのも4歳児の特徴です。

年齢ならではの発達を的確に捉え、どのように保育するかを考えていきましょう。

ポイント①　4歳児の発達の特徴を理解する

運動面

4歳児になると、ケンケンやスキップがスムーズにできるようになったり、走るスピードをコントロールできるようになったりと、運動機能が大きく成長します。

また、ハサミを器用に使いこなしたり、塗り絵をはみ出さずに塗れるようになったりと、手先の器用さも増します。

できることが増える4歳児は、「少し難しい」活動を取り入れると、好奇心が刺激され、喜んで取り組んでくれるでしょう。

情緒面

様々なことを理解し意識できるようになった反面、成長に戸惑い、自分の気持ちをコントロールできなくなることがあります。

生活のあらゆる場面で、イライラしたり癇癪を起こしたりする姿が見られるのも4歳児ならでは。

これは脳や心の成長によるものであり、様々な物事を理解し周囲に意識を向けられるようになった証です。

子どもの甘えや不安な気持ちを受け止め、成長のための大切なステップとして捉えて穏やかに関わりましょう。

ポイント②　最年長クラスに向けての意識を育む

5歳児クラスになると、就学に向けての活動が一気に活発になります。

しかし、5歳児クラスになっていきなり就学への意識が育つわけではありません。

そのため、4歳児クラスの段階で、少しずつ5歳児クラスに向けた取り組みを行っていく必要があるのです。

ポイント①で説明した通り、4歳児は情緒面での葛藤が見られる年齢でもあります。

子どもの様子をしっかり把握しながら、4歳児クラスの1年間で、5歳児クラスに必要な意識を育めるよう、計画を立てていきましょう。

【4歳児】 年間指導計画の例文

ここからは、　4歳児の年間指導計画の例文をご紹介します。

実際に年間指導計画を作成する際の参考にしてくださいね。

年間目標

• 自分でできることを進んで行い、自信を持って生活を行う
• 遊びや生活を通して、自分の思ったことを相手に伝えたり、相手の思いを知る
• 遊びや生活を通して、友だちと意見を出し合い、工夫しながら遊びを広げていく
• 必要な決まりを守り、日常生活に必要な生活習慣を身につける

子どもの姿

1期：4月～5月

• 進級したことを喜ぶ子と、新しい環境に不安を感じる子がいる
• 仲の良い友だちと、好きな遊びを楽しんでいる
• 春の自然に触れ、草花や昆虫を見つけ喜ぶ姿が見られる

2期：6月～8月

• 気の合う友だちと関わり合う一方で、気持ちが伝わらずトラブルになることもある
• 水遊びなどの、夏ならでは遊びを楽しんでいる
• 戸外やプールなどで、全身を使って遊びを楽しんでいる

3期：9月～12月

• 夏の疲れが見え始める
• 友だちとの遊びやクラスの活動の中で、意見を出し合いながら工夫して取り組む姿がある
• 運動遊びなどの全身を使った活動を楽しんでいる
• 運動会や発表会の練習に積極的に参加している

4期：1月～3月

• 5歳児クラスの子どもたちに憧れの気持ちを持ち、模倣しながら取り組もうとする姿がある
• 自分の気持ちを伝えながらも、友だちの思いも尊重しようとする姿がある
• 寒さに負けず、戸外で元気に遊んでいる

ねらい

1期：4月～5月

• 新しい環境に慣れ、安心して過ごす
• 生活の流れがわかり、できることは自分で行う
• 春の自然に触れ、興味関心を広げながら、工夫して遊びに取り入れる

2期：6月～8月

• 梅雨時期や夏季の快適な過ごし方を知り、健康に過ごす
• 夏ならではの遊びや自然事象を、友だちと一緒に楽しむ
• 思ったこと、考えたことを、話したり描いたりして表現する
• 友だちと一緒に関わって遊び、楽しさを共有する

3期：9月～12月

• 夏の疲れによる体調の変化に留意しながら、十分に体を動かし健康に過ごす
• 様々な運動遊びを行い、楽しみながら身体を動かす
• 友だちと協力しながら活動し、一緒に作り上げる達成感を味わう
• 気温や自然事象の変化に気付き、関心を持って調べたり遊びに取り入れたりする

4期：1月～3月

• 感染症の予防方法を知り、うがいや手洗いを自発的に行う
• 園生活に必要な習慣や生活態度を身につけ、進級への期待を持って生活をする
• 友だちとの関わりの中で、思いを伝え合い、協力しながら園生活を送る
• 冬の自然事象に興味を持ち、生活や遊びに取り入れるなどして積極的に関わる

内容

1期：4月～5月

• 不安な気持ちを受け止めてもらい、自分の気持ちを安心して表せるようにする(養護)
• 戸外で体を動かし、全身を使って遊ぶ(教育)
• 基本的な生活の流れがわかり、身支度や身の回りのことを自分で行う(教育)
• 保育者や友だちと一緒に、好きな遊びを見つけて遊ぶ(教育)
• 散歩先で春の自然に気付き、飼育をしたり、製作に活かす(教育)
• 様々な用具や素材の扱い方を知り、それを使って製作や遊びに活かす(教育)

2期：6月～8月

• 休息や水分補給のタイミングが自分でわかり、暑い季節を快適に過ごす(養護)
• 汗をかいたらシャワーや着替えをし、清潔であることの心地良さを感じる(養護)
• 水に触れ、冷たさや心地良さを感じて遊ぶ(教育)
• 友だちに親しみを持ち、同じ玩具を使用したり、イメージを共有して遊ぶ(教育)
• 夏ならでは素材に触れ、色や感触、形の変化などの違いを楽しむ(教育)
• 気温に合わせた衣服の調節をし、自分で着替えや後始末をする(教育)

3期：9月～12月

• 薄着の習慣を付けて過ごす(養護)
• 適度な休息を取りながら身体を十分に動かし、健康に過ごすために必要な生活の習慣を知る(養護)
• 自分なりに目的や生活の見通しを持って過ごそうとする(教育)
• 遊びや生活の中で、みんなで使う物を大切にしたり、ルールを守ったりしながら、楽しく生活する(教育)
• 様々な運動遊具を使い、全身を使って遊ぶ(教育)
• 歌や合奏など、友だちとイメージを共有しながら合わる喜びを感じる(教育)
• 様々な素材や用具を使い、自分のイメージしたものを形する喜びや達成感を味わう(教育)

4期：1月～3月

• 手洗いやうがいなどを積極的に行い、感染症予防に努める(養護)
• 5歳児に憧れの気持ちを持ち、教えてもらったり、やり方を真似たりしながら生活する(教育)
• 良いこと、悪いことに自分で気が付き、決まりやルールを守りながら生活する(教育)
• 生活の見通しを持ち、時間を確認しながら行動する(教育)
• 冬の自然に触れながら、戸外で体を動かし元気に遊ぶ(教育)
• 保育者や友だちの話を最後まで聞く(教育)
• 1年間の自分の成長を振り返り、成長を喜びながら、進級に期待感を持つ(教育)
• 雪や氷に触れ、感触や温度を楽しみ遊びに取り入れる(教育)

環境構成／保育者の援助

1期：4月～5月

• 個々の情緒や発達に十分に配慮し、安心して園生活を送れるようにする
• 子どもの気持ちに寄り添いながら、気持ちを言葉で表現できるよう関わる
• 生活の流れや身支度の仕方などを掲示し、子どもが自分で確認しながら取り組めるよう環境設定する

2期：6月～8月

• 水分補給や休息のタイミングに自分で気付けるよう時間配分をし、適宜声掛けをする
• イメージを膨らませて十分に遊びこめるよう、遊びごとにコーナー分けをする
• 友だち同士の関わりでトラブルが生じた際には、自分たちで話し合って解決できるようその時々に応じたサポートをする

3期：9月～12月

• 気温に応じた衣服の調節ができるよう、適宜声を掛ける
• 意欲的に運動会に参加できるよう、プログラムや環境作りを行う
• ルールのある遊びを行い、集団で遊ぶ楽しさを感じられるようにする

4期：1月～3月

• 手洗いうがいの大切さを伝え、自主的に行えるようにサポートする
• 一人ひとりが成長したことを感じられるよう、十分に褒め、意欲や自信を育てる
• 寒い日でも積極的に戸外に出かけ、体を動かす大切さに気付けるようにする
• 雪や氷の性質について、実際に見せたり図鑑で調べたりして興味を育む
• 5歳児クラスの子どもたちと過ごす時間を設けることで、年長組になる意欲を育て、進級に期待への期待感を育てる

食育

1期：4月～5月

• 保育者や友だちと会話を楽しみながら食事をする
• 食事に必要な準備や片付けの方法がわかり、自主的に行う
• 栽培活動を通して、食への興味を養う

2期：6月～8月

• 自分で栽培し収穫した野菜を食べる喜びを感じる
• 夏野菜の種類を知り、実際に見たり触ったり調理したりして親しみを持つ

3期：9月～12月

• 元気な身体を作るための食の働きを知り、バランス良く食べる
• 食事のマナーを意識しながら、楽しく食事をする

4期：1月～3月

• 日本や世界の食文化を知り、調べたり実際に食べたりして興味関心を育む
• 気持ちよく食事をするための食事のマナーを身につけ、友だちと一緒に楽しみながら食事をする

家庭との連携

• 送迎時のやり取りを通して密にコミュニケーションを図り、安心して預けてもらえるようにする
• 子どもの日々の様子を伝えることで成長を喜び合うと共に、不安や疑問には丁寧に答え、信頼関係を築いていく
• 子どもの体調や園での感染症情報などを共有し、健康に過ごせるよう、園と家庭とで共通理解を図る
• 5歳児クラスへの進級に向け、必要な情報を共有し、保護者とも協力して就学への意識を持てるよう配慮する

行事

1期(4～5月)

• 入園式
• 健康診断
• 誕生会
• 身体測定
• 避難訓練

2期(6～8月)

• 歯科検診
• 七夕
• プール開き
• プール終い
• 誕生会
• 身体測定
• 避難訓練

3期(9～12月)

• 運動会
• 発表会
• 保育参観
• クリスマス会
• 誕生会
• 身体測定
• 避難訓練

4期(1～3月)

• 豆まき
• ひな祭り
• 卒園式
• 誕生会
• 身体測定
• 避難訓練