保育士に興味はあるけど、60代の今から就職や復職する事には不安がある…と思っている人は少なくないのではないでしょうか。
60代からの保育士への転職や復職、資格取得などについて解説します。
- 保育士は年齢に関係なく活躍でき、60代の人生経験や包容力は求められている
- ブランクがあっても復職支援制度を活用したり様々な働き方を選んだりできる
- 保育園をはじめ、活躍できる場は多い
- 保育士資格は何歳でも取得可能
- 60代だからこそ期待される役割がある
あん【元保育士ライター】「保育士として働きたい!でも今から新しく始めるなんて…」と迷っていませんか?
新しい事には戸惑うこともありますよね。
保育の現場では人生経験豊富な保育士が沢山活躍しています。
60代からの保育士について一緒に考えてみましょう。


あん先生 元保育士ライター
保育士歴11年、現在は2児の母です。公・私立園それぞれで正規・非正規保育士として働いた経験を活かし、役立つ情報をわかりやすくお伝えします。
60代になっても保育士として働ける?
※これから新たに資格を取って保育士になる人、すでに保育士の仕事をしている人や潜在保育士の両方に当てはまるような内容でお願いします。
60代になって、「保育士として働いているけど、今後どうしよう」「保育の現場で働きたいけど今からでも間に合う?」などと、保育士として働くことに対する年齢的な悩みを持つ方もいるでしょう。
本章では60歳以上で保育士として働けるのか、保育の現場では年配の保育士に何が求められているのかをお伝えしますので、参考にしてみてくださいね。
保育士は年齢に関係なく活躍できる職業
保育士はどの年代でも関係なく活躍できる職業です。
以下に、保育施設の職員の年齢別構成割合を表にしました。
| 30歳未満 | 30代 | 40代 | 50代 | 60代 | 70代以上 |
| 32.9% | 25.6% | 20.5% | 14.4% | 5.7% | 0.7% |
保育施設全体のうち、60歳以上の職員の割合は6.4%となっています。
他の年代と比べて多いとは言えませんが、およそ16人に1人の割合になりますので、保育園の規模にもよりますが、1園に1~2人程勤めている計算になります。
60歳以上の保育士の活躍は一般的であると言えますね。
保育現場で求められる「人生経験」と「包容力」
年齢を重ねた保育士の強みはやはり人生経験と包容力です。
長く保育士として勤めている人の経験値は言うまでもありませんが、新たに資格を取る場合やブランクがある場合でも、子育ての経験や、多くの人と接して多くの悩みを乗り越えてきた経験から生まれる余裕や包容力は、子どもにとっても若い保育士にとっても安心感につながります。
困ったことが起きた時などに、焦らずに一緒にいてくれる人がいることはとても心強いものです。
60代で保育士へ復職…ブランクがあっても大丈夫?
若いころに保育士として働いていたけど、60代になってもう一度保育士として働きたい場合もありますよね。
経験があるとはいえ、ブランクが長いと「今の保育についていけるか」「体力的に自信が無い」などと不安が大きくなりがちです。
ブランクのある保育士が復職しても大丈夫なのか、どんな復帰の仕方があるのかをお伝えします。
「潜在保育士」への期待値は高い
潜在保育士とは、保育士の資格を持っていながらも保育に従事していない人を指す言葉です。
令和4年の調べでは保育士登録者数は約179万人、従事者数は約68万人であり、保育士資格を持ち登録されていても、社会福祉施設等で従事していない人は111万人程度となっています。
保育士不足の今、潜在保育士の存在が注目されています。
60代以上の保育士ももちろん例外ではなく、人手不足の多くの保育の現場で求められているところです。
復職支援制度や研修制度を導入している園もある
保育士不足解消のために、復職支援制度や研修制度を導入する保育園が増えています。
ブランクのある保育士が安心して現場に戻れるよう、勤務時間の調整やメンター制度、実地研修などを整備しているのが特徴です。
さらに、最新の保育指針や安全管理を学べる研修を定期的に実施する園もあり、復職への不安を軽減する工夫がされています。
こうした制度は、潜在保育士の再就労を後押しするだけでなく、職場の定着率向上にもつながっています。
働き方の選択肢が増えている
保育士としての働き方には多様な選択肢があります。
それぞれにメリットとデメリットがあるので、自分の希望に合った働き方を選びましょう。
| メリット | デメリット | |||
|---|---|---|---|---|
| 【正職員(正社員)】 フルタイム。福利厚生が整っている。 | ・安定した収入と社会保障がある ・昇給やボーナス、キャリアアップ制度がある | ・残業や行事準備で時間的拘束が長いこともある ・仕事量・責任が多い | ||
| 【パート・アルバイト】 短時間や週数日の勤務が可能 | ・時間の融通が利く ・責任の重さが比較的軽い | ・給与・福利厚生が限られる ・昇給や正職員への道が少ない場合もある | ||
| 【派遣職員】 人材派遣会社に登録して働く | ・自分の都合に合わせた働き方ができる ・職場を変えやすく、職場の人間関係のストレスが少ない | ・雇用が不安定 ・長期勤務や園の中核的な仕事には関わりにくい | ||
| 【非常勤(契約)職員】 決まった期間のみ勤務 | ・比較的自由な働き方 ・契約内容によっては社会保険あり | ・任期満了で契約終了の可能性あり | ||
| 【フリーランス・起業】 自分で保育関連の仕事をつくる働き方 | ・自由度が高く、やりたい保育ができる ・働く時間・場所を選べる | ・収入が安定しにくい ・集客や経理なども自分で行う必要がある | ||
60代保育士が活躍できる場とは?
保育施設と一口に言っても様々です。
60代保育士が活躍できる職場とはどのようなところなのでしょうか。
本章では、働くという視点からそれぞれの施設の特徴をお伝えしますので、どの施設が自分にとって働きやすいかを考える際の参考にしてみてください。
また、各施設で働くメリットとデメリットもお伝えしますね。
保育園(保育所)
保育園は0~5歳児までの子どもが通っている為、各年齢に対する保育の幅広い知識を活かして働けます。
子どもの人数が多い園が多いため、体力的にも精神的にもハードである事が予想されるので、フルタイム勤務以外の働き方も検討すると良いかもしれません。
経験のない保育士の場合、様々な年齢の保育に触れられる魅力的な職場とも言えるでしょう。
最近はICTで業務の効率化をはかる動きがあるので、パソコンなどが苦手な場合は就職前に確認すると良いですね。
- メリット…人員体制が比較的整っており、役割分担がされている。経験を活かして若手の保育士の指導役としての期待が大きい。
- デメリット…定員が多く、体力・精神的にハードな場面が多い。行事や書類仕事が多く、ICTに不慣れな場合負担になりやすい。
認定こども園
認定こども園は保育園と幼稚園を合わせた施設であり、元々保育園や幼稚園だった施設に他方の要素を合わせた園もあれば、新しく認定こども園として作った園など様々です。
そのため、同じ認定こども園と言っても特徴は様々ですので、その園に合った保育の仕方が求められます。
また、保護者の勤務時間などで保育認定が振り分けられ、認定ごとに子どもの保育時間が違います。
それぞれの状況に応じた関わりが必要だという事を意識しておくと良いですね。
- メリット…教育観を活かして子どもと関われる。職員が比較的多いので休みを取りやすい場合もある。
- デメリット…幼稚園教諭免許も求められる場合があり、資格の確認が必要。子どもが比較的多いので体力的にハードに感じることもある。
小規模保育園
小規模保育園とは、原則として0歳から2歳までの子どもを対象に、定員6〜19人で運営される保育園のことを言います。
家庭的な環境できめ細やかな保育ができる点が特徴です。
対象とする年齢が低いので、3歳児以上児を保育する場合に比べると、一緒に走って遊ぶといった事が少ないので体力的な消耗が少ないと言えます。
ただ、乳幼児突然死症候群の予防や、まだ危険予知ができない子どもの保育には安全面での配慮が欠かせない点で注意が必要です。
- メリット…少人数で子ども一人ひとりと深く関われ、比較的静かな環境で落ち着いて働ける。
- デメリット…人員が少ないため、一人にかかる負担が相対的に大きい。運営母体によって安定性に差がある。
院内・企業内保育所
院内・企業内保育は病院や企業内保育所で就学前まで(施設ごとに異なる)の子どもを保育する施設です。
比較的少人数で落ち着いて保育ができるのが特徴です。
院内保育の場合は、土・日・祝日に関係なくシフトで出勤日が決まっていることが多いですし、早朝や夜勤の勤務もある場合がありますので、ライフスタイルに合わせて職場を考えると良いでしょう。
「ピアノ不要」や「2歳児までの保育」など施設によって条件や特色が異なるので確認してくださいね。
- メリット…比較的少人数で、落ち着いた保育ができる。土日祝に勤務することで、平日に休みがとれる柔軟な働き方が可能。
- デメリット…土日・夜間など変則勤務がある場合がある。職員数が少ないため代替がききにくいこともある。
家庭的保育事業(保育ママ)
保育ママとは、保護者の就労などにより家庭での保育が困難な、主に3歳未満の児童を保育者の自宅などで保育する制度のことです。
保育ママは資格が無くても経験や研修により認められますが、保育士資格があると保護者としても安心ですね。
また、保育園での経験が無くても、自分の子育ての経験を十分に生かして働けます。
自宅で保育する場合、通勤が不要であることも魅力のひとつです。
開業するためには準備が必要なので、詳しくは各自治体に確認しましょう。
- メリット…自宅での開設が可能な場合もあり、生活に合わせやすい。定員が5人以下と少ないため、家庭的な関わりができる。
- デメリット…一人で全てを担う場合もあり、責任が重い。自治体の基準を満たす必要があり、環境整備にコストがかかる。
保育士資格は60歳からでも取得できる?
保育士に興味はあっても、これから資格を取るにはハードルが高いのでは…と考えて、なかなか踏み出せない人もいますよね。
本章では「保育士に興味はあるけど、今から目指せるの?」などといった、保育士資格取得に関する疑問にお答えします。
大人の学び直しが見直されている人生100年時代の今、自己実現に向けて考えてみましょう。
資格取得に年齢制限はなし
保育士の資格取得には年齢制限はありません。
60歳を過ぎてからでも保育士資格の取得は十分可能ですし、資格取得後の保育士登録にも年齢制限はありません。
また、学歴の要件はありますが、中卒なども特定の条件を満たせば受験が可能です。
子育ての経験を活かして活躍する60代・70代の保育士は多くいるので、年齢を理由に諦める必要はありません。
公立保育士の正職員募集など年齢制限が低めの場合もありますが、その他にも活躍の場は沢山あります。
取得方法は養成学校・通信講座・独学など
保育士資格の取得方法は大きく分けて2つです。
1つは専門学校や短期大学などの養成校に通って単位を取得する方法です。
必要な知識を体系的に詳しく学び、実習を通じて現場で保育の仕方を学べ、資格試験を受けなくても卒業と同時に資格を得られます。
もう1つは保育士資格試験を受験して資格を得るという方法で、学校に通うほどのコストや時間をかけずに保育士になれるのがメリットです。
テキストや問題集だけでは難しい場合は通信講座も活用できます。
学び直しのハードルと乗り越え方
60代からの資格取得は若い頃に比べると体力的な負担や記憶力の低下などのハードルがあるので、工夫して乗り越えましょう。
まずは、必要な科目をどういった配分で勉強するかといった計画を立てることが必要ですが、不安な場合は通信講座を利用すると計画面でのサポートもしてくれるので安心です。
集中が続かなくても、短時間でも毎日勉強を続けましょう。
試験に慣れる為に過去問にも取り組み、体調管理にも心掛けることが大切です。
保育士の定年は何歳?定年制度と再雇用
60代以上で保育士として勤める事を考えた時に、「保育士としてこれから働きたいけど、何歳まで働けるの?」という疑問は当然ありますよね。
人生設計を考える上で、定年がいつなのかという問題は避けては通れません。
本章では、公立保育園と私立保育園それぞれの定年についてお伝えしますので、今後の働き方を考える際の参考にしてくださいね。
公立保育園の場合
公立保育園の保育士のほとんどは地方公務員です。
地方公務員の定年は令和4年度までは60歳で、退職後は再任用保育士として65歳まで働けると定められていました。
しかし、令和5年度以降は国家公務員と同様に段階的に定年を引き上げられています。
最終的に令和13年には定年が65歳になり、再任用の期間が無くなります。
詳しくはリンクからご確認ください。
参考:地方公務員法の一部を改正する法律について(地方公務員の定年引上げ関係) 総務省公務員部
私立保育園の場合
私立保育園の場合、定年の年齢は施設ごとに定められており、65歳、60歳、70歳などと様々ですが、全体を通して見ると65歳が一般的なようです。
施設によっては再雇用制度があるところと無いところがあるので、定年以降も働きたいという希望がある場合は就職前に確認しておくと良いでしょう。
また、パートやアルバイトの場合は年齢制限が無い場合も多いです。
長く勤めたい園では、パートやアルバイトとして働くという選択肢もありますね。
【元保育士からのアドバイス】60代保育士だからこそ期待される役割とは?
新しい職場に飛び込むのは勇気がいる事ですし、「若いころの様には動けない」などと、60代からの就職や復職には少なからず心配や不安があるのではないでしょうか。
ですが、60代保育士には若い保育士にはない魅力や、期待される役割があります。
60代保育士にはどんな事が求められているのでしょうか。
4つの視点から解説します。
子育て経験や介護経験を保育現場に活かせる
子どもがいる方の多くは、60代になると子育てにおける様々な事を経験しています。
保育園の子どもを保育する時、その場だけで見れば対処に悩んでしまうことでも、子育ての経験を元に長い目で見れば、おおらかに対処できることもあります。
孫のような歳の園児だからこそ、1歩引いたところから客観的に見られるというのは60代保育士の利点です。
また、介護をしている保護者もいますが、同じ経験をしたからこそ話を理解して話を聞けるということもあるでしょう。
若い保育士の相談相手になれる
若い保育士には特に悩みはつきものです。
担任している子どもの事、職場の人間関係、保護者との関係、家庭との両立、時には保育に関係ない悩みもあるでしょう。
悩んだ時に、経験豊富な保育士は心強い存在であり、自分の親や同年代の同僚には話しにくい事も、年上の保育士だから話せるという事もあります。
問題解決までに至らなくても、話を聞いてもらえるだけで安心できます。
歳を重ねた保育士だからこそ、他の保育士に安心感を与えられますね。
地域とのつながりを活かした保育ができる
保育園は保護者や公共の機関だけでなく、地域とのつながりも大切です。
職場が自宅の近くであれば、地域とのつながりを活かした保育ができます。
畑で実った野菜を見せてもらったり、伝承遊びを教えてもらったりといった事もできますし、知り合いの保育士がいることで地域からの信用を得ることもあります。
また、知らない地域でも、お散歩の時などに保育士が地域の人と交流を取りやすくなることは子どもたちにもいい影響を与えますね。
保護者との信頼関係が築ける
保護者支援は、保育士の重要な業務の1つです。
保護者が子どもの事で悩んでいる時、相談したいと思っていても「こんな事聞いても大丈夫かな」とか「聞きにくいな」と思うこともあります。
保護者が相談したいと思った時、歳を重ねた保育士には気持ちのバリアを取りやすく、素直な気持ちを伝えやすいです。
それは経験が豊富だからというだけでなく、受け止めてもらえるという安心感を持つからであり、信頼関係を築きやすい要素でもあります。
まとめ
60代の保育士には、若い保育士の様に子どもと一緒に走り回ったり、勢いを持って色んなことに取り組んだりといった事は難しいかもしれません。
ですが、歳を重ねてきたからこそ落ち着いて保育を見つめることができ、人に安心感を与え、保護者から信頼されやすいというメリットもあるのです。
ぜひ保育で、自分の持ち味を発揮してくださいね!








