保育園生活に欠かせない連絡帳。楽しみにしている保護者も多いですが、保護者が読んで「ひどい」と感じたケースがあるのはご存知でしょうか?
誤字脱字が多かったり、質問に対しての答えがなかったり、「ひどい」と思う背景にはさまざまな理由があります。
今回は、ひどいと保護者が感じる連絡帳の例文を紹介します。
連絡帳を書くときに意識した方がいいポイントも合わせて解説しますので、保護者とよりよい関係を築きたい方は必見です。
- 「ひどい」と感じる連絡帳の内容
- 気をつける連絡帳の書き方
- 保護者に想いが伝わる表現のコツ
- 実際に連絡帳で使える例文
保育園の連絡帳で思わず「ひどい…」と思った内容
保護者と園を繋ぐ大切な役割を担う連絡帳ですが、書かれている内容に思わず「ひどい!」と感じた経験がある保護者も少なくありません。
例えば、子どものちょっとしたミスやいたずらが大げさに書かれていたり、他の保護者に見られたら恥ずかしいネガティブなことばかりが書かれていたりする場合、親は辛く感じます。
保護者がどんなときに連絡帳の文章をひどいと思うか、例文を確認してみましょう。
内容が薄すぎる
- 「今日も変わりないです。」
- 「○○公園で遊びました。」
上記の例文は文章が短いだけでなく、あまりにも一般的な内容で同じクラスのどの子どもにも当てはまる印象を与えます。
毎日例文と似た内容が薄い文章が続くと、保護者は「うちの子をしっかり見てくれているの?」「先生が子どもを全然見てくれていないから内容が薄いのでは?」と疑問や不安が生まれることがあります。
子どもの欠点が目立つ連絡帳
- 「お友達を叩いていました。」
- 「お部屋に戻らないと大泣きしていました。」
子どもに対してネガティブなことばかりを書かれると、読んでいる保護者の心情はどんどん暗くなり、保育園に前向きな気持ちを抱けなくなります。
保護者の中には、連絡帳を思い出として何度も見返すほど大事にしている人もいます。
園での出来事はたくさんあるはずなので、取り上げる話題はネガティブな出来事よりもポジティブな出来事をチョイスしてみてください。
連絡帳を楽しみに読んでもらえる可能性は上がり、「うちの子をよくわかってくれている」と信頼関係が深まります。
言葉遣いが悪い
- 「忘れ物が多いです。きちんと支度してください。」
- 「登園するといつも眠そうです。夜更かしですよね?どうかと思います。」
上記のような言葉遣いに棘のある文章は、保護者に不信感を与える大きな原因となります。
例えば、理由を聞かずに一方的に否定する表現、親を叱責する言葉、家庭の子育ての方針に異を唱える言葉を使って書くと、保護者は怒りや不安を感じます。
保育士は、書く言葉も普段のコミュニケーションでも、自分が発する言葉に責任を持って、常に丁寧で失礼のない前向きな言葉を使うように心がけましょう。
プライバシーに配慮がない
- 「自由遊びの時間で○○くんは△△くんと喧嘩しました。△△くんの保護者にもご迷惑をおかけしました。」
- 「○○くんの仲良しの△△くんは、来週は家族旅行に行くみたいです。」
他の保護者や他の子どもに関わる情報が書かれた文章を読んで、自分たちも同様に連絡帳や普段のコミュニケーションの中で知られたくないことを伝えられているのではと不安に思う保護者もいます。
保護者は、保育園を信頼して普段なら人に言わない部分も伝えています。
例えば、仕事内容や転職、引っ越し、祖父母の居住地、旅行日程や旅行先など、伝えたつもりのない人が知っていると恐怖を感じることもあります。
子ども同士が仲が良くても、それぞれの家族の個人的なことを勝手に伝えるのはプライバシーが守られていません。
保育士として、線引きをしっかり行っていきましょう。
主観的な意見
- 「○○くんは落ち着きがないですね。」
- 「○○くんは乱暴です。」
上記の表現のように保育士の個人的な主観が強すぎる文章は、保護者に不信感を持たれやすくなります。
例えば、「落ち着きがない」場合はどんな状況のどんな姿を見て感じたか整理して伝えると、主観的で押し付けている印象は薄くなります。
ネガティブなことよりもポジティブな出来事を伝える場合に主観的な意見を書くと、保護者も気持ち良く言葉を受け取れるので意識してみてください。
誤字脱字
- 「休職を食べませんでした。」
- 「おそとあそびをしました」
誤字脱字が多い連絡帳や、漢字があまりにも少ない文章を見ると、保護者は「この保育士さん、しっかりしていないかも?」と不安に思われることがあります。
漢字に不安がある場合は、別の職員に聞いたり、書き終わったあとで最後チェックとして別の職員に読んでもらうなどの対策を行いましょう。
誤字脱字が原因で伝えたかったことが保護者に誤って伝わってしまい、トラブルに発展することもあります。注意しましょう。
毎日同じ内容
- 「今日は○公園に行きました。よく遊んでいました。」
- 「給食は残さず食べていました。」
毎日同じことばかりが書かれていて、子どもの成長や変化が見えない文章の場合、保護者は不安になります。
例え連日同じ活動を行っていた場合でも、子どもの反応や様子は毎日全く同じではありません。
活動内容にプラスし、子ども個人に注目して書く意識をすると、毎日同じ活動が続いても同じ内容になりません。
例えば、「運動会の練習をしました。○○くんはよーいどんの合図が面白かったのか、手を叩いて笑っていました。」と個人に注目するだけでオリジナルな連絡帳が書けます。
他の子どもとの比較
- 「○○ちゃんはトイレができませんね。他の子たちはできます。」
- 「他の子たちは片付けをしていましたが、○○ちゃんだけ遊び続けていました。」
他の子どもと比較をして、できないことを指摘されたり、ネガティブなことを書かれると、保護者の保育士への信頼関係は崩れていくので注意しましょう。
子どもの成長スピードがそれぞれ異なることは、保育士にとっては当たり前で、悪気なく書いているかもしれません。
しかし、保護者にとっては「うちの子どもだけできない」と深刻に捉えて、悩むきっかけになることもあります。
質問に対する答えがない
- 「今日も元気に遊びました。」
- 「明日も楽しく遊びましょうね。」
連絡帳で質問したことに対しての回答が得られない場合、保護者は園に対して不信な気持ちを抱くことがあります。
文章での説明が難しく、連絡帳内のコメント欄ではスペースが足りないためにあえて回答を書かなかった場合もあると思います。
口頭での回答になる場合や回答が後日になる場合は、その旨を連絡帳に一言記入すると良いでしょう。
専門用語ばかりでわかりにくい
- 「コーナー保育をしました。」
- 「オペレッタをしました」
保護者にとって聞き慣れない言葉を多用すると「この先生の連絡帳はわかりにくい」と思われ、連絡帳でのコミュニケーションがうまくいかない原因になることもあります。
保育士同士なら専門用語でも伝わりますが、連絡帳を読む相手は保育の知識が多くない保護者です。
保護者が知らない単語は使わずに、誰もが知っている言葉で簡潔にわかりやすく子どもの姿を伝える意識をしていきましょう。
自分のことばかり書いている
- 「今日は職員会議があって忙しかったです。」
- 「明日は有給休暇で欠勤します。」
保護者が知りたいことは、保育園で子どもがどんな様子で過ごしているかであって、保育士自身のことではありません。
連絡帳のコメント欄の主役は子どもになるように書き、保育士の個人的なことは必要最低限にしましょう。
例えば、上記の例文の場合は「明日は先生はお休みするねと○○ちゃんに伝えると、さみしいなぁと言って手をつないでくれました。それをきっかけにいろいろなお友達と手をつないで歩く遊びが生まれました!」などです。
保育士が気をつけたいNGな連絡帳とは?
子どもの様子を共有するための連絡帳ですが、表現の仕方によって保護者との信頼関係が崩れたり、不信に思われたり、誤解を招くこともあります。
本章では、保育士が気をつけたいNGな連絡帳の特徴を4つ紹介します。
自分が日頃、どんなふうに連絡帳を書いているかを今一度振り返り、保護者とより良いコミュニケーションを取るために確認していきましょう。
具体的な情報がない
曖昧な表現や誰にでも当てはまる内容は、保護者は子どもが園でどんなふうに過ごしていたかよく分からないと思います。
例えば、「今日も元気です。」の一文だけでは、どうして元気だったか、どのように元気だったか、元気に何をしていたか、が伝わりません。
子どもがしていた具体的な行動や言動、その背景や考察できる心情などを記載すると、子どもの姿が伝わる連絡帳となり、読んだ保護者も園生活のことがわかるので安心できます。
ネガティブな表現が多い
ネガティブな表現ばかりだと、保護者は保育園に「子どもの悪いところしか見てもらえない」と不安に感じます。
改善点や課題を伝えたい場合でも、ポジティブな視点から伝えることが大切です。
例えば、「今日はたくさん泣いていました。」とそのまま書くのではなく、「気持ちをうまく言葉にできず、泣くこともありました。ですが、一生懸命に伝えようとする姿勢やお友達と関わろうとする意欲が伝わってきました。」とその事実の裏側にある子どもの気持ちや意欲を考察する書き方は、ただ泣いていたことを伝えるよりもポジティブに感じとれます。
感情がこもっていない
毎日同じような文章やテンプレートの使い回しの表現ばかりだと、保育士が子ども一人ひとりを見ていない印象を与えてしまいます。
時には主観的に「○○ちゃんのこんなところがかわいいと感じます。」など少しの言葉を添えると、保育士自身の子どもに対する温かい気持ちや保護者と共に子どもの健やかな成長を願っていることが伝わります。
最近同じような内容が続いていると気づいたときには、保育士自身の子どもへの感情も連絡帳に込めてみてくださいね。
誤字脱字や間違っている敬語
誤字脱字や文法の乱れは、「この先生に子どもを預けて大丈夫?」と不安や疑問を持つ要因になります。
また、正確な情報が伝わらず、保護者が誤解してトラブルなる可能性も考えられます。
保育士は毎日送迎の保護者と顔を合わせられるわけではないので、毎日やり取りをする連絡帳は大切なコミュニケーションツールのひとつです。
書いた後は必ず読み直しを行い、丁寧で失礼のない文章を心掛けましょう。
【保育士必見】連絡帳の書き方のコツ
- ポジティブな部分に注目する
- 成長を感じた部分にフォーカスする
- 簡潔にわかりやすく書く
上記の3点を意識すると、保護者とのコミュニケーションツールとして有効な連絡帳の文章が書けます。
特に、子どもの良い部分に注目すると、保護者は「○○ちゃんの良さを先生は理解してくれる!」と連絡帳でのやり取りに前向きな姿勢になることが多いです。
さらに、以前の子どもの姿と比較して成長したところについて書くと、より保護者に保育士がしっかり子どもの姿を見ていると伝わります。
保護者に伝えたいことがありすぎて、文章がわかりにくくなっていることも稀にあるので、簡潔にわかりやすく書くことを意識すると良いでしょう。
連絡帳の書き方をマスターできる例文を紹介
これまでの章から、連絡帳はちょっとした表現の差や言葉遣いで保護者との信頼関係を失う恐れがあるとわかったと思います。
本章では、保育士が子どもの姿や成長、日々の園生活での様子を保護者と共有する大切なツールとして連絡帳が活用できる書き方の例文を紹介します。
書き方によっては、保護者に安心感を与え、信頼関係を深めることも可能なので、チェックしてくださいね。
【通常】連絡帳の例文
- ポジティブな出来事に注目する
- 簡潔にわかりやすい表現で書く
- その子ならではの出来事について記載する
過ごしやすい天気だったので、お散歩で公園に行きました。お散歩が大好きな○○くん。一番に靴箱に行って自分の靴を取り出し、履こうと挑戦していましたよ。入園して間もない頃は、自分の靴がどこにあるか探すことが多かったですが、今では場所をきちんと把握していています。成長していますね。日増しに靴の扱いが上手になってきて、今日は足を靴の中にぎゅうぎゅうと押し入れて試行錯誤していました。足を靴に収めるとマジックテープは自分でやるとのこと。自分のやりたい気持ちを保育士に伝えることもできるようになりましたね。マジックテープはもう自分でばっちり留められました!もうすぐ自力で靴が履ける日も近いかもしれませんね。
【トラブルを伝える場合】連絡帳の例文
- 当時の状況を整理する
- トラブル後の対応を記載する
- 謝罪の気持ちを丁寧に書く
今日は△クラスさんは外遊びをしました。□□くんとお友達でコンビカーの取り合いになり、噛みつき跡が残ってしまいました。流水で冷やして様子を見ましたが、赤く跡が残っている状態です。痛い思いをさせてしまい、大変申し訳ありませんでした。
現在の△クラスの様子は、お友達が使っているおもちゃが欲しい気持ちが芽生えているところです。今回の件を踏まえて、用意するおもちゃはなるべく数に余裕があるものを中心とし、徐々に順番を待つことや貸し借りを子どもたちに伝えていこうと考えています。
まとめ
連絡帳は、保護者との信頼関係を築くための大切な役割があります。
しかし、書き方によっては保護者に不満や不信感、さらには怒りを感じさせてしまうこともあります。
今回は、保護者が連絡帳を読んだときに「ひどい」と感じるケースとNGポイントを解説し、連絡帳を書くときに保育士が気をつけたいポイントと見本の文章を紹介しました。
書き方をしっかりマスターして、より良い保護者との信頼関係の構築のために役立ててください。
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