新年度が始まり、少しずつ園生活に慣れてくる5月。
2歳児クラスでは「自分でやりたい」という思いが強くなり、イヤイヤや友だちとのトラブルが増え始める時期でもあります。
一見落ち着いて見えても、内面では大きな発達の変化が起きています。
本記事では、表面的な目標設定にとどまらず、現場で実際に行っている具体的な声かけや対応方法を交えながら、5月ならではの個人案の考え方と書き方を解説します。
- 5月は子どもの本音が見える時期だからこそ丁寧に向き合う
- 個人案は「姿」から具体的に書き、その子らしさを言葉にする
- 評価は次の保育につなげる視点で、自分の関わりも振り返る
けんくん先生【保育士ライター】個人案は「上手に書くこと」よりも、「具体的に書くこと」が大切です。発達段階の言葉だけでまとめず、実際の場面や関わりを入れることで、次の保育につながる記録になります!


けんくん先生 保育士ライター
幼稚園・保育士・小学校教諭の資格を持ち、保育現場で10年勤務してきました。
子どもたちの笑顔と成長に支えられながら、発達や心の育ちを大切にした保育を実践しています。悩む先生の心にそっと寄り添えるような、現場で役立つ言葉を届けていきます。
【2歳児】5月の個人案の作成ポイント


【先輩保育士からのアドバイス】
チェックしておこう!
- 4月との変化を必ず書く
- 「自分で」の強まりを成長として捉える
- トラブルを社会性の芽として記録する
- 甘えや後退も安心のサインと理解する
5月の個人案で大切なのは、表面的な姿だけで判断しないことです。
4月は環境に慣れることが中心でしたが、5月になると安心を土台に自己主張が強くなります。
「イヤイヤが増えた」「トラブルが増えた」と書くのではなく、「自分の思いを出せるようになった」「友だちとの関わりが増えた」と発達の視点で捉えることが重要です。
また、連休明けに甘えが強くなる姿も後退ではありません。
安心を確認している過程と理解し、その背景まで言語化できると、深みのある個人案になります。



「落ち着いたかどうか」よりも「どんな心の動きがあったか」を書けるかどうか。そこが5月の個人案の分かれ目です!
【2歳児・5月の個人案】子どもの姿
【低月齢】2歳2ヵ月~2歳7ヵ月
- 保育教諭のそばで安心を求める姿が多い
- 言葉よりも行動で気持ちを表す場面が目立つ
- 「自分で」と言うが、援助が必要なことも多い
低月齢児は、安心できる相手の存在を何度も確認します。
連休明けに抱っこが増えた場合、すぐ活動へ促さず、「先生ここにいるよ」「ぎゅーしてから行こうか」と一度気持ちを受け止めていました。
短時間でも安心が満たされると、その後の活動が安定します。
また、玩具を投げたときは叱る前に、「いやだったんだね」「使いたかったんだよね」と気持ちを言語化します。
その上で「かして、って言ってみようか」と具体的な言葉を提示しました。
行動を止めるだけでなく「どう伝えればよいか」を示す関わりが個人案に書けると、発達支援としての視点が明確になりますよ。



低月齢は“行動を直す”よりも“気持ちを翻訳してあげる”関わりを意識すると書きやすいです!
【高月齢】2歳8ヵ月~3歳1ヵ月
- 自分の思いを言葉で伝えようとする姿が増える
- 友だちとの関わりを楽しみ始める
- 身の回りのことを一人でやろうとする意欲が強い
高月齢児は、自分の思いを言葉で伝えられる場面が増えてきます。
その一方で、「いや」「だめ」と強く言い返す姿も多く見られますよね。
頭ごなしに否定するのではなく、「そう思ったんだね」「どうしたかったの?」と一度気持ちを受け止めます。
その上で「順番にしてみる?」「終わったら貸してって言えそうかな」と選択肢を示すと、自分で考える力が育ちますよ。
着脱の場面ではすぐ手を出さず、「どこが難しいかな」と問いかけて待つ時間も大切です。
できた瞬間には「最後までやれたね」と過程を具体的に認めましょう。
結果だけでなく努力を評価する関わりが、自信につながります。



高月齢は「できるかどうか」より「どう関わったか」を丁寧に書くことがポイントです!
2歳児共通の子どもの姿
- 「自分でやりたい」という気持ちが強まる時期
- 思い通りにいかないと感情が大きく揺れる
- 安心できる大人の存在を何度も確認する
2歳児は低月齢・高月齢に関わらず、「自分で」という思いが軸になります。
しかし、思いと力がまだ一致しないため、失敗すると涙や怒りとして表れます。
その場面で「だから言ったでしょ」と結果に焦点を当てるのではなく、「悔しかったね」「もう一回やってみる?」と気持ちを支える声かけが有効です。
また、急に甘えたり抱っこを求めたりする姿も見られますが、それは安心の再確認です。
「先生ここにいるよ」と短い言葉で存在を伝えるだけでも落ち着きやすくなりますよ。
共通するのは「自立の途中」にいるという理解を持つことですね。



2歳児は反抗しているのではなく「自分を試している最中」と考えると関わりが変わります!
【2歳児・5月の個人案】ねらい
【低月齢】2歳2ヵ月~2歳7ヵ月
- 保育者との関わりの中で安心して過ごす
- 自分の思いを仕草や簡単な言葉で表せるようになる
- 身の回りのことに興味を持ち、やってみようとする
低月齢児の5月は、まず安心が土台です。
活動への参加を急がせるのではなく、「先生ここにいるよ」「一緒にやってみようか」と声をかけ、気持ちを落ち着かせる時間を確保します。
また、言葉が十分でない子には、「いやだったね」「やりたかったんだね」と感情を代弁し、伝わる経験を重ねます。
着脱や手洗いでは、すべてを任せるのではなく「ここまで一緒にやってみよう」と成功しやすい部分を切り取ることが大切ですね。
安心と小さな成功体験の積み重ねが、この時期のねらいにつながりますよ。



低月齢は「できるようにする」より「安心できる状態をつくる」ことが大切です!
【高月齢】2歳8ヵ月~3歳1ヵ月
- 自分の思いを言葉で伝えながらやりとりを楽しむ
- 身の回りのことに主体的に取り組もうとする
- 友だちとの関わりの中で簡単なルールを知る
高月齢児は、気持ちを言葉で表す力が伸びてくる時期です。
「いや」「ちがう」と強く主張する姿もありますが、それは思考が育っている証ですよ。
その場面では「どうしたかったの?」「順番にしてみる?」と問いかけ、自分で選べる関わりを意識します。
着脱や準備では、すぐ援助するのではなく「どこまでできそう?」と確認し、挑戦する余白を残しましょう。
できたときには「最後までやれたね」と具体的に伝えることが大切です。
成功体験を重ねることが、この時期のねらいにつながりますよ。



高月齢は「任せる勇気」を持てるかどうかで成長の伸びが変わります!
2歳児共通のねらい
- 「自分でやりたい」という思いを大切にしながら挑戦しようとする
- 安心できる環境の中で自分の感情を表現しようとする
- 友だちとの関わりの中で思いを伝え合おうとする
5月の2歳児は、「自分で」という思いが一段と強くなる時期です。
しかし、思い通りにいかない場面も多く、感情が大きく揺れます。
その姿を止めるのではなく、「悔しかったね」「もう一回やってみる?」と気持ちに寄り添う声かけを意識しましょう。
また、トラブルが起きたときはすぐ謝らせるのではなく、「どうしたかったのかな」と一緒に振り返る時間を持ちましょう。
安心の土台があるからこそ、自立は育ちます。
共通のねらいは、できるようにすることではなく、挑戦できる環境を整えることですね。



2歳児の5月は「整える月」。焦らず土台をつくることをねらいに組み込みましょう!
【2歳児・5月の個人案】環境構成と保育者の配慮
【低月齢】2歳2ヵ月~2歳7ヵ月
- 子どもから見える位置で関わる
- 一度に多くを求めない環境を整える
- 成功しやすい活動設定を行う
低月齢児は、不安を感じると保育者の姿を探します。
そのため、部屋の端に立つのではなく、子どもから見える位置に座り、「先生ここだよ」と穏やかに声をかけましょう。
離れるときも無言で動かず、「ちょっと向こうに行ってくるね」と伝えることで安心感が保たれますよ。
また、活動は工程を減らし、達成しやすい設定にしましょう。
たとえば着脱では袖を通す部分だけ任せる、手洗いでは一緒に蛇口をひねるなど、成功の確率を上げる工夫が効果的ですね。
刺激の多い環境を整理した空間づくりも落ち着きにつながります。



低月齢は「見える位置にいること」と「安心できる空間づくり」の両方が大切です。保育者の声かけだけでなく、刺激を整理した環境を整えることで、不安定さはぐっと減ります!
【高月齢】2歳8ヵ月~3歳1ヵ月
- 自分で選べる環境を整える
- 友だちと関われる場面を意図的につくる
- 挑戦を見守る余白を確保する
高月齢児は「自分で決めたい」という思いが強くなります。
そのため、活動を一方的に提示するのではなく、「どっちからやる?」「赤と青どちらにする?」と選択できる場面を設けます。
また、ままごとやブロックなど、自然に関わりが生まれる配置を意識するとやりとりが増えますよ。
トラブルが起きたときはすぐ答えを出さず、「どうしたらいいかな」と問いかけ、考える時間をつくりましょう。
環境で挑戦を後押しし、関わりで思考を支える。このバランスが大切です。



高月齢は「与える保育」から「選べる保育」へ。環境と声かけの両方で自立を支えたいですね!
2歳児共通の環境構成と保育者の配慮
- 見通しが持てる生活の流れを整える
- 落ち着ける空間と十分に動ける空間を分ける
- 気持ちを受け止める関わりを土台にする
2歳児クラスでは、環境と関わりを切り離さないことが大切です。
まず、一日の流れを大きく変えすぎず、写真や簡単な言葉で「次は何をするのか」を示しましょう。
見通しがあると不安定さは減ります。また、走り回れる場所と絵本を読める静かな場所を分けることで、衝突が起きにくくなります。
トラブルがあったときは「だめ」と止める前に「どうしたかったのかな」と問いかけ、気持ちを整理する時間を持ちましょう。
環境で整え、関わりで支える。この両輪が5月の安定につながります。



環境を整えることと、丁寧に受け止める関わり。その両方がそろってこそ、2歳児は安心して挑戦できます!
【2歳児・5月の個人案】食育
【低月齢】2歳2ヵ月~2歳7ヵ月
- 食事の時間を「安心できる時間」にする
- 手づかみやこぼしも大切な経験として受け止める
- 「食べられた」に目を向ける関わりをする
低月齢は、食べることよりも“食事の雰囲気”が土台になります。
苦手な食材に対しては無理に完食を求めず、「においしてみる?」「ちょっと触ってみようか」と段階を踏みましょう。
こぼしたときは「自分で拭いてみる?」と経験につなげます。
ひと口でも食べられたら「さっきより食べられたね」と具体的に伝えましょう。
食べる量より安心感を優先することが、この時期の食育では大切です。



低月齢の食育は「食べさせる」より「安心して食卓に座れること」を大切にしたいですね。完食より、楽しく食べるを目標にしましょう!
【高月齢】2歳8ヵ月~3歳1ヵ月
- 自分で食べ進める経験を大切にする
- 食事のマナーを少しずつ知らせる
- 友だちと楽しく食べる心地よさを味わう
高月齢になると「自分でやりたい」という気持ちが強まります。
スプーンの持ち方が不安定でも、すぐ直すのではなく「すくえたね」「自分でできたね」と過程を認めましょう。
姿勢が崩れたときは「おなかとテーブル、ぴったんこにしようか」と具体的に伝えます。
友だちの様子が気になる場面では「○○くんも頑張ってるね」と共感を広げる声かけも効果的ですよ。
できる力を信じて任せることが、この時期の食育の柱ですね。



高月齢は「できることを増やす」時期。直すより先に、まずは認める関わりを心がけましょう!
2歳児共通の食育
- 食事の時間を安心できる空気で包む
- 「できた」「やってみたい」を尊重する
- 食べることを楽しい経験にする
2歳児の食育で何より大切なのは、食卓の雰囲気です。
急かしたり比較したりするのではなく、「おいしいね」「いい音がするね」と共感の言葉を添えます。
苦手な食材に出会ったときは「ひとくち挑戦してみる?」と選択肢を示しましょう。
無理強いはせず、「今日は見てみただけでも大丈夫」と声をかけ、安心させます。
食事はしつけの時間ではなく、育ちの時間です。
温かな関わりが、将来の食への意欲につながりますよ。



食育は「食べさせること」ではなく「食べたい気持ちを育てること」です。安心できる関わりを土台にしましょう!
【2歳児・5月の個人案】作成する際の注意点
5月は新年度の緊張が少しずつほどけ、子ども本来の姿が見え始める時期です。
環境に慣れたからこそ出てくる甘えや主張、衝突もあります。
ただ「落ち着いた」「慣れてきた」とまとめるのではなく、その背景にある気持ちや育ちの途中を丁寧に言葉にしたいところです。
個人案は評価ではなく、成長の記録であることを意識しましょう。
注意点を確認しておこう!
- 発達段階ではなく「その子の姿」から書く
- できないことより「育ちの途中」を表現する
- 抽象的な言葉で終わらせない
- 保育者の具体的な関わりを必ず入れる
「落ち着いて過ごす」「意欲的に取り組む」だけでは、誰の個人案か分かりませんよね。
例えば「玩具を取られると手が出てしまう姿があるが、保育者が『貸してって言ってみようか』と仲立ちすると、言葉で伝えようとする姿が見られる」など、具体的に書きましょう。
個人案は評価資料ではなく、育ちの記録です。その子の物語が伝わる文章を意識しましょう。
【2歳児・5月の個人案】自己評価・反省の例文
5月は子どもの本来の姿が見え始める一方で、保育者の関わりがより問われる時期です。
できたことだけでなく、うまくいかなかった場面にも目を向けることで、次の保育が見えてきます。
自己評価や反省は「振り返り」ではなく「次につなげる視点」として書きたいところです。
低月齢の自己評価・反省の例文
- 玩具の取り合いの場面で、子ども同士が言葉にしようとする前に保育者が間に入り、すぐに順番を決めてしまった
- 「かして」「いや」といったやりとりが生まれそうな場面では、気持ちを代弁しながらも数秒待つことができた
- 今後は安全を確保したうえで、子ども同士のやりとりを見守る時間を意識的につくる



自己評価は「できたこと」だけで終わらせず、「なぜそうなったか」「次にどうするか」まで書くと具体性が出ます!
高月齢の自己評価・反省の例文
- 保育者が「順番ね」と早く結論を出してしまい、子ども同士で話し合う時間を十分に確保できなかった場面があった
- 今後は「どうしたらいいと思う?」と問いかけ、数秒待つことで、自分たちで折り合いをつける経験を増やしていきたい
- ブロック遊びでの取り合いの場面で、子どもが言葉で伝えようとする姿を見守ることができた



高月齢は「自分で考える力」が育つ時期です。評価では“保育者がどう関わったか”だけでなく「子どもが何を学びつつあるか」まで書きましょう。結果よりも、育ちのプロセスを言葉にすることが大切です。










