保育士が転職を考えたとき、どのタイミングで動くのがベストか迷うことはありませんか?
転職時期を誤ると、希望する求人が少なくなったり、職場への引継ぎがスムーズに進まなかったりと、さまざまな問題が発生する可能性があります。
本記事では、保育士の転職に最適な時期や転職スケジュールの立て方を元保育士が経験をもとに解説します。
「転職の準備はいつから始めるべき?」「求人が多い時期は?」といった疑問を解決し、スムーズな転職を目指しましょう。
- 保育士の転職は、年度の切り替わりである4月が周りにかける負担が少ない
- 求人情報のピークは年に2回あり、10月~12月と1月~3月
- 転職活動スタート時期のおすすめは8月、自己分析から始めること
- 転職活動を行うなら、転職サイトに登録するのがおすすめ

転職活動に不安を抱く保育士さんは多いはず。本記事には実際の経験談がたっぷり詰まっているので、ぜひ参考にしてください。


ちあき
認可保育園で勤務後退職して留学。その後は英語の幼稚園で働く。結婚を機に派遣保育士に転身し、さまざまな園で経験を積む。保育士歴は通算7年ほど。
子どもが重度アレルギー児になったことでライターに転身した2児の母。


保育士が転職するのにベストな時期は4月
保育士の転職に最もおすすめなタイミングは4月です。
新年度のスタートとともに、新しい環境で働き始められるため、職場にもスムーズに馴染みやすいのが特徴です。
4月に転職するメリットを詳しく解説します。
理由①年度をまたがないので今の職場に迷惑がかからない
保育士は年度単位で業務が組まれているため、年度の途中で退職すると同僚や子どもたちに大きな影響を与える場合があります。
特に保育施設勤務でクラス担任を持っていると、保育士の年度途中での退職の影響は大きいでしょう。
担任業務の引継ぎ可能な保育士の確保が難しいなどの問題も抱えてしまいます。
4月に転職することで、働いている施設全体の流れに沿って動くことができ、年度途中に退職するよりもスムーズになるでしょう。
理由②子どもや保護者への不安が減る
保育士の転職や退職は、子どもや保護者にとっても大きな影響を与えます。
4月に転職すれば、新年度の始まりとともに新しいクラス編成になります。
子どもたちにとって新年度への切り替えは、期待と緊張感でいっぱいなもの。
したがって、保育士が退職することへの不安感は薄れます。
保護者の多くは、年度の切り替わりで担任が変わることを前提に考えているので、保育士の退職と不安が直結しにくいでしょう。
理由③転職理由が複雑にならずに済む
4月の転職であれば、「年度の区切り」という明確な理由があり、面接時の説明がしやすくなります。
また、園側も新年度に向けて積極的に人材を採用するため、転職活動が有利に進みやすい時期でもあります。
- 「新年度のタイミングでキャリアアップを目指したい」
- 「保育の幅を広げるため、今まで働いてきたタイプとは異なる保育施設で経験を積みたい」
- 「新年度のスタートとともに、新しい職場でチャレンジしたい」
保育士の求人が増える時期は年2回
近年、保育業界は人手不足と言われていますので、保育士の求人は1年を通して見つけられます。
ですが、なかでも求人数が多くなる時期は年に2回。
求人のピークとタイミングを合わせて転職活動を行うと選択肢が増えるため、希望に合った職場を見つけやすくなります。
では、なぜピークは2回あるのかを詳しく見ていきましょう。
「10月~12月」「1月~3月」ピークが2回あるのはなぜ?
保育士の求人が増える時期には、以下のような理由があります。
- 産休や病休、年度途中退職者のために年度途中での欠員補充
- 来年度の採用を見越して早めに募集を開始
- 新卒の内定者の辞退などによる追加募集
- 退職予定者が正式に決まるため、新年度の職員補充が必要
- 4月入職を前提とした大規模な募集が始まる
- 新卒採用の最終調整として、追加で求人が出ることもある
それぞれ異なる背景で、求人数が増加するという特徴があります。
特に1月~3月は求人数が急増すると言われていますが、人気の園は求人が出てすぐに内定者が決まってしまうこともあるため、10月~12月の早いタイミングで積極的に転職活動を行うのがおすすめです。



私が勤めていた園では、10月に来年度に向けての面談があり、11月には求人を出していました。早い年は12月に内定が決まっていたこともあります。
2回あるピークのどちらの求人を選ぶのがおすすめ?
結論として、「10月~12月」の求人に応募するのがおすすめです。
なぜなら、1月~3月になると応募が集中し、競争率が高くなるため、早めに動いたほうが有利に転職活動を進められるからです。
- じっくりと求人を選べる
- 面接対策や履歴書準備に余裕がある
- 1月~3月のピーク時に比べ、競争率が低い
- 年度途中の募集が多く、即戦力を求める園が多い
とはいえ、 1月~3月も求人が豊富なので、「より多くの求人を比較したい」「できるだけ条件の良い園を探したい」という人には、1月~3月の転職も選択肢になります。
特に、新卒や年度末退職者の補充として4月入職の大規模募集が行われるため、選択肢を増やしたい場合には、1月以降の転職活動も検討すると良いでしょう。



知り合いに、12月という比較的早いタイミングで転職を決めた保育士がいました。1月から当時勤めている園で働きながら週に1回程度新しい職場に出勤することを研修とし、4月から新しい園での即戦力としてフルタイムで働くことで勤務条件の交渉をしたそうです。
転職活動にベストな時期は夏頃
「転職したい!」と思ったら、すぐに求人を探し始める人も多いですが、転職活動を成功させるカギは計画的に動くことです。
転職活動のスタート時期は、夏頃がベストと言われています。
なぜなら、早めに準備をすることで自己分析をしっかり行うことができ、希望する求人を明確にできるからです。
転職活動開始は8月がベストな理由
理由①10月~12月の転職ピークに向けて余裕を持てる
理由②事前に自己分析や履歴書準備ができる
理由③応募が集中する前に面接を受けやすい
10月~12月は保育士の転職市場が活発になる時期ですが、8月から準備を始めることで、希望する求人をじっくり探し、計画的な応募ができます。
焦らず転職活動を進められるため、納得のいく転職先を見つけやすいのが大きなメリットです。
転職活動では、「なぜ転職したいのか」「どんな保育をしたいのか」を明確にすることが重要。
8月から準備すれば、自己分析をしっかり行い、履歴書や職務経歴書の作成にも十分な時間を確保できます。
10月~12月の求人が増える時期になると、多くの求職者が一斉に応募を始めるため、選考が混み合うこともあります。
8月から動き出し、早めに面接対策を進めることで、ライバルが増える前に内定を得られる可能性が高まるのもメリットです。
転職活動にかける期間に余裕を持とう
転職活動は、できるだけ余裕を持って進めることが成功のポイントです。
焦って決めてしまうと、 本当に自分に合った職場かどうかを見極める時間が足りなくなる可能性があります。
十分な期間を確保することで、以下のようなメリットがあります。
- 自己分析をじっくり行える → どんな保育がしたいのか、強み・弱みを整理できる
- 理想の保育施設像が明確になる → 転職後のミスマッチを防げる
- 複数の求人を比較できる → 条件の良い職場を見つけやすい
元保育士がアドバイス!転職スケジュールのおおまかな流れ
保育士として転職を考えたとき、スムーズに進めるためには計画的なスケジュールを立てることが大切です。
転職には、自己分析・書類準備・求人探し・面接など、いくつものステップがあります。
本章では、転職を成功させるための流れを、元保育士の経験を交えながら詳しく解説します。
転職活動の進め方に迷っている方は、ぜひ役立ててください。
1.自己分析を行う
転職を成功させるためには、まず自己分析を行い、自分の強みや課題を明確にすることが重要です。
これまでの保育士経験を振り返り、保育士としてどんなスキルを身につけたか、業務の中で得意なものや好きなものは何か、苦手なことは何かを洗い出しましょう。
書き出した情報から、あなた自身がどんな環境で働きたいか、どんな保育が得意か(例:食育・リズム遊び・絵本の読み聞かせ)が見えてくるはずです。
- 自分が大切にしている保育観を書き出してみましょう。ぱっと思いつかない場合は、嫌だと感じる保育観を書き出すことで自分が大切にしている保育観に気づけることもありますよ。
- これまでの経験を振り返り、やりがいを感じた瞬間はどんな時ですか?そこからあなたの得意や大切にしていることが分かることもあります。
2.履歴書や職務経歴書を作成する
履歴書や職務経歴書は、面接へ進むための重要な書類です。
特に志望動機や自己PRはしっかりと考え、具体的なエピソードを交えて記載すると効果があります。
作成時のポイントは2つあり、誤字脱字や記載漏れがないか必ず見直すこと、志望動機になぜその園を選んだのかを具体的に書くことです。
自己PRには、今までの経験を活かせる点を強調することもおすすめです。
- 職務経歴書には、工夫したことや成功体験を入れると印象が良くなります。
- 転職サイトなどの添削サービスを利用して、プロのアドバイスをもらうと、志望動機や職務経歴書の内容を深められるのでおすすめです。
3.求人情報をチェックする
求人探しは、複数の転職サイトや園の公式サイトを活用しましょう。
条件に合う求人を見つけたら、保育方針や労働環境をしっかり確認してください。
求人チェック時のポイントとしては、給与や福利厚生を詳細に把握することです。
また、園の保育方針を理解しておくだけでは不十分な場合もありますから、園の公式SNSは必ずチェックしておきましょう。
日頃発信されているSNSに、求人情報では分かり得ない園の雰囲気が垣間見ることができます。
- 検討中の園は最低でも複数ピックアップし、比較検討することをおすすめします。
- 園見学を受け付けているかチェックし、事前に問い合わせて応募前に実際の園を見ておくと良いでしょう。
4.転職サイトに登録をする
- 履歴書・職務経歴書の添削サポートが受けられる
- 非公開求人や好条件の求人を紹介してもらえる
- 面接対策や条件交渉を代行してくれる
転職サイトに登録すると、非公開求人の紹介やコンサルタントのサポートを受けられます。
自分に合った転職サイトを活用することで、より良い求人に出会える可能性があるでしょう。
- 複数の転職サイトに登録し、それぞれの求人を比較してみてください。
- 希望条件を細かく伝え、条件に合った求人を紹介してもらいましょう。希望外の求人にははっきり「No」と伝えることも大事ですよ。
5.求人票へ応募する
気になる求人が見つかったら、早めに応募しましょう。
人気の求人は、すぐに埋まってしまう可能性があるので注意が必要です。
応募時には、園の理念や保育方針を充分に理解した上で、志望動機を書きましょう。
最後に、履歴書や職務経歴書の誤字脱字の最終確認をお忘れなく。
- 応募前に、必ず面接可能な日程を整理しておきましょう。
- 不安な場合は、転職エージェントに相談してから応募すると良いですね。
6.面接を受ける
面接では、志望動機・自己PR・保育観などがよく聞かれるため、事前に回答を考えておきましょう。
緊張しても笑顔でハキハキと答えることで、好印象を与えられます。
- 第一印象を良くするために、清潔感のある身だしなみを心がける
- よく聞かれる質問の回答を事前に準備し、スムーズに話せるようにする
しっかり準備をして、自信を持って面接に臨みましょう。
7.転職先の見学をする
面接だけでは職場の雰囲気を把握しきれないため、園の見学は必須です。
実際に見学することで、自分の保育観や働き方に合った環境かどうかを見極められます。
- 子どもたちや職員の雰囲気は明るく、楽しそうか
- 保育の流れや活動の様子は自分の理想と合っているか
- 職員同士のコミュニケーションは円滑で、チームワークが取れているか
見学時には積極的に質問し、自分が働く姿を想像しながら確認することが大切です。
転職先が決まったらやるべきこと
転職活動を終え、新しい職場が決まったら、引継ぎや退職手続きをスムーズに進めることが大切です。
保育園の業務は子どもや保護者との信頼関係が大きく関わるため、しっかりと準備して円満に退職しましょう。
また、有給休暇の取得や次の職場での準備期間の確保も重要です。
ここでは、転職先が決まった後にやるべきことを3つ紹介します。
1.園に転職のことを報告する
転職が決まったら、まずは現在の勤務先に報告しましょう。
一般的に退職を伝える時期は、退職の1~2カ月前に報告するのが望ましいとされていますが、園の規定に従うことが基本です。
園によっては職員に対して来年度の意向を確認する面談も行われており、年度末の退職や事前に時期が決まっている退職はその面談で伝える場合もあります。
- 園長や主任など上司に最初に伝える
- 繁忙期を避け、落ち着いたタイミングで話す
- 退職理由はなるべくポジティブな伝え方をする
- 引継ぎ期間を考慮し、余裕を持った退職日を設定する



知り合いに、先に同僚に退職の意向を話してしまい、園長の耳まで届いてしまったケースがあったそうです。誰がどこで聞いているかわかりません。報告の順番はきちんと守りましょう。
2.引継ぎ内容をまとめる
退職時には、引継ぎをしっかりと行うことが最重要ポイントです。
具体的にどんなことを引継ぎするかを下記のリストにまとめたので、参考にしてください。
- クラスの子どもについて→生活リズム、排泄の状況、睡眠の状況、食事の好み、アレルギーの有無、性格や得意なこと、苦手なこと
- 保護者とのやりとり→連絡ノートの内容、特に気を付けるべきこと
- 年度途中の場合は行事や活動の予定→自分が担当していた業務、今後の準備が必要なこと
- 職員間の申し送り事項→チーム内での役割分担など
書面にまとめることで、後任の保育士がスムーズに業務を引継げます。
また、 直接引継ぎの機会が設けられるとより安心です。
3.有休消化を行う
有給休暇が残っている場合は、 できるだけ退職前に消化することをおすすめします。
園によっては、引継ぎ期間が長く必要な場合もあるため、早めに相談しましょう。
- 就業規則を確認し、取得可能な日数を把握する
- 引継ぎに支障がない範囲で、事前に主任や園長と相談する
- 有休が取得しにくい園でも、法律上は取得可能であることを理解する
有給休暇は労働者の権利なので、しっかり取得しましょう!
有給休暇を次に働く保育施設での研修の日に充てても良いかもしれません。
引継ぎが終わったら、残りの期間は有休消化期間というスケジュール立てをしておく方法もあります。



知り合いに、退職の希望を伝えたら有給休暇がゼロになったという話を聞いたことがあります。泣き寝入りしないためにも「有給休暇は労働省の権利」であることを覚えておきましょう。
まとめ
保育士の転職時期には1年に2回ピークがあり、10月~12月と1月~3月です。
それぞれ異なる背景で求人が集まっていますので、自分にぴったりの時期を選択し、集中して転職活動に取り組みましょう。
また、転職活動スタートにおすすめの時期は夏頃です。
早めに準備をしておくことで、自己分析を行う時間や求人を比較、検討する時間が確保できるので、働いてみてからのミスマッチを少なくできます。
転職は次のキャリアに向けた大切なステップです。
タイミング良く転職をし、円満退職を心がけ、気持ち良く新しい職場でのスタートを切りましょう!
コメント