保育士はなぜ「いい人ほどやめる」のか?保育士の離職理由や新しい働き方のヒントを元保育士が解説

保育士 なぜいいひとほど やめる

保育士は「いい人ほどやめる」と言われることがあります。

責任感が強く、子どもや同僚のために頑張りすぎてしまう人ほど、心身の疲れやストレスを抱えやすい傾向にあるからです。

無理を重ねるうちに心がすり減り、保育士をやめる決断をするケースも少なくありません。

この記事では、離職の理由を元保育士の視点で解説し、負担を減らしながら続けられる新しい働き方のヒントを紹介します。

この記事をまとめると
  • 責任感が強く真面目で周囲の人に気を配れる人「いい人」は、自分を犠牲にしてしまう傾向がある
  • 優しさが負担になる職場は、いい人ほど保育士をやめてしまう
  • 不透明で不安定な労働環境は、続けるほど不安が増す
  • 転職なども視野に入れつつ、自分に合った働き方を選ぶことが、自分を守りながら保育に関わり続ける大切な一歩
Takako【元保育士】

「子どものために」「自分がいなきゃ」と思い、つい無理をしてしまいがちですよね。

でも、保育はチームで進めていくものです。

ひとりで抱え込まず、疲れたとき周りの人に頼りながら、時には休むことも大切ですよね。

この記事を書いた人
takakoライター

Takako 元保育士ライター

保育士歴7年、現在は男女2児の母をしています。保育現場で培った経験や知識を活かし、悩んだり困ったりしている保育士の方、保育士を目指している方の力になれるような記事を心がけています。

目次

なぜ保育士は「いい人ほどやめる」と言われるの?

保育士は「いい人ほどやめる」と聞いたことはありませんか?

「いい人」と言われる保育士は、子ども思いで、真面目な人が多く、頼まれると断れない傾向にあります。

責任感が強く、他人に気を使いがちなので、仕事や悩みを抱え込みやすく心身ともに疲弊しやすいです。

真面目に頑張る人ほど無理をしやすく、結果として離職に繋がってしまうのです。

そもそも「いい人」ってどんな人?

一般的に「いい人」と言われる人は、以下の特徴があります。

「いい人」と言われる人の特徴
  • 真面目で責任感がある人
  • 優しい人
  • 自分が大変でも頼まれると断れず、つい引き受けてしまう人
  • 子どもや他人思いで、気遣い上手な人

これらの特徴に当てはまる人は、誰からも信頼されやすく、周りの人に安心感を与えてくれる存在です。

しかしその一方で、自分の気持ちを後回しにしてしまいがちで、気がつかないうちに無理を重ねてしまう傾向にあります。

そんな「いい人」は、優しさゆえに自分を犠牲にしてしまうこともあるのです。

保育現場でいい人が抱えやすい負担とは

保育現場で「いい人」とされる人は、その真面目さや責任感の強さから他の人の何倍も頑張ってしまいがちです。

そのため、上司や同僚から頼られやすい傾向にあり、頼られると断ることができず時間外も対応する傾向にあります。

また、優しい人が多く、子どもを第一優先に考え動くため自分の休憩や気持ちを後回しにしたり、人間関係の板挟みにあいやすいなど心身ともに大きな負担を抱えやすいのではないでしょうか。

いい人ほど保育士をやめてしまう理由

いい人ほど保育士をやめてしまう背景には、自分の気持ちを後回しにしてしまう性格が関係しています。

特に、責任感が強くて気配り上手ないい人タイプは、気づかぬうちに過度な業務やプレッシャーを背負いがちで、一見うまくやっているように見えても、心の中では限界を感じているケースも少なくありません。

その重さが、離職という選択につながることもあるのです。

頑張っている人に仕事が集中する

保育現場に限らず、真面目で責任感のある人は仕事を任されやすいです。

「いい人」は頼られると断れないため、自然と仕事量が増えていくだけでなく、周囲に気を遣いながら子どもたちにも全力で向き合うため、心身ともに疲弊しやすいのです。

周囲に気を使うあまり、相談もできず知らず知らずのうちに疲労が溜まり、限界を迎えて保育の現場を去ってしまうケースも少なくありません。

「子どものために」と、自分を後回しにしがち

保育士は「子どものために」という思いが強い分、自分の気持ちや体調を後回しにしがちです。

どんなに忙しくても「子どもの発達のため」「子ども達の笑顔のため」と、子ども達最優先で動き、休憩を削って保育の準備をしたり、対応をしたりします。

それでも、終わらない仕事は持ち帰ってプライベートの時間を削ってこなすことも珍しくありません。

このように、自分の時間が削られることが増えるほど、心の余裕が奪われてしまうのです。

人間関係の板挟みになりやすい

「いい人」と言われる保育士は、周囲への気遣いができる分、人間関係の板挟みになりやすい傾向があります。

他人を思いやれるため、相手の悩みや相談も親身になって聞いてくれます。

また、「いい人」は争いを好まないので衝突を避けるあまり、自分の意見を飲み込んで我慢する場面が増え、心の負担が積み重なっていきます。

そういったことが積み重なると、心の疲れが限界に達してしまうのです。

「迷惑をかけたくない」と我慢を重ねてしまう

「迷惑をかけたくない」という保育士は、自身の体調が悪くても、モチベーションが上がらなくても無理をして、抱えきれないほどの仕事量も一人でなんとかしようとしがちです。

「自分が我慢すれば円滑に回る」「他の人も頑張ってるから頼めない」と考えてしまうのです。

その結果、心身の疲労が蓄積し、保育への意欲を失ってしまうこともあります。

本来はチームで支え合うべき保育の現場で、一人きりで頑張りすぎてしまうことが、深刻な負担につながるのです。

「がんばり=続けること」だと思ってしまう

保育士として「がんばること=続けること」だと思い込んでしまうと、つらくても辞めるという選択肢を持てなくなります。

「自分が辞めたら子ども達はどうなるの?」「年度の途中で辞めたら迷惑がかかる」などと、自分を追い込みながら働き続けてしまうのです。

心や体が悲鳴をあげていても、その声に気が付かず「もっと頑張らないと」と無理を重ねて、限界を迎えてしまいます。

立ち止まることも、休むことも保育を続ける上でとても大切なことです。

いい保育士がやめていく保育施設の特徴

子どもに丁寧に向き合い、周囲とも良好な関係を築ける「いい保育士」ほど辞めていくのには、その働いている環境にも原因があります。

頑張る人に負担が集中したり、努力が評価されなかったりと、やりがいよりも疲弊が勝ってしまう環境では、どれだけ想いがあっても長く働き続けることは難しいのです。

評価基準が曖昧

評価基準が曖昧な保育施設では、保育士が自分の頑張りや成果を正当に認められているか分からず、不安や不満を感じやすくなります。

評価の対象が明確ではないため、努力の方向性が見えず、やる気が続きにくくなりやすいです。

また、評価が上司の主観や人間関係に左右されやすく、余計に周囲に気を使い疲れてしまう、なのに方向性が違うと評価されないという悪循環に陥りやすくなります。

公平さを欠く環境では信頼関係が損なわれ、職場全体の雰囲気も悪くなりがちです。

労働環境が整っていない

労働環境が整っていない保育施設では、保育士が安心して働ける基盤が不足しています。

設備や備品が不足していると、保育士は自腹で備品を買い足します。

また、休憩や休暇が取りにくい状況が続くと心身の疲労が蓄積しやすくなり、長時間労働や過重な業務負担が常態化していると、ストレスが増大し集中力や仕事の質にも悪影響を及ぼします。

こうした環境では、優秀な保育士が離職しやすくなる傾向があります。

学びがなく、将来性がない

学びの機会が少なく将来性を感じられない保育施設では、保育士の成長意欲が削がれてしまいます。

研修やキャリアアップの機会がないと、新しい知識や技術を身に付けられず、日々の保育が単調になりがちです。

キャリアアップやスキル向上の道筋が見えないと、将来に不安を抱きやすく、長く働き続ける意欲が低下してしまいます。

このような環境は優秀な人材の定着を妨げる要因となります。

【元保育士からのメッセージ】「辞めたい」と思うのは甘えではない

「辞めたい」「離れたい」「休みたい」と感じることは決して甘えでも逃げでもありません。

自身の心身の健康を守るための選択で、最優先されるべきことです。

保育の現場は体力的にも精神的にも大変な仕事で、頑張り続けることは容易ではありません。

無理を重ねて心や体を壊す前に自分の気持ちに正直になることが必要で、新しい環境でリフレッシュしたり、一旦保育の現場から離れてみたり、時短保育士やパート、小規模園など自分に合う働き方を見つけることも大切な選択といえます。

こういった選択は、長い目で見て保育に関わり続けるための大切なステップです。

自分を大切にする勇気を持ちましょう。

それでも保育の仕事を続けたいあなたへ。あなたらしい働き方のヒント

「保育の仕事が好き」「子どもが大好き」その気持ちを大切にしながら働き続けるためには、自分に合った働き方を見つけることが大事です。

正社員だけでなく、時短勤務、派遣、異なる園への転職など選択肢は意外とたくさんあります。

無理をせず、自分らしく保育と向き合うためのヒントを探してみましょう。

① 派遣・フリーランス・時短など働き方の選択肢を検討する

それでも、「保育が好き」「子どもと関わる仕事がしたい」と考えるなら、無理をせず、自分らしい働き方を見つけてください。

派遣やフリーランス、時短勤務など、多様な働き方の選択肢を検討してみましょう。

自分の生活スタイルや環境に合わせた働き方をすることで、ストレスを減らしながら保育の仕事を続けやすくなります。

働き方を柔軟に変えることで、長く安心して子どもたちと向き合える環境を作ることができますよ。

② 保育士からの転職を検討する

保育士を続けることが難しいと感じたときは、転職を検討するのも一つの選択で、保育士以外にも保育に携わる仕事はたくさんあります。

例えば、保育関連の研修講師、子育て支援員、教材開発、保育メディアのライターなど、現場経験を活かしながら、別の形で子どもや保護者を支える道もあるのです。

「保育士を辞める=保育を諦める」ではなく、視野を広げることで、自分らしく働ける道がきっと見つかります。

③ 然るべき機関に相談する

一人で悩まず、労働基準監督署や厚労省の「こころの耳」など、専門機関に相談することも大切です。

労基署では長時間労働や休憩が取れないといった職場環境の相談が可能で、予約不要・匿名でも大丈夫で、電話や窓口、チャットボットにも対応しています。

「こころの耳」ではメンタル不調やストレスに関する相談を電話・メール・SNSで受け付けており、予約不要・無料で利用できます。

無理せず、専門機関に頼る選択も自分を守る一歩です。

④ 自分をすり減らさない保育の続け方を考える

自分をすり減らさない保育の続け方を考えることは、保育士として長く働き続けるためには欠かせません。

チームで協力し合い、完璧を求めすぎず柔軟に対応しながら、自分の気持ちや体調に耳を傾けることは心身の健康につながります。

心に余裕を持ち、自分を大切にすることが結果的に子どもたちへの良い保育につながるのではないでしょうか。

自分のケアをしっかりおこなうことも、仕事の一部といえますね。

⑤完璧を目指さない

完璧を目指さないことは、自分を守るためにもとても大切です。

保育士は責任感が強く、何でも完璧にこなそうとしがちですが、それがストレスや疲労の原因になることもあります。

時には「これで十分」と自分を認め、完璧でなくても良いと割り切ることが心の余裕につながります。

無理に完璧を追い求めず、自分のペースでできる範囲を大切にすることで、長く楽しく続けられる仕事になります。

「いい人」でいるのに疲れたら…より良い職場を求めて転職も視野に入れよう

「頑張れば頑張るほど、心も体も限界を迎えてしまう」そんな現場に苦しむ保育士は少なくありません。

そんなときこそ、自分を責めるのではなく、環境を見直すことが大切です。

転職という選択が、自分らしく保育を続けるための第一歩になるかもしれません。

ここでは、おすすめの転職エージェントを紹介しますので、参考にしてみてくださいね。

保育エイド

保育エイド
おすすめポイント
  • 人間関係の悩みに強い
  • 元保育士による専任のコンサルタントが手厚くサポート
  • 柔軟な働き方に対応
運営会社名株式会社サクシード
求人数会員にのみ公開
エリア全国
公式サイトhttps://www.hoiku-aid.jp/

保育エイドは、人間関係や働きやすさに特化した保育士向け転職支援サービスで、職場の雰囲気や人間関係を詳しく調査し、あなたに合った職場を紹介してくれます。

時短勤務や派遣、パートなど多様な働き方にも対応しており、無理なく続けられる環境を見つけやすいのが特徴です。

また、元保育士による専任のコーディネーターも在籍しているので、現場目線で丁寧に相談に乗ってくれます。

自分の気持ちや体調を大切にし、より良い職場で子どもたちと向き合うためのサポートを受けることができますよ。

レバウェル保育士

レバウェル保育士
おすすめポイント
  • 「職場のリアル」がわかる
  • 人間関係に配慮した求人提案
  • 非公開求人の取り扱い
運営会社名レバレジーズメディカルケア株式会社
求人数13,974件(2025年5月)
エリア全国
公式サイトhttps://levwell.jp/profession/cw/

レバウェル保育士は、保育士専門の転職支援サービスで、「職場のリアル」がわかることが大きな魅力です。

実際に園を訪問し、職場の雰囲気や運営方針を詳しく把握し、求人票だけでは見えにくい現場の状況を教えてもらえるため、入職後のミスマッチを防げます。

また、専任アドバイザーが転職活動を手厚くサポートし、電話やLINEで気軽に相談可能なので自分のタイミングに合わせて連絡することができます。

匿名プロフィールでスカウトを受ける機能もあり、自分のペースで転職活動ができ、全国対応で幅広い求人があるため、理想の職場探しにおすすめです。

ヒトシア保育

ヒトシア保育
おすすめポイント
  • 全国対応と地域専属コンサルタント
  • 面接対策や条件交渉などの転職サポート
  • 手厚いサポートとスピーディーな対応
運営会社名株式会社ネオキャリア
求人数4026件(2025年7月13日時点)
エリア全国
公式サイトhttps://hitoshia-hoiku.com/

ヒトシア保育は、全国対応と幅広い求人をもつ保育士専門転職支援サービスで、地域に根ざした専属のコンサルタントが、希望に合った職場を紹介、徹底的にサポートしてくれるのが強みです。

転職活動のサポートも手厚く、面接準備や給与交渉までしっかり対応してくれるので転職が初めてでも安心して、転職することができます。

登録から入職まで平均1~2週間とスピーディーで、忙しく時間がないけど安心して転職したい保育士にも利用しやすくおすすめです。

まとめ

保育士は「いい人」であろうと頑張るほど、心身の負担が大きくなりやすく、離職につながることも少なくありません。

無理を重ねる前に、自分の気持ちや働く環境を見つめ直すことがとても大切です。

転職や働き方の見直しは逃げではなく、長く保育に関わるための重要な選択肢といえます。

自分に合った働き方を見つけ、心地よく楽しく子どもと向き合える働き方を目指してくださいね。

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保育士歴7年、現在は男女2児の母をしています。保育現場で培った経験や知識を活かし、悩んだり困ったりしている保育士の方、保育士を目指している方の力になれるような記事を心がけています。

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